モンキー的映画のススメ

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モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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旧作映画を語ってみる③〜(500)日のサマー〜

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  • 公開日 2010年1月9日
  • 監督 マーク・ウェブ
  • キャスト ジョセフ・ゴードン=レヴィット、 ズーイー・デシャネル、クロエ・グレース・モレッツ、クラーク・グレッグ

男なら!これ見たら、おいっ!心の瘡蓋がまだ生乾きだったよ!ヒリヒリするぜっ!!と思う映画ナンバー1だと思います。

あらすじ

LAで、グリーティングカード会社で働いている地味で冴えない青年トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、ある日、秘書として職場にやってきたサマー(ズーイー・デシャネル)に一目惚れしてしまう。トムが偶然サマーと同じエレベーターに乗り合わせたとき、ふいにサマーは「わたしもザ・スミスが好き」と声をかける。そしてそこから二人の交流が始まる。会社のパーティーの帰りがけに、トムはサマーに好意を寄せていることを告白するのだが、サマーは「友達になりましょう」と言うだけであった。徐々に親密になっていく二人だが、期待するトムに対してサマーに「真剣に付き合う気はないの」と言われてしまう。そしてトムは、不本意ながらも「気軽な関係でいいよ」と妥協してしまう。そして109日目、サマーの部屋に招き入れられたトムは、サマーとの関係が一気に進展したと感じるのだが……。


個人的な思い出

これは、当初こんなに流行ってたとは知らず、レンタルビデオで鑑賞した作品。
まだ、大作映画にしか興味のなかった自分にインディペンデント映画の面白さ、ミニシアター系の奥深さを教えてくれたきっかけにもなり、それからというものの映画へのアンテナを広げシネコンオンリーだった行動範囲を単館まで足を運ぶまでになりました。

この映画を配給したFOXサーチライトの映画も見るようになり、リトルミスサンシャインやジュノ/JUNO、スラムドッグ$ミリオネア、レスラー、バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)など、大好きな作品が増えた要因にもなりました。


マーク・ウェブの演出

この映画は冒頭の文章で、監督の腹いせとも思わせる物語で、トムとサマーな出会いから別れの500日間を描いたラブストーリーではなくトムの成長物語になってます。

マーク・ウェブ監督はこの映画が長編監督デビュー作であり、これが評価されアメイジングスパイダーマンの監督に抜擢されました。

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やはり、青春モノを撮らせたらその腕は確かで、アメコミアクション映画にもかかわらず、高校生である主人公ピーターの葛藤やグウェンとの恋模様、その後の成長を、シリアスに、時にコミカルにと振り幅のある青春ストーリーを描いていて大いに楽しませてくれました。

彼が演出した(500)日のサマーも非常にポップでエンタメ要素満載のアイデアが豊富な作品で、1番この映画が面白いのは時系列。
順をたどって見れば平凡なモノになってしまうものを、あえてサマーとのハッピーな毎日と別れを予兆させるアンハッピーな日々をシャッフルしてストーリーが展開していきます。日にちごとに並べると、
4881290138154112227283128234303458795109118259191314321167322345402440441441 1/2442450456〜476488500

という具合に日にちがバラバラになってます。緑色がトムにとってはバラ色の日々なわけで、259日目を境に2人に微妙な距離が生まれるある事が起き、そこからトムの気持ちが徐々に落ちていくわけです。

自分でやってみて改めて見ると、そんなにぐちゃぐちゃな時系列ではないにせよ、実際見てるとものすごくめまぐるしく過去と未来が行ったり来たりな気がしました。こういう映画はなかなかないですね。
ちなみにこれは、成長物語としてポジティブに終わりますが、破滅を迎えた同じような時系列の物語として、ブルーバレンタインなんて超名作もあります。裏(500)日のサマーって映画解説者の中井圭さんが仰ってました。

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他にも、いきなり踊りだすシーンもあります。サマーと結ばれた翌朝、出勤途中に幸せの絶頂を現す部分として街の人たちと急に軽快なステップでホール&オーツのyou make my dreamsをバックに踊るというものです。

You Make My Dreams

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  • ダリル・ホール&ジョン・オーツ
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes


非常にポップでキャッチーな表現で、
おい、ジョセフ!お前ダンスもイケんのらかよっ! 
と彼の演技の引き出しのひとつを見せつけれ驚きと笑いが生まれたことをよく覚えてます。

そして、この演出を見事にパクった、いや、インスパイアされて使われた映画がモテキです。
ドラマでも映画でも同じ演出でしたが、恋の予感というかこれはイケる、恋しちゃったと藤本幸世が確信した時、Perfumeのbaby cruising loveをバックに街の人たちと、映画ではPerfume本人たちと街の人たち一緒に踊り、幸せの絶頂を表現しています。
同じ成長物語としてこの演出は見事でした。

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他にも、2画面にして理想と現実を映像に組み込んだり、トムが映画館で見てる映画に、自身が出て悲しみを表現した作品であったり、スケッチ調の映像に切り替わったりと、ミュージックビデオを多数手がけてきた監督の多彩なアイデアがこの作品をよりポップに、よりキャッチーに表現して楽しませてくれます。



映画「卒業」のメタファー

トムは幼少期に悲しいポップスばかり聞いていたせいで運命の人を待ち焦がれ、映画「卒業」を観て拡大解釈をする男になります。
一方サマーは、幼少期に両親の離婚を機に愛なんてまやかしだ、と現実的な考えを持ち運命なんてない、自慢の髪も躊躇なく切れる=後ろ髪なんて引かれないとサバサバした自由奔放な女になっていきます。

実は愛に飢え、愛を求めていたという根っこの部分は同じでも恋愛観が対照的な2人がザ・スミスをきっかけに急接近し、トムは運命を感じサマーは偶然を感じます。

だが結果、この価値観の違いを見せつけるのが映画館で観る「卒業」
結婚式に乗り込み花嫁を奪い去り十字架で扉を閉めてバスに飛び乗る名シーンです。

卒業 [Blu-ray]

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最初は笑顔だった2人も徐々に今後の未来を考え不安そうな顔になりエンディングを迎えるこの映画を見て、
トムは幼少期にこれがハッピーエンドと拡大解釈していた。
しかしサマーは号泣します。トムと自分の今後のことを投影し、悟ってしまったのです。

ここが面白いのは、後ろは振り返らない先のことも考えない目の前のことだけを考えるあっけらかんに見えるサマーが、唯一自分の将来を見据え感情を爆発してしまうところです。

ナレーションも入れず、説明台詞も語られることなくこの映画を使い、感情で説明する、サマーの乙女な一面が見れる場面です。


1回目はトム目線で、2回目はサマー目線で

がっつりネタバレになります。


トムは運命を信じるがゆえに、かわいいなと思っていたサマーが実はザ・スミスやナイトライダーが好きで、バナナフィッシュの話題で盛り上がり、カラオケで歌いたかったブルーススプリングスティーンの明日なき暴走が好きだと語ったトムに対し、サマーが飼っていた猫の名前がブルース、
だったりと事あるごとに共通項を見つけては運命の人だ!と感じていることがわかります。

次第に仲が深まり、キスもデートもセックスも重ね、益々運命を感じちゃうわけです。
でも、ある日を境に関係は悪化。
恋人だと思ってたのに、私達友達じゃない?と突きつけられ、サマーは会社を辞め、同僚の結婚式で偶然再会し元サヤに戻れるかもと淡い期待を持つも、挙げ句の果てにはサマーの結婚パーティーに呼ばれる始末。

私がトムなら彼以上に不貞腐れます。
もう、サマーは小悪魔で不思議ちゃんでいろんな男を弄ぶビッチにしか見えないです。
オレは何も悪くない!あのクソ女が悪いんだ!、と。

こんな感じでサマーがスゴく悪い女に見えるトム目線での見方。
まぁ、監督が自身の腹いせで作ってるので正しい見方だと思いますが、
サマー目線でもう一回見てみると、トムがどれだけヘタレで奥手で消極的で意気地なしの男かがわかります。



サマーは、愛は絵空事、恋愛なんてめんどくさいと自由奔放さを強調してるけど、両親の離婚が原因で恋愛など続かないと子供ながらに感じてしまい、恋愛に臆病になっています。

そんな彼女も、運命はあるよ!と意見の違うロマンチストな男が実はザ・スミスやナイトライダーが好きで、話が合うなー、ちょっといいかもと思い、自分が突きつけた条件をのんでくれた。
勢いでキスもし、行きたいところについてきてくれ、気がつけば誰にも話したことないことをトムに話してしまう始末。

そう、この時、サマーはトムに少なからず運命を感じでいたんです。

でも、トムは気軽な関係でいいと言っていたのに、急に関係を求めてきます。
今のままがいいのに…と思いつつも、毎日を過ごしていくと徐々に恋愛観の違いが表れてきます。

そして、「卒業」を見て疑惑が確信に変わります。
彼が運命ではないと。

てな感じで、サマー目線で見ると、トムにも原因があります。
友達でいいって言ったのに彼氏ヅラし始めたり、運命信じてる割にはサマーがアクションしないとリアクションしなかったり、カラオケの帰り道送ってくれないし、キスをするのはサマーからだし。

もしかしたら、トムがもっと気持ちを伝えてれば、積極的なら、サマーのことを考えていれば、トムが自分の気持ちをサマーがもしかしたら運命かも?と思った時に伝えてたら、2人はうまくいっていたかもしれません。
たらればばかりですが。

現に映画の中で、トムはサマーに女性として好きだとかアイラブユーとか言ってません。流れに身を任せただけでオレら付き合ってるよな?としか言ってません。


と、こんな感じで何回か目線を分けて見て面白いと思います。



運命は、必然でなく偶然なもの。待っているものではなく切り開くもの。奇跡なんておきないのだ。
2人が出会ったのは運命でも、別れてしまったのは偶然だった。
偶然こそが全てだと、トムは悟ります。
トムは、ラストでその後また同じことを繰り返すんじゃないか?と思うような出会いをし、その出会いが運命じゃないか?なんてオチも感じさせ、見る側にあの「卒業」のラストと同じ予感をもたらしてくれます。

一応トムはこの経験から建築家の夢をまた追いかけ、ちょっとだけ積極的になっているのもラストに垣間見れます。
ボーイミーツガールでハローグッバイで、エンカウンターからフェアウェルって話だけど、
この成長だけでもよかったなぁと思わせてくれる作品です。


またグダグダと書いてしまい、何が言いたいかわからなくなっちゃいましたが、要は、面白いってだけの話ですww