モンキー的映画のススメ

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モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「キャロル」感想 評価 レビュー

2月11日

キャロル

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いわゆる百合ドラマである。しかも年の離れた2人。

 

同じく百合モノでカンヌでパルムドールを受賞したアデル ブルーは熱い色は年代も近く官能的な部分が多かったけど、今作はどんなお互いの思いを描くのだろうか。

と、比較してもしょうがないんでとりあえず興味ある映画は見に行っちゃう私。

早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

1952年ニューヨーク、クリスマスを間近に控えて街は活気づき、誰もがクリスマスに心ときめかせている。

マンハッタンにある高級百貨店フランケンバーグのおもちゃ売り場でアルバイトとして働く若きテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。フォトグラファーに憧れてカメラを持ち歩き、恋人のリチャード(ジェイク・レイシー)から結婚を迫られてはいるが、それでも充実感を得られず何となく毎日を過ごしていた。
そんなある日、おもちゃ売り場にキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)が6歳の娘リンディへのクリスマスプレゼントを探しに訪れた。テレーズはエレガントで美しく魅力的なキャロルから目を離すことができなかった。キャロルもその視線に気づいた。そのままキャロルの応対をするテレーズはプレゼントを一緒に選び、イブまでに届くように手配をした。その際キャロルが手袋を忘れていってしまう。テレーズはすぐに手袋を自宅へと郵送した。するとキャロルから百貨店に電話がかかってくる。

御礼にとランチに誘われたテレーズは、翌日、キャロルに指定されたレストランで初めて話をして向きあう。愛のない打算的な結婚生活を送っていたキャロルは離婚することが決まっているという。

その週末、郊外のニュージャージーにあるキャロルの屋敷に招待され楽しい時間を過ごしていると、突然別居中の夫ハージ(カイル・チャンドラー)が帰宅する。クリスマスイブにリンディを迎えに来るはずたったのが日程を早めて来たのだ。《HPより抜粋》


映画『キャロル』予告編 90秒ver

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はトッド・ヘインズ

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いやぁ、この人の作品見たことなくて。なのでwikiっぽくなりますが簡単なイントロダクションを。

バービー人形を用いて、カーペンターズのカレン(歌ってるほうね)の最期の日々を描いた作品『Superstar: The Karen Carpenter Story』で注目を浴び、グラムロック好きにはたまらない当時のロンドンが舞台のベルベット・ゴールドマインではカンヌ映画祭で芸術貢献賞を受賞。

その後も、理想の夫婦と称されるも秘密を抱えた2人を描いたエデンより彼方にボブ・ディランのあらゆる側面を6人の役者が演じたアイム・ノット・ゼアと、

監督本人がゲイであることでセクシャルマイノリティを軸にした作品が多く見られるのが特徴のようです。

今作もまた女性2人による愛を描いたお話なので監督の傾向から内容はきっとよく描けてるんだろうと思います。

 

 

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 とりあえず付け焼刃でもいいから彼の作風だけでも覗こうとnetflixに入ってったのがこれ。

多様な顔を持つ生ける伝説のミュージシャン、ボブ・ディランを豪華キャスト達がさまざまな側面から演じ分けた伝記映画。

中でも、唯一女性のケイト・ブランシェットが演じたボブディランは完コピといえる完成度で、ディランが電子機器で演奏し始めた頃のロックな部分を見事に演じてます。

ただ、いろんなエピソードがバラバラに進んでいき哲学的な台詞もあり、しかも、風に吹かれてライクアローリングストーンといった初期の名曲しか知らない私の様なディランど素人には難解な作品かもしれません。

ただ、当時の時代背景などをうまく表現していたのは彼を知る上で役にはたったのかな、と。

ボブ・ディラン好きは見て損は無いと思います。

 

 

 

主演の美しい人妻キャロルを演じるのがケイト・ブランシェット。

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美しいですけど、声低いから若干怖いイメージがあるんだよなぁ。魔女っぽいし。前にも書きましたが年取ったら江波杏子みたいな感じになるんだろうなぁ、この手のタイプは。

 

若きエリザベス女王を演じた映画エリザベスで注目を浴び、その後ディカプリオが演じた実業家ハワード・ヒューズを演じた映画アビエイターでは大女優キャサリン・ヘプバーンを演じたことが評価されあらゆる賞を受賞、

その後も、ロードオブザリングではガラリドエル役として全作出演、過去に演じた女王のその後を描いたエリザベス:ゴールデンエイジ、今作同様作品を共に作り上げたアイム・ノット・ゼア、裕福な女性が突如貧しい生活を送る羽目になるブルージャスミン、そして、去年はシンデレラで彼女をいじめるトレメイン夫人や、ミケランジェロ・プロジェクトで世紀の美術品を守る紅一点を演じていました。

今作でブルージャスミンに続き、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。果たして、2度目の受賞なるか。期待したいところですね。

 

 

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 特に彼女が光ってるというわけでも無いんですが、一応ヒロインとして出演してるので。

ブラッド・ピットと3度目のタッグとなったデヴィッド・フィンチャー監督のアカデミー賞ノミネート作品で、80歳というよぼよぼな状態から生まれた男が、年を重ねるに連れて若返っていくという奇妙な一生を辿った話です。

フィンチャーは大体が暗く重く、それでいてアートな感覚の作品が多い中でファンタジーで人生の素晴らしさを賛美しためずらしいタイプの作品です。でも、フィンチャー節は健在でしたけどね。

ケイト演じる幼馴染と共に描かれるベンジャミンの人生、たくさんの歓びと悲しみと辛さが詰まった彼だからこそ感じられる一生を魅せてくれます。

 

 

 

 

 

もう一人の主役、キャロルに一目ぼれするテレーズを演じるのがルーニー・マーラ。

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 はい、もう大好きです。タイプです。この目で見つめられたら有り金全部差し上げますww

映画ソーシャル・ネットワークで主人公マークがフェイスブックの元になるSNSを作るきっかけとなった元恋人役として、ほんとチョイ役でしたが出演し、デヴィッド・フィンチャー監督の目に留まったのか、次作ドラゴン・タトゥーの女では外見をどパンクにピアスやタトゥーも入れたりと変貌を遂げ凄腕の女ハッカー、リスベットを熱演し話題になりました。

その後も、コンスタントに出演しキャリアを重ねていきます。

新薬として処方した抗鬱剤の副作用が発端で陰謀に巻き込まれていくスティーブン・スダーバーグの引退作サイド・エフェクトでは夫の逮捕で孤独になり、それが原因でうつ病になってしまった妻をミステリアスに演じ、

人工知能型OSの声に恋してしまった男を描いたher/世界でひとつの彼女では、主人公と離婚協定中の妻として、トラッシュ‐この街が輝く日まで‐では、財布を拾ったことで悪い人たちから命を狙われる少年達をフォローするボランティアスタッフといった脇役としての出演がほとんどでした。

去年は、ピーター・パンの誕生の秘密を描いたPAN~ネバーランド、夢のはじまり~でネバーランドに住む原住民の王女タイガーリリー役として出演し話題になりました。

そして、今作ではカンヌ国際映画祭で見事最優秀主演女優賞の栄冠を手にしました。

アカデミー賞でも今作で助演女優賞にノミネートしています。

是非獲って欲しい!!!

 

 オーシャンズシリーズや、トラフィックなどで知られるスティーヴン・ソダーバーグの監督引退作品にもかかわらずあまり話題にならなかったのが寂しかったんですが、普通に面白いサスペンス作品だったと思います。

もうそれ隠せないよ・・・と毎回思うハゲっぷりな男前ジュード・ロウが、夫の逮捕により一人ぼっちになったのを機にうつ病になってしまった人妻に新薬を処方するんですが、これが副作用によって夫を殺してしまうという事件になってしまい、責任をとられ窮地に追い込まれます。果たして、妻は薬のせいで殺したのか、それとも・・・

ルーニーちゃんの欝っぽい表情がとろ~んとしててかわいいし、悪女っぽい顔もかわいいし。ドラゴンタトゥーの女のときの様なビッチな部分は見れませんがファンにとってはまた違う役者の顔が見られるだけでもグッドな1本だと思います。

そして、ゴリマッチョのイケメン、チャニング・テイタムがソッコーで死んでフェードアウトしちゃうのが非常にもったいないですが、ハゲメンで我慢してもらってハラハラドキドキしていただければと思いますです、はい。

 

 

 

 

他にも、TVドラマ、アメリカン・ホラー・ストーリーに出演中のサラ・ポールソンSUPER8で主人公の父親を演じたカイル・チャンドラーなどが脇を固めます。

 

 

 

というわけで、名作「太陽がいっぱい」などで知られるパトリシア・ハイスミス若かりし頃に名前を伏せて発表し、ベストセラーとなった原作を監督、俳優陣がどう表現したのか、2人の出会いは、恋は実るのか・・・?

では、感想です。

 








その目に、その手に、言葉以上の想いがあった。

以下、核心に触れずネタバレします。









人、モノ、街並、全てが美しい

舞台が1950年代のニューヨークということで、当時の時代背景を見事に表現していたと思います。
衣装で言えば、キャロルが身にまとうゴージャスで、赤を基調とした華やかな衣服やメイク、フレグランス、コートに手袋、そんな高級感のある出立ち
対照的にテレーズの庶民的でガーリーな雰囲気の中にチェックのマフラーやカチューシャといったアクセントも忘れない、そして、何より今流行りのオンザマユ毛!はい、オチました。

というようにキャラをきちんと分け、少女が大人の女性に惹かれるという構図をそういった衣装でわかりやすく表現していました。


他にも、音楽も出会い、喜び、悲しみ、そんな2人の世界を盛り立てるムーディな音楽が流れたり
映像面では、レトロ感を出すべく、フィルムで撮影してるかのような昔の雰囲気を放つものの、色彩は決して古臭くなく暖かくて柔らかい感触の映像美だったと思います。


一番印象的だったのが、女性が当たり前のようにタバコを吸うシーン
キャロルやテレーズも喫煙してますが、周りの女性たちも歩きタバコでしたねぇ。
先日もニュースで喫煙シーンについて助長させるだなんだと物議を醸していましたが、
当時の情景を描くのにやはりこのシーンは必要不可欠なんですよね。決してカットしちゃあいかんです!はい。




性別関係なく純粋なラブストーリー

全体を通して言えば、言葉で全てを物語るのではなく、動きで読み取る、想像させるといった演出の多い作品でした。

テレーズが初めてキャロルを見つけ、手が止まってしまい見つめるシーンなんかは、変に効果音やスローモーションで誇張せず、
慎重に繊細に撮り、瞬きすら惜しく彼女を見つめていたい一心で硬直しているシーンはまさに、天から落ちてきた少女として物凄く惹かれるものがありました。

他にも、鏡や窓、車のガラス越しから見えるテレーズの表情も数多く見られ、そこから垣間見える彼女の喜びに満ちた表情、憂いを帯びた哀しい表情など、その時々の心情をあえて一枚フィルターを通して映し出される顔もまた、こちらの想像を駆り立てるものに仕上がっていました。


一方でキャロルも華やかな容姿とは間逆の事情を抱えながらもテレーズの前では優雅に人生を謳歌してるかのような、彼女の憧れとしての振る舞いを見せ
食事のメニューすら決められない優柔不断なテレーズを切れ長な目から放つ眼差しで有無を言わせず、リードしながら愛を育んでいきますが、
時折見せる、苛立ちや怒り、悲哀などの感情の変化はさすがケイトブランシェットだな、と。


そして、何より一番の特徴は、言葉のない時のお互いの目線や手の位置。
最初こそ目の前にいるキャロルを直視できない目線の逸らしから、
社中での気遣いが感じられるやり取り、途中宿泊するホテルが別々の部屋から同じ部屋へと変わり、
テレーズがキャロルに恋をしてると実感させる、うるっとした瞳、
気がつけば、キャロルの手の上に自分の手を重ね励ます仕草。

といったように、徐々に距離を縮めていくのが、そんな描写で理解できるかと思います。
カメラもクローズアップさせたり、あえて逸らしたりしますが、それでも目についてしまうのはやはり役者の細やかな演技のなせる技なんでしょう。さすがです。




同性愛に対する世間の目が弱い

2人の愛を遮るのが、お互いのパートナーでした。
テレーズにも彼氏はいて、彼女の気持ちも考えず、旅行の手配やらプロポーズやら、どんどん主張し計画を遂行しようとしていきます。
最初こそ、自分の気持ちを伝えることのできないテレーズでしたが、キャロルという存在のおかげで想いをブチまけるまで成長する姿は頼もしかったですね。


キャロルも、離婚したいものの中々認めてくれない夫がいます。
仕事ばかりで家庭を顧みず、半ば強引にキャロルを家へ連れ戻そうとする典型的な昭和の男。
しかも、妻が同性愛者かもしれないという疑いをもち執拗に追いかけるという執着ぶり。
挙げ句の果てには、離婚訴訟で娘の親権を与えないという暴挙まで飛び出す始末。


こんな風に、完全に男たちが彼女たちの行く手を阻んでいくわけですが、
当時の同性愛って社会的にも世間的にも日陰の存在であって、ばれるものならその制裁は大きいものだったと思うのですが、
ホントに大変だったんだなっていう描写が弱かったなぁという印象も持ちました。
描く世界が狭かったというのもあると思いますが、せめてみんな同性愛者がコソコソしながら愛を育んでるところなんか見せたらよかったのに、と感じました。








この監督だからこそ出来たラブストーリーであり、この役者だからこそ胸に突き刺さる演技でした。
徹底した時代背景に鮮やかな色彩のなか、2人の女性が自分の気持ちに素直になり互いを求めていく物語は、セクシャルマイノリティにオープンになってきたにもかかわらず、閉塞感ある今だからこそ見るべき1本だと思います。





満足度 ☆☆☆☆☆☆★★★★6/10