モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【ネタバレ】映画「あやしい彼女」感想と評価 多部ちゃんの代表作だと思います。

あやしい彼女

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まず、この作品をリメイクだって知ってる人いるのかな?しかもつい最近の映画だし。

 しかも元の作品が非常に面白かっただけにかなり比較した感想になりそうです。

つーわけで、早速見てまいりました。

 

 

 

 

あらすじ

写真館を出たカツはバイクのミラーに映る自分を見て驚愕する…。そこには20歳に若返った自分(多部未華子)の姿があった。

“これは好きに生きてこられなかった自分へ神様がくれたチャンス!”とばかりに、意気揚々と「やりたいこと」へ一直線…。だが、いざとなると「やりたいこと」が全く思いつかないカツの足は、いつもの銭湯へ向かう。

次郎や次郎の娘・麻衣子(三鴨絵里子)と会ったカツは名前を尋ねられ、あこがれの「オードリー・ヘップバーン」と「原節子」から、「大鳥節子」と勢いで答え、この日から節子として生きることに。

別人として若返った彼女が天性の才能を武器に人生を謳歌していくことになるのだが・・・。(公式サイトより引用)


映画『あやしい彼女』予告編

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はいわゆるTVあがりの映画監督、水田伸生。 

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日テレの方なので日テレ製作のコメディ映画ならこの人!という印象が強いです。

 

2006年に、事故で九死に一生を得た少年が幽霊が見える能力を身につけることで幽霊との交流を経て家族の絆を描いた「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」で監督デビュー。

その後は宮藤官九郎脚本・阿部サダヲ主演のタッグが定番化し、その最初の作品となった、舞妓と野球拳したいという夢を果たすべく京都へ乗り込む男が終始ハイテンションで描かれるコメディ映画「舞妓Haaaan!!!」、

下町の商店街でハムカツが名物の総菜屋を営む主人公が、父に捨てられ、弟とも生き別れた波乱万丈な人生を笑いと涙でつづった人情コメディ「なくもんか」、

どんな難題もありとあらゆる謝罪のテクニックで解決する、謝罪師という架空の職業を生業にした男と問題を抱える人たちが繰り広げるオムニバスコメディ「謝罪の王様」と3作手がけています。

まぁ、どれも阿部サダヲがくどくて途中でおなかいっぱいになってしまうのが玉にキズですが思いっきり笑いたい人には持って来いの3本だと思います。

 

 

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主演の若返ったカツ・大鳥節子を演じるのは多部未華子。

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一応20歳の役柄ですが、彼女の年齢は27歳・・・。ちと厳しくないかい??

コメディ映画としてはほぼ出演がありませんので今作が実質初のコメディ映画なんだと思います。でも、TVドラマ「デカワンコ」なんかでコメディエンヌとしてのポテンシャルはかなりあると勝手に思ってるのでどれだけ楽しませてくれるか期待したいですね。

去年公開の「ピースオブケイク」で恋に悩める等身大の女子を演じたことで、急にロマンスものに路線変更するのか!?と危惧してましたがこの作品の主演にほっとしています。

彼女についてはこちらで紹介してるので割愛します。宜しければ是非。けっこうボロカスかいてるなwww

 

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

 

若返った節子の元の姿・カツを演じるのが倍賞美津子

 

もう大ベテランの女優さんです。倍賞千恵子はお姉さんで、アントニオ猪木が元夫というのは有名な話。

松竹の看板女優として「人生劇場 青春篇 愛欲篇 残侠篇」に出演した後、今村昌平監督の名作で、5人を殺害した詐欺師の生い立ちや女性遍歴を交えた逃走劇「復讐するは我にあり」で、主人公とその父の間で揺れ動く妻という難役を見事に演じ、ブルーリボン助演女優賞を受賞しています。

その後も数ある名作に出演し、今では、お婆ちゃんの役までこなすほどの方になりましたねぇ。

なかなか昔の映画を見る機会がなく完全にwikiってますが、「復讐するは我にあり」は緒形拳の怪演と三国連太郎のダメ親っぷりが印象的な作品です。

 

 

 

 

 

その他にも、カツの娘・幸恵を演じる小林聡美、節子をスカウトする音楽プロデューサー・小林拓人役に要潤、カツの孫でバンド活動をしている翼役にダンスロックバンド「DISH//」のボーカルでもある北村拓海、カツの腐れ縁・次郎役にいつも影で主役を支える役ばかりないい声のバーコードハゲ、志賀廣太郎などが出演しています。

 

 

 

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こちらが元の作品となる韓国映画。
あらすじを読むかぎりリメイク映画の設定はほぼ一緒のようです。
 
この作品はとにかくおばあちゃんの毒舌っぷりがツボ!!
女性ならともかく男性ですらこんなボロカス言うこと無いくらいの罵詈雑言!
そして何と言っても若返った「サニー 永遠の仲間たち」で主人公の少女時代を好演じ、この作品で若返った主人公を演じたシム・ウンギョンが最高です!

まるでおばあちゃんが憑依したかのような口調やしぐさや背格好と完璧に演じ、乙女心を完全に捨ててなりきっています。でもって抜群に歌がうまい!!

これが非常に面白く強烈なインパクトを残しています。

 

個人的な思い出として公開前にシネマカリテにて私が好きな映画解説者・中井圭さんが主催するイベント「ナカメキノ」のスニーク試写会(上映まで何をやるかわからない試写会)に参加して鑑賞しました。

トークショーもあり、女優の武田梨奈さんと映画評論家の松崎まことさん、松崎健夫さんの松崎ブラザーズをゲストに迎え4人ともゲキ推しのトークでリメイクやるなら武田梨奈で!なんて話で盛り上がってましたが実現しなかったですねf^_^;)

ホントはグランド・ブタペストホテル狙いで行ったのですが、これはこれで貴重で非常に参加した甲斐があった思い出の作品です。

 

 

 

てなわけで、個性的なキャストと、コメディ映画なら俺に任せろ!な監督で作り上げた、韓国大ヒットコメディ映画をまさかのリメイク!で送る、歌謡曲満載な作品、

その感想は!?

 

 

 

 

 

意外と忠実なリメイク!それでも失笑は免れない。

以下、確信に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 

元の作品を見れば理解度が増すかも。

鑑賞後、まず驚いたのは大まかな設定はそのままとして細かい点まで忠実にリメイクしているところ。
見た人はどこか古臭いなぁなんて感じたり、その設定無理があんじゃない?なんて思う節がある人もいると思いますが、それは元の韓国映画がそうだから!で解決します。
テレビドラマもそうですがなんか韓国映画やドラマのリメイクってどこか日本離れしてると感じたりしないでしょうか?
これもそのひとつで違和感だらけです。きっと韓国の製作会社が絡んでるんだと思います。
 
場所が下町なのも、歌が歌謡曲なのも、孫がメイクしてデスなロックをやっているのも元の作品をそのまま使っています。
多部ちゃんのオンザ眉毛も今流行っているからでなく、元の作品を意識したものだと思われます。
オードリーヘップバーンの名前をもじってるのも元の作品同様。
ちょっとダサいシチュエーションももしかしたら意識して作ったのかもしれません。
 

 

 
 
 

そこまで形にこだわったのに。

多部ちゃんは頑張ってました。ただ、歌唱力に問題がありました。ズバ抜けた魅力が歌を歌う時だけは弱かった。
これは非常にもったいなかった。3カ月トレーニングしたそうですが、元の作品の主役のシム・ウンギョンは所属事務所に入った時から訓練を受けていたのでその差は歴然であります。どうしてもここは比較してしまう。
ライブシーンにしたってコールアンドレスポンスに恥じらいを感じてるせいで寒気がするし。
あとは、体のラインが細いせいかおばちゃんのしぐさをしてもおばちゃんらしさが感じられず、これまたコメディエンヌの素質があるにもかかわらずもったいないな、と。もっと全体的にぶっ飛んで欲しかったです。
いっそ、20歳でババ臭い子をオーディションでやった方が良かったのではないでしょうか。
 
あとは演出にも問題が。
 
心の声で心情を説明してしまうのは、なんでも説明しなきゃいけない、ゆとりな日本映画ということでもう諦めたとして、途中からそれが無くなっていたこと。全部やれよ!
しかも、心の声を多部ちゃんがやってしまっていること。そこはバイショーだろ!!
まあ、それは僕だけがいない街藤原竜也が同じことやってるし、それが悪い原因になってるので学習したんだな、ってことにします。
 
音楽面も劇中歌を小林武史が担当していて歌謡曲を現代風にアレンジしたあたりはまあ及第点かな。きっと、問題作だった愛と誠を見て彼にオファーしたんだと思いますが。
最後にどポップな歌が流れますがモロにコバタケ節だったし。
 

志賀廣太郎の役者魂

コメディとしてのジャンルにもかかわらず、カツの苦労や親子の絆などに比重を置いたせいか笑いよりも御涙頂戴な方が強く、尚且つ小ネタがかなり滑っていて失笑の連続でした。
まぁ、そこは人それぞれだと思っているので仕方ないとして。
 
それでも私を笑わせ味のある芝居をしてくれたのがカツの幼馴染・二郎を演じた枯れセン代表、志賀廣太郎でした。
いい歳してカツに夢中な二郎をうまく演じ、しかも体を縛られガムテープで口を塞がれ顔中に洗濯バサミを挟まれるという拷問を受け、
娘から勘違いされ障子に体ごと突っ込まれるという体の張りっぷり!
お見事でした!!
この二郎と娘役の女性の掛け合いが非常に面白く、この作品で唯一声を出して笑ったシーンでありました。これは、監督のおかげでなく役者のおかげでしたね。
 
 
 
 

親の苦労を子供は知らない。

行方不明になった母を探すべく、娘はツテをたどっていくうちに、母の苦労を初めて知ったことで改めて母の偉大さに気づく、そんな物語でもある。
 
小学生の頃、学校を風邪で休んだ時、母が食べていた昼飯の質素さにショックを覚えたことがある。
恐らくどストレートに「なんでそんな朝飯の残りみたいなの食べんだ?ちゃんとしたもん、食べればいいじゃん」と言ったと思う。
子供ながらに思ったことをすぐ口にしてしまう自分が今となっては恥ずかしい。
多分、明確な理由はその時言わなかったと思うが今となってはよくわかる。
そうやって父が仕事に行っている間、私が学校に行っている間家計のために節約していたわけで。
 
まあ、そんな些細なエピソードは置いといて。てか弱いなこんな話じゃww
 
戦争孤児だった母が女手ひとつで育てた娘が立派な仕事にありついてバリバリやってるのだから母は嬉しいに決まってる。
だから、苦労したとしても苦労とは思わない。そんな思いを知った娘と母の抱擁のシーンは非常に涙を誘うものでした。
 
ただ、それを理解した娘は母として息子にこれといった影の苦労をしてないのが残念なところで。
少しくらいどこかにシーンを挟んでも良かったのでは、と思った。
 
 
 
 
 
 
まとめとして、元の作品に軍配が上がったのは読んでいただければお分かりの通りだと思います。
ただ、涙を誘うシーンはベタではありますが、感情を震わせる出来だったと思います。
後は、若い人よりも年配の方の方が楽しめる作りになってるのかな、とも。
是非元の作品を観てから見ていただきたい映画でした。
 
 
 
あ、金井克子さんに何故持ち歌を歌わせず恋の奴隷を歌わせたんだい?これは理解不能。
 
 

満足度 ☆☆☆★★★★★★★3/10