モンキー的映画のススメ

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モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「ルーム ROOM」感想 評価 レビュー

ヒューマンドラマ

4月8日

ルーム/ROOM

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先週、まさかの一般試写会がダブるというハプニングに見舞われ、考えに考え抜いた結果なくなく公開日までお預けとなってしまったわけで。

 その分、この映画に対する期待は高まるばかり。

しかも、タイムリーな事に中学生を2年間監禁していた事件もあり、被害者の心情を知る上でも作品に対する関心が高まってるのでは、と思います。

というわけで早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。

彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。

ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。(映画サイトより抜粋)

 


映画『ルーム』予告編

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はレニー・アブラハムソン

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アイルランドはダブリン出身の監督さん。

監督デビューした長編作品が国内で高く評価され、その後手がけた作品も世界に絶賛されたようです。

ほとんどの作品が日本では未公開という中でようやく日本で公開された、風変わりな被り物をした男が務めるバンドに加入した青年との奇妙な交流を描いた「FRANK フランク」は映画ファンのなかでも評価の高い作品でした。

そして今作で、念願のアカデミー賞作品賞、監督賞などがノミネートされ話題の監督の一人として注目を浴びています。

 

 

 

FRANK フランク [DVD]

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 ジャンル的にはコメディ・・・ではないか。青春ものですかね。もう非凡な才能に嫉妬してしまいます。

 

音楽で成功を夢見ている青年ジョンは、ひょんなことから常に大きな被り物をした男をリーダーとするバンドに加入、音源製作の為バンドメンバーで合宿をすることになる。合宿は長引くものの、その型破りで誰も発想しない歌を作るフランクに惹かれていくジョンは映像をネットで流したことで話題となりフェスに招かれることになるのだが。

 

 

ずーっとお面をかぶっているのはマイケル・ファズベンダーというのがまずびっくり。んでもって楽曲がかっこいい。まるでジョンと同じようにフランクに惹かれた私です。世間とずれた感覚の持ち主になりたいなぁ、と思うこともありますが、これを見るとそんな人の心の奥にはすげぇ深い闇があんだな、と感じてしまう。やはり自分は自分でしかないし、こういう人たちとは世界が違うんだなと痛感させられました。

それでも、作品自体は音楽も素晴らしくコメディ要素もたっぷりなので、特にUKロック好きには見てもらいたい作品です。

 

 

 

 

 

主演のママ/ジョイを演じるのはブリー・ラーソン。

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まだ知名度の低い女優さんだと思いますがそれもそのはず。

キャリアとしてはTVドラマ中心の活躍。音楽活動なんかもやっていたそうですが、特に目立ったものもない。

徐々に映画にも出演するようになり、馬鹿なマッチョと頭のいいデブが互いの長所を生かし高校へ潜入捜査をしながら事件を解決する超おバカなアクションコメディ「21ジャンプストリート」や、

仕事も女にも困らないのにポルノ中毒な男が、見た目とは裏腹な純粋な乙女と年上で包容力のある女性に出会うことで変化が生まれたジョセフ・ゴードン=レヴィット主演・監督作「ドン・ジョン」などを経て、

青少年向け保護施設で働き、施設のメンバーや子供たちから信頼のある女性が、誰にも言えない心の傷と対峙していくヒューマンドラマ「ショート・ターム」に主演したことでインディペンデント作品ながら、あらゆる賞を受賞し、知名度が上昇。

そして今作で念願のアカデミー賞主演女優賞を受賞し、今後のキャリアが非常に楽しみな女優になりました。

 

 

 

 

ショート・ターム [Blu-ray]

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 ロッテントマトで高評価という宣伝に乗せられ見に行った作品。彼女がすごく輝いています。

 

虐待などで親と暮らせなくなった子供たちを一時的に預かる養護施設。ケアマネージャーのリーダー的存在であるグレイスは、同僚や子供たちから信頼されているが、彼女には恋人にも打ち明けることのできない大きな闇を心に抱えていた。そんな重荷を抱えたまま仕事をに明け暮れる彼女は、ある少女を受け持つことに。誰とも馴染まず施設を転々としてきた彼女と向き合うことで、グレイスは次第に自らのつらい過去と対峙していくのだが・・・。

 

目の前の子供たちがこんなに苦しんでいるのに決して弱っている自分など見せず、むしろそれでも前を向いて進もうとしている子供たちを見て励まされている彼女にエールを送りたくなる、そんな作品です。最初と最後のシーンが非常に印象的です。

 

 

 

 

 

そして、息子のジャックを演じるのがジェイコブ・トレンブレイ。

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5歳から映画やTVで活躍するようになり、「スマーフ2アイドル救出大作戦」での出演から注目を浴びたそうです。その後もTVドラマに出演し天才子役と称され今作に至ったそうです。

今後も注目作が控えているので成長とともに新作のほうにも期待したいですね。とりあえず、マコーレーカルキンみたいにはなるなよっ!!

 

 

他にもばあば役にボーンシリーズでのパメラ・ランディ役でおなじみのジョアン・アレン、じいじ役に去年話題になった「君が生きた証」で監督デビューも果たしたウィリアム・H・メイシー、監禁する男オールド・ニック役にショーン・ブリジャーズが出演しています。

 

 

 

 

 

そんな、新進気鋭の監督インディーズ上がりの女優が魅せる、部屋から抜け出した親子に待ち受けるものとは!

 

ここから感想です!






ドキュンズキュンと胸打つ、親子の苦難を乗り越えた物語!

以下、核心に触れずネタバレします。









ジャック目線で描かれた世界

まず、驚いたのは冒頭からほとんどジャックが見る世界で描かれていることでした。
見上げる天窓、少し高い洗面台、真夜中のクローゼット。
そんな風に見せてくれたおかげで、ある意味童心に帰れた気がします。
そして、ジャックの名付けた家財道具や卵の殻で作ったオモチャに親しみを込めたネーミング、空想上のペットの存在。
彼が生まれて今まで見慣れた六畳一間の世界に、ものの10分で入り込むことのできた脚本も見事でした。

そんなジャックとママの住む部屋は、納屋を改築したもので劣悪な環境でした。
簡易式のオーブンしかないキッチンのすぐ横に浴槽、その隣にフタのないトイレ。あとは折りたたみのテーブルにベッドとクローゼット。
食材や必要なものは日曜の差し入れのみ。
よくこんな環境でジャックを育てたかと思うとゾッとします。
母は強し、と言いますが言葉以上のものがあります。

ジャックにとってはそれが日常で世界であると同時にママを含めた我々大人たちは、監禁生活の背景や置かれたママの辛さも感じてしまう序盤でありました。


今いる場所が当たり前だと思っていたジャックに試練が訪れます。
壁の向こう側は宇宙ではなく世界だとママから打ち明けられます。
空は大きく、テレビの中の人たちはホンモノで、犬もネコも実在する生き物で私たち以外にも人間がいる、
今までウソだと言われていたことが実はホンモノだと聞かされたジャックは拒絶し喚き激昂します。
聞き分けのないクソガキがっ!とも思いましたが、ジャックの立場になったらそりゃあ正しい反抗だし仕方のないことだよなぁ、と。

そして、今まで住んでいた世界から脱出するわけですが、ここが素晴らしかった!
この物語のピークは正にこの中盤のジャックの一連の行動だったと思います。

あまりにも広い世界にジャックの視界がぼやけているんです。今まで狭い部屋の中だったから近くを見るだけでよかった視力が追いついてないわけです。
この時のジャックの表情や見開いた目、行動などがすごくリアルです。
そして特によかったのが音楽!監督の前作での音楽センスがいかされた、ジャックの初めて見るもの触れるもの心の動きなどを表現した完璧なBGM。
このシーンは非常に印象的でした。

その後の内容は伏せますが、後半もジャック目線で映し出されているシーンがたくさんあるので、是非冒頭からジャックの気持ちで見ると感動度が増すかと思います。




演技も素晴らしかった

アカデミー賞主演女優賞?どれどれ、どんなものだい?
と上から目線でじっくり見ていたわけですが、ブリーラーソンもジェイコブくんもまー素晴らしかった!うまい!うますぎるよ!
ブリーラーソンはショートタームの時以上のものがあって、監禁生活の時なんか表情が鬱ギリギリの状態でなんとか子育てできてる感じを見事に醸し出していて。若干の肌荒れやむくみもすごくリアル。
ジャックに説教したり、オールドニックに怒ってる顔なんか鬼気迫るものがあって。
因みにこの時の顔がアップ過ぎてジェラルドバトラーに見えてしまったんですが、同意見の人いませんか?ww

後半でも、ママに襲いかかってくる色々な重圧を前半以上の苦しそうな表情、そしてキレっぷりもさすがでした。


でもってジェイコブくん。
超名子役です!!
君はホントは何歳なんだい!?
前半は純粋で好奇心旺盛でわがままでウザいくらい5歳児を演じていたくせに、後半なんか子リスみたいに縮こまって、あらゆるものに怯えた子供が徐々に受け入れていくとこなんか秀逸で、
子供のクセに子供演じてんだよ!まあースゲー!!
何言ってるかわかんなくなってきた。

やはりジャック目線で見てたとあって、心を揺さぶられたシーンの全部は彼によるもので、ひいき目になってしまうけど誰が見てもこのガキすげーな!って感じると思います。


で、ほとんど出演してませんでしたが、ジィジ演じるウィリアムHメイシーの食卓のシーンにも拍手を送りたいです。タダでさえ情けない顔してる彼の、そう思ってしまって当然だよな、って演技。
あれだけで物語ってしまう被害者家族の心情。すごく自然で同情してしまいます。
これしか見せ場がなかったのももったいなかったですが、名脇役ならではの演技でした。




醜くも美しい世界

誰だって初めて足を踏み入れる世界は、普段住み慣れた環境と違い、不安で恐怖があり勇気のいる場所で、尚且つ閉塞感漂う現代な故うまく溶け込むにも時間のかかるわけで。

そんな世界だとしてもこの映画はジャックを通じて初めて触れる世界に対して、厳しさもあるけれどそれを乗り越えればそれはそれは美しい世界だと教えてくれる気がします。そのおかげで彼は広過ぎて時間が足りないと嘆くのですが、すごく心に残ったセリフのひとつでもありました。

逆にママの立場から言えば、失った7年間を取り戻すのは容易ではなく、卑屈になったりあまりにも一方的な意見で突きつけられる風当たりの強い現実に縮こまってしまうこともあって。

色んな人がいて色んなことがあっての世界も見せています。それはそれで残酷だけど、ひとたびそんな世界に入ればそんなことあるんだよ、と。

この対比が今のこの世界を表現しているようで後半は前半と違い考えさせられるものがありました。






職場の同僚にアニメの好きな女性がいるのですが、高校卒業してからずっと今の職場で働いています。
色んな映画だったりスポーツだったり遊びだったり、それきっかけで見ず知らずの人と仲良くなった話をしたりして、今度機会があったらチャレンジしてみたら?とプレゼンするも、返ってくる答えは、

アタシ人間ダメなんで。

彼女もまた、部屋の中の世界しか知らなかったジャックと同じように、壁の向こう側を知らない、知りたくないと閉じこもっています。
きっと向こう側には不安と恐怖しかない、と思っているのかもしれません。

ひとまわりも下の若い子がこれからまだまだ可能性があるにもかかわらず、現実逃避してしまってることが非常に悲しい、といつもこの返答を聞くと感じてしまいます。


自分もそんな大それたこと言えるほど世界を知ってる立場ではありませんし、余計なお世話かもしれないけれど、遊びだろうが仕事だろうが新しい世界を感じて欲しいなといつも思ってしまいます。






劇中でも、扉は目の前にあるのに誰かが開けるのを待っているの?と不思議の国のアリスの本のセリフがピックアップされます。
縮こまっている我々に問いかけているようにも感じ取れる、これまた印象的なセリフでした。






というわけで久々の良作を見れた気がしました。
扱っている内容はあってはならないことですが、ある種ファンタジーで、親子の絆も描いていて、メッセージ性のある素晴らしい作品だったと思います。


満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10