モンキー的映画のススメ

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モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「裸足の季節」感想 少女たちの美しさが一際輝くフェミニズムムービー

ヨーロッパ・アジア

6月

裸足の季節

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話題になっていたのは知っていたんです。ただ、公開したら見ないだろうな、と。

はい、甘かったです。予告を見るまでは。

 シネスイッチ銀座にて「すれ違いのダイアリーズ」を鑑賞したときに流れた予告で完全に気持ちを持ってかれました。見たい!!と。

それだけこの5人姉妹の行く末が気になりました。

というわけで、今回はアルトマン監督のドキュメンタリー以来の恵比寿ガーデンシネマにて見てまいりました。

 

 

 

 

 

あらすじ

イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村に住む13歳のラーレは、美しい5人姉妹の末っ子。10年前に両親が亡くなってから、祖母のもとで姉たち――長女ソナイ、次女セルマ、三女エジェ、四女ヌル――と、叔父のエロルと共に暮らしている。

下校途中、姉妹たちは男子生徒と海で騎馬戦をして遊んでいるところを隣人に見られたことが原因で祖母から折檻を受ける羽目に。

この日以来、姉妹たちは外出を禁じられ、家に閉じ込められた。不埒なものは処分され戸に鍵までかけられる、文字通り“カゴの鳥”となった彼女たちを待ち受けていたのは退屈な花嫁修業の日々。

とうとうきてしまった次女の婚礼の日。末っ子ラーレは辛かったら逃げてと慰めるも完全に諦めていた次女を見て決心する、

運命を切りひらくための計画を――。(HPより引用)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督は、今作で長編映画デビューを果たしたデニズ・ガムゼ・エルギュベンさん。誰やねん。

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トルコ生まれの方で、アメリカやフランスなどを渡り映画を学んだそう。

今作をカンヌ映画祭の監督週間で上映したことにより各国の関係者から絶賛され、トルコ語なのにもかかわらずフランス映画代表としてアカデミー賞外国語映画賞にノミネートしたという快挙を成し遂げました。

この作品には彼女の幼少のころの実体験が投影されているそうで、脚本も彼女が手がけています。

ポストソフィアコッポラなんて呼ばれちゃうのかな。

とにかく堪能したいですね。

 

 

 

キャストに関しては3女役の子以外演技初経験ということで、役柄だけ書きます。ホームページからの引用ですけど。

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画像左から

四女ヌル(ドア・ドゥウシル

のんびり屋さん。五女ラーレとまだ遊んでいたい幼さが残る。

 

長女ソナイ(イライア・アクドアン

ちゃっかり者。実は彼氏持ち。こっそり抜け出して会ったりしている。

 

次女セルマ(トゥーバ・スングルオウル

長女を見て育ったのか、性格はおっとり。

 

五女ラーレ(ギュネシ・シェンソイ

サッカーの好きな天真爛漫な女の子。

 

三女エジェ(エリット・イシジャン

感情を表に出さない内気な性格。

 

やはり5人姉妹とあって、長女がやんちゃだとそれを見ていた妹たちはおとなしい感じですね。

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、彼女たちの自由への疾走がどれだけ眩しいのか。そして、その先に希望の光はあるのか。

それでは、鑑賞後の感想です!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風でなびく長い髪の姉妹が、そして映像が美しい!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてったって映像がキレイ

まずはこれを褒めなきゃいけない。

光を多用したフィルム的な質感で、演技未経験な少女たちの一瞬一瞬を逃さないその撮影方法が素晴らしいと感じました。

ただでさえ彼女たちにとって苦痛でしかない牢獄のような生活を、太陽光が5姉妹の表情や動きを柔らかく包み込んでくれることで、些細なことでも見守ってあげたくなる、そんな見方ができたように思います。

原題Mustang(野生の馬)の通り、たてがみのように風で暴れまくる少女達の長い髪が、押さえつけることのできない10代の一番多感な動きを象徴していたように思えます。

そして特にヤバかったのは冒頭でも書いた通り5姉妹が部屋でくっついて寄り添う部屋にさす木漏れ日。

正に天使です。ただでさえ可愛らしい5人が部屋に閉じ込められ、風紀を乱すありとあらゆるモノを奪われ(フランス革命の写真でさえ没収されるのが非常に印象的)、なす術もなく寄り添って横たわる姿。

落胆してるけど、その眩い光が何か動き出したくてウズウズしてるようにも感じたシーンでした。

 

 

なんてったって5姉妹がキレイ

海外の10代の女の子たちは何であんなに大人っぽいんでしょうか。もちろん幼さは感じますが、すごく大人びた表情を見せるのが今回改めて感じました。

 

見た目からしても感じたし、夏の日差しと閉め切った部屋で何もできず、今にも飛び出したい彼女たちから放たれるエネルギー、

それが最大限活かされたサッカー観戦なんかいい表情だったし、長女が彼をじっと見る目だったり、次女のウエディングドレス姿からこぼれる涙、流れに抵抗できないと悟った時の三女の危うい真顔、最初と最後で顔つきが変わった四女、そして、無邪気にはしゃぐ末っ子、

5人5様の美しさと躍動感がこの作品に収まっています

 

 

 

 

おばあちゃんはまだ優しい。

都会とは違い、人の流れも無ければ情報や流行、世相などといったものが滞ることで、慣習だったり信仰だったり文化を重んじることで閉塞的になってしまう田舎町。

トルコがどんな国かは知らないけれど、見事なまでに男尊女卑で仕来りにうるさい背景がその町には存在していて。

観る前は、姉妹以外の大人全員が敵なのかと思ったんだけど、おばあちゃんはまだ寛容的でした。

両親を失い10年間大事に育てた孫娘たち。今までどんなに彼女たちがわんぱくで男子たちと遊んでても、町の仕来りに従順な叔父に怒られても、きっとおばあちゃんは守る側だったように思った。

でも、近所の人に告げ口されたことで周りの目もあったんだろう。叱らなければいけなかったのだと思う。

 

家の長が息子に変わって求婚するという訳のわからないルールに刃向かう長女をどうにかしてやらなければ、とナイスアイデアを助言したり、

家を抜け出してサッカー観戦にいった彼女たちがテレビにまる写りしているのを見つけてしまい、男共にテレビを見せない為にブレーカーを壊し、町で唯一電気を引っ張る配線を石で壊したりと、混乱を避けるためとはいえ、優しさがあったように思う。

 

しかし、男たちは彼女たち含め女たちを軽視し、常に命令口調だったりと絶対君主と化しているのが目立ち、特に彼女たちの叔父にあたるエロルに至ってはラスト婚礼の儀式を台無しにした姉妹に対し、暴君となって拳銃を持ち出し殺してやると叫ぶ始末。

そして、唯一分からなかったんですが、夜中のエロルの行動ですかね。具体的な説明描写はなかったものの、いやな予感しかしなかったんですがどなたかわかる方いたらコメント下さい。

あれはやっぱりアレなんすかね。

当たってたとしたらほんとクソ野郎だな、と。

 

とはいえ、心優しいジェントルマンも登場するので田舎町でも捨てたもんじゃねーなと思いましたけども。

 

 

 

 

トルコの社会的背景

やっぱり宗教なんですかね。

イスラムの教えがラジオから流れ中指を立てる三女のシーンが象徴するように、女性の行動全てが性的衝動に駆られていると解釈されてしまう風潮があるそうで、今だに女は子供を産む機械だと思ってるようで。

それに対して姉妹たちが思いっきり抗ってる姿は、監督の思いそのものなんだろなぁと。

特に末っ子である主人公の思ったことをすぐ口にしたり行動する躊躇しない部分は、完全に大人でないからこそ説得力があり、自由そのものであり。

お前らや昔の奴らが決めたルールで勝手に大人にすんじゃねえ!!アタシが夢見る大人はそんなクソ色の服着て過ごす人生じゃねー!!

そんなふうに見えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、末っ子のナレーションでの説明とか正直いらないし、邦題ダサいし、結果オーライとはいえ5人全員で逃げると思ってたのにあら違うのね、という想像していた流れではなかったことは不満です。

それでも、日本ではうん10年前にはとっくになかった風潮が未だに存在している国で、自由を求め走り出す少女たちのほとばしるパワーとキラキラした美しさ、その全てを収めた美しい映像は見る価値ありです。

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10