モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ミュージアム」感想ネタバレあり解説 R指定じゃないのにグロい!

ミュージアム

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判決の結果、君はユーザイ!!!!

ああ怖そうッ!!!!・・・というわけでこの年3度目の小栗旬出演作品になります。

相変わらずコミック原作ばかりの映画に出演しては、評判のよくない彼ですが、今回ばかりは、舞台などで磨いてきた危機迫った演技が見れそうとあって、期待がかかります。

 そして隠すことなくあっさりカエル男役を誰がやるのか明らかにしてしまった配給側の宣伝方法に疑問を感じましたが、どうやらそこよりも「最悪のラスト」っていう方でお客さんを煽ってるようです。

 

なるほど原作を読んだ身としては、確かに映像にしたら面白そうだ、なんて思ってます。

そんな期待を込めつつ早速見てまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

雨の日だけに発生する猟奇殺人事件。死体を見せることにこだわる犯人・カエル男(妻夫木聡)は、自分をアーティストと呼び、犯行現場には必ずメモを残す。

連続する事件の関連性を捜査する刑事・沢村(小栗旬)と部下の西野(野村周平)は、次のターゲットが沢村の妻・遥(尾野真千子)であることに気づく。

冷静さを失った沢村は、カエル男の罠に嵌り、絶望へと追い込まれていく。謎の“私刑”執行アーティスト・カエル男はいったい誰なのか ?真の目的は?(HPより抜粋)

 

 

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監督・キャスト

監督は早くも今年2作目の公開となる大友啓史監督。

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生田斗真主演作「秘密 THE TOP SECRET」でもハリウッドに負けず劣らずの映像で楽しませてくれました。

インセプション」や「インターステラー」のノーラン監督を意識した、記憶の中の映像に入っていくという可動域を広げた視点での映像はまさに革新的だったと思います。

 

ただ、作品の内容としては脚本がイマイチだったのが残念でした。

実は今作「ミュージアム」も「秘密」同様高橋泉が脚本ということでちょっと不安材料になっています

余計な脚色無しで原作に忠実にやってくれりゃあいいですけどね。

なんてったって原作全3巻ですから映画にするにはもってこいのボリュームですし。

 

で、今回の映画「雨の日に現れる」「私刑執行人」「刑事の嫁が殺されそうになる」などあらゆる点で、デヴィッド・フィンチャー監督作、ブラッド・ピット主演のスリラーサスペンス「セブン」に似ています。

 

画質的には「ミュージアム」の方が明るめの画質ですが、多数の死体も登場することですし、監督はおそらく意識していることでしょう。カエル男が聖書の七つの大罪絡めてきたら1000%セブンだなw

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

 

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主演の沢村刑事を演じるのは小栗旬。

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今年はその歳で高校生とかよくやったなww、な「信長協奏曲」、そのギャグセンスはオマエ発案じゃないことを祈るよ、な「テラフォーマーズ」とコミック原作映画に欠かすことのできない、いや、自分から名乗り出てるよなぁおそらくwとにかく仕事を楽しんでやっていることは間違いないでしょう。

 

きっと今回も原作にハマり、映画やりたい!!と事務所にお願いしたんでしょう。

すげ~勝手な妄想に過ぎませんがw

相変わらずコミック原作映画に出演しており、またもやコミック原作映画「銀魂」しかも監督は福田雄一

えぇ、オレがカエル男なら「判決の結果、君はゆーざい!!」な案件です。

決して観ません。おそらく。・・・いや見に行っちゃおっかな。

 

いやいやいい加減他の映画にも出なさいっ!と怒られたのか、降旗康男監督のオリジナル作品で、幼少期にともに過ごした少年たちが、ある殺人事件を機に、刑事、容疑者、被害者という形で再会し、事件の真相、そして心に蓋をしてきた過去と対峙していくというヒューマンサスペンス「追憶」を、岡田准一柄本祐長澤まさみと共に出演、

「キミスイ」と呼ばれる「余命モノ」の青春小説を映画化した「君の膵臓を食べたい」に出演予定です。

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

 

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カエル男を演じるのは妻夫木聡。

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意外ですね~。妻夫木がカエル男。

これはカツラだよなぁさすがに。

というか誰がカエル男なの!?って映画見るまで黙ってて欲しかったなぁ。

 

近年の彼は、年貢に苦しむ村が大胆な奇策で乗り切っていくヒューマンコメディ「殿、利息でござる!」で主人公の弟を演じ、重病を患う母を看護しながら一流企業で働くゲイという役を体当たりで演じた「怒り」では、綾野剛とのベッドシーンや、ラストシーンでの号泣が印象的でした。

 

個人的には妻夫木くんには普通の人間の役をずっとやっていて欲しいんですけどね。

まぁ役者ですから、これでまたひとつ芸を磨いてくれれば。

 

他にも「悪人」以来満島ひかりと共演で話題の、人間の愚かな行為が複雑に絡んでいく旋律の群像劇「愚行録」。

人気ミュージシャン奥田民生のような飾らない男になりたいと願う編集記者が、青春最後の残りカスの中でもがき苦しむ「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」(なげーよ!!)で主演を務めております。

 

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そして沢村の後輩刑事・西野を演じるのは野村周平。

 

彼のブレイク作品てなんでしょうねぇ、やっぱり「ちはやふる」なのかなぁ。

個人的には「日々ロック」の時のあの演技がかなり記憶に残っていて、こいつこういう演技をする役者なのかなぁなんて思ってました。

 

そんな彼の過去作を調べてみると、地方都市に住む若者が上京か地元へ留まるかの選択に戸惑う心の揺れを描いた青春物語「クジラのいた夏」で主演デビューしています。

 

その後も、いじめられっ子がロックスターになることを夢見て突き進んでいく青春映画「日々ロック」、

百人一首による競技かるたに青春のすべてを注ぐ高校生たちを描いた人気コミック原作映画「ちはやふる 上の句 下の句」では主人公に思いを寄せながらもそばで励まし続ける競技かるた部部長の真島太一を熱演、

能天気な学生と無口なヤクザが、教習所での短い日々の中で人生の分岐点に立ち見出していく「森山中教習所」などがあります。

 

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他にも、家族を顧みず仕事に没頭する距離を置いている沢村の妻・遥役には「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」でとんでもない薄幸感を醸し出していた、キラーKの彼女役を演じた尾野真千子

元刑事であり、通り魔事件で殉職した沢村の父役に、監督の前作「秘密」に続いて出演の大森南朋

介護施設で働く遥の親友・秋山佳代役には田畑智子

警視庁捜査一課一係警部・関端浩三役には松重豊

警視庁捜査一課一課長、警視正・岡部利夫役には伊武雅刀

捜査協力をする慈光大学医療研究センターの女医・橘幹絵役には「シン・ゴジラ」の尾頭ヒロミの役でエライ人気となりました市川実日子が演じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、どれだけ私刑の描写をR指定なしで再現できるのか、サイコキラー・カエル男のクレイジーっぷりはどんなものなのか、小栗旬の迫真の演技は、そして「最悪のラスト」とは!?

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エグい!グロい!R指定なしで原作に忠実な物語!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大友節炸裂です。

まずは率直な感想を。

まあ〜夥しい血の量、おどろおどろしい死体の数、不気味なカエル男の存在、そして役者・小栗旬!

大友啓史作品の中では良かった方だと思います。多少の中だるみやテンポの悪いカーアクションやカメラワークを除いては、エンタメスリラーサスペンスとして成立していたと思います。

 

前作と同じWOWOWフィルムだからですかね、ちょっと淀んだ映像で雨の日を演出し、密室のシーンではそれにダーク感、鬱々しさを出すべく、明るさを消し黒を主張した映像は、「秘密」の時と同様いい緊迫感とシリアスさを生んでいて、息の詰まるシーンの連続だったように思えます。

 

 

そして、細かい脚色はあったものの原作に忠実に描いてくれていたことも個人的には嬉しかった。ただ、忠実にやったら2時間以上もかかっちゃうのかい?と。

 

これはおそらく監禁されてからの回想やら行間やらが、物語にあまり効果をもたらしてなく、結果中だるみになってしまっていたのは残念です。

 

ただでさえ格闘シーン以外テンポの悪い映像の連続にもかかわらず、加えてこれではせっかくのクライマックスが台無しというか。

 

でも、そのクライマックスを個人技で持って行った小栗旬の迫真の演技には脱帽でした。

目は虚ろ、ボロボロの体、こけた頰、とても気が気じゃない状態が全然嘘くさくなく、特に期待していたハンバーガーの件から、目に飛び込んだアレを見た時の表情!

もうね、あれ?このハンバーガーもしかして…っていう疑惑から確信になった時の顔!

あんな小栗旬は見たことないです。

ここは是非口をあんぐりして観て欲しいのでこれ以上は言えませんw

 

 

この人はナチュラルな演技や3枚目の演技よりも、切羽詰まった顔でもがき苦しみ、鬼の形相で殺意を醸し出す表情、それを声にして叫ぶような演技の方がいい味出してると思います。

 

やはり蜷川幸雄に鍛えられたからなのか、この辺は上手いなぁと。

三浦春馬は「進撃の巨人」でこれをやれば良かったのに、なんて余計なお世話。

 

 

これに対抗するカエル男を演じた妻夫木聡も良かった。

普通の男を演じてればいい、なんて吐き捨てましたが、逆に普通の男をやってきた役者だからこそ、普段やらない役を楽しんでやっていたように感じました。

 

体づくりもしっかりしていて軽々と小栗旬を一本背負いする身のこなしも見事だったし、自らを表現者と称し、快楽殺人を繰り返し、悦を浮かべる表情がほんとアブナイ奴で。

 

役者として中堅を担う2人の演技派が生き生きとしていて、物語をリードしたことで、シリアスさと不気味さに拍車がかかっていたと思います。

 

 

 

 

5つの私刑

この映画の醍醐味はR指定というレーティングに引っかからないのはおかしいだろ⁉︎と思えるほどの残虐な死体を描けたことだと思います。

 

第一の殺人である「ドッグフードの刑」では、腹を空かせた犬に食い殺されるという、恐ろしい殺し方。

血まみれなのは当たり前として、内臓が見えておりそこからウジ虫が湧き、ハエも飛ぶ。こちらにまで腐食した臭いが届きそうな、それはそれは目を瞑りたくなる映像でした。

 

冒頭から、これから起こる事件の死体はこんなもんじゃねえぞ!と思わせ、その後の「母の痛みを知りましょうの刑」では、カエル男がケラケラ笑いながら体じゅうをノコギリで切り刻み、秤の上には血だらけの肉の塊が無造作に置かれる、というグロテスクな映像が視界に飛び込みます。

 

第3の殺人である「均等の愛の刑」も一瞬ではありましたが、緻密にできた真っ二つの死体が箱に積まれ、これまたオエ〜〜っ!な描写、

 

第4の殺人である「ずっと美しくの刑」では、裸のまま、水かけられて冷凍にされた状態で殺されてます。さすがにこれはマネキン使ってると思いますが、ものすごく精巧に作られていました。

 

そして第5の殺人「針千本飲ますの刑」では口の中に入りきらない量の針が入ったまま死んでいる、というどれもこれも見るに耐えない映像の連続でありました。

 

 

これを手がけた美術さんや小道具さんメイクさんたちの努力の賜物でしたね。

 

 

 

ちらつく「セブン」

イントロダクションにも書きましたが、原作を読んだことない人の何人かは、この映画を観たら「セブン」を思い出す人も多いかと思います。

 

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「セブン」とはデヴィッドフィンチャー監督のスリラーサスペンスで、キリスト教の中の、人間が罪を導く可能性のある欲望や感情を表した「7つの大罪」をモチーフにした猟奇連続殺人を追う刑事を描いたサスペンス映画の傑作であります。

 

個人的にも好きで何度も見てはラストの虚しさに、毎回晴れ晴れとしない顔をしながらも、また観たいと思ってしまう、深みのある作品で。

 

で、この映画に「ミュージアム」はものすごく似ている要素がちりばめられているわけです。

 

例えば雨の日だったり、「針千本の刑」がセブンでの「暴食」に、「母の痛みを〜」はセブンでの「強欲」に、などといった無惨な殺し方だったり、刑事の前に現れたり、沢村の内面を責める部分、クライマックスでの遙に訪れる危機などなど、探し出すと結構でてくる。

 

でもこれって映画というよりも原作の時点で既に意識して描かれていた部分で、映画的に何か真似たのか?と考えると、答えは「NO」だったと思います

 

フィンチャーを意識した画のコントラストではなかった気がするし、陰気の程度もセブンほどではなかったし、犯人であるヴィクターは不条理な世の中に訴えるような信仰心からの大義名分としての殺人に対して、カエル男は「裁判員裁判」を取り入れてるとはいえ、自己表現のひとつとしての殺人という非常に個人的なものであって、やはり違う気がします。

 

 

簡潔にいえば、監督の頭には「セブン」があったと思うけど、そこは原作に敬意して忠実に具現化しながら、模倣にならないよう心掛けたのではないか、と感じました。

 

あーこういう考察苦手ですw

とにかく「セブン」と比べて観て欲しくないってことを言いたかったw

 

 

裁判員制度

カエル男のターゲットは、ある事件の裁判に裁判員として参加した一般市民を狙った犯行でした。

 

その事件は幼女を誘拐し、ウレタン樹脂で生き埋めにし殺したという事件で容疑者となった男が自供し、裁判にかけられるというものでした。

 

判決の結果、死刑判決となり、被告人は判決後、拘置所内で首吊り自殺をしたわけですが、これに不服を感じたカエル男はその裁判に関わった裁判員たちを次々と殺していくわけです。

 

原作でもこの通り描かれていたわけですが、映画はこの裁判員制度に対して、がっつりではないですが掘り下げています。

 

あまり言うと大きなネタバレになりますが、一般市民にこれだけ大きな事件の裁判員をさせることへの問題提起にも感じたし、それによって裁判員のプライバシーが漏れてしまってること、またその後の裁判員の人生にどれだけ影響を及ぼすか、なんてのも今作で描かれていたと思います。

 

といっても深く、ではなかったので考えすぎとは思いますが、監督としてはただ、サイコキラーを追う刑事の話で終わらせたくない、何か社会的メッセージも入れたかったんでしょうね。

 

 

 

 

 

 

とにかく、小栗旬と妻夫木聡が物語にスリル感と緊張感をもたらし、監督お得意の映像技術、スタッフの細かな努力にやって作られたエンタメスリラーサスペンス映画だと思います。

 

ただ、原作に忠実に作ったことで良かった部分と悪かった部分が明確だったのが残念なところ。緩急の付け方がもっとあればノレたんですけどね。

それでも見応えある作品だったと思います。

というわけで以上!あざっした!

 

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満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10