モンキー的映画のススメ

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モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「サバイバルファミリー」感想ネタバレあり 電気も家族も大切に。

コメディ

2月11日

サバイバルファミリー

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私事ですが、今年に入って試写会当選が止まりません。片っ端から送ってはいるものの、こんなに当たるのは生まれて初めて。今年まだ1か月足らずで10回目。おそらく当選率は70%以上はいってるんじゃないかと。スケジュール調整に四苦八苦な2017年であります。

 今回も試写会での鑑賞です。男子シンクロ、山形弁のジャズ、航空業界に、ロボット、林業、そして今度は電気が止まった世界。取材や体験から徹底的にリサーチして作品作りを心掛ける矢口史靖監督初めての家族モノはどんな映画だったのか。

早速見てまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

日々の暮らしに欠かせない電気。日々の恩恵など感じている人は果たしてどれくらいいるのだろうか。そんな当たり前に電気が存在する世の中、もしその電気がなくなったら・・・。

明かりはもちろん、携帯電話、パソコン、冷蔵庫、エアコン、電車などなど身近なものが使えなくなったら人はいったいどうなるのか?何が起こるかわからない世界で1つの家族が繰り広げる究極のサバイバルムービーが誕生します。

 

サバイバルファミリー

サバイバルファミリー

 

 

 

映画公式ガイド『サバイバルファミリー』の歩き方: 絵コンテ・制作秘話・オフショットで辿る鈴木一家と矢口組のサバイバルな日々

映画公式ガイド『サバイバルファミリー』の歩き方: 絵コンテ・制作秘話・オフショットで辿る鈴木一家と矢口組のサバイバルな日々

  • 作者: 矢口史靖,『サバイバルファミリー』研究会
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2017/01/12
  • メディア: 単行本
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あらすじ

東京に暮らす平凡な一家、鈴木家。さえないお父さん(小日向文世)天然なお母さん(深津絵里)、無口な息子(泉澤祐希)スマホが全ての娘(葵わかな)。一緒にいるのがなんだかバラバラなありふれた家族。

そんな鈴木家にある朝突然、緊急事態発生!テレビや冷蔵庫、スマホにパソコンといった電化製品ばかりか、電車、自動車、ガス、水道、乾電池に至るまで電気を必要とするすべてのものが完全にストップ!ただの停電かと思っていたけど、どうもそうじゃない。次の日も、その次の日も、1週刊経っても電気は戻らない・・・。情報も断絶された中、突然訪れた超不自由生活。

そんな中、父が一世一代の大決断を下す。

≪東京から脱出する!≫

家族を待ち受けていたのは、減っていく食料、1本2500円まで高騰する水、慣れない野宿。高速道路は車ではなく徒歩で移動する人でいっぱい、トンネルは真っ暗すぎて一歩も進めない。しまいには食料確保のために必死で野ブタを追いかけることに・・・!?

一家は時にぶつかり合いながらも、必死で前へと進むが、さらなる困難が次々と襲い掛かる!!

果たして、サバイバル能力ゼロの平凡一家は電気が無くなった世界で生き延びることができるのか!?

今、鈴木家のサバイバルライフの幕があがる!!(HPより抜粋)

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監督

監督はユーモアと感動がウリの矢口史靖(しのぶ)。

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毎回この人の作品の公開時期って変な時にやるんですよねぇ。2月とか5月とか10月とか。大作ひしめくところには入れてもらえないw個人的にはいつまでも「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」を宣伝材料に使ってほしくないのですが。きっとフジテレビのせいですね。

監督はいつも脚本も兼任して作品を手掛けていて、その脚本をもとに絵コンテで描いて撮影するという独特な撮影方法で毎回取り組んでいるそうです。そして扱う題材もユニーク。あるコミュニティを扱うのが定番なんですが、今作は家族がテーマ。ある意味新しい試みだと思います。

そして、監督作の主人公の苗字は全て「鈴木」なんだそうです。(WOOD JOB!除く)今作も鈴木家。なんでなんでしょうね。

 

そんな監督の代表作をざっくり。

ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞したのち、女子高生がふとしたはずみで不幸のどん底へ落ちていくブラックコメディ「裸足のピクニック」で長編映画デビューします。

フジテレビ×東宝制作の多いのも監督の特徴であり、男子シンクロブームを巻き起こした青春映画の金字塔「ウォーターボーイズ」や、山形の田舎の女子高生がビッグバンドジャズで青春を謳歌していく「スウィングガールズ」は日本アカデミー賞で数々の受賞やノミネートで監督を世に知らしめました。

その後も、知らぜらる航空業界の舞台裏を大多数のキャストで描いた群像劇「ハッピーフライト」や、会社の命により技術者たちが急ごしらえで作ったロボットの中身はおじいちゃんだった!という大胆な発想で描いた「ロボジー」などがあります。

 

中でも好きなのはこれ。大学受験に失敗し途方に暮れていた男が1枚のパンフレットをきっかけに安易な気持ちで林業に就くも、その過酷さや危険さに心折れそうになりながらも、逞しく成長していく青春物語です。

超都会っ子でチャラチャラした染谷将太もいい演技なんですが、この伊藤英明は最高です。特にお気に入りのシーンは、トラックから呼ばれて家から走って荷台に飛び乗るシーン。これをロングショットで撮影することで、山の男だ!と一発で感じられる映像だったと思います。手鼻をするしぐさや、チェーンソーさばきも見事、そして田舎の男らしいスケベ心wwまで完璧に演じてます。海猿じゃなくて山猿のほうが全然いいです。 

 

 

 

 

キャスト

鈴木家の主、鈴木義之を演じるのは小日向文世。

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去年は「真田丸」での豊臣秀吉を見ていたこともあり、映画で見るのは久々な感じです。まぁこれを演じるって聞いた時も、コヒさんの温厚な感じから秀吉など想像できなかったわけですが、いい我儘クソジジイを見事に体現していたのを見て改めて役者はすげぇなぁと。

コヒさんといえばテレビドラマ「HERO」や「木更津キャッツアイ」、最近では「MOZU」などで主役を支える名脇役の印象が強く、主役ってこれが最初なんじゃない?と思ったら何作かありました!失礼しました!

どんな作品か簡単にご紹介を。

水曜どうでしょう」の鈴井貴之監督作品で、北海道ののあるコンビニエンスストアを経営する家族と個性的なお客さんたちの人間模様を描いた「銀のエンゼル」、アカデミー賞で数々のノミネートをしたハリウッド映画「サイドウェイ」を日本版リメイクした大人のロードムービー「サイドウェイズ」、動物映画シリーズの第3弾としてTVドラマと連動した作品で、犬飼なのに犬が嫌いな中年男性が、ひょんなことから犬を飼い、悪戦苦闘しながらも絆を深めていく「犬飼さんちの犬」で主演を果たしています。

商業映画として今作が一番大きな作品での主役ではないでしょうか。気張らずにいつ通りのコヒさんでありますように。

 今後の待機作に「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」が控えています。ハクロ将軍役だそうです。

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天然なお母さん、鈴木光恵役を演じるのは深津絵里。

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あのふかっちゃんももう44歳。お母さんの役をやっても普通なんですね。時は残酷だよ、すみれさぁあああ~ん!!。やはり昔から活躍された女優さんなので、映画よりもTVドラマの印象が強く、そういう人ってスクリーンじゃ映えないイメージがあるんですが、「悪人」でめっちゃいい賞獲ってましたね。

10代から活躍されてるとあって出演作は数知れず。代表的なものをざっくり挙げていくと、初主演作は森田芳光監督の「(ハル)」。パソコン通信で出会った男女の恋を描いた物語で、まさに日本版「ユーガットメール」の名にふさわしい作品なんじゃないでしょうか。

その後はご存知「踊る大捜査線」での恩田すみれ刑事。ドラマから足掛け15年同じ役を演じたのはさぞ大変だったことでしょう。その間にも、父の浮気を機に四姉妹の問題が露呈しぶつかり合う様を時に辛辣に時にユーモアに描いた「阿修羅のごとく」では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞、殺人者になった不器用な少年と、彼との許されぬ愛におぼれた女の逃避行を描いたヒューマンドラマ「悪人」でモントリオール世界映画祭最優秀女優賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、映画をはじめテレビ舞台と場所を選ばず、その演技を遺憾なく発揮しています。

 

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他にも、息子鈴木賢司役に、「君と100回目の恋」が公開中の泉澤祐希、娘鈴木結衣役に、「くちびるに歌を」に出演していた葵わかな、

サバイバル道中に出会う人々として、アウトドア趣味一家に時任三郎藤原紀香、義之の同僚役に宅麻伸、手厳しい米屋の女役に渡辺えり、光恵の父役に柄本明、養豚業の男役に大地康雄などが出演します。

 

 

 

 

 

 

電気の無くなった世界で、人間はどうすればいいのか。それをどう面白おかしく深く描いていくのか。非常に楽しみであります。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

ノー電気ノーライフ?? バラバラだった家族のハートフルコメディロードムービー!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電気ってホント大事。

近年、東日本大震災や熊本大地震などの自然災害によって、いかにライフラインが、備蓄が重要かということを思い知らされたわけですが、今回はそんな災害を大停電にすることで、直接的に描写しないよう配慮しつつも我々の身にいつ起きてもおかしくない出来事を、あえてユーモラスに描くことで問題を和らげ、家族の再生を焦点にした作品でありました。

 

またそこから紐解かれるのは、現代人の「より便利なもの」への追求と依存がもたらす、電気がないと生きていけないといった情けない部分や、消費ばかりの街・東京がこうなったとき自給自足などきわめて難しいということ

電気が無くなると、会社に行っても仕事ができない、というか職場にすら入れない、学校に行っても先生が来れず授業にならない、買い物したくても現金をおろせないしカードも使えない、それ以前にコメを炊けない風呂も沸かせない、トイレの水も流せない、スマホやテレビ、ラジオなどもってのほか。

スーパーに行っても流通は遮断され、食べるものなどすぐ底をつく。

こんな当たり前の日常が電気がないってだけで簡単に壊れてしまう。

 復旧するまで留まるのか、それとも水や食料を求め動くのか。この物語は後者を選ぶ。きっと自分も留まることなどしないだろう。待っていたってどうにもならないから。

 

 

とはいえ物語ではそうなったときどうするか、といった実生活でも役に立ちそうな豆知識がちりばめられていたり、やってはいけない行為といったシーンも描かれていたりしていて、どこか災害対策シミュレーションのような作りになっているのもまた、監督の緻密な取材力が顕著に現れていて、らしさを感じた作品でもありました。

 食べれる草だとか、天日干しにすると日持ちするとか、川の水はむやみに飲んではいけない、精製水は飲んでも平気、などなどのトリビアをコミカルに取り扱っているので、笑いながら知識を得ることのできた映画でありました。

 

 

 

人物設定もしっかり。

家族4人がどの家庭にもいそうな「あるある」な性格や立ち位置などが細かく描かれていました。

そのヅラがプライドと威厳を象徴している仕事第一の威張ってばかりの父、怒ることをしないいつでもふわふわしている天然な母、外界をヘッドフォンでシャットダウンし寡黙に高嶺の花に思いを寄せる兄、形だけの友人と必死に繋がろうとスマホに時間を費やす熱心な妹。

 

「馬鹿かお前は!」「そんなこともわかんないのか!」そう怒鳴る父に、子供たちは反抗的な態度。それを見て見ぬ振りして小ボケをかます母。いるよねぇこんなお父さん。

自転車で鹿児島へ向かう道中で、夜中に水を盗んだ男を兄に追いかけさせる父。「原始人ができるんだから俺にだってできる」と火を起こすも起きず、兄が発煙筒を持ってきてもプライドが許せず使わない。その後も大丈夫だ、何とかなる、俺に任せとけといった根拠のない自信に、堪忍袋の緒が切れる3人。

 

一家の大黒柱をはき違えていた父が、心を入れ替え始めることで、家族4人が少しづつ寄り添っていく姿が涙を誘います。威張っていた父が子供たちのために頭を下げ、母がついに声を荒げ本音を叫び、兄が家族のために精を出し、妹はつけまをはずすw

冒頭ではほんのわずかな時間でしか食卓を囲んでいなかった家族が、災害を機に少しづつ本音をぶつけあうことで少しづつ絆を深めていく過程が素敵でありました。

 

また、そんな家族の前に現れる個性豊かな人物たちが面白い。ロレックスなんかじゃ何の足しにもならないと客を追い返す米屋のおばちゃん、どこか鼻につくサバイバルをアウトドア感覚で楽しむ家族、躊躇なくブタをぶったぎる(駄洒落じゃないです)養豚業のおじさんの厳しさとやさしさと悲哀、暗いトンネルを米一合と引き換えにナビゲートする老婆など、

生きていくためにはがめついことも必要だ、といわれてるように思えてしまう人たちや、生きていくうえでやっぱり孤独はつらい、という人、生きているのだからこんな時でも楽しまないと!と能天気な人など、くすっと笑えるけど現実的な人物たちが物語を盛り上げてくれました。

 

 

 

 

監督の挑戦作ではあったが。

今回矢口監督の作品は、いつもと違うテーマでありました。きっと長年温めてきたものだとは思いますが、正直内容はそこまで笑いの詰まった作品ではなかったように思えます。

一つ一つの小ネタは確かにベタでありながら面白いのですが、中笑い、大笑いになるような笑いはなく、どこか浅い感じがしてならなかったです。一番ツボったのは水族館の魚で炊き出しをしてるところくらいかw。

やはりいつも狭い分野を深掘りしたテーマが得意なだけに、今回は扱う規模が大きすぎたのがよく感じなかったのか、案外我々の身近なことだから馴染みがありすぎたのか。

 

あとは家族が絆を深めていく描写は少々駆け足だったかなぁと。感情が爆発して父が急にしょぼんとしてから父親らしいことする行動が早いな!と。すぐにでも許してもらいたい!みたいに見えてしまったのがもったいない。序盤で十分なほどクソ親父を見せつけてくれたのであそこを少し減らして、その分もう少しひっぱてブタの捕獲あたりで本領発揮がよかったなぁ。

 

他にも腑に落ちなかったのは、この危機的状況が家族の視点以外全くないこと。こんなことが起きたのなら、病院のような施設はきっととんでもないことになってるに違いないし、道中で警察や自衛隊がもっと活動していてもおかしくないのですが、全く映っていない。警察に至っては、空港への侵入を防ぐ件しか出てこないし、自衛隊は静岡へ向かって歩いているだけ。

これだけの大規模な災害なのに、死者が1人しかいない。

世間はこんなにやばい状態になっているという部分がごっそり抜けていてリアリティに欠けているなぁと。

もちろん電気が使えないことであらゆる情報が入手できないといった状態を、映画の中でも活かそうという目論見があったと思うのですが。

 

個人的には監督の作品でもっと笑いたいのです。自分の知らない世界を描いた物語を、面白おかしく少しだけハートフルな、青春成長群像劇が見たいのです。別に今回の作品が悪いってわけじゃなく、自分が監督に求めるものが今回のようなものではなかったというだけのこと。次のステップアップを見据えての今回の映画なのかなぁとも思いますけどね。

 

 

 

まとめ

「災害と家族」、監督の作品の中でメッセージ性の強い作品になったと思うわけですが、いかんせん今回はどこか浅く感じてしまったというのが残念な部分ではありました。つまらなくはなかったんですよ!強調しとこうここ。

なぜ電気が使えなくなったのか?を求める作品ではありませんので、そんな終わり方かよ!などと思わずに、キャッチコピーのような「電気がOFFになると、人間がONになる。」まさにこれを描いてるので、自分のような変な目線での鑑賞は捨て楽しんでもらえたらと思います。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10