モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「LION/ライオン 25年目のただいま」感想ネタバレあり解説 兄の名前を呼んだ後に。

LION/ライオン ~25年目のただいま~

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「おはようからおやすみまで」、あ、今は「今日を愛する」か。

え?何の話だって?ライオンですよライオン。

ごきげんようですよ。もういいですか。すいません。

 

てかコラボってもいいと思うんですけどね、普通に。

 そんなことは置いといて、アカデミー賞ノミネート作品が少しづつ公開していく中で、受賞は逃したものの、評判のいい作品がついに公開です。

 

家族とはぐれてしまいオーストラリアで養子になり裕福に育った青年が、あることをきっかけに本当の家族をグーグルアースを使って探す、人生の欠けた部分を取り戻しに行くヒューマンドラマ。

 

今回試写会にて鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

そのニュースは世界を駆け巡った。

インドで育った5歳の少年が迷子になり、養子としてオーストラリアで育った青年が、Google Earthと出会い、25年ぶりに家を見つけ出した。

 

このまさかの実話をもとに、青年が自らのルーツを探るように、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに明かされていく真実への旅を「英国王のスピーチ」の製作陣が、壮大な探し物のの果てにたどり着いた奇跡の物語を描きた感動ドラマです。

 

25年目の「ただいま」

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  • 作者: サルー・ブライアリー,舩山むつみ
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あらすじ

オーストラリアで幸せに暮らす青年サルー(デヴ・パテル)。

しかし、彼には隠された驚愕の過去があった。

インドで生まれた彼は5歳の時に迷子になり、以来、家族と生き別れたままオーストラリアへ養子にだされたのだ。

成人し、自分が幸せな生活を送れば送るほど募る、インドの家族への想い。

人生を取り戻し未来への一歩を踏み出すため、そして母と兄に、あの日言えなかった〝ただいま″を伝えるため、彼は遂に決意する。「家を探し出す―」と。(HPより抜粋)

 

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監督

監督はガース・ディヴィス

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本作が初の長編映画作品とのこと。

これまでに、TVシリーズのシーズン1を手掛けたことが評価され英国アカデミー賞にノミネート、映画でもドキュメンタリーや短編映画を手掛けるなどして着々と実績を積み上げてきたようです。

他にも出演したルーニーマーラホアキン・フェニックスキウェテル・イジョフォーらが出演するマグダラのマリアを題材とした「マグダラのマリア」があります。

 

マグダラのマリア [Blu-ray]

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キャスト

主演の青年サルーを演じるのはデヴ・パテル。

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今回一応主演のはずなのに、今年度アカデミー賞では助演男優賞にノミネートというおかしな選出。おそらく主役は幼少期のサルーを演じたサニー・パワールといいたかったのかな?

 

それでも初のノミネートということで、「スラムドッグ$ミリオネア」以降目立たなかった彼が、これでまた一つスターへの階段を上ったことは事実でしょう。

 

そんな彼がどんな作品に出ていたのかというと、日本でもおなじみのクイズ番組で史上最高額まであと1問と迫ったスラム育ちの青年が、なぜ難問を次々と解くことができたのか、その理由を脈を打つようなEDMに乗せて描く壮大なラブストーリー「スラッムドッグ$ミリオネア」で主演を演じ、アカデミー賞作品賞を受賞。

 

その後も、インドの優雅なリゾートにやってきた熟年男女がトラブルに巻き込まれ異文化に翻弄されながらも、やがて人生の喜びを再発見していく「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」とその続編「マリーゴールド・ホテルで合いましょう~幸せへの第二章~」、AI搭載の戦闘型ロボットが、ひょんなことからギャングに育てられることになった成長の行方と、人間の欲望と思惑に利用されていく様をスリリングに描いた「チャッピー」などに出演しています。

 

 

スラムドッグ$ミリオネア[Blu-ray]

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 これスゲェ好き。パッと見ダニーボイル感がないのに、いざ見てみると彼ならではの演出がインドという国にドはまりする傑作です。

 

 

 

 

 

 

サルーと恋仲になるルーシーを演じるのはオレのルーニー・マーラ!!

 

彼女しっかりオスカー作品に出演してますね!!

作品選びの選球眼が凄いのかたまたまなのかはわかりませんが、いずれアカデミー賞で賞を獲る日は近いでしょう!!

 

近年の出演作品は、アカデミー賞でも話題になった「Kubo and the Two strings」で声の出演、ガース・デイヴィス監督と再びタッグを組む「マグダラのマリア」、「あ・ゴースト・ストーリー」などがあります。

 

彼女に関してはこちらをどうぞ。

 

 

www.monkey1119.com

 

 

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サルーの育ての親、スーを演じるのは大御所女優ニコール・キッドマン

 

ムーランルージュ」に「バットマンフォーエヴァー」、「めぐりあう時間たち」、「アイズワイドシャット」、「コールドマウンテン」など数々の作品で絶賛されてきた大女優。

しかしながら私は彼女の作品をあまり見てなく・・・トムクルーズの前の奥さん程度しか見てなかったという非常に残念でもったいない人生を送ってきましたw

とりあえず「ムーランルージュ」から見てみるか。

 

 

 

 

他の出演者に、サルーの育ての父ジョン役を、Netflixドラマ「アイアン・フィスト」で強欲に満ちた男ハロルド・ミーチャムを演じ、今年は「パイレーツオブカリビアン最後の海賊」にも出演するデヴィッド・ウェンハム

サルーの幼年期役に、今作が映画初出演のサニー・パワール、サルーの兄グドゥ役に、こちらも本作で俳優デビュー、サニーと次回作で再び共演することが決まっているアビシェーク・バラトなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのようにして家族までたどり着くのか、そして彼の幼少期がどんなものだったのか、育ての親にどうやってたどり着いたのか、その理由が今明かされる。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

感想

ぬおおおぉぉ~っ!!!結末わかってんのに泣き濡れたぜ!そしてライオンの意味を知ってまた感動!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グドゥ!

この映画を見る前、きっとサルーが昔の記憶を頼りに、いろんな場所でさまざまな人と出会って、交流を深めながらサルーの成長も踏まえつつ、母親を見つけるっていう、ロングジャーニーであり冒険譚でありロードムービーみたいな、そんな作品なんじゃないかなぁ、と。

 

そしてかすかな記憶の扉を開けるたび、過去の回想シーンに入っていくような展開なんだろうなぁと予想していたんですが。

 

 

いざふたを開けてみると、終始静寂と物悲しさが漂う空気の中で、しっかり幼年期から青年期までの課程を描き、サルーという男が、育ててくれた家族や周りの友人や彼女に後ろめたさを感じながらも、長い年月失っていた人生の一部=本当の家族を見つけるという、彼の執念が実を結ぶ感動のヒューマンドラマでした。

 

 

グーグルアースを思わせる上空からの絶景が、待っているであろう家族の家までの道のりを示しているかのよう。

辿った先で待っている感動の対面。

しかしながら思いがけない真実も語られ、ものすごくハッピーなことなのに、どこか悲壮感が漂うエンディング。

あなたに会って話したいことがいっぱいあったろうに。

 

 

そして表示される「ライオン」というタイトルの意味に驚嘆することでしょう。

ああこんな意味だったのか。胸が震えます。

 

実話に基づく話と合ってエンドロールでは、実際に家族の元までたどり着いたサルー本人と家族との写真も写されていました。

 

シーアの曲も素晴らしい。

どんな困難でもあきらめない気持ちをつづった歌が、まさにライオンという名の通り、強い心を持った主人公サルーとシンクロし感動を後押しします。

 

 

グドゥ!グドゥ!

特に胸を締め付けるのは、サルーの幼年期。

 

帰る道もわからないまま迷子になり、やがて孤児となり、成す術もなく当てのない日々を過ごす彼の孤独さ。非常に過酷です。

にもかかわらず、彼は泣くことをしない。

 

それでいて小さいながら物凄く逞しい。

あらゆる危険が押し寄せても、見事に回避する能力や、やがて育ての親となるスーとジョン夫妻に養子として迎え入れられるまでの過程は、非常に低い確率だったのではないでしょうか。

 

そう考えると彼はものすごく強運の持ち主であり、ものすごく遠回りだったけど、結果本当の家にたどり着けたことは運命であり、彼は生かされるべくして生かされたんだなぁと、鑑賞した後しみじみ感じました。

 

 

 ただでさえ貧しいにもかかわらず笑顔の絶えないサルー。

どんな状況でも彼にとって家族がいればそれで幸せなんだという姿がうかがえます。

 

兄と石を盗んでは市場へ行き、妹と母親に飲ませようと少量のミルクをもらいます。

 

その時サルーの目に飛び込んだのはおいしそうな揚げ菓子。

サルーはこの時お金がなく結局食べることができませんでしたが、彼が大人になった時、故郷のことを思い出すきっかけへとなっていきます。

 

 

兄が仕事でしばらくいなくなることを伝えるとサルーは、自分も仕事を手伝うと訴えます。

正直兄であるグドゥからしたら、サルーの手などむしろ足手まとい。

 

結局意見を曲げないサルーを連れ仕事へ出かけます。

夜になるとサルーは眠くなってしまいます。

やはりこうなったか、とグドゥはサルーを駅のプラットフォームで寝かせ、仕事を見つけてくるからここで待ってろと伝えます。

 

この判断がサルーを迷子にさせてしまう原因でした。

 

寝ぼけたのか兄の姿が見えたのか、彼は目の前にとまった列車に兄がいると思い込み乗車。

しかも再び眠ってしまい、目覚めて窓の外をのぞくと、見たこともない景色を走っていました。

 

 グドゥ!グドゥ!何度も兄の名前を呼びます。

この言葉を聞くたび耳から離れませんでした。

 

 結果兄とはぐれた場所から1600Kmも離れた場所まで来てしまったサルー。

市街地ということもあり、駅には押し寄せる人の波。

当然小さい体はその波に飲まれ混乱状態のサルー。

同じインドにもかかわらず、言語が異なるためサルー言葉は誰にも通じません。

 

 

当てもない彼の孤独な冒険が始まります。

夜道をさまよい、雨が降れば適当な場所で雨宿り。

疲れて眠り見る夢は、母との思い出。

彼の周りを飛び回る蝶は何を意味するのか。

夢だということを強調する記号でしかないのか。

はたまた彼の思い出を美化させる象徴なのか。

それとも本当の景色なのか。

 

 

ストリートチルドレンとなった彼を危険が付きまといます。

 

一人の女性が彼を自分のアパートへ連れていき、ジュースや食べ物でサルーをもてなします。

なんて親切な人だろう、サルーはそう思ったに違いありません。

お風呂に入り服も新調し、ふかふかのベッドで眠れる。

しかし、起きると別の男性の姿が。

 

サルーは身の危険を察知し、アパートを飛び出します。

 

 

再び外での生活を余儀なくされたサルー。

 

地下道を歩くと、自分と同じ子供たちが段ボールを敷いて固まって寝ています。

そうだ、一人でいるより同じ子たちと一緒のほうが心強い。

仲間に入れてと目で訴えるサルー。

わずかながら安堵を手に入れたと思いきや、再び悪い大人の魔の手が忍び寄ります。

 

子供たちは大人たちに連れ去られますが、ここでまたサルーは難を逃れます。

つくづく強運です。

 

 

目の前の店でスープをそそる男性の真似をするサルー。

 

さすがに気になったのか、その男性は警察へサルーを連れて保護してもらおうと考えます。

 

そこでもサルーの言葉は通用せず、結果孤児院へと連れていかれます。

とりあえず寝床と食事はありついたものの、管理する大人たちがたくさんの孤児たちを邪険に扱います。

夜な夜な起こされ折檻されるのではないかと、怯えながら過ごす日々。

 

サルーの存在を新聞広告で広めるも、一向に母親からの連絡はなく、サルーはあきらめかけていましたが、彼を養子にしたいという夫婦からの申し入れがあり、サルーはあらゆる作法や英語の勉強をし、オーストラリアでの新たな生活を過ごしていきます。

 

 

前半は幼年期での孤児としての生活をしっかり描いており、サルーに幾多の困難が訪れるたびに、逃げろサルー!走れサルー!と彼を応援したり心配したりと心の中で呟く自分がいました。

 ここから青年期へと突入していきます。

 

 

グドウ!グドゥ!グドゥ!

スーとジョンに立派に育てられたサルーは大学へと進学しホテルマンを志していくのですが、あるホームパーティーで彼の中で失っていた記憶がよみがえり、彼の人生は大きく変わっていきます。

 

既にサルーは故郷のことなど記憶の片隅にしかなく、インドの言葉も話せなければ、クリケット好きやカレーが上手に食べられるなんてクラスメイトに冗談を言われても、僕はオーストラリア人だからと返すほど、すっかりその土地の色に染まっていました。

 

ここからの彼の葛藤と苦悩は、正直前半の過酷なサルー冒険期に比べると、今一つ物足りなく少々中だるみだった気がします。

長いこと彼の悩ましい姿をどアップで見せるので、少々オーバーに感じてしまったのが要因でしょうか。

 

 

そもそもこの青年期パートで自分の興味は、愛しきルーニーマーラをマジマジと見る、というおバカな方向へとシフトしていたわけでw

もうかわいいわぁ~ルーニー。

特に可愛かったのがサルーとルーニー演じるルーシーが道路を挟んで何やらコミュニケーションをとるシーン。

 

ホームパーティーへ向かう途中偶然道の向こう側でお互い鉢合わせる二人。

そしたらいきなりパントマイムやらかくれんぼやら始めだしてはにかむ二人。

 

ちくしょう!かわいいじゃねえか!

サルー!俺と代われ!!

俺ならもっと笑わせられるぞ!

 

その後もベッドでいちゃついたり見つめあったり、ジョギングしてじゃれあったり。え~君たちはどこでそんなに意気投合したのですか。

 

そうですか、サルー君。

君はオーストラリアに行ってよかったですね~。

なんか夢がありますよね~。

君が故郷にいたらこんなルーニーみたいな人と出会えなかったでしょうね~。

あ~悔しい。

 

 

そしてこの悔しさはサルーが故郷探しに夢中になり、周りの人間を遠ざけていくことで憎悪に変わります。

この野郎!

こんな美人をそんなぞんざいに扱いやがって!!

お前の気持ちもわかるがなぁ!

彼女が手を差し伸べてるんだから応えてやれや!!!

 

 

まぁ、こんな感じでファンキーモンキーアングリー状態だったわけです。

 

 

だけど終盤に近付くにつれて、サルーが義理の弟のことを面倒見たり、スーがなぜサルーを養子に迎えたのかという知られざる真実だったり、そんな育ての母に対し、本当の母親を探していることに申し訳ない気持ちになっていたサルーが周りの人からの思いを受け止め、少しづつ変化していく姿と、見どころ泣き所多々ありの展開へと進んでいきます。

 

 

最後に

 実はサルーにはグドゥのほかにも兄がいたそうなんですが、今作では存在すら消された状態で描かれてます。

よく事実と異なるからつまらないみたいなことを言ったりしますが、今回はそういう部分を抜きにしても感動できる映画だったと思います。

 

なんてったって生んでくれた母と25年ぶりに再会する話なんですから。

 

是非親子で見てほしい映画なんじゃないでしょうか。

自分はルーニーばかり見てましたがw

 

あんまりグーグルアースをうまく使ってるようには見えなかったなあ。

実際はうまく使ったんだろうけど。

というわけで以上!あざっした!!

 

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満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10