メアリと魔女の花
やはり映画館に行くと、この映画の存在を知らない人は、
「え?ジブリの新作やるんだっ!!」
とか、ジブリなら絶対見ちゃうよね~、などと今後鑑賞する予定に加える事だとは思いますが。
残念!!これスタジオジブリ製作ではありません!!!
正確には、スタジオジブリにいたアニメーターが作った会社の製作であります。
だからでしょうか、ものすごく画が似てますよね~。
そりゃあジブリだって思っちゃいますよね~。
正に自分がそうでしたからww
なぁ~んだ、ジブリじゃないのか、じゃあ見るの止そうっと。
こらこらお待ちんしゃい。
そんな理由でやめちゃうんですかい、と。
せっかく監督が独立して作った映画ですよ?
画はそっくりかもしれないけど、ジブリのように素敵なアニメーション映画かもしれないじゃないか!
試しに見てみましょうよ!
と、少々前置きが長くなりましたが、そんなちっぽけな理由でせっかく見に行こうとした予定の映画を見に行ってもらうための、私なりの引き留めでございます。
というわけで、早速見に行ってまいりましたよん!
作品情報
「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」を手掛けてきた監督が、新たな道を歩み出すため、スタジオジブリ退社後、初めて製作した長編アニメーション映画。
イギリスの女性作家メアリー・スチュアートにより書かれた児童文学「The Little Bloomstick」が原作の今作は、日々明るく過ごしながらも、不器用な毎日に不満を抱えた赤毛にそばかすの少女が、禁断の魔女の花との出会いをきっかけに、奇想天外な大冒険に巻き込まれていく。
監督の師である宮崎駿がかつて題材にした「魔女」を、あえて選んだ監督の並々ならぬ覚悟が読み取れる今作。
この夏、あらゆる世代の心を揺さぶるエンタ―テインメント超大作がついに幕を開ける。
あらすじ
赤い館村に引っ越してきた主人公メアリ(声:杉咲花)は、森で7年に1度しか咲かない不思議な花≪夜間飛行≫を見つける。
それはかつて魔女の国から盗み出された禁断の❝魔女の花❞だった。
一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、雲海にそびえ立つ魔法世界の最高学府❝エンドア大学❞への入学を許可されるが、メアリがついたたった一つの嘘が、やがて大切な人を巻き込んだ大事件を引き起こしてい行く。
魔女の花を追い求める、校長マダム・マンブルチューク(声:天海祐希)。奇妙な実験を続ける、魔法学者ドクター・デイ(声:小日向文世)。
謎多き赤毛の魔女と、少年ピーター(声:神木隆之介)の出会い、そして。
メアリは、魔女の国から逃れるため「呪文の神髄」を手に入れて、すねての魔法を終わらせようとする。
しかしその時、メアリはすべての力を失ってしまう。
次第に明らかになる❝魔女の花❞の正体。
メアリに残されたのは、1本のホウキと、小さな約束。魔法渦巻く世界で、ひとり無力な人間・メアリが、暗闇の先に見出した希望とは何だったのか。(HPより抜粋)
監督
監督は米林宏昌。
米林監督といえば、作品情報でも書きましたが、「借りぐらしのアリエッティ」や「思い出のマーニー」といった代表作がありますが、アニメに完全に疎い私にとってアニメーション映画は、宮崎駿、細田守、新海誠、ワンピース。
はい、超がつくほどミーハーなものしか見ないクソ素人でございます。
ミーハーなら過去作観とけよ!って言われたら何も言い返せませんが、私にいわせりゃジブリは、はやおでしかないんですよ。ごめんなさい。
まぁ、アリエッティもマーニーも予告観て特に惹かれなかったんだけど、今作の予告観てなぜか心動かされ、気になって調べたら、ジブリだと思ってたらジブリじゃなくて、マーニーの監督が独立してなど、あれやこれやとその経緯を知っていき、ここまで知ったのだから見てみようと。
そんな今作を手掛けた監督の代表作をざっくり。
スタジオジブリにてアニメーターとして、宮崎駿や高畑勲作品などに、原画や作画などを担当後、とある古い家の床下に暮らす小人一家と人間の少年のひと夏の触れ合いを綴った「借りぐらしのアリエッティ」で、長編映画初監督を務めました。
その後、心を閉ざした12歳の少女が、謎めいた同い年の少女と過ごすひと夏の不思議な思い出と心の成長を綴った「思い出のマーニー」を手掛けます。
同作はアカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされる快挙を成し遂げました。
監督はその後、ジブリの製作部門解散に伴い、ジブリプロデューサーの西村義明とともにスタジオジブリを退社し、スタジオポノックを設立し、今作を製作したとのこと。
キャラクター紹介
メアリ(声:杉咲花)
赤毛、青い瞳、そばかすが特徴の11歳。好奇心旺盛で天真爛漫だが、 何をしても不器用な毎日に不満を持つ。
ある日、夜間飛行という魔女の花を手に入れたことで状況が一変する、
「湯を沸かすほどの熱い愛」でブレイクして以降、大活躍の杉咲花さん。特徴ある声なので、どんな声の演技をするか楽しみです。
ピーター(声:神木隆之介)
赤い館村で郵便配達を据える12歳の少年。
メアリがついた小さな嘘によって大事件に巻き込まれ、彼女と冒険を共にする。胸に隠れてるのはネコのギブ。
彼が声優をすれば必ず大ヒットするというジンクスが去年の「君の名は。」で益々信憑性が高くなった神木君。
あまりうまいとは思わないんですが、きっと等身大ならではの良さが評価されてるんでしょう。今作も期待したいですね。
他のキャラクターはこんな感じ、¥。
ドクター・デイ(声:小日向文世)・・・エンドア大学の魔法学者。
マダム・マンブルチューク(声:天海祐希)・・・エンドア大学の校長。
赤毛の魔女(声:満島ひかり)・・・魔女の花の秘密を知る、謎の魔女。
バンクス(声:渡辺えり)・・・赤い館に住む、お手伝いさん。
シャーロット(声:大竹しのぶ)・・・赤い館の主人、メアリの大叔母。
フラナガン(声:佐藤二朗)・・・エンドア大学のほうき小屋の番人。
あまり得意ではない日本の長編アニメーション映画。変に構えず、まずは楽しみたいところ。ジブリから巣立った監督が、あえて選んだ魔女の物語。いったいどんな意図があるのでしょうか。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
監督の覚悟が読み取れる作品だったけど、話はやや物足りなさが目立った、かなぁ。
以下、核心に触れずネタバレします。
王道ファンタジー映画でした。
何もない街に越してきた少女。
友達もできない、髪はぼさぼさの赤毛、退屈な毎日。
それなりに頑張って振る舞うがいつも空回り。
何かを変えたい、そう思う彼女の前に突然舞い降りた魔法の力という奇跡。
彼女は最初こそ戸惑うが、気が付けば別世界で持てはやされ、気持ちは有頂天に。そんな浮ついた気持から出たとっさの一言が、大きな災いを起こしていく。
正直ジブリ映画と比べてしまう今作ですが、これはこれで全然楽しめる作品でした。
どうしても目に移ってしまう登場人物や、動物たち、ホウキやエンドア大学にいる人、モノ、魔法道具などなどがジブリならではの造形に似て見えてしまうのは仕方ない。
マダム登場シーンの水の描き方然り、マダム操る空飛ぶ魚状の生き物、マダムが使う黒い液体状の魔法、ドクターの下で働くロボット型の手下たち、ピーターが買う猫に至るまで、ありとあらゆるものが、それはもうジブリそっくり、なんですが。
そもそもですよ、ジブリにいた人なんだから似てて当たり前なわけで、そこにケチ付けるのはどうかな、と。
大事なのは話の内容なわけで、少女がただ魔法の力だけで危機を脱していくという話ではなく、その過程を経て成長していく部分は、ステキな話だなぁと。
もちろん、夜間飛行が地上に落ちた瞬間の周りの木々や動物たちが急成長する場面や、
ホウキに振り回されながらも空を縦横無尽に飛び回る姿、
エンドア大学の奇想的な演出の数々、
マダムやドクターのキャラ設定などなどこれぞファンタジーアニメといえる演出が余すことなく描かれていて、十分に楽しめる作品だったのではないか、と思います。
まぁ不満もあります。
とはいえ、いささか凡庸な出来栄えだったようにも思えます。
メアリにそこまで感情移入できないのが一番の要因かな、と。
結局は自分で蒔いた種なわけで、それをどうにかしなくてはいけないのは当たり前なわけで。
ただ逃げようとしなかった彼女の意思は尊重したいですね。
他にも、敵キャラの魅力が弱すぎるという点。
大きな力の魅力に捉われて数々の生徒や動物たちを犠牲にするマダムとドクターですが、結果彼らの心情が何か変わるわけでもないし、なぜにそこまでとりつかれたのか、背景が見えてこない。
後は猫がかわいくないww
個人的に犬と猫はかわいくなくちゃいけないと思っている節で、実写ならともかくアニメーションならそこは力入れてよと。
猫の毛が逆立っているシーンも、しなやかさというか滑らかさというか、生きている中での血の通ったようなものが感じず、ただ毛がギザギザになっているだけ、の様にしか見えず。
そういう部分も動物ならではのかわいらしさがあってもよかったよなぁと。
あ、犬も全然かわいくなかった。
あ、猫2匹いる必要あった?
他に話の浮き沈みがほぼなかったこと。
全体的に見てさらーっと終わってしまった感じが。
毎日が退屈➡猫の誘導で花発見➡ホウキに連れられエンドア大学へ➡校内見学➡侵入者とばれる➡何とか逃げるがピーターが人質に➡救出に向かう➡またピーター捕まる➡とある家に着く➡花とマダムたちの詳細を知る➡救出に向かう➡ハッピーエンド
チャプター感覚で書いてみましたが、結構劇的に描ける場面があるにもかかわらず、どこかべたぁーっとさらーっと物語が進んでしまうのが非常にもったいなかったです。
この辺はもっと工夫をしてほしかったですね。
あとは、一夜限り魔法なのだから、大学に行く前になんかハメを外したような描写あってもよくなかったですか?
天真爛漫な性格が魔女になった途端ビビりまくりではしゃぐ様子もなく、おだてあげられて調子こくだけ。
あそこで序盤に見せた「目の前のことに全力で何かをしようとするメアリ」の性格が出てもよかったと思うのですが。
まだまだあります。
特にマダムに追いかけられる空中戦が全然スリリング感がない。
簡単に追いつかれるし、簡単にカバン奪われるし、それ以前にスピーディー感が全くない。
ホウキに乗ってスピード出してるのは急降下だけでしたし。
最後に、声優陣が誰一人合ってない。
杉咲花の声、嫌いじゃないです。
神木隆之介の声、嫌いじゃないです。
天海祐希も小日向文世の声も特徴あっていいと思います。
ですが、誰一人キャラに合ってない。
これは完全にミスキャストだと思います。
褒めるところよりも不満の方が多いなこれは・・・
ジブリという魔法はもう使わない。
魔法というものは現実の世界では決してありえない力なわけで、それがもしあったなら誰もが手にしたいもの。
この物語の主人公は、その力を一度は手にし、もてはやされ有頂天になるが、その浮ついた気持から出た一言が後に災いを起こし混乱を招いてく。
そこで彼女は、自分の力だけでこの危機を乗り越えようと決断を下す。
もろに監督がジブリという魔法の力で、過去2作も作品を制作したわけだが、製作部門解散という危機をどう乗り越えるか、悩みに悩んだ結果選んだ道は、自分自身の力で作品を作っていくという、まさに物語の主人公メアリと同じものだった。
しかも監督は、ジブリの常套句ともいえる魔女をあえて題材にし、街並みや風景、舞台、登場人物などを見ていくと、日本的な要素を一切排除することで日本人に馴染みのない世界観を作り出していることがわかる。
こうした部分から読み取れるのは、監督の並々ならぬ覚悟の現れだったように感じられる。
このチャレンジにまず敬意を表したいし、それ以上にエンドロールの最後に流れる感謝という名目で流れる、宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫の3人の名前が流れたことに、監督の3人に対する愛が感じられた瞬間でもあり、見ていたこっちもどこか嬉しさを感じた瞬間でもありました。
最後に
親子連れの多くなる夏映画にはもってこいの作品だったと思います。
なんてったって見やすいしわかりやすい。
しかしながら、ちょっとでも目の肥える人にはこの物語が物足りないように感じてしまう人も多いのかなと。
自分もそれは大いに感じてしまったわけだけど、監督独立第1作目なので、大目に見たいというのが本音。
なかなかこのご時世、独立して長編映画作れるなんてめったにできないことなんですし。
まぁアニメーション映画に関してはクソど素人なので、あまり参考になさらずにw
是非すごく面白かったという方の感想を読んで見に行ったらいいと思います。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10