モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「三度目の殺人」感想ネタバレあり解説 信じるか信じないかはあなた次第。

 

9月9日

三度目の殺人 

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近年作品的にも興行的にも結果を残している是枝監督の最新作は、なんとサスペンス。

これまでほとんどの作品がヒューマンドラマなだけに、このチョイスはちょっと意外。しかしながら、是枝監督なのですから決して人間ドラマは忘れないし、言葉だけでなく、画で登場人物の心の機微を描いてくれることでしょう。

 そして監督にとっては久々のベネチア国際映画祭コンペディション作品出品という話題性もあり、恐らく受賞は難しいとは思いますが、何かしら爪あとを残して欲しいなぁとは思います。

そんな監督の最新作、早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

カンヌ交際映画祭にて審査員賞を受賞した「そして父になる」から4年、その監督×主演タッグで迎えた最新作は。深い闇の先にある真実に挑んだサスペンス映画。

真実は二の次と勝つことにこだわる弁護士、会うたび話の変わる得体の知れない不気味な容疑者、そして被害者の娘。三人が複雑に絡むとき見える真実とは。

美術や音楽にも力を入れた心震える心理サスペンスです。

 

三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

 

 

 

 

 

あらすじ 

それは、ありふれた裁判のはずだった。

殺人の前科がある三隅(役所広司)が、解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。犯行も自供し死刑はほぼ確実。

しかし、弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は何とか無期懲役に持ち込むため調査を始める。

 

何かがおかしい。

調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。三隅の供述が、会う度に変わるのだ。

金目当ての私欲な殺人のはずが、週刊誌では被害者の妻・美津江(斉藤由貴)に頼まれたと答え、動機さえも二転三転していく。

さらには、被害者の娘・咲江(広瀬すず)と三隅の接点が浮かび上がる。

重盛がふたりの関係を探っていくうちに、ある秘密にたどり着く。

 

なぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?

得体の知れない三隅の闇に呑み込まれていく重盛。

弁護に必ずしも真実は必要ない。そう信じていた弁護士が、初めて心の底から知りたいと願う。

 

その先に待ち受ける慟哭の真実とは?(HPより抜粋)

 

 

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監督

今回も脚本と編集を手掛けた是枝裕和監督。

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これまで数々の家族にまつわるヒューマンドラマを手掛けてきた監督ですが、実は年数を開けて手掛けてきた作品ペースが、「海街diary」以降3年連続で制作しているという精力的な活動。

 恐らく「そして父になる」以降興業的にも当たってきたから、お金が作りやすくなったのかもしれません。あくまで推測ですよw

 

そんな監督の今作は、たまたま話を伺った弁護士さんの「法廷は真実を明らかにする場所じゃなく、利害の調整をする場所なんですよ」という一言から発想を得たと語っています。

 そしてそこから法廷の裏側という日本の司法制度の現実を描こうと今作を手掛けたんだそうです。

三隅に翻弄される弁護士の重盛をどう描いたのか楽しみです。

 

監督に関しては事らをどうぞ。

 

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キャスト

主人公の弁護士、重盛を演じるのは福山雅治。

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ご存じ歌手と俳優2つのわらじを持ち、しかもどちらも成功している数少ないナイスミドル。

正直演技に関してはクサ過ぎて見てられない時もありますが、キャラが立った時は抜群のハマりっぷりを見せてくれるし、やはりこのルックスですよw年とんねーなー!

 

近年は是枝監督と初タッグをした「そして父になる」や、湯川学でおなじみ「真夏の方程式」、アミューズ所属タレント勢ぞろいの「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」、大根仁との相性抜群だった「SCOOP!」と定期的に映画に出演しており、来年早々にはジョン・ウー監督による「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイク「追補 MANHUNT」に出演します。

 

追補は今作同様ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション作品に選出されてるので、向こうでましゃフィーバーにでもなるのでしょうかw

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

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容疑者三隅を演じるのは、役所広司。

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あなたの食べるマルちゃん正麺はほんとおいしそうで、あなたが出ている大和ハウスのCMは毎回違和感があって、なんてすばらしい役者なんでしょうってCMからでも伝わるそのオーラと演技。

 

つい先日も映画「関ヶ原」での脂ギッシュで腹黒く野心的な古狸、徳川家康を好演しておりました。恐らく特殊メイクだと思いますが、とんでもねーボテ腹も様になっておりましたw

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

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被害者の娘、咲江を演じるのは広瀬すず。

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是枝監督作品「海街diary」ではスポーツセンス抜群なサッカーのドリブルから、あどけなさの奥に潜む大女優の器の片鱗が覗けたりと、彼女の魅力を監督が120%引き出してくれたように感じました。

 

それからはもう誰もが知る広瀬すずであり、「ちはやふる」や「チアダン」といった元気でかわいらしい等身大の女性を常に演じているように思えます。

 

どちらかというと今作はどこか影を背負ってそうな、何かをした隠していそうな、今までとはまた違った雰囲気を醸し出していますが、いったい彼女が物語にどんな影響を及ぼすのか楽しみです。

 

彼女に関してはこちらをどうぞ。

 

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 待機作に生田斗真との共演で話題の映画「先生!、、、好きになっていいですか?」が10月に控えています。

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

被害者の妻・美津江役に、近年ドラマに舞台に不倫騒動に大忙しの、卒業式で泣かない冷たい人、斉藤由貴。

重盛と共に事件解明する弁護士摂津役に、舞台から映像作品へと徐々に活動の場を広げ、現在は必ず彼の背後に小栗旬!が潜んでいるといっても過言ではない吉田鋼太郎

重盛と同じ弁護士事務所に所属する若手弁護士川島役に、満島ひかりの弟であり、今年は「無限の住人」、「忍びの国」に出演した満島慎之介

検察官篠原役に、「シン・ゴジラ」の尾頭ヒロミ役で一気に知名度を上げた市川実日子

そして重盛の父彰久役に、「家族はつらいよ」、「東京家族」の橋爪功が出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今まで真実を後回しにしてきた男が、知りたいと願うほど深みにはまっていく男のドラマ。いったいどんな真実なのでしょうか。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

鑑賞後のモヤモヤ感を堪能せよ!

見終わって初めて感じるタイトルの妙、真実とは何かを提言した監督渾身の1作でした!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通のサスペンスだと思ったら大間違い。

過去に殺人を犯したものの死刑を免れた男の2度目の殺人。その彼を弁護することになった、真実など二の次、勝ってこそ正義な、依頼人の利益を最優先に考える弁護人が、供述をころころ変える依頼人に徐々に翻弄されていく様を、

優しく奏でるピアノ主体のBGM、表情から読み照れる、少しづつ熱量を帯びてくる役者の迫真の演技で魅了させ、真実とは何かという心理描写、そして日本の司法制度の在り方についてを見事に絡ませた作品でありました。

 

 

普通のサスペンンスドラマ、また法廷サスペンスというと、犯人が誰で動機がなんなのかを、物語が進むにつれて明らかにし、法廷では何が起こるかわからないような展開で検事と弁護士が言い争う様が浮かびます。

しかしこの映画、今まで描かれてきたセオリーなど一切無視した作りになっていました。

 

真実の追求

一番根幹にあるのは、真実は何かということ。

よく映画の感想を書いていてコメントを頂くのですが、自分と全く違う感想に腹を立てていちゃもん付けてくる人がいて、その人たちに対し、あなたと私は違う、ということを理解してほしいとレスポンスします。

同じものを見ていたとしても、感じ方や景色、見方、解釈など十人いれば十通りの答えや考え、思いがあるわけです。

 

いったい三隅はどうして殺したのか、なぜ供述をころころ変えるのか、そもそも本当に殺したのか、その答えを明確に示さないまま物語は幕を閉じ、我々にゆだねてくるのです。

そして今までそんな本当の答えを蔑ろにし、裁判で有利にするための法廷戦術を駆使し勝つことにこだわってきた重盛が、真実を追求していくことで変化を描いていく筋書きになっています。

それをこの映画は強く描いています。

 

 

裁判てこんななの?

そしてそんな真実を、立場は違えど、司法という同じ船に乗った裁判官、弁護士、検事たちの都合で捻じ曲げられてしまった制度に対してもこの映画は描いています。

 

決してTVドラマのような法廷など存在しないと思ってはいました。ですが、ここで描かれていた裁判は思っていたものとはるかに違うものでした。

 

実際裁判の前にあらかじめ何を話すか、どの部分について言及するかといった打ち合わせのようなものを、あらかじめ裁判官、検事、弁護士たちで、本番の裁判でスムーズに事が進むように話し合っていて、

いざ本番となり、被告人や証人の言うことが争点を覆すような展開になれば、裏で話し合い、今後どうるかを決めていくわけですが、裁判官も裁判員も、それそれこの法廷に真実の追求に費やすほどの時間を持っているわけではく、仕切り直しにする余裕もなく、とにかく合理的にことを進めようとする様が描かれていました。

 

裁判官も抱えている裁判はこれだけはなく、今扱っている裁判が長引けばそっちにも影響を与えてしまう過密なスケジュール。そして今回は裁判員裁判ということで、彼ら一般人も仕事を休んで来ている。

そういった様々な事情が重なり、真実がうやむやのまま判決が下されるという、かなりショッキングな流れでした。

 

 

三隅はそんな法廷で真実を述べることのできない裁判に、かつて憧れていた判決を下す裁判官に絶望を感じ、今回供述をころころ変えていたわけです。

 

 

監督の演出はさすが。

毎回毎回監督作品は情景で登場人物の心情を描いたり、言葉で語るのではなく、画で表現することに長けた作品が多く、そこを見落としてしまっても、なんとなく理解できる描写になっていて、そのあたりに監督のやさしさがにじみ出ているところが好きなんですが、今回も数々のさすが!な演出が施されていました。

 

最近の日本映画はとにかく顔のドアップが多く個人的にはその演出に嫌気が指していたわけですが、今作ではこれでもかというほど、登場人物たちの顔のドアップが目白押しです。

しかし私があれだけ嫌っていたのに、今作は全くいやな気がしませんでした。

 

まず一つ挙げられるのはドアップのバリエーションの多さ。

同じカットやサイズで顔を撮らないことで飽きを感じさせない画を作っていたような気がします。

話している人の後ろ頭を真ん中にし、重盛と摂津の顔のアップで挟むという構図が、より真ん中にいる対象に迫っているように見えたし、娘が流す嘘の涙の場面でも、それに対する重盛の反応ではなく、流した後の娘の表情をそのまま見せることで、娘の本当の気持ちが読めなくなる演出をしていて、これはうまいなと。

 

後はベタではありますが、心情を風景描写で現す場面ですよね。

一番思い出せるのは、咲江を尾行した後、公園で重盛に言及された時。咲江は隠していた事実を重盛に明かされた時空を見上げるんですが、そこで、木々が風で揺れる映像が映し出されます。まさにこれは咲江の心の揺れを描いていたと思います。

 

他にも、面会室で重盛と三隅がやり取りする場面で、重盛が右に三隅が左にいる状況を最初に映し、話がエスカレートしていくと、今度は位置が逆になり、重盛にかすかな光をあて、三隅の顔に影を落とすような画を撮ってるんですが、これによって益々三隅の供述が影を潜めていくということが分かります。

ラストカットでクロスする電線のカットから十字路に立つ重盛というのも、三隅が作った墓の十字架に重なるし、左の頬を拭うそれぞれ3人の姿を重ねるのもうまい演出でした。

 

そしてクライマックスの面会室でのシーン。

重盛を見ている三隅の顔にうっすらガラス越しの重盛の顔が重なるんですが、きれいに重なることはなく、むしろ徐々に重盛の顔が薄くなっていくという画。

重盛がようやく三隅の狙いが分かり、彼を理解し、歩み寄ろうとするのですが、これを三隅が突き放すんですね。それ本当に真実だと思ってるの?みたいな。

それを画で現してるんですね~。これはさすがでした。

 

そして何といっても事件の真実が見えてこないから、三隅の考えてることを必死に探ろうとする重盛のドアップの顔が自分と重なるんですよ

今まさに俺も重盛と同じ表情しながら見てる気がする、そう思いたくなるから、これだけ顔のドアップを見せられても違和感がないんです。

本当のこと教えてくれよ!!!」って叫ぶ重盛が、表情を伝って自分もそう思いたくなるんです。

 

縦の構図を撮るとき、後ろの役者に監督が芝居がつけられないから、今の監督は顔に寄ってしか画を撮れないって師匠から聞かされ、なるほどと思ってたんですが、話の内容によってはこの方法も決して悪くないな!と感じた映画でもありました。

 

 

 

役者陣の見事な演技。

イントロダクションで福山雅治の演技についてマイナスなことを書きましたが、今回の彼を見て評価が変わりました。

福山雅治は今回ベストアクトだったように思えます。簡単に言えば演技がクサくない。

ナチュラルな演技でもなければ、ダークに固執したような弁護士を演じてるわけでもない。たとえが悪いですが、法定速度ギリギリセーフなスピードで走っている車というか、一線を越えないような姿勢で演じていたように思えます。

冒頭から事件の真実を知りたくなるまでの重盛は、どこか「そして父になる」の良多のような、俺が正しいということに全く悪びれてない感じのテンションと似ていて、そこから徐々に自分のした過ちに気付いてからの、三隅と対面した時のこわばった表情や、そこから醸し出される緊張感は、素晴らしかったと思います。

 

この攻めの演技に対して、大きな器で受けの演技をした役所広司はもっと素晴らしかった。

最初こそ自分のしたことに罪悪感のない、ケロッとした態度で苛立たせた後、段々彼の考えてることが分からなくなり、不気味になっていく表情をすることで、観る者を吸い込んでいいくかのような佇まい。サイコパスともいえるし、空っぽなようにも見える。劇中で刑事が言っていた「空っぽの器のような男」を見事に体現していました。

 

広瀬すずも見事です。足を引きずりながら被害者の娘という難役を、感情を抑えに抑えて、悲しみと憎しみを混ぜ合わさったような表情はさすがです。

あのゲンキはつらつな彼女はどこにも見えず、陰の演技をこなしてしまう彼女はやっぱり日本映画にとって光であり、今後ますます期待できる女優さんだと確信の持てる演技だったのではないでしょうか。

 

役所広司は別格として、福山も広瀬すずも監督によってここまで演技を変えることができるのだから、やっぱ撮り方と芝居のつけ方を映画監督は意識してやってほしいですね。

 

 

 

最後に

考えがまとまらないままとっ散らかった感想になってしまったんですが、要はあなたはこれを見てどう思いますか?という映画だったということ。

結局三度目の殺人は誰がやったのか。真実を明かさないまま判決を言い渡した裁判官なのか、真実を明かすことができずふがいない結果になってしまった重盛なのか、同じく真実を明かすことができず三隅を救うことができなかった咲江なのか、はたまた全て計算通りの三隅なのか。

色々な解釈ができる作品であり、観た後誰かと語りたくなる作品でした。

 

正直もう一度見ないと整理できないし、考察もへったくれもないw

だけど見終えた後感じた「これはすごいな」という思いに嘘偽りはありません。

監督らしい作品だったし、新たな挑戦の映画でもあった気がします。

観た後にわからなかった~はははwで終わらっせるんじゃなくて、真実とは何か。あなたが思うこの映画の真実は何なのか。考えてみることからこの映画は成立する気がします。

てか、バッファロー吾郎Aなんてどこに出てた?

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10