モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「あゝ荒野前篇」感想ネタバレあり解説 食い入るように見てしまう濃厚な2時間半!

10月7日

あゝ、荒野 前篇

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寺山修司。名前はもちろん存じておりますが、肩書きは何なのか。小説家?演出家?歌人?映画監督?クリエイターってことでいんですかね?

全く通ってこなかった方の原作が、今回こうして映画となって現れたわけで、初めて触れることになる寺山作品を堪能しようと思ってるわけですが。

 まぁ彼がどうとかそれ以前に、ボクシング映画、青春映画として十分に楽しみなのであります。もう主人公二人がすげえ良さげじゃないですか。めっちゃアバウトですけどw

実はこれ、既に全6話形式をU-NEXTで配信、その後11月1日にはDVD発売という超短期戦略なんです。自宅でゆっくり、というのもいいんですが、できれば映画館でみたいわけで。

主役の2人がどれだけの熱量で演じているのか体感すべく鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

昭和の激動の時代に生きたカルチャーアイコン、寺山修司が唯一執筆した長編小説を映画化。

人々の“心の荒野“を見つめた傑作が、半世紀以上を経て大胆に再構築され新たな物語として描かれる。

2020年東京オリンピック後の東京・新宿を舞台に、都会の片隅に生きる人々の“心”を鋭く描き出す。

 

あゝ、荒野 (角川文庫)

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あらすじ

 

 

 

 

 

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監督

今回監督を務めたのは、岸善幸

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初めて聞く名前の監督さんですが、どうやら今回が2作目だそうです。

元々はテレビ制作会社に務めていてテレビ番組の演出、構成、プロデュースなどで活躍し、数々の賞を受賞。

そして、2016年、修士論文のテーマとして隣人を追跡尾行していくことで行為そのものに夢中になり、日常に影響を及ぼしていく様を描いた「二重生活」で映画デビューします。

 

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キャスト

少年院上がりの不良、新次を演じるのは菅田将暉。

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今年は「キセキーあの日のソビトー」、「帝一の國」、「銀魂」、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の声優と、相変わらず活躍しまくりの菅田くん。

この公開後も、又吉直樹の処女小説の映画化した「火花」が11月に公開予定。

ちょっとくらい休んでくれ。

 

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吃音で赤面対人恐怖症の床屋、バリカンを演じるのは、韓国の俳優ヤン・イクチュン。

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今回何が見たいって彼が、この難役をどう演じるかってところですよ。

名作「息もできない」でのコワモテヤクザを演じていた彼が、人と接することに臆病な設定の役をどう演じ、どうボクシングを通じて一回り大きくなっていく姿を体現するのか。彼の役者魂に期待です。

 

そんな彼の代表作を簡単にご紹介。

韓国インディーズ映画で活躍していた彼は、初の監督、脚本、製作、主演を務めた作品で、韓国の若者達の父親世代との葛藤を軸に、愛を知らずに社会の底辺でのさばるヤクザと、心に傷を負った勝気な女子高生が、ぶつかりあいながら互いを尊重しあっていく、すさまじい暴力描写とリアルな感情表現で綴ったヒューマンドラマ「息もできない」で国内外の映画賞で絶賛される快挙を成し遂げます。

その後は韓国を拠点にしながらも、日本の作品にもいくつか出演。

一組の夫婦が結婚詐欺を企て出展資金を稼いでいくも、男女の割り切れない愛憎と欲望を描いた西川美和監督作「夢売るふたり」、思春期真っ盛りの中学生と、謎のシングルファーザーの奇妙な交流と、自らの妄想を爆発させていく青春バラエティ「中学生円山」などに出演しています。

 

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他のキャストはこんな感じ。

二人に才能を見出す元ボクサー・片目役に、「交渉人真下正義」、「キサラギ」のユースケ・サンタマリア。

ラーメン屋の孤独な娘・芳子役に、NHK朝ドラ「花子とアン」に出演していた木下あかり。

新次の母で、ケアホームで働くクールな美人秘書・京子役に、「ぐるりのこと。」、「東京島」の木村多江

二人の鬼コーチ・馬場役に、「冷たい熱帯魚」、「忍びの国」のでんでん

バリカンの父・建夫役に、「キッズ・リターン」、「シン・ゴジラ」のモロ師岡

ボクシング好きのケアホームの社長・宮本役に、「ハッシュ!」、「そこのみにて光り輝く」 の高橋和也らが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

前後篇合計5時間なる大作の前篇にあたる今作。21世紀を代表する青春映画となるのでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

長尺だけど全然飽きない!!

今後訪れるかもしれない社会問題を背景に、今を生き抜こうと必死にもがく2人の青春物語!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あゝ青春。

今以上に息苦しくなった少し先の未来を舞台に、少年院あがりのキレる体質持ちの少年と、父親から虐待を受けてきた吃音の青年がボクシングを通じて出会い、互いを高め合い、必死で今を生き抜こうともがいていく青春ドラマでした。

 

しょっちゅう遊びに行ったり飲みに行ったりと何かとお世話になってる新宿。表こそ賑わいを見せる華やかさや、ビルが軒並み連ねるビジネスな面も見せ、ちょっと裏通りや路地裏を覗けば、21世紀だというのに昭和の匂いを今でも残している。

 

そんな独特な世界を構築した日本最大の街で暮らす人々の、何かに押しつぶされそうになりながらも、それでも今を生きていこう、生きていくことでしか今を打破することはできない、そんなエネルギーに満ち溢れた物語だったと思います。

 

人生を親によって躓くことになってしまった2人の主人公、部下を亡くし生きる希望を見失った老人、夫に自殺され子を捨ててでも生きていこうと決意する女、震災を経て体を売ることでしか生きる感覚を得られない女、過去の栄光を次世代に託し身を粉にして働く元ボクサーなど、様々な辛い過去を抱えた登場人物全てにドラマがあり、後編の展開が気になる内容でもありました。

 

今を一生懸命に生きるということはどの世代でも青春であり、またこのコンクリートジャングルという名の乾いた荒野で、必死に花を咲かせようとするどの世代にも青春を謳歌している、そんな物語のようにも思えます。

 

 

ボクシングが本気。

前篇では、少年院から出所した新次が、因縁の相手へ殴り込みに行くボクシングジムの外で、たまたまティッシュ配りをしていた建二が彼を助けるところから、ボクシングでプロデビューをし、栄光と挫折別々の道をたどることになる2人の姿までを描いていました。

 

やはりボクシングを題材としているだけあって、スパーリングやジョギングといった練習風景から、試合を控える彼らから伝わる緊張感とそこから解放されがむしゃらに相手に立ち向かう試合内容とかなり本格的。

なんてったって二人のパンチの音がいい!ただ殴ってるだけじゃない本気の重い音が場内で響き渡ります。

他にもステップやフットワークといった運動神経もなかなかリアルな動きをしていて躍動感が伝わります。

細かいところで言うならば、若干のぜい肉は残っているものの、体の仕上がりもいい。特に建二の方から脇腹のラインがいい筋肉をしています。もちろん新次演じる菅田将暉もただ細いだけだった体を、恐らく増量して臨んだであろう逞しさ。

この二人は役者だなぁと感じる瞬間でありました。

 

サイドストーリーについて。

恐らくこの映画で見た人が、これこの物語に必要か?とおもわれる自殺防止サークルの面々。

自殺してしまった人を目の当たりにした人たちが、どうしたら自殺を止めることができるのかを真剣に考え、この世知辛い世の中でいったいどれくらいの人が本気で死にたいと思っているのかという疑問から、実際に死にたい人を集め観察し、答えを見つけ出していくという学生たちで構成された団体の話が、主人公たちのエピソードと並行して描かれているんですが。

 

端的に言えば、生きる希望を得た2人に対し、死を意識したこのパートは物語の陰を描いていたと思います。

生きる喜びをボクシングというスポーツによって与えられた2人の姿とは違い、こちらは死を思うことで生を感じようとするエピソードでした。

この対比を描くことによって、個の生の葛藤と、社会全体の生の葛藤、と2つの視点からテーマを広げていたのではないでしょうか。

 

こちらに関してはラストで思いもよらない結末を迎えるので、後篇では主軸のストーリーとどのように絡んでい来るのか楽しみです。

 

 

そして、2021年の日本ではいったいどんな問題が巻き起こっているのか、という部分も見逃せません。

新宿歌舞伎町というど真ん中で爆破事故が起き、東日本大震災から10年が経っていても何も変わらない現状、未だ原発問題の解決しない状態や、奨学金を食いが代わりに収める代わりに社会貢献で返金するという社会奉仕プログラム、その実態は自衛隊派遣という徴兵制という隠された政府の陰謀など、物語の端々では実際に起き得るかもしれないキーワードがセリフの中に盛り込まれています。

 

見た目は今と大して変わらない日本もこうした問題が巻き起こっており、それに左右されると同時に、今以上に窮屈になっている人間の内面を深掘りさせる演出になっていたと思います。

 

 

セックス描写は必要か。

今作はR15指定となっており、生々しい暴力描写、そしてがっぷりよつなセックス描写が盛りだくさんな内容になっていました。

 

暴力描写に関しては、新次が少年院へ入るきっかけとなった事件の回想シーンが一番生々しかったでしょうか。

新次は、孤児院で出会った年上の男を慕い、彼を中心にオレオレ詐欺を繰り返していました。

ある日、いつものように老人を騙し、振り込まれた金を持って移動しようとしたところを白昼堂々襲撃に遭ってしまいます。その襲撃した相手が共に詐欺をしていた仲間、裕二でした。

別の仲間に抑え込まれ、慕っていた男がやられる様をただ見ているいかない新次の悲しい叫び。その男を鉄パイプのようなものでひたすら袋叩きにする裕二。不意を突き歯がいじめ状態を振りほどいた新次がナイフで次々に切り刻んでいく描写は、非常に生々しいモノでした。

 

そして肝心のセックス描写ですが、菅田将暉のセクシーな後ろ姿、同時に性欲任せの激しいカラミを、ファンは果たして受け入れられるかどうか、というくらい結構な尺で描かれていました。

芳子に至っては、男をホテルへ誘い、本番をした後、男の財布を盗んで姿を消すという売春と置き引きの常習であり、新次も引っかかる羽目に。

お風呂で一発、髪乾かして一発、鏡越しで一発、何か飲む?からの一発、昔話からの一発、合計7発(後の会話でそう言ってました)と、新次の3年ぶりのセックスということで、まぁ激しいこと激しいこと。

 

こんなにいるかい?セックスシーンとお思いですが、やはり生きている実感を描く上で、なくてはならない日常の一部だと思うんです。心が生きると書いて性なのですから、彼らがその悦びを感じるうえでは欠かすことのできないシーンだったのではないでしょうか。これぞ青春ですよ。性春?ではないですが。

 

余談として「チ○ポの七不思議」という歌を新次が歌っていたのが良かったですね。初めて聞きましたよそんな歌w

 

 

 

最後に

役者陣も非常に良かった!特にユースケ・サンタマリア演じる片目がユースケそのもので、うさん臭いしテキトー、しかも元ボクサーっぽい体の細さ。俺ユースケの喉仏のラインが好きなんですよねぇ。男として憧れるわぁあの細さw

でんでんの鬼っぷりもさすがだし、高橋和也の変態ぶりとAV鑑賞からの営業トークを瞬時に切り返す演技の素晴らしさ!もうジャニーズの面影ありませんww

 

正直言って前編ということでまだカタルシスが感じられないまま終わってしまうというのが少々残念ではありますが、後篇は裕二との因縁の対決、そしてバリカンの決意、芳子と母、新次と母という親子エピソード、そしていよいよクライマックスとなる新次とバリカンの直接対決が描かれていくので、非常に楽しみです。

 

今回は全編ということで満足度は控えます。後編を見て満足度を決めたいと思います。今のところかなり面白いですけどね。

 

というわけで以上!あざっした!!