モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「探偵はBARにいる3」感想ネタバレあり解説 監督が代わったことで良かったこと悪かったこと。

探偵はBARにいる3

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3作目までやると思ってませんでしたね~。

だって2が興行成績振るわなかったでしょう。

 

 でも、やるのだったら好きなシリーズですから、見に行かないわけにはいかない。

 

水曜どうでしょう」と思ってしまうほど体を張る大泉洋を見てるだけでも楽しい。

東映ならではの、危険なニオイがするハードボイルド&バイオレンスも素晴らしい。

毎回登場するヒロインがとてもキレイ。

探偵物語」の模倣なんていわずに、是非見て欲しいと思うのです。

 

とにかくですね、監督が代わってしまったのがちょっと不安なんですが、楽しみにしていたので早速観賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

作品情報

妖しいネオンが輝く、アジア最北の歓楽街=札幌・ススキノ。

この街の裏も表も知り尽くした、自称「ススキノのプライベートアイ」。

 

ミステリー作家・東直己の代表作「ススキノ探偵」シリーズを映画化した第3弾。

 

フィリップ・マーロウ(ロング・グッドバイ)、ジェイク・ギテス(チャイナタウン)から、工藤俊作(探偵物語)、金田一耕介、果ては江戸川コナンに至るまで、誰もが一度は憧れ、誰もがこよなく愛してしまう「探偵」モノと、主人公とはまるで対照的な相棒が生み出すバディムービー、そして美しい容姿とミステリアスな雰囲気を兼ね備えたヒロインとの叶いそうで叶わない恋路を、作品の中にうまく落とし込んで人気を博してきた「探偵はBARにいる」。

 

前作、前々作と変わらぬキャスティング、変わらない関係、お決まりのセリフが飛び交う中で、今までとは違う予想だにしない方向へと進んでいく。

 

 

 

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あらすじ

 

 

「恋人の麗子(前田敦子)が失踪した」。

 

高田(松田龍平)の後輩からのありふれた依頼を安易に引き受けた探偵(大泉洋)。

早速調査に乗り出すと、探偵は麗子がアルバイトをしていたモデル事務所のオーナー・マリ(北川景子)と出会い、かすかな既視感を覚える。

 

しかし周囲を嗅ぎまわる探偵はマリの手下に襲われ、これまで無敗を誇った高田も倒されてしまう。

 

次第に麗子の失踪の陰に、裏社会で暗躍する札幌経済界のホープ・北城グループの殺人事件が見え隠れする。

マリはグループの代表・北城の愛人だった。

 

そんな中、何かを思い出す探偵。

なじみの元娼婦・モンロー(鈴木砂羽)がかわいがっていた、今にも死にそうに震えていた女――

 

「あれか…?あれがマリか…?」

 

緊張が走る裏社会、巨額の薬物取引、2つの殺人事件――。

すべてはマリによる、北城(リリー・フランキー)をも欺く作戦であった。

そしてマリは、探偵に最後の依頼を託す。

 

その時、探偵と高田の別れへのカウントダウンが始まっていた。(HPより抜粋)

 

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監督

今まで手掛けてきた橋本一から交代し、今作を手掛けるのは吉田照幸

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NHKからキャリアをスタートしたお方だそうで、これまでに「サラリーマンNEO」や「あまちゃん」などの演出を手掛けてきたいわゆるコメディ畑の人。

 

今回彼の監督作を初めて見るわけですが、正直あまりにもゆるすぎたらちょっとどうしようと、多少の不安を持ってます。

ユーモアに重きをおかないような話運びになっていることを願いたいですね。

 

 

そんな監督がこれまで手掛けた作品を紹介。

NHKのイメージを覆す斬新なスタイルで人気を博したコント番組が映画となった「サラリーマンNEO劇場版(笑)」で監督デビュー。

 

その後、東野圭吾のベストセラー小説で、研究所から生物兵器を盗んだ犯人が事故死したことから、生物兵器を探す羽目になってしまった主人公の悪戦苦闘をユーモラスに描いた「疾風ロンド」の2作品をこれまで手掛けています。

 

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キャラクター紹介

 

左上から。

 

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  • 探偵(大泉洋)

 

探偵とはあくまで職業で名は明かされていない。

普段夜は行きつけのバー「ケラーオオハタ」の一番奥のカウンターで相棒の高田とオセロをしながら依頼の電話を待つ。

朝は決まって喫茶「モンデ」でナポリタンとブレンドコーヒー。ススキノの表も裏も精通している顔の広さで、基本見た目で人を判断しない。人情に厚く、女に惚れっぽい。携帯電話は持たない主義。もじゃもじゃ頭のカットはそんじょそこらの人では手に負えない。

 

  • 高田(松田龍平)

 

北大農学部で助手の傍ら、空手の師範代という異色の経歴を持つ男。

基本常に眠い。探偵がピンチのとき必ず呼び出しに遅れるが持ち前の格闘センスで敵を一網打尽にしてしまう。

愛車はどうやって車検に通ったのかわからないほどオンボロのビュート。中々エンジンがかからないが心をこめてお願いすると黒煙を出しながら動く。おかきが大好き。

 

  • 岬マリ(北川景子)

 

モデルエージェンシー❝ピュアハート❞のオーナー。

だが店の実態は若い女性を男たちにあっせんする風俗店。北城の愛人でもあり、失踪した麗子の行方に深くかかわるなど、謎多き美女。

 

  • 諏訪麗子(前田敦子)

 

道央女子大学に通う、一見普通の女子大生。

合コンで知り合った原田と交際しているが、実は原田に内緒で❝ピュアハート❞でアルバイトをしていた。ある日、突然疾走する。

 

  • 北城仁也(リリー・フランキー)

 

札幌経済界のホープともてはやされる、北城グループの社長。

表向きは慈善活動に積極的な人道派だが、実は異常なまでのサディスト。ヤクザと盃を交わし、あらゆる悪事に手を染めている。

 

  • モンロー(鈴木砂羽)

 

探偵の昔なじみの元・娼婦。

姉御肌で若い娼婦の面倒見もよかったが、現在は結婚し、幼い子供を育てながら小さな漁港の食堂で忙しく働いてる。マリの過去を知る数少ない人物。

 

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  • 松尾(田口トモロヲ

 

北海道日報の敏腕記者。

隠れゲイ。以前探偵に自身が男と寝ていた写真を回収してもらってからの仲。現在は探偵の情報源として協力。

 

  • 波瑠(志尊淳

 

北城の手下の青年。

華奢な外見とは裏腹に、あの高田を完膚なきまでに叩きのめすほどの使い手。いつも不気味なほほ笑みを浮かべているが、ケンカになると冷酷な男。

 

  • 源(マギー

 

ススキノのソープでサンドイッチマンとして客引きをしている男。

ヘビースモーカー。探偵と会うたびに金髪美女いるよと声をかけるもあしらわれるが、彼の仕事に協力する頼もしい存在。

 

  • 峰子(安藤玉恵

 

探偵行きつけの喫茶店「モンデ」の看板娘。

常にパッツンパッツンの制服でボディラインを強調し探偵を誘惑するも邪険に扱われる。それでもめげない。探偵が依頼人の女を連れてくると嫉妬する。日本人かどうか不明。

 

  • 教頭先生(正名僕蔵

 

キャバクラである国際問題を起こし、探偵に弱みを握られ泣く泣く潜入捜査の手伝いをする。

ススキノ内の店を知り尽くす❝風俗王❞として界隈では有名人。

 

  • フローラ(篠井英介

 

ショーパブ❝トムボーイズ・パーティ❞のママ。

前作で殺されたマサコちゃんを店で雇っていた縁で、今も店の面倒な客を追い払ってもらうなど互いに協力し合う。

 

  • 相田(松重豊

 

桐原組若頭。

探偵が組長の子供を家庭教師していた縁で、今でも腐れ縁の仲。組長の隠し子の日常を定期報告しなければならない探偵が、それを怠ると押しかけてくる。サウナ好きで首を白めにして首を鳴らす癖がある。裏の世界の情報は基本彼から。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はいったいどんな事件に首を突っ込むことになるのか。

高田をクビにするとはどういうことなのか。

コンビ解消!?そしていつも通りの切ないラストとなるのか!?

楽しみで仕方ない第3弾!

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

感想

相変わらずの軽妙と刹那!でもハードボイルドさが薄れちゃったかなぁ。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北海道の未来は大泉洋にかかっている。

暇つぶしで受けた依頼料10800円のありふれた依頼が、あれよあれよと白い粉の行方にまで絡んでいくやば~い案件と、事件の真実を握る美女。

日本の最北端にある歓楽街は今回も危険な香りでいっぱいな、相変わらずのテイストで楽しませてくれました。

 

 

いちいちカッコつけては痛い目に遭い、素なのか演技なのかわからない芝居で観衆を楽しませる「糞尿まみれの天パ野郎」こと探偵さんと、対照的にぼぉ~っと事件の行く末を見守る高田君。

 

そんな二人の軽妙な掛け合いに待ってました!と心の中で叫んだんはきっと僕だけじゃないはず。

 

いつも傷だらけの探偵に対して傷をなかなか追わない高田。

喜怒哀楽やリアクションなどはっきりする態度の探偵に対して何を考えているかわからない高田。

また惚れたんじゃないだろなぁ、な探偵に、実は後輩思いの高田。

 

どんなに危険な目に遭っても余裕綽々な2人のセリフのやり取りが、コンビ解消の予感が水面下で流れる中でも、非常に頼もしくあり、ほんとに高田はクビなのか!?と不安にもなり。

 

 

それでも期待は僕らを裏切ることなく、「用があるときはここへ連絡してくれ」とケラーオオハタの名刺を渡すシーンや、オンボロ車のご機嫌伺いやお尻を一杯刺された傷をおカマが癒す件、相変わらず睡魔と戦う高田君、彼の手には必ずおかき。

 

このように過去作から変わらない小道具やエピソードが出てくるたびに、シリーズファンとしては興奮するものです。

 

他にも、実は探偵を掘ろうとしていたことが発覚した北海道日報の松尾。

腐れ縁なんだからちょっとは手加減してやれよと、彼の肩を叩いてなだめたくなる相田。

マジかよ・・・なんて色のブラつけて出てくるんだ・・・でもセリフ増えてよかったね!な峰子。

今回しれっとプチ活躍してる源ちゃんなどなど愛すべきキャラも健在。

ブッチョは相変わらず相田の下っ端なのねw貫禄出たのに。

 

 

そんな東映が代表する人気シリーズを背負って立ち、北海道に生まれ北海道を愛し、北海道の未来を一身に受けて立つ男、大泉洋。

 

今回も寒空と雪景色の中を体を張ってPR。

シリーズ存続のため、北の大地で盛り上げる北海道日本ハムファイターズのため、地元のタレントを使って地元愛を全国に広めるため、奮闘に奮闘を重ねています。

 

ただ、多少のタイアップは目を瞑るとして、今回はちょっと癒着が過ぎたか。

それでも彼らが帰ってきたことは何より嬉しいことだよなぁと、改めて思うわけでございます。

 

 

 

監督変わるとこうも変わるか。

しかしながら、やはり鑑賞前からずっと抱えていた不安は見事に的中。

 

1作目での背中から漂うあの切なさと銃弾が飛び交うクライマックス、2作目での身を挺ての深手とエロスとヤバイ自警団といった、「探偵はBARにいる」シリーズにかかせないハードボイルドさがとうとう今回では無くなってしまった。

 

 

やはりコメディ専門の監督ということだけあって、今までなかった間の取り方で観衆をクスッとさせる演出は見事ではありました。

 

しかし、本編になくてはならない男臭さや血の匂い、飛び交う銃弾などなど、裏も表も知り尽くす探偵のヤバイ局面てのが明らかに少なく、非常に物足りなさを感じました。

 

 

せっかくシリーズ名物の昭和歌謡ロック主題歌として今回使われたあがた森魚の「大寒町」が霞んでしまい、ヒロインであるマリの真実を知った時の物悲しさも薄れてしまい、ちょっと悔しさも入り混じった気持ちを抱いてしまいます。

 

 

後は変な演出というか編集もすごく引っかかる。

 

いつも通り情報提供する場の一つとして描かれる相田とのサウナのシーン。

ブッチョが熱波を探偵に送る際、絶妙にいらないCGで熱波を描いたり、波留とのバトルでズボンをおろして蹴りをさせないていうのもちょっとマヌケ。

 

そしてクライマックスで来ないはずの高田登場後、スローモーションでアクションを描く意味が全く分からず、長回しで彼らの激闘ぶりを描いてくれるのがこのシリーズの醍醐味の一つだったと思っている自分としては、非常にいらない演出が目立った作品でありました。

 

 

他にも色々気づくことも多く。

探偵の部屋が今回変わっていること、強敵登場で高田が道着を着て特訓しているとこ、コンプライアンスのせいで路上喫煙をするシーンが減ったこと、ヒロインと寝てしまうことなどなど、色々な変化に良かったこともあったけど悪かったことの方が多くてモンキー的にはちょっと残念にも。

 

 

実は話もちょっとややこしいのが難点

一番の理由は今回の依頼が高田の後輩から始まり、首を突っ込んだあげくマリの計画によって探偵がダシにされ、終盤でようやく依頼を受けるという流れ。

いかにもシンプルな流れでないため、なかなか話の本題に入らないのがだるい。

 

もちろんシリーズからずっと携わってきた古沢良太の脚本だから、最後はビシッと占めてくれるんだけども、これまでに挙げた「自分がしっくりこなかった部分」を総合してみると、やっぱり物足りなさがありました。

 

 

 

役者陣は安定の演技

話に関してあれこれ苦言を呈した感想ですが、役者陣に関しては全然問題ございません。

 

探偵演じた大泉洋は、いつも通り、絶妙にかっこよくて絶妙にコミカルで絶妙に切ない顔を僕らに見せることで愛着がわくし。

今回もド派手にバトルしたかと思えば、雪が舞う中素っ裸で漁船の先導に括られる体を張る姿、拳銃を口に突っ込まれても絶対に弱音を吐かない、覚悟と肝の据わった演技。

 

高田演じる松田龍平も、「まほろ駅前~」の行天とどこが違うんだ?というくらい、のら~くら~りないつも通りの芝居。

今回仮面ライダー張りのキックを見せるのが一番の見どころでしょうかw

 

北川景子は相変わらずの美しさで、金に目のくらんだ女王様気質のモデル事務所社長tってのが様になっていました。

逆に過去のシーンでも薄幸な様子がこれまたピッタリ。

セリフ回しや細かい芝居はまぁ置いといて、雰囲気を出すだけでも女優としてはセーフだったと思います。

 

逆に前田敦子はどうだったのか。

モンキー的に彼女はホームランバッターなので、中々打席に立っても空振りばかりが多いですが、今回は天然を装う今どきの女子大生というのを、あえて分かるように露骨に嘘くさく演じたのがうまかったと思います。

褒めてますw

 

リリーフランキーはいつも通りコワモテサディスティックなヤクザまがいのやり手社長を演じていたし、まさかの天山にタラバガニを口に押し込んで苦しめるというシーンは、「ああこの社長言われた通りのドSだなぁ」と。

 

主要キャストに関しては特にマイナス要素もなく良かったですね。

 

 

 

最後に

命を燃やすものが現れれば、今の苦しい状況は一変し希望に向かって生きていける。

 

そんなメッセージを込めた物語は、監督交代のための余計な演出が目立ち、前作までのヤバイ匂いから大衆向けのバディムービーへとなり下がってしまったように感じます。

 

しかしながら、改めてマリという女の一生を考えてみるとめちゃくちゃ切ないよなぁと。

本当にあれで彼女は救われたのか?と疑問を感じるんだけど、探偵が言うように他人にはまったく理解できない、命を燃やすものに彼女は出会えたわけで。

 

だからさ、ラストはもっとグッとさせてよぉ~ってなっちゃうんだよなぁ。

 

 

クライマックスは、披露宴という晴れの場で銃を乱射し復讐を遂げる1と、政治家の演説の中で殺害しようとするヒロインをギリギリで制止する2を足して割ったような流れ。

群衆の中で発砲するも実行できない流れにするなら、3ならではの結末にしてほしかったなぁ、というのも本音。

 

 

どれもこれもシリーズが好きだからこその苦言であり、モンキー的には1の時のようなあの雰囲気に戻ってほしいのであります。

橋本一よ、戻ってこいっ!!

 

あ、今回エンドロール後のオマケもありますのでお楽しみに。

あそこが一番笑えたなぁw

というわけで以上!あざっした!!

 

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満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10