モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「50回目のファーストキス」感想ネタバレあり解説 オリジナルとどこが違うのさ。

50回目のファーストキス

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  夜な夜なレンタルビデオ店に来る「ぼっち女子(推定)」が、かなりの確率でレンタルした(ホントたくさんいたんですよ)名作「50回目のファーストキス」が、日本でリメイクされる運びとなりました。

 

 

 キャストは非常に期待できるメンツなんですが、監督が僕がかなり好きではない人なので、これ大丈夫か・・・

ギャグばっかりでちゃんと映画として成り立ってるのか?

大きめの不安を抱いております。

 

きっと大筋の話は脚色してないとは思うので、そこだけが頼りです。

 

というわけで早速観賞してまいりました!!

 

 

作品情報

誰もが憧れる美しい島、ハワイを舞台に、記憶障害によって前日のことを全て忘れてしまうヒロインと、そんな彼女に一途な思いを寄せる男が繰り広げる毎日を、最初から何度もやり直すことで恋の顛末を描いたロマンティックコメディ。

 

2004年にアメリカで公開され1位を獲得したドリュー・バリモアアダム・サンドラーの同名作品を、ギャグマンガの実写化でお馴染み福田雄一の手によって、若干の改変を加えてリメイク、初のラブストーリーに挑む。

 

偶然の出会いが一生に一度の運命の恋となったふたりの純愛を見終えた後、大切な人にキスしたくなる純愛映画です。

 

 

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映画「50回目のファーストキス」オリジナル・サウンドトラック

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あらすじ

 

 

ハワイでコーディネイターをするプレイボーイ弓削大輔(ゆげだいすけ)(山田孝之)はある日、
カフェで藤島瑠衣(ふじしまるい)(長澤まさみ)という女性と出会い恋に落ちる。

 

しかし、翌日同じカフェで会った彼女は大輔の事をまるで覚えていない。
実は彼女は交通事故の後遺症により、新しい記憶は1日で消えてしまう短期記憶障害を負っていたのだ。

 

彼女を想う父と弟の手で、その事実を隠され、同じ日を繰り返す瑠衣。
事情を知った大輔は、毎日、自分を覚えていない彼女に一途に愛を告白し続ける。

 

瑠衣にとっては毎日が大輔との初対面。
大輔の機転と努力により結ばれた二人だが、
大輔の本当の夢を知った時、瑠衣はある行動に出るー(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのは福田雄一。

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問題作といわれながらも、ふたを開けてみたら実写映画ナンバー1興行収入をたたき出してしまった「銀魂」。

見事な記録を作った作品を監督したのが、この男でございます。

 

正直僕はこの方の映画は見たくありません。

あくまで「映画」です。

それは何故かというと、「勇者ヨシヒコ」が大好きだから。

 

というか、彼はTVサイズのクリエイターだと思うんです。

こと映画になると堅い画ばっかで途中飽きるんですよ。

堅い画ってのは、具体的に言うとカメラを固定にした仕事投げっぱなしのような撮影。

画が全く動かないために、全然気持ちが進まないって意味です。

 

その「堅い画」を決定付けたのが「女子ーズ」なんですけどもw

 

 

女子ーズ

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彼ってアイデアとかネタは非常にうまいと思うんです。

すごく興味をそそりそうな内容。

でもふたを開けると、「あぁこれ、福田が絶対途中で飽きてるな」ってのがなんとなくわかるんですよね。

どこか投げやりな。

 

だから彼は30分程度の深夜帯ドラマが丁度合うなぁ、っていつも感じてしまうんです。

 

なので今回はどうしても「キュートなまさみ」観たさに、いやいや名作のリメイクってのが理由で、仕方なく彼の作品を見るわけです。

 

 

そんな彼の代表作をサクッとご紹介。

劇団の座長や、放送作家を経て映画監督も手がけるようになった彼は、憧れのマドンナによって真冬の海の家に呼び出された6人の男たちが妄想バトルを繰り広げる「大洗にも星はふるなり」で長編監督デビュー。

その後、パンティをかぶると正義の超人に変身し悪人達を懲らしめる姿を描いた、90年代前半に男子の心をわしづかみにしたギャグマンガを実写映画化「HK 変態仮面」では続編まで製作される加熱振りを見せ話題となります。

 

HK/変態仮面

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恐らくここからギャグマンガの実写映画なら彼にお任せ、と言わんばかりに次々にヒット作を連発。

 

40過ぎて会社をやめ、突然漫画家を目指す中年バツイチ男のダメな日常を描いた「俺はまだ本気出してないだけ」。

TVアニメも好評の大人気ギャグマンガを実写映画化し、今年続編も公開されるSF時代劇エンタテインメント「銀魂」。

超能力を持ちながらも平凡な生活を望む主人公が、周りの人間によってトラブルに苛まれていくギャグ映画「斉木楠雄のΨ難」など、様々なギャグマンガを実写映画に仕立て上げています。

 

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キャスト

主人公弓削大輔を演じるのは、福田組常連の山田孝之。

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かつてはアイドル俳優的立ち位置でオスカープロモーションの看板を背負っていたわけですが、いつの間にやらカメレオン俳優と称され、最近ではコミック実写化ばかり。

しかも3枚目というかユニークな役どころばかりを演じております。

 

CMでもインパクトのある姿を見せており、洗髪しながら歌を歌ったり、ガチでゲームに熱中したり、コーヒー飲みながらサラリーマンを讃えたりなどどれも個性的。

そんな彼の久々の恋愛映画ということで期待が高まります。

 

 

というわけでザックリ彼の代表作をご紹介。

 

突然訪れた世界の終末の中で希望を探そうと奔走する男女の極限の状況をリアルに描いた「ドラゴンヘッド」で目の前の現実に狂いだしていくノブオを好演。

 

その後、2ちゃんねる内で話題となり、書籍を一メディアミックス展開により一大ブームを巻き起こした、オタクと美女の純愛ラブストーリー「電車男」。

不良ばかりの学校で頂点を目指し日々ケンカに抗争に明け暮れるワイルドサイドの男たちの姿を熱く壮絶に描いた「クローズZERO」シリーズなど、クセのある役どころで存在感を放っています。

 

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近年もコミック実写化に出演を費やしており、法外な利息と非常な取立てで恐れられる闇金業者の姿を過激に描いた「闇金ウシジマくん」シリーズや、歌舞伎町のスカウト会社で男を上げようと日々精進する主人公の成長と裏社会の抗争を描いた「新宿スワン」、戦国時代にタイムスリップした高校生が、織田信長と入れ替わり天下統一を目指していく「信長協奏曲」、長きに渡ってコミック連載し不動の人気を得た「ジョジョの奇妙な冒険」の4部を実写化した「ジョジョの奇妙な冒険/ダイヤモンドは砕けない第1章」など、たくさんの話題作コミック原作作品に出演を繰り返しています。

 

 

彼に関してはこちらもどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

記憶障害の女性、藤島瑠衣役に、「銀魂」、「モテキ」、「嘘を愛する女」の長澤まさみ。

大輔の親友、ウーラ山崎役に、「サマータイムマシンブルース」、「ヒメアノ~ル」、「空飛ぶタイヤ」など、福田組に欠かせない男ムロツヨシ

瑠衣の父親、藤島健太役に、「大洗にも星はふるなり」、「幼獣マメシバ」、「blank13」などに出演し、こちらも福田組にかかせない男佐藤二朗

大輔のアルバイト先の上司、味方和彦役に、「テルマエ・ロマエ」、「あしたのジョー」、「孤狼の血」の勝矢

瑠衣の弟、藤島慎太郎役に、「桐島、部活やめるってよ」、「ポンチョに夜明けの風はらませて」、「南瓜とマヨネーズ」の大賀

大輔の同僚、高頭すみれ役に、「チア☆ダン」、「この空の花~長岡花火物語~」、「神様の言うとおり」の山崎紘菜などが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

ギャグパートが多そうですが、ちゃんと純愛映画になってればオレは許すぞ監督。

そうでなかったら怒るぞ監督。

さらに泣かせてくれたら褒めてやるぞ監督。

全部上から目線ですが、まさみをキレイに映してください。

そこだけはお願いします・・・。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

すげぇ!元の作品とまんまの話で、オリジナリティが全くねえ!!

これを観て面白かったと思った人は、是非元の作品も観てほしい。

そっちの方が数倍面白いから。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リメイクするってまんまやることじゃないよ。

昨日の事を憶えられない短期記憶障害の女性にひとめぼれした主人公が、自分の事を忘れられないように、そして少しでも障害が治るように毎日新しい試みをしながら距離を縮めていく姿を、ハワイの雄大で美しい風景をバックに、監督お得意のコメディ要素で笑いにしながらも涙を誘う演出で描いたロマンティックコメディ。

 

女などその日限りで十分と旅行に来た女性客ばかりを口説き、一人の女に留まらない恋愛生活を送っていたナンパ野郎の主人公が惚れてしまった女性は、昨日の事を忘れてしまう短期記憶障害。

 

物語はこれが核となっており、ナンパ野郎が一人の女に人生で初めて一生懸命努力して口説くことで本当の愛を知り、挙句の果てには自分の夢などどうでもいいと言い放ってしまうほど惚れてしまうちょっとした成長物語なのです。

 

 

じゃあそんな軽薄な男が惚れる女ってどれほどのもんよ?ってことで、元の作品ではドリューバリモアが演じていたわけですが、どうにもこうにも僕のタイプではないからそこまでの感情移入はできなかった。

 

しかしアダムサンドラ―が決して独りよがりにならず、彼女の家族の事も考えるクソまじめで誠実な一面も見せ、あの手この手で彼女を一生懸命口説いていく姿に、やっぱり好きな人のためにここまで尽くす男がモテるんだなぁと改めて感じた作品だったわけです。

 

 

その作品を日本版でリメイク。

しかもヒロインは長澤まさみ!

近年僕の心を鷲掴みにするミス・タヌキ顔をキャスティングするのか!

マジか!福田やるな!

まぁ「銀魂」の流れからだろうけども、とにかくやった、と歓喜したのを覚えています。

 

一体どんなキュートな彼女が見れるだろう、一体どんなぶっ飛んだ行動をしてくれるのだろう。

 

 

そんな期待を胸にいざ鑑賞したわけですが、まさかの原作をそのままなぞっただけの話で、やってる事一緒じゃねえか。

 

 

この映画を福田雄一が手掛けるということは、主人公大輔が色々面白おかしく彼女を笑顔にしていく様々なシーンを、彼のオリジナリティで見せていくに違いない。

毎日記憶が消去されてしまう彼女の障害を逆手にとって、失敗を沢山重ねながらも、少しづつ成功に向かってく展開に違いない。

まさかおんなじことやらねえだろう。

 

そう思っていたらそこも一緒!!

 

嘘だろ!!!

これ手抜きって思われるってことを想定しなかったのか?

ただでさえ手抜きした様なカメラワークなのに、そりゃあねえよ!!

 

 

通路を挟んで鑑賞していた女性二人組は、終始ゲラってました。

 

きっと福田作品のファンでムロツヨシと佐藤二朗がツボなんだろう。

確かに二人がいつも通りのアドリブで楽しませてくれるし、今回弟役で出演した太賀も、良いキャラしていて楽しく見ることができた。

 

 

しかし、しかしだ。

僕が見たかったのは日本版「50回目のファーストキス」であり、キャストを変えただけの劣化版を見たかったわけじゃない。

 

 

ここまで一緒か。

ホントこれにはがっかりした。

冒頭から全く一緒なのだ。

 

旅行を終えた女性が別れ際に彼の電話番号を聞くも、「俺はスパイで中東に行かなければならない、名前も偽名で周りの人たちに居間の会話が聞かれたかもしれない」と言い残し、ジェットスキーに飛び乗るというシーンが、オリジナルと全く一緒。

 

最初はツカミってことでおんなじことやるってギャグなのかな?

ちょっと戸惑いもあったが、自分なりに良い解釈をしてその後を見守っていた。

 

 

ツアーガイドという職業の改変もあり、福田色が一気にスパークしたその後のシーン。

 

ウーラの協力のもと、ハワイに12人しかいない石職人に作ってもらった、どうみても間抜けなウルトラセブンのような大きな顔の石をとある場所に置き、ここをエイリアンが置いていった石という設定で、パワースポットにしてバカな日本人観光客に楽しんでもらおうと画策する。

 

これは今回のオリジナルのシーンで、正直必要か否かで考えれば、全く必要のないシーン。

とはいえ、これが福田雄一だよな、ヨシヒコで共演する2人が、森の中であれこれ掛け合うんだからこうでなくちゃな、と納得の場面ではありました。

 

 

しかし、徐々に物語が進むともうオリジナルのエピソードと全く一緒になってしまっている。

 

 

レッカー移動車待ちで立ち寄ったダイナーで、奥で座っている瑠衣に一目ぼれ。

 

前に座るジジイにちょっかいだされながらも、彼女を見つめ意を決して彼女に近づく。

 

ワッフルハウスを作ってる彼女に爪楊枝を使って蝶番にすれば扉ができる、とアドバイスすることで彼女と共に朝食をしながら談笑することに成功。

 

またここで朝食をどう?

いいねぇ・・・でも、残念だけど・・・喜んで!!

別れた二人は互いにはしゃぐ。

なんてかわいいんだ、なんて楽しい人なの!

喜びを抑えきれず踊っていると一つ挟んでいた車が移動し、二人がはしゃいでいる姿をお互いが見てしまう。

 

これオリジナルと一緒。

 

 

記憶が持たないことを知った大輔は、毎日当たって砕けろの精神で瑠衣に近づく。

初めて会った日と同じやり方で、苦戦しながらワッフルハウスを作っている彼女に近づき、爪楊枝を使えばとアドバイス。

すると、なんてマナーの無い人なの、人が食べるものに手を触れるなんて、と追い払われる。

 

 

これ、オリジナルと一緒。

 

 

君に見てほしいものがある、これは僕が書いた絵で、ギリシャ神話をモチーフにした絵なんだけど、と話しかけると、瑠衣は中国語で返す。

日本人だと思ってたら日本人じゃなかったという返しで、これまたフラれる。

 

 

これもオリジナルと一緒。

 

 

大輔突然の号泣。

何事かと心配した瑠衣は彼に近づき、僕は英語が読めないんだぁ~~この「Banana」って文字も読めないんだぁ~~と泣きじゃくり、朝食の間英語を教えてあげるとようやく彼女に近づくことに成功。

 

それじゃあ今日はありがとうと大輔が帰ろうとすると、え?あなた連絡先もきかないの?

そんな子供みたいな嘘、私がだまされると思った?と近づけはしたものの、あっさり見透かされ失敗。

 

・・・これもオリジナルと一緒。

 

 

ちょっと待て、この何度もトライする件、福田色を活かして変えてしまえばいいじゃないか。

何故同じことをする?

口説き方なんざ星の数ほどあるし、最悪テメェの過去の実体験でもいい。

監督のオリジナリティを発揮できる絶好のシーンなのに、なぜオリジナルのままやってしまうんだ…。

 

 

同じなのはこの後も続く。

 

瑠衣の父からあのダイナーには行くなと言われたので、だったら道中で出会えばいいと、車での帰り道を狙って彼女を足止めにし近づく作戦。

 

バッテリーがあがってしまったところを装い、彼女を止め話かける大輔。

 

電流が体に流れ感電した、というウソで彼女を笑わせようとするが、それでおじいちゃんが死んじゃったの!!と悲しみに暮れる瑠衣。

 

しかし実はそれもウソ!と逆に騙される大輔。

 

・・・またか。

 

 

自分を縄で縛り道路の真ん中で「HELP ME!」という看板を持ち(ふつう縛られた奴がそんなもんもってねえよw)彼女を待ち伏せ。

しかし車内でCDを落とした彼女は、CDを拾うがために超わき見運転。

 

このままでは轢かれてしまう大輔ピンチ!・・・が、何とか車の下をうまくすり抜けギリギリセーフ。

 

・・・ペンギンいねえけど一緒だな・・・

 

 

親友のウーラに協力してもらい、ケンカを装って彼女を引き留める作戦。

殴るフリでいいものを、日ごろの恨みが溜まっていたのか半ば本気で殴るウーラ。

 

そこに彼女登場。

車に積んであったバットで応戦。

こちらも本気で殴りかかる。

 

慌てて逃げるウーラを必死で追いかける瑠衣に大輔困惑。

ごめんウーラ。

アタシ自警団に入ってるの、初めまして瑠衣です。

 

・・・はぁ。

 

 

ここでは若干の改変はあれど、ほとんどが全く同じシチュエーションとして流れている上に、監督の映画を撮る技術が全く成長していないせいで、ダレるし既視感もあるからオチもわかってしまっていて、僕の表情は次第に曇りがちになっていった。

 

 

ここまで書けばもうお分かりだろうが、この後もオリジナルと同じ運びで話は進み、クライマックスはさすがに同じじゃないだろうと思っていたら、なんと最後まで同じ終わり方をするという非常にオリジナリティの無い結末へと向かうのである。

 

まぁよかったところもある。

ここまではあくまで話が全く一緒で楽しめなかった、というような感想と解説でしたが、それでも褒めたい部分はある。

それは役者の演技だ。

 

ここ最近キャラばかり演じてきた山田孝之だったけど、久々に彼の普通の男としての演技を拝めることができた。

 

ツアーガイドの特権で旅行客の女性を口説くモテモテぶりを見せる反面、彼は自分の夢でありライフワークでもある星を旅行客には見せない。

 

自分だけしか知らない絶景の夜空を見せたとしても、あいつらは写真を撮ったら5分で飽きる。

とりあえずハワイに来たことがステータス。

ひたすら写真ばかり撮ってインスタでアピール。

パンケーキやらかき氷やらロコモコやらをブタみたいにバクバク食っておいひ~~とか言ってる女に心底腹が立っているのである。

 

昨今のブームであるインスタ女子を皮肉るブチ切れな面をものすごい剣幕でまくし立て怒りをあらわにするシーンは印象的。

 

また、序盤でちゃんと笑わせようとするユニークな面を見せたかと思えば、星の話をしだすと話が止まらなくなり、ゼウスは奥さんがいながらも浮気ばっかしているというギリシャ神話ならでは下ネタエピソードで楽しませるも、中々話を切ることができず瑠衣を困らせてしまう。

 

 

ようやく自分の夢がかなうも瑠衣との別れに悲しみを隠せない大輔。

 

「女なんて星の数ほどいるぜ」と慰めるウーラに、「ちょっと待て星は何個あるか知ってるか?2兆だぞ?しかも去年新しい星がいくつ見つかったか知ってるか、何千個って星が発見されて、しかも今年は去年よりもたくさん発見されていて増えてるのに、それに比べ地球の人口は70億人でその半分が女性だと仮定すると35億、そしてこのハワイでこの島でしかも彼女に出会える確率は…」

 

このように星の話になると少年のように夢中になり熱量を注いでるんです。

本気で星が大好きなんだなという説得力とセリフの量、好きな時に目が輝く姿を一挙に見せる素晴らしい演技をしていました。

 

 

その本気さは瑠衣をモノにするという面でも発揮されており、特に瑠衣との別れの後の意気消沈な表情は感情移入してしまうほど悲しみがにじみ出ています。

彼が一筋の涙を流すもんだから、俺も一緒に泣いちまったよバカ野郎。

 

 

正直僕は彼をカメレオン俳優だと思ったことは一度もなくて。

どの役をやっても山田孝之だよなぁと思っていたんだけど、ちゃんと普通の男をやっても様になってるんだから、やっぱり彼の演技はうまいよなぁと。

 

 

残念だったのは長澤まさみ。

 

感想の冒頭でも言っていたように、ハワイの大自然に囲まれ飛びっきりの笑顔を見せる彼女を目当てに鑑賞しようと思ったわけでした。

ですが、なんというか彼女演技が少々過剰に感じてしまい、中盤辺りでおなか一杯になってしまった。

 

 

コメディエンヌとしても才能ある彼女なので笑えるところは笑えたわけです。

 

ですが、はしゃいでるシーンはどこかいつもの3割り増しくらいのテンション。

もしかしてアメリカ育ちだから?ハワイの太陽がそうするから?とか環境面から考えたけど、絶対そうじゃねえ福田のせいだと。

 

そう思い込みながら何とか割り切って観てましたが、段々このテンション高めの演技が嘘くさく見えてしまってちょっと辛かった。

 

「ファーストキスって最高!」ってセリフはオリジナルでもあるのですが、これ日本語で言うと結構サムイいなと。

 

まさみがどんなに気持ちを込めて言おうと、どんなに抑揚をつけて言おうと、どんなに飛び切りの笑顔で言おうと、ファーストキスってそんなに最高なのか?と。

ちょっとどうでもいいことを頭に浮かべてしまい、グッと来なかった。

 

 

それでもやっぱり彼女はかわいくて美しくて。

オフショルの服たまんねえ!!とか、

歌もあえて音程外してるのね、たまらん!とか、

山崎まさよしの「ワンモアタイム、ワンモアチャンス」久々に聞いたなぁとか、ウソ泣きして超笑顔とか、

こんなの「すぐ結婚してください!」って男どもが口をそろえて言っちゃうだろ!とか、

山田てめえ何度もキスしやがって!!しかもなんだあのず~~っとキスして離さないシーンはこの野郎!アドリブだろこらっ!など。

 

こんな感じで、妄想と羨ましさと嫉妬が渋滞してて、改めて長澤まさみは好みの女性だなぁとニヤニヤして見てたんだけど、監督は彼女の魅力を全然活かしてねえなぁと。

 

 

多分ですね、撮影する際の色合いだとかコントラストだとか、自然に溶け込むような画を彼女中心に撮ったら、もっとキレイに映ると思うんですが、いかんせん監督そういう技術無いですから。(そもそもやったことも考えたこともないか)

 

これだけの美しい風景がありながら背景を生かせない、女優を立たせるという意識がないせいか、なんとももったいない使い方をしているなぁと。

 

そもそもこれそういう映画じゃないって?

いやいや大輔が惚れる女なんだから、キレイに魅力的に撮ってくれないと。

 

 

脇役はいつも通り笑わせてくれるのでオッケーです。

ムロツヨシもクドい芝居で楽しませてくれるし、「うむよかろう」とヨシヒコのメレブの相槌言ってたし、二朗さんは相変わらずいつもの間で場面を止めて笑わせてくれるし、やっぱり福田組は安定の笑いを作ってくれるなぁと。

 

太賀も意外。彼あんな芝居できたんですね。

徐々に大輔が好きなんだなというのを後ろで隠れて視線送ってるのとか笑ったなぁ。

 

 

最後に

オリジナルは100分程度のもので、とにかくテンポが良かったから非常に楽しめたのに対し、今作はとにかくテンポが悪い。

 

様々なエピソードを淡々とやるからこちらもリズムに乗って楽しめるのに、いちいちどうでもいいエピソードを、しかもオリジナルと全く一緒のシーンを、監督の好きな間でいちいち音楽止めてまで、ここ見るとこ!と位置付けて見せるもんだからリズムに乗れない。

 

カメラワークもいつも通りの固定ばかりで画が動かないからこれも乗れない。

 

 

非常に残念です。

 

22年目の告白」てのがありましたが、あれオリジナルをキチンと払拭しながらも95年に日本でどんなことがあったのかというのを物語に入れることで、我々にも親しみが感じられるように改変したのが良かったんですね。

だからリメイクをやるのなら同じ筋書きでも結末でもいいけど、オリジナリティがなくちゃいけない。

 

リメイクはコピーじゃない。

 

このお話が完全コピーではないにしろ、どこが違うの?と問われても、役者以外思い浮かばないです。

 

とりあえずこれが面白かったという人で、まだオリジナルの作品を見ていない人は是非見てほしい。

きっと楽しいと思えるし、こんなに同じなの!?とも感じることでしょう。

 

 

いくつもの困難を乗り越えて愛しい人と結ばれていくまでを、コミカルにそしてハートウォーミングに描いた今作は、残念ながらオリジナリティの無いコピー作品でした。

というわけで以上!あざっした!!

 

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満足度☆☆☆★★★★★★★3/10