モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「BPM ビートパーミニット」感想ネタバレあり解説 かつて命を削って戦った若者たちがいた。

3月24日

BPM/ビート・パー・ミニット

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 去年のカンヌ国際映画祭でグランプリと国際映画批評家連盟賞をダブル受賞した作品がいよいよ公開です。

エイズを題材とした作品を、僕のようなほとんど無知に近い人間が見ていいのだろうか、いや僕のような人間こそ見るべき映画なんだろうと、そんなことを見ようか見まいか悩んだときに感じまして。

ちょうど1年前にも「わたしは、ダニエル・ブレイク」という映画を見て、世の中こんな生きることが苦しい状況なのかを痛感し、人間てなんだろうと途方に暮れながらも感動した映画とであったことを考えると、この映画もそんな、僕に何か教えてくれる映画であって欲しいなと。

 そもそもなんで観たいかってのは、カンヌの冠ってのは興味が湧くもので、ここ最近そこまで理解できない作品てのはなくて。

それとこのポスターですよね。すごくいい。ピンクが程なく使われていて、後ろに対照的な緑があって、真ん中にとびきり笑顔の青年。なんとなく、なんとなくだけどこの物語が透けて見える感じが良いなと。

タイトルも良いですよね。一応音楽やっていた身としては、曲のテンポを現す言葉として使うのでなれてはいますが、ここでは心拍数とかの方を指すのかな?

 

とにかく、病に抗うように生きる炎を燃やした彼らの物語を早速観賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

 

90年代初頭のパリを舞台に、HIV/エイズの活動団体「ACT-UP」のメンバーの生死をかけた製薬会社や政府に対する過激な抗議活動、その中で一組の恋模様を描いた青春映画。

当時実際にメンバーとして活動していたという監督の実体験を基に物語を構築し、ゲイパレードのデモ行進などの、彼らの活動ぶりから醸し出される空気感や躍動感、絶望を抱きながらも限りある生を謳歌しようと必死に叫ぶ姿を見事に再現させている。

彼らの魂の叫びが観る者を激しく揺さぶる、渾身の1作。

 

Moving Politics: Emotion and ACT UP's Fight Against AIDS

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  • 作者: Deborah B. Gould
  • 出版社/メーカー: University of Chicago Press
  • 発売日: 2009/12/15
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あらすじ

 

90年代初めのパリ。

HIV/エイズは目には見えない形で確実に広がり、、とくに若い世代に大きな被害を及ぼしていた。だが、政府も製薬業界も一向に対策に本腰をいれず、社会的にもHIV感染者に対する偏見や差別が広がりつつある。

そんな状況の中、パリを拠点に活動する団体「ACT UP-Paris」には、様々な人が集まっていた。

恐怖や不安に苛まされる感染者はもとより、恋人や子供が感染し対策を訴える家族、あるいは陽性ではないものの問題意識を持った者。彼らにとって、団体こそが本音を語れるいわば疑似家族のような存在であり、他のメンバーたちと熱心な議論を交わしたり、抗議活動に参加することは個人的な支えにもなっていた。

新しくメンバーに加わったナタン(アルノー・ヴァロワ)もそんなひとりで、HIV陰性ながら、積極的にミーティングや示威活動にに参加していく。

彼らはエイズ患者やHIV感染者への不当な差別や環境を改善するため、正しい知識を啓蒙するためのデモ活動や、政府や製薬会社への抗議、高校での性教育などの活動を行っていた。

グループの中でももっとも政治的で行動派なカリスマ的存在のショーン(ナウエル・オエレーズ・ビスカヤート)は、自身もHIV陽性という現実を抱えており、温和な活動を続けていてはいつまでも現状を変えられないと訴えていた。

メンバーのまとめ役であるチボー(アントワン・ライナルツ)や、オーガナイザーのソフィ(アデル・エネル)は、そんなショーンのやり方に、時に反感を覚えながらも、製薬会社の責任者達の偏見や無関心さに失望し、行動を共にする。

やがて彼らは、製薬会社のオフィスに押しかけ、血液に見立てた真っ赤なペンキ袋詰めにしてオフィス中に投げつけたり、許可なく学校を訪れて生徒達にコンドームを配ったりと、その活動は日に日に過激さを増していった。

内向的なナタンは密かにショーンに惹かれていく。

ある日、女子学生に差別的な言葉を投げかけられたナタンにショーンがキスをしたことをきっかけに、二人の距離は一気に縮まる。

 

まるで死への恐怖に抗うかのように、エネルギッシュに生を謳歌し、お互いを求め合う二人。だが病魔は確実に、ショーンの身体を蝕んでいた。

 

一向に治療薬の開発は進まず、手の施しようがない状況下で、目に見えてやつれていくショーン。

そんな彼をナタンとACT UPのメンバーたちはただ見守ることしかできず――。(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけたのはロバン・カンピヨ

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毎度毎度ヨーロッパの著名人はわからず勉強不足だなと痛感するんですが、今作でカンヌグランプリを獲ったことで、今まで以上に広く知られることになったのではないでしょうか。

 

そんな監督はローラン・カンテ監督と出会うことで彼の作品に携わり、中でもローラン監督が一番高く評価された作品で、多くの移民達が暮らすパリのある地域の学校で、出身国も生い立ちもバラバラな生徒達の1年間を見つめていく「パリ20区、僕たちのクラス」に共同脚本として参加。

その後手がけた「イースタン・ボーイズ」はベネチア国際映画祭でオリゾンティ賞(最優秀作品賞)を受賞し注目されたようです。

 

パリ20区、僕たちのクラス [DVD]

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今作は監督が当時ACT UPのメンバーだったことから作られたとのことで、よりリアリティある内容になっていることでしょう。

 

 

 

キャスト

ACT UPの中心メンバー、ショーンを演じるのはナウエル・オエレーズ・ビスカヤート。

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アルゼンチン生まれの俳優さんだそうで、何作か主演を演じたり、賞を受賞しているようですが、どれも日本では公開されてないみたいで、今後これを機に公開作が増えれば良いですね。

 

ソースが少なすぎてなんも書けん・・・

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ショーンと惹かれあっていく青年ナタン役に、これが活動休止後の復帰作となったアルノー・ヴァロワ。

ACT UPのオーガナイザー、ソフィ役に、「水の中のつぼみ」、「午後8時の訪問者」のアデル・エネル。

メンバーのまとめ役チボー役に、アントワン・ライナルツなどが出演します。

 

アデル・エネルしか知らない・・・

 

 

 

 

 

 

実話から生まれた若者たちの闘いと、それと平行して過ごしたかけがえのない愛と青春の日々。どれだけ魂を揺さぶられるのか楽しみです。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

 

感想

 まるでドキュメンタリーのよう!!

公に抗議した青年たちの活き活きとした「生」に、一生懸命生きることの意味を教えてもらった!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無知は敵だ。

まずこのような活動団体があったことを今回の映画を通じて初めて知った。

初めて知った、と言いながら時代背景は90年代初め。すでに25年以上も前の事。

確かに少年時代急激にエイズについて学校や「ACT AGAINST AIDS」のライブや12月1日が世界エイズデーであること、川田龍平さんがよくTVに出て活動していたこと、コンドームの必要性など、知る機会は増えていったわけだけど、感染した人たちやその運動に賛同した人たちががこうやって、過激な活動をして世間に訴えていたことなどは全く持って知らなかった。

 

「エイズ」も「HIV」の区別もままらなない自分にとって、こういう映画を手掛けたことはすごく称賛できることであり、また渦中の彼らも一人の人間であり、ゲリラ活動や真剣に議論したりするだけでなく、限りある時間を謳歌している姿にも感銘を受けた。

 

ただただのほほんと過ごして日常を消化している僕のような人間よりもよほど彼らは生きる価値のある人間で、それに対し決まりごとのように努力している、とか理解しているとか上辺だけ言ってその場を逃れようとしている製薬会社の人間たちに心底腹が立った。

 

もちろん製薬会社の人間も努力していたのかもしれない。だが彼らの命の砂時計は刻一刻と減ってきており、その砂がいつ全て落ちるのか理解したうえでそんなこと言ってるのかい?と。

実際製薬会社は新薬を作ったけど、生産が追い付かないためにくじ引きで配るだとか小バカにしてるし、団体と意見を交わす席を設けても上から目線の姿を見て、全く状況を理解してない考えに見えて、マジで出直して来いと。

 

普通に生きたい。

正直最初は見ていてちょっと怖かった。

製薬会社のプレゼンテーションに潜入し、血のりの袋をぶつけて俺たちは怒ってるんだ、みたいな演出を繰り返していて。

でも、最初のゲリラは間違った行動だったという説明がされる。本当は血のりは人間にぶつけるためのものではなかったし、警察が来た時に自らつけるために持ってきた手錠も、会社の役員にかけて自分たちの訴えを叫ぶための道具ではないと。

 

行動こそ過激に見えてしまうかもしれないけど、決した彼らは暴力で訴えるようなことはしないし、根底にあるのは自分たちの話を真摯に受け止めてほしいというポリシーがあった。

ちゃんとそれを冒頭に挿入することで、彼らの行動が過激だけど彼らなりのルールを用いて動いているということが説明されていたので、最初の恐怖感は拭うことができた。

 

当時はゲイであることが今以上に偏見や差別的な目でみられ、尚且つエイズ患者という病気がのしかかることでよほど息苦しい生活を強いられていたのかもしれない。

電車内で男同士がキスをするだけで座席から立ち一目散に離れる乗客の姿や、高校の授業を中断させコンドームを付けろと訴えるも、あたしたちゲイじゃないからコンドームなんていらないと間違ったことを認識してしまっている少女たち、製薬会社に抗議している彼らを拘束しようとする警察たちが全員手袋をしていること、それが当時の世間の考えであって、まともに扱われていなかったとんでもない偏見をされていたというのがうかがえる。

 

そんな彼らが真正面から抗議したところで、対等に扱ってくれるわけがない。

同じ人間なのに。

だからこそのゲリラ的な行動だったんだなと。

 

それを繰り返すことでメディアが扱い、世論が動き、世界が変わればと。

 

「ACT UP製薬会社で新薬の製造を急げと訴え」みたいな記事とか、「ACTUP今年もゲイプライドでパレード」とか。

そうすれば彼らって何モノ?って興味は沸くし、自然と知ることになるんですし。

 

そんな活動をしながら、一組の恋愛要素もしっかりと盛り込んでいるのが面白い。

一人はHIV陰性の男性で、もう一人は創設メンバーにしてHIV陽性の男。

ひょんなことから急接近し愛し合っていく。

コンドームの必要性を訴えているのに、陰性のナタンはゴムなしで性行為しないとした気にならないと話す。でも陽性であるショーンはそれはダメだよと返す。

どうしてエイズに感染してしまったのか、なぜナタンは陰性のままなのか、互いの過去が少しづつ明かされていくのも、HIV患者という部分を外せばごくごく普通の恋愛描写なんですね。

ショーンの病状が悪くなって献身的な介護をしたり、その中で二人で海に出かけたりクラブで踊ったりってのも、前半では活動メインで描かれているんだけど、こういうのを挟むことによって自分たちとの距離が縮まって見えて。

 

要は彼らも普通の生活を送っていたんだなと。普段の僕らと違うのは、週1回ミーティングをすることと野外活動くらい。病気だってのが一番違うことなんだけども。

 

人生を賭けた行動の隙間でこうした日々を見せてくれることが非常に良かったです。

 

エイズとHIVの違い。

今でこそエイズで死ぬことはないという時代になってきているけれど当時はやはりエイズ=死だったみたいで。というか今でもそう思ってる人多いんじゃないでしょうか。

そしてエイズとHIVは同じだと思ってる人。はい、まさに自分がそうでした。

 

映画でも語ってる通り無知は敵であり、罪だとも思っているモンキーとしてはこれを機会に最低限の事は学ぼうと調べてみました。

 

まず、HIVとエイズの違いですが、

HIVとは「ヒト免疫不全ウィルス」の略で、免疫に必要な細胞(マクロファージやCD4陽性細胞)などに感染するウィルスの名前だそうです。

実際にショーンや他の陽性患者はしきりにCD4がいくつまで下がってきているというセリフがありましたが、どんどん免疫が落ちてきていたというのが分かると思います。

 

それに対し、エイズはこのHIVウィルスが増えたことによって様々な病気を発症することをエイズ(後天性免疫不全症候群)と呼ぶんだそうです。

ショーンは、口内にカンジダが出来たり、クリプトスポリジウム症、カポジ肉腫などさまざな合併症になっています。

 

 

感染経路についてですが、輸血の際や注射の使いまわし、コンドームを使用しないままのアナルセックスなどがあげられ、ゲイがHIVウィルスに感染してしまう要因はもちろんのこと、劇中で薬物使用者にも注意を促していたのはそのためだったんですね。

実際、精液、血液、膣分泌液などの体液HIVは分泌されており、それらが粘液や傷のついた部分に触れないようにすることが予防の一つとされており、性行為でのコンドームがいかに大切な予防対策なのかが理解できると思います。

 

映画の舞台である90年代では、まだ抗HIV薬が浸透していなかったり、開発の成功がされていなかったために、こうしたデモ活動の矛先が製薬会社や政府だったわけですが、96年に開発に成功したのをきっかけに、世界中で少しづつ治療を受ける患者が増え、現在では年間死亡者はへってきているそうです。

 

HIVを無くすことは無理だそうなんですが、エイズになることはこの抗HIV薬を投薬することで、免疫が減ることがおさまり、普段かからないような病気になることなく普段の生活に影響されない暮らしを送ることが可能だそうです。

そのためには早期発見することが第一だそうで、特に日本人はこの構図を理解していない人が多く、検査をした段階で免疫が落ちており、既にエイズを発症している人が多いのが現状とのこと。

 

こうした状況にならないためにも予防と検査は大事だというのが今回調べて学べました。

 

 

最後に

 今回どちらかというと映画を楽しく見るというよりも学ぶための教材感覚で鑑賞した方が強かったです。

正直もう一度見たいかと言われるとそこまでの出来とは感じられなかったので見ないとは思いますが、時に映画は自分が今まで知らなかったことを教えてくれる面を持っており、そういう意味では一度見て損はない作品だったと思います。

 

かつて過激な行動を繰り返し世間や政府に偏見や病気の存在を訴えた人たちの戦った記録でもあり、彼らの活動によって今死なない病気にまで進歩したこと、その反面多くの命が失われてしまったこと、例え死ぬとわかっていても生きようと必死にもがいて日々を謳歌した人がいたこと。

そういう人たちが「今を生きる」ということがどれだけ美しいものかというのをしっかりとらえた作品だったと思います。

 

とりあえずですね、会議とか討論するときは拍手じゃなくて指パッチンでやった方がいいですねw今回それがすごくよかったw

あれ絶対効果的でしょ。だってブーイングとか拍手とか雑音なしで言いたいこと言えるんだもんw

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10