モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「クソ野郎と美しき世界」感想ネタバレあり解説 これが彼らの決意表明と新しい地図

クソ野郎と美しき世界

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 SMAP解散以降、ネットやCM、映画などで活躍してきた「新しい地図」の3人。

 

TV局による「ジャニーズ事務所」への忖度かどうかはわかりませんが、解散以降なかなか地上波のTV番組に出演できなかった彼らでしたが、公正取引委員会の注意も手伝ってか出演番組も増え、少しづつ光が差し込んできてますよね。

 

 

本作は3人で出演した初めての作品となります。

 

オムニバス映画ということで、1つ1つのエピソードとして見るのがいいのか。

それとも「クソ野郎と美しき世界」 1つの作品として見るのがいいのか。

とにかく彼らの久々の演技を堪能しに観賞してまいりました!!

 

 

 

作品情報

クソ野郎が見る美しき世界とは」をコンセプトに、元SMAPの3人が出演。

4話からなるオムニバス構成で描く。

 

アクションあり、ファンタジーあり、ラブあり、そしてミュージカルありと詰めに詰め込んだ内容とのこと。

全てのエピソードが繋がっており、映画のラストで1つの物語として完成されるようです。

果たしてその内容や如何に。

 

映画 クソ野郎と美しき世界 オフィシャルブック (TJMOOK)

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3人の窓 稲草香 稲垣吾郎×草彅剛×香取慎吾

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あらすじ

 

アクション&ファンタジー&ラブ&ミュージカル、オールジャンルムービー!

 

恋に落ちたピアニスト、歌を喰われたアーティスト、息子を亡くした父親、そんな彼らが迷い込んだ美しき世界とは。

 

エピソード1:「ピアニストを撃つな!」

全力で走る女、フジコ(馬場ふみか)。フジコを追う不気味なマスクをした極悪人“マッドドッグ”(浅野忠信)。彼らが向かう先にいるのは天才ピアニスト。

 

エピソード2:「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」

歌を食べて生きる少女“歌喰い”(中島セナ)と、歌えなくなったアーティストの不思議な関係。

 

エピソード3:「光へ、航る」

失った息子の右腕を探す旅を続ける夫婦。2人が沖縄の海で出会ったのは……?

 

エピソード4:「新しい詩」

夜な夜なクソ野郎たちが集まるダンスフロアで、ショーが繰り広げられる。

 

 

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監督・キャスト(エピソード1)

最初のエピソード「ピアニストを撃つな!」の監督を務めるのは、園子温

そしてキャスト陣は、大門(マッドドッグ)役に浅野忠信、ジョー役に満島真之介、フジコ役に馬場ふみか、そしてピアニスト役に稲垣吾郎

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園監督といえば、バイオレンスとエロスを惜しみなく描くのが特徴ですが、今作もそんな監督の色が出ていそうですね。

ラップミュージカルな「TOKYO TRIBE」なのか、はたまたバイオレンスコメディな「地獄でなぜ悪い」か、もしくは「愛のむき出し」のような中毒性のあるエピソードなのか。

中々楽しみです。

 

このエピソードは稲垣吾郎が出演ということで、彼の代表作を簡単にご紹介。

 

吾郎ちゃんの映画はまさかのヤクザ映画からキャリアが始まります。

1980年の新宿を舞台に、ヤクザの青年とエリート学生という対照的なふたりの奇妙な友情を軸に描く「さらば愛しのヤクザ」に出演。

シルヴィア・クリステル主演の同名青春映画をリメイクし、少年と家庭教師の愛を描いた「プライベート・レッスン」で初主演。

 

催眠によって異常な事件が巻き起こるサイコスリラー「催眠」、喜劇作家と検閲官が台本の中の“笑い”を巡って攻防を繰り広げるコメディ「笑いの大学」で主演作が続きます。

 

そして彼の中で転換期となった作品で、蛮行を繰り返す将軍の弟を抹殺すべく集まった刺客たちが多勢を相手に壮絶な戦いに挑むアクション時代劇「十三人の刺客」で、当時ジャニーズとしては異例の悪役として出演し高評価を獲得。

これを機に、主役ではなく脇で光る演技を見せていきます。

 

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 その後も、最愛の娘を失った母親が、わが子の生まれ変わりを一途に信じ再開を願う姿を描いた「桜、ふたたびの加奈子」、朝の連続TVドラマ小説から世界で反響を呼んだ戦中と戦後の混乱期を生きた女性の物語を映画にした「おしん」、人の死を目撃したいと衝動に駆られていく女子高生たちのヒューマンミステリー「少女」、「半世界」、「ばるぼら」などに出演しています。

 

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監督&キャスト(エピソード2)

2つ目のエピソード、「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」の監督を務めるのは、山内ケンジ

そしてキャストは、歌喰い役に中島セナ、そしてアーティスト役に香取慎吾の2人。

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 山内監督は、CMやドラマ舞台などで活躍されている方のようで、映画でいうと「At the terrace テラスにて」が一番有名でしょうか。

 

 

 そして香取慎吾ですが3人の中では一番キャラ作品の多い人かな。

 

そんな彼の作品をザックリご紹介。

返還直前の香港を舞台に、フリーライターとカメラマンの失態からのドタバタ劇を繰り広げる「香港大夜総会/タッチ&マギー」で初主演を飾ります。

 

その後少年達と未知のロボットの交流を描いたSFファンタジー「ジュブナイル」、藤子不二雄A原作の人気コミックの実写化「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」、

大晦日のホテルを舞台に、従業員と宿泊客が織り成すエピソードをグランドホテル方式で描いた「有頂天ホテル」、

TVドラマの映画化「西遊記」、盲目の居合いの達人として昭和から続いてきたシリーズの完結編「座頭市 THE LAST」、週間少年ジャンプで長きに渡って連載されたコミックをTVドラマ後劇場公開された「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ~」、

フジテレビが誇る人気TVドラマからの劇場版最終作「躍る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」などに出演しています。

 

 

人気脚本家にして舞台作家三谷幸喜や、阪本順治監督などから愛され複数の作品に携わったり、その愛嬌のよさも手伝って人気キャラに扮した作品が多いのが特徴です。

 

 

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 彼についてはこちらもどうぞ。

 

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監督・キャスト(エピソード3)

3つ目のエピソード「光へ、航る」の監督を務めるのは爆笑問題の大田光

そしてキャストは、裕子役に尾野真千子、オサム役に草彅剛、その他新井浩文伊藤健太郎などが出演します。

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 大田監督は実は一度監督として作品を手がけたことがあり、90年代に人気オムニバス映画の第4弾「バカヤロー!4YOU!お前のことだよ」の第1話「泊まったら最後」を監督しています。

 

 

そしてこちらのエピソードは草彅剛が出演しています。

バラエティではそんなの1ミリも感じないのに、つかこうへいから天才といわれた彼。

SMAPの中では遅咲きだったのに、今では引く手数多の役者として大成しました。

 

 

そんな彼の作品をサクッとご紹介。

初主演は、自転車便をテーマにしたドラマ「メッセンジャー」。

その後も主演作が続き、死者を思い続けたことで自分の前に蘇り、思いがけない再会をする人間ドラマ「黄泉がえり」、日本列島の沈没に怯える日本国民と一組の男女の運命を綴ったSFドラマ「日本沈没」、

劇場版クレヨンしんちゃん」シリーズの中で大人をも感動の渦に巻き込んだ作品を実写化した「BALLAD 名もなき恋のうた」、

ガンに冒された妻に毎日短編小説をを送ることを決意した夫婦の実話を基にした「僕と妻の1778の物語」、ひょんなことから介護ヘルパーとなったヤクザ組員の物語を描いたTVドラマの映画化「任侠ヘルパー」などがあります。

 

 

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 彼の新たな挑戦ともいえる作品「ミッドナイト・スワン」は映画ファンからも絶賛されている1作。

是非ご鑑賞していただきたいものです。

 

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そして、最後のエピソード「新しい詩」を児玉裕一監督が手がけ、クソ野郎★ALLSTARSが出演します。

 

 

 

 

 

 

中々オムニバス映画って見る機会無いんですけど、一体どんなエピソードで、どう繋がっていくのか楽しみです。

クソ野郎たちが見た美しき世界とはどん場所だったのか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

 

感想

何かを失おうと真実は目の前にある!

どうするかは自分次第!

そんなメッセージを込めたオムニバス映画。

しかし映画としては正直面白くはない・・・。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ピアニストを撃つな!」について

あらすじ

天才ピアニスト吾郎による弾き語り、いや引き説明から始まる物語。

全身ピンクのボンテージスタイルで着飾ったフジコが、祭りにで賑わっている街の中をひたすら走り回る。

どうやら黒づくめの男たちから追われているようだ。

 

彼女はマッドドッグという男のもとを離れ、一目ぼれした吾郎のもとへと向かう道中だった。

テキ屋の主人の協力もあり無事追手から逃れ吾郎の元へとたどり着くフジコ。

 

 

吾郎はある日モルモットを撫でていた。

そのしぐさに一目ぼれしたフジコは、去り際に打ち上げ花火を渡し、打ち上げれば私に会えると言い残し、吾郎から去っていく。

 

急に近づき馴れ馴れしい態度に最初こそ苛立ちの表情を見せていた吾郎だったが、色々な女性と恋愛関係を続けていても、フジコの無神経なふるまいや、無垢な笑顔、強引な態度を忘れることができず、気づけば彼女に夢中になっていた。

 

 

ようやく吾郎の部屋にたどり着いたフジコ。

吾郎は彼女の身体をピアノ代わりに奏でていく。

身悶えるフジコ。

 

するとそこへマッドドッグ一味がやってくる。

 

マッドドッグは重たいレザーのコートを纏い、口にマスクを付けていた。

それを外すと気絶するほど鋭い嗅覚を持つ男だった。

犬の1000倍だとか。

 

その鼻を頼りにフジコを追ってきたマッドドッグは、吾郎の指をハンマーでたたき割ろうと拷問を始める。

果たして吾郎の指はどうなってしまうのか。

 

 

感想

追う男、求める女、奏でる男の三角関係を、時にバイオレンスに時に破天荒に演出し、愛の何たるかを惜しみなく描いた、園子温監督らしいぶっ飛んだ世界観で魅了したラブストーリーでありました。

 

 

モンキー的にはこのエピソードが一番好きです。

一番の理由としては、久々に監督らしい作品だなと感じたのが一番大きいかなと。

「愛のむきだし」にも通じる部分があったなぁと。

 

いきなりナルシシスト全開の吾郎ちゃんはやっぱり吾郎ちゃんで、いきなりシャワー浴びてバスローブを羽織る姿は監督分かってらっしゃるなと。

 

そして監督作品に欠かせないエロチックな部分もたっぷり堪能できました。

 

馬場ふみかの衣装がまずエロい。

胸元がっつり寄せてあげたボンテージファッションで、ひたすら町を走らせるのなんて完全に園子温ワールドじゃないかと。

とにかく彼女を走らせ胸を揺らしひたすら愛してる~と連呼させるのは中毒性のあるシーンでしたね。

 

もちろん脇で登場する監督作品常連のでんでんや、冨手麻妙神楽坂恵なども出演しており、存在感を発揮していましたし。

 

 

そして組織のドン、マッドドッグ。

これもう完全に「マッドマックス怒りのデスロード」のイモータンジョー意識でしょうw

自分の女を追いかけるという設定まで同じですから。

よくこんな要素を取り入れたなと。

 

そして彼の側近ジョー。

人の痛みを感じると自分の事のように感じてしまう体質の側近て使いモノにならねぇじゃねえかw

 

 

衣装や祭りの喧騒感、手持ちカメラでひたすら追っかけ撮影などで形成されたこのエピソード。

ずば抜けて笑えるものではありませんでしたが、監督らしい作品という視点から言えば満足のいくエピソードだったと思います。

 

 

「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」について

あらすじ

繁華街の裏路地。

ごみ置き場の隅で腹をすかせた少女。

サラリーマンに声をかけられてもそこを動こうとしない。

 

ストリートミュージシャンが歌を披露している。

女性客が多いということで女性目線の歌を歌おうとするが、歌を忘れてしまう。

客に紛れ口をもぐもぐしながら見つめる少女。

 

ライブハウスで弾き語りのおじさん。

軽妙なMCで客を沸かすも、彼もまた歌い出しを忘れてしまう。

外にはまた口をもぐもぐしながら座り込む少女。

 

テレビ局で歌の生放送。

尾崎紀世彦の名曲「また逢う日まで」を歌おうとするとこれまた歌を忘れてしまう。

ここでも舞台裏でしゃがみ込み口をもぐもぐしている少女。

 

 

一方、香取慎吾は警察の取り調べをしている。

街の壁に絵を描いたせいだ。

 

「絵は家で書いて、外では唄えばいいじゃない。持ち歌いっぱいあるんだから」と刑事に言われ家に帰るが、やっぱり衝動は止められない。

 

再び外に出て壁に絵を書こうとするが、刑事の言葉が離れない。

 

仕方なく持ち歌を歌おうとするが、歌い出しが出てこない。

すると少女が口をもぐもぐ。

しかしお腹が苦しいと倒れてしまう。

 

 

彼女は「歌喰い」だった。

人の歌を食べ生きているのだった。

 

うんちをすることで体調を良くした彼女。

どうやら歌を食べると人間の構造と同じで、きちんと排泄物として処理されるようだ。

 

歌を取り戻したい慎吾は、そのうんこを食べれば歌を取り戻せると言われ、彼女のカラフルな排泄物を歌を食われた者の元へ届けに行く。

 

果たして慎吾は歌を取り戻せるのか。

 

 

感想

我々の知る香取慎吾本人の役で描かれたエピソード。

 

歌を食いうんちとして出し、それを持ち主が食べれば取り戻せるという、一見ファンタジーだけど、よくよく考えたら不快極まりない話でありました。

 

なんというかファンタジーでやるなら、もっとボカして描いてほしかったなぁというのが率直な感想。

 

 

僕はこの映画、ジャニーズという大きな場所を離れ、彼らがこれからどう進んでいくのか何をやっていくのか、という意思表明な映画だと思っていて、結構ストレートに話に盛り込んでいくのかと思っていたんですね。

 

だからこのエピソードを見た時、お、これはかなり突っ込むとこまで行くのかと感じたわけです。

 

 

絵を描くことを日常的に行っている香取慎吾。

しかも刑事から持ち歌あるんだから唄えばいいじゃない。

で、歌おうとした歌が、「らいおんハート」のサビの出だしにも感じたり、「世界にひとつだけの花」のサビの出だしにも感じたり。

でも歌えない。

歌うことができない。

 

それはなぜか。

もちろんSMAPの曲ですから色々著作権とかにもひっかかるわけで。

 

SMAPの歌はもう歌えないけど、そこから自分はどんな歌を歌って自分を表現しようかみたいな答えに向かっていくと思ったんですけど、答えがイマイチ自分には響かなかった。

 

 

結局は、一アーティストの男と歌を食う少女の出会いと不可思議な現象を描いただけで、慎吾自身が何か成長したり、彼女が歌の代わりになる食べ物を見つけて生きるとか、そういう成長や変化を描いてるわけでなく、このエピソードだけで何かが解決する要素は全くないというか。

 

このエピソードはんすごくモヤモヤして終わってしまっい、非常に残念でありました。

 

 

「光へ、航る」について

あらすじ

傷だらけの青年。

左手の小指を切断された痛みに耐え起き上がると、「指借ります」の置き手紙。

 

場面は変わり、男女が寝そべったベッドの上でダブル不倫をしていた男を暴力で脅す一人の男。

 

自分の妻を寝取ったことで怒っている。

彼から金を巻き上げ追い出した後、妻の頬を叩く。

逆上して怒鳴る妻。

息子を取り戻すには金が要るのよ!このクズ!とまくし立てる妻。

 

 

野球選手になるのが夢だった息子航(わたる)は、半年も病院で眠り目を覚ますことはなかった。

ドナー登録でもしていたのか航の右手は知らない誰かに移植され、その右手を探しに妻は、行くあてのない旅を続けていたのだった。

 

仕事ばかりしていたのか夫婦の中は険悪だった。

息子のキャッチボールの相手はいつも妻だった。

自分をかまってくれない父親を妻同様クズと呼んでいた息子。

 

けじめとして仕事をやめた夫だったが、遅すぎると責める妻。

 

北へ向かっていた夫婦は、目的地が見つからないことも加わり苛立ちが募っていたが、ニュースサイトで沖縄に右手を移植された女の子が誘拐されたニュースを知り、一路沖縄へ向かう。

 

果たして息子の右手は見つかるのか。

 

 感想

世の中の時事問題を風刺しながら漫才をする爆笑問題の太田光監督作品ということで、エピソードの中に、「文春砲」や、「北はミサイルが飛んでくる方」、「オスプレイ」、「辺野古基地反対」などと言った時事ネタが随所で目立つ一方で、息子の死をきっかけに夫婦の仲を不器用ながらも取り戻そうともがく姿、それでも過去を取り戻すことはできない辛さ、道中で見つけた一筋の「光」にかすかな希望を見出す、ある家族の話でありました。

 

 

「任侠ヘルパー」のヤクザ姿を連想させる草彅剛の演技が良かったですね。

言葉の一つ一つから感じられるぶっきらぼうさ、世の中の不条理ににらみをきかせるような鋭い目線、そこから微かに感じる過去への反省。

 

世間から怖がられるような存在なのに、その怖さに全く恐れず対等な目線で啖呵を切る妻役の尾野真知子の演技も見事でありました。

 

 

しかしながら、時事ネタをやや強引に盛り込んだことで、全く作品と関係ない会話が続くのが気になるところ。

 

田舎のサラリーマンのダブル不倫を文春に売りつけるぞ、というダレトク?なやりとり、北ってどっちだ?の答えがミサイルが飛んでくる方、といううまくもない例え、自分からセクハラです!と呼んでおいて、警察官撒く方法が、辺野古基地反対!と運動家を装って近づかせない逃げ方。

 

まぁ最後のやり取りは、警察官もやっぱりそいつらに絡むが面倒で、オスプレイって何?って聞かれてちゃんと答えられない妻から読み取れる世間の浸透の薄さみたいなものを風刺したようにも感じられますが、本編とは全く関係のないことで、それが伏線となるならまだしも、ただ言わせたいだけのようにしか感じないやり取りは逆に不快でした。

 

それでも最後はきちんと感動に繋がるように仕上げ、タイトルの意味が晴れて理解できるオチを付けたのはなるほどなぁと。

 

 

「新しい詩」について

あらすじ

クラブ「クソユニバース」に集まった各エピソードの面々。

それぞれのその後の物語と事の顛末をこのエピソードに詰め込むことで、「クソ野郎と美しき世界」として完成される締めのお話。

 

吾郎はフジコと連番しながらピアノで歌い、慎吾は歌を取り戻しその喜びを踊りながら表現し、剛は息子の大事にしていた野球のボールを追いかける。

 

感想

真実とは作り出すものでもなく、ただそこにあるもの。

それをどう捉えるか、どう受け止めるか、どう見つめるかは自分次第。

 

逃げずに向かっていくことで美しい世界が広がるのだ、さあクソ野郎ども真実を見よ!というようなメッセージを放った新しい詩。

 

 

このエピソードでオムニバス映画が一つの作品として完成。

 

全体を通して褒めるならば、やはりメディアでの活躍を見ることが少なくなってしまった彼らの活き活きとした演技や姿をみられたのは、長く彼らをお茶の間で拝見し楽しませてもらった身としては喜ばしい限り。

これを機にもっと活躍の場を広げ、新しい試みに挑戦してもらえたらいいなぁと感じたわけですが、作品の評価としては微妙というのが率直な感想であります。

 

 

結局のところ、彼らがなぜクソ野郎なのかがよくわからない。

 

ピアニストは本当の愛を理解せず女をとっかえひっかえしていたことがクソ野郎なのか。

慎吾は歌を歌うことをせず壁に絵を描き続けることで平静を保っていたことがクソ野郎なのか。

ヤクザの夫は自分の仕事ばかりで息子とを妻を家族をほったらかしにし、いざ息子が亡くなったことでその溝を埋めようとすることがクソ野郎なのか。

 

そんな彼らがクラブで一堂に会し、歌い踊ることで今を見つめて前を生きようとする決意をするのが美しき世界なのか。

 

 

どれもクソ野郎度が中途半端。

彼らが何を見出したかという答えも正直ぼやけていてわからない。

もっと言えば、最後に流れる歌も歌詞の意味が入ってこないし、曲調がなぜスローテンポの歌なのか。

あれだけ華やかなクラブでのオンステージで締めるのだから、しんみり終わらせるのもなんか違うというか。

 

 

やはり新しい挑戦というのがテーマだから色々規則的なことをしないで映画を描くというのが根っこにあるのかもしれない。

それを受け入れられなかった僕の感性はやっぱり乏しいもので、何とか褒めどころを探そうと努めたけれど、やっぱり駄目だったわけで。

 

 

最後に

SMAPは大好きです。

ジャニーズの中でいちばん。

同じ時代を生きてきたので尚更です。

 

中々5人で一つの作品に出ることが難しかった彼らのうち3人が一つの作品に出演し、ネクストステージに向かって輝いてる姿を、しかも映画館で画大きなスクリーンで見られたのはものすごく嬉しい。

 

これが彼らが描いた新しい地図なのか。

ここからまたひとつずつ歩んでいくのか。

美しい世界を構築していくのか。

どうかそれを作り続けてほしい。楽しませてほしい。

そういう意味では非常に良いスタートをきれたのではないでしょうか。

 

 

しかしながら映画としての評価は、ファンの方には申し訳ありませんが僕の中では低いです。

楽しむことはできませんでした。

 

 

どうしてもこういうことを書くと叩かれるので、怖いながらも言葉を選んで正直に感想を述べてみました。

まぁ覚悟してます。はい。

 

とりあえずですね、映画見た後のランチはベーグルでした。

なんだかんだで触発されてる俺。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10