モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「万引き家族」感想ネタバレあり解説 納得のカンヌ映画祭パルムドール作品。

万引き家族

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第71回 カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞おめでとうございま~~~~す!!!

今村昌平監督「うなぎ」以来21年ぶりの快挙.

映画ファンにとってこんなに喜ばしいことはないですよね。

 

ネット上ではまだ見てもいないのに、あーだこーだ批判してる人たちがいますが、ぶっちゃけほっときましょう。

映画を見ない人たちですから。

 

早速観賞してまいりました。

 

 

 

作品情報

 

ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に正式出品し、日本アカデミー賞6冠を制覇した「三度目の殺人」。

 

あれからまだ1年足らずにして、カンヌ国際映画祭パルムドールという最高の栄誉を獲得した是枝裕和監督入魂の作品が公開される。

 

これまで幾多の家族を描き続けてきた監督は、今回も家族の姿を描く。

 

しかし今までと違うのは、犯罪でしか繋がれなかった家族。

 

万引きと祖母の年金で生計を立て、社会の海のそこでひっそり漂うも、笑いの絶えない日々を過ごす家族。

そんな家族にある少女が加わることで物語は動いていく。

 

生計を立てるために軽犯罪を重ねながら深まる絆は、社会では決して許されない絆だった。

人と人との繋がりが希薄になった現代に、真のつながりとはなにかを問う衝撃と感動の作品が誕生した。

 

 

万引き家族【映画小説化作品】

万引き家族【映画小説化作品】

 

 

 

 

 

あらすじ

 

街角のスーパーで、鮮やかな連係プレーで万引きをする、父の治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)。

 

肉屋でコロッケを買っ、寒さに震えながら家路につくと、団地の1階の廊下で小さな女の子(佐々木みゆ)が凍えている。

 

母親に部屋から閉め出されたらしいのを以前にも見かけていた治は、高級マンションの谷間にポツンと取り残された平屋に女の子を連れて帰る。

 

母の初枝(樹木希林)の家で、妻の信代(安藤サクラ)、彼女の妹の亜紀(松岡茉優)も一緒に暮らしている。

 

信代は「もう少し金の匂いするもん拾ってきなよ」とボヤきながらも、温かいうどんを出してやり名前を聞く。

 

「ゆり」と答える女の子の腕のやけどに気づいた初枝がシャツをめくると、お腹にもたくさんの傷とあざがあった。

 

深夜、治と信代がゆりをおんぶして団地に返しに行くが、ゆりの両親が罵り合う声が外まで聞こえる。

 

信代には、「産みたくて産んだわけじゃない」とわめく母親の元に、ゆりを残して帰ることはできなかった。

 

 

翌日、治は日雇いの工事現場へ、信代はクリーニング店へ出勤する。

学校に通っていない祥太も、ゆりを連れて“仕事”に出掛ける。

駄菓子屋の“やまとや”で、店主(柄本明)の目を盗んで万引きするのだ。

 

一方、初枝は亜紀を連れて、月に一度の年金を下しにいく。

家族の皆があてにしている大事な“定収入”だ。

 

亜紀はマジックミラー越しに客と接するJK見学店で働き、“4番さん(池松壮亮)”と名づけた常連客に自身と共鳴するものを感じ、交流が始まる。

 

春の訪れと共に、「荒川区で5歳の女の子が行方不明」というニュースが流れる。

両親は2ヶ月以上も「親戚の家に預けた」と嘘をついていたが、不審に思った児童相談所が警察に連絡したのだ。

 

ゆりの本当の名前は「じゅり」だった。呼び名を「りん」に変え、髪を短く切る信代。

戻りたいといえば返すつもりだったが、じゅりはりんとして生きる事を選ぶ。

信代は「こうやって自分で選んだほうが強いんじゃない?」と初枝に語りかける。

「何が?」と聞かれた信代は、「キズナよキズナ」と照れながらもうれしそうに答えるのだった。

 

 

時は流れ、夏を迎え、治はケガが治っても働かず、信代はリストラされるが、それでも一家には、明るい笑い声が響いていた。

 

ビルに囲まれて見えない花火大会を音だけ楽しみ、家族全員で電車に乗って海へも出掛けた。

だが、祥太だけが、“家業”に疑問を抱き始めていた。

 

そんな時、ある事件が起きる――。(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけたのは是枝裕和。

 

 ベネツィアやカンヌで高い評価を得る一方で、近年は国内の興行での結果も出す。

こんな器用な映画監督中々いないですよ。

 

きっとある家族の風景を描くことで、誰にでも共感を得る作品を提供し続けているからなのではないでしょうか。

 

今作も社会の片隅に生きる家族をテーマにしており、ますます是枝=ホームドラマを印象付ける代表的な作品になるのではないでしょうか。

 

表面的にはすごく透明性のある純粋な心を持ってそうな監督ですが、作品をいくつか見てくと、意外と闇も持ち合わせている気がするんです。

そしてちょっと変態な部分も持ってるんだろうなってのも感じます。

 

どこを切ってもピュアな人だったら逆に気持ち悪いですし、監督の側面から人間臭い部分を見るとホッとしますね。

 

今回悲願のカンヌでのパルムドール受賞は、もっと騒がれなくてはいけないことだとモンキー的には思うんですが、タイトルから日本人を貶めるような主旨の意見が多発し、違う方向で盛り上がっているようで同じ日本人として非常に情けないです。

 

なぜ素直に喜べいなのだろうか。

 そしてなぜメディアはもっとこの素晴らしいニュースを取り上げてくれないのだろうか。

きっとたくさんのお客さんが映画館に足を運んでくれないからなんでしょうね。

 

でもきっと監督の作品なら確実に興行は成功すると信じてるので、まずは見てみてですね。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

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キャスト

一家の主、柴田治を演じるのはリリー・フランキー。

 

ヤクザまがいの社長や、老人をゴミ扱いする権力者、元ボクサーの情報屋、医者、ホームレス、編集長、盲目の学者、障碍者などなど、ありとあらゆる役を演じてきてますが、僕はリリーさんといえば、本作のようなロクでもない親父が一番しっくりきます。

 

彼は大根仁監督と是枝監督作品には欠かせない存在になりましたし、そこでの活躍からいつのまにか安定感のある役者になりましたもんね。

あ、リリーフランキーがこの役やるのか、じゃあ大丈夫だな、なんて思う人結構いるんじゃないでしょうか。

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

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他のキャストはこんな感じ。

クリーニング店で働く治の妻、信代役に、「百円の恋」、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」、「奥田民生になりたいボーイと出会う男全て狂わせるガール」の安藤サクラ。

信代の妹・亜紀役に、「桐島、部活やめるってよ」、「ちはやふる」、「勝手にふるえてろ」の松岡茉優。

治の息子・祥太役に、「となりの怪物くん」の城桧吏。

母・初枝役に、「海よりもまだ深く」、「海街diary」、「モリのいる場所」の樹木希林。

他にも、緒方直人森口瑤子山田裕貴、柄本明、高良健吾などが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

一見悪い事をしている家族ですが、我々はこの家族の顛末を見て何を感じられるでしょうか。何を考えるのでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

社会の片隅でひっそりと暮らす家族の絆とその先にある闇。

ガツンと揺さぶられるラストに、あなたは何を思うのか。

家族ってなんだろうね。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監督渾身の一作。

高層ビルの陰に隠れてひっそりと暮らす家族が、犯罪を犯しながら仲睦まじい日常を描きながら、次々に秘密を明らかにしていくことで、絆とは、家族とは何かを伝える本作。

細部にまでこだわった演出、物語にそっと彩りを加える音楽、緻密な脚本、そして役者陣の卓越した演技によって、賞にふさわしい完成度の高い作品でした。

 

 

とりあえず見終えた直後の感想は、モヤモヤが抑えられませんでした。

 

一見普通の家族に見える6人だけど、繋がっているのは血ではなく、絆。

しかし、しっかりしているように見えてものすごく弱い。弱いし脆い。

そんな簡単に切れてしまうような絆なんだけど、繋がりはものすごく優しくて、ものすごく愛おしく感じるものでした。

 

そんな彼らに次々と浮かび上がる真実。

 

彼らは幸せを感じるために選択し共に暮らしていたのに、法律はそれを許してくれない。

法律なら幸せに暮らしている家族を壊してもいいのか。

 

そして壊されたことで次々に押し寄せる刹那。

正しさを突き付けられても共に暮らした家族を思う、一同の姿に胸を掻き毟られました。

 

 

監督の過去作「そして父になる」では、育てた息子が他人の子供だったことをテーマに、、親子とは何か、家族とは何で繋がっているのかを提示した傑作映画でした。

 

あれから5年、監督はさらに社会的弱者と犯罪を加えることで、家族としての在り方や絆の一歩先に踏み込んだ映画を作ったように思えます。

 

 

既に高層ビルの片隅に住む家族という設定が、いかに社会において陰に隠れているかというのが暗示されている。

日陰に住む一家は、日々の生活を送るために、日雇労働に出稼ぎ、勤務先でワークシェアリングに遭い、風俗店で働き、年金を家計の足しにしていく。

それでも足りないから、万引きや車上荒らしといった犯罪に手を染めなくてはならなくなるわけです。

 

彼らは貧しくも毎日を明るく楽しく生きているわけですが、物語の中でどうも会話の端々に歪なものが見え、彼らは本当に家族なのか?いったい何を隠しているのか、一体それが何なのかわからないまま進んでいくのです。

 

本作は、真実が終盤一気に明かされるちょっとしたミステリー要素も孕んでおり、観衆は彼らがやってきたことへの是非に、戸惑い考えさせられるように作られていたと思います。

 

 

公開前からネット上であれこれ叩かれている作品ですが、見終えて感じたのは実は監督はいわゆる炎上を狙って作っているようにも思えました。

 

タイトルが既に意味深であり、波風を立てることで話題性を作り動員を見込もうと。

 

あれはいい、これはダメと変に正義感ぶる人たちが横行するSNSで、様々な意見が飛び交い、議論を重ねることで作品自体に興味が沸くのではと。

 

さらに今回のパルムドール受賞は大きな追い風になったことと思います。

 

 

実際劇中では巧みなテクニックによって万引きをするシーンが乱発しています。

そこだけを切り取れば犯罪を助長するようにも見えますが、決して犯罪を許すような結末にはなっていません。

 

むしろ問題はもっと根深い部分であり、家族でいるために犯した罪は、ちゃんと裁きを受けるようになっています。

 

確かに犯罪は良くないです。

しかし、そうせざるを得ない人たちがいるということをこの映画は浮き彫りにしており、一方的にこの登場人物を切り捨てるような感情にはどうしてもなれず、この先生きていく上で今の社会がこのままでいいのかということを考えさせられるのです。

 

 

僕は監督を社会派だとは一度も思ったことはなくて、今作でさらにイメージを強める恐れがあるんですが、やっぱり監督は様々な家族を撮ることに徹していると思うんです。

 

「そして父になる」もそう、「奇跡」もそう、「三度目の殺人」もある側面からすればそう見える。

海よりもまだ深く」も。

 

今回たまたま一歩踏み込んだだけのことでしかないよなと。

というか、この手の映画、国内は少ないんですよなぜか。

もっとあっていいと。

これを機に弱者に光を照らすような作品が増えてほしいなと願いたいですね。

 

スイミーが使われた意味

劇中で祥太は谷川俊太郎の「スイミー」を読み上げるシーンがあります。

 

治と万引きをすることが生活の中での楽しみだった祥太でしたが、百合が加わることで楽しみを削がれてしまい、苛立ちを募らせます。

 

彼は家に帰らず駐車場にずっと停まったままの車の中で夜を過ごしていました。

そこへ治が迎えにやってきます。

 

祥太はまだ百合を家族として妹として受け入れることができませんでしたが、百合が家族と一緒に何かをすれば一緒に暮らしやすくなることを、治は祥太に理解させます。

 

納得した祥太は治に「スイミー」の話を知っているか問います。

 

英語がわからないと治は祥太に話しますが、スイミーは教科書に載っていたお話だよというと、治は国語はもっとわからないと話します。

 

そして夜の駐車場。

治の周りを駆け回る祥太の姿をカメラは建物の上から映すのです。

この時治は赤いジャケットを、祥太は暗い色をした服を着ています。

 

 

僕も小学校の頃、このスイミーを教科書で学んだことがあります。

 

兄弟がみんな赤いのに対し、自分だけ黒い小魚のスイミー。

ある日大きなマグロに兄弟みんな食べられてしまうが、泳ぎの速いスイミーはかろうじて助かります。

 

そして様々な放浪を続けるうちに、自分の兄弟そっくりな赤い魚たちに出会います。

一緒に泳ごうと誘いますが、彼らは大きなマグロに怯えながら岩の影に隠れて暮らしていました。

 

そこでスイミーはみんなで一緒に泳げば怖くない、みんなが赤いのに対し自分だけ目が黒いので目の役目になれば、大きな魚の振りができることを提案し、無事マグロに恐れることなく海中をすいすい泳げるようになる、というお話。

 

 

この話を踏まえて考えると祥太は自身をスイミーになりたいと望んでいたように思えます。

 

何か大きなものに怯えながら過ごしている柴田家を赤い魚たちに見立て、祥太が黒い魚(スイミー)として加わることで、彼らを隅に追いやる何かに恐れず堂々と暮らしていける。

 

一人一人の力は弱くて脆いかもしれない、だけどみんなが集まって家族になれば幸せに暮らしていける。

祥太はスイミーを読んだことで、そんな思いを抱いたのではないでしょうか。

 

 

駐車場ではしゃぐ祥太は正に夜の海を泳ぐスイミーそのものに見え、治に赤いジャケットを着せたのも意図した演出だったのではないでしょうか。

 

 

そして彼らのような弱者は、スイミーのように寄り添って暮らしていけば、幸せになれるのかもしれないということも伝えてるような気がします。

 

役者陣の極みの演技

相変わらずクソ親父を演じたら右に出る者はいないであろうリリー・フランキー。

 

今回も祥太のよき父親になろうとステキなパパの姿を見せていますが、彼らがいなければ初枝をババアと呼んだり、年金だけをあてにするような言動、仕事行きたくないオーラなどなど、本当ロクでもないながらも憎めない父親を熱演しておりました。

 

で、意外にも今回一番体を張っているのは彼なのではないかと。

中肉中背な肉体を惜しげもなく披露し、汗ばんだ体がなぜかセクシーに見えてしまうw

 

 

妻の信代を演じた安藤サクラ。

カンヌ国際映画祭の審査員長を務めたケイト・ブランシェットから、「今度私が泣く演技をしたときは彼女の演技を真似したと思ってください」とまで言わしめたクライマックスでの「泣き」のシーン。

 

女刑事から「子供産めないからって盗んじゃダメでしょう」言われ、苦し紛れの反論をするんだけど、動揺と悔しさを隠せず泣いてしまう。

 

何度もおでこに手を置き、髪をかきあげるついでに涙をを拭うというもの。

何度も何度もやっても涙が止まらない。

ここは非常に感情移入してしまうシーンでした。

 

 

亜紀を演じた松岡茉優も素晴らしかった。

 

たまに是枝監督って性を意識したシーンを撮るんですが、今回その役目を担ったのが彼女。

 

学校の制服を着て、胸をゆすりながら自慰行為を見せつける風俗店で「さやか」という名前で働く彼女。

 

ためらいもなく真顔で行為を見せつける彼女を直視することができなかったなぁ。

 

そして海での水着姿。

あんな華奢な体なのにふくよかな胸をお持ちで・・・。

 

どうしても男なので伝えずにはいられませんでした!

 

もちろん彼女はそんな容姿どうこうだけではありません。

特に印象的だったシーンは、風俗店で4番さんというお得意さんをトークルームで膝枕して自身の事を語るシーン。

これまで明かさなかった本当の気持ちを打ち明け、自分を殴って手にあざを作った4番さんを抱きしめることで、自分も同じことしたことあると、自分を受け入れ赦すかのような温かさが感じられる演技でした。

 

このシーン、ピンク色のカーテンが彼女の柔らかさと温かさを表現していて、映像自体もステキでした。

 

そして遺体の髪をくしでほぐしながら見つめ涙を浮かべるシーン。

あなたにならすべて話せると絶対的信頼をおいていた人の死を見つめ、絶望に暮れる姿は心揺さぶる演技だったように思えます。

 

 

祥太役を演じた城桧吏くん。

 

やまとやで万引きをする際、妹のユリの万引きを手伝うのですが、店主は全てお見通しでした。

妹にはさせるなよ、と言われた時の動揺。

 

瞳孔を開くまなざしは、明らかに心が揺れ動いてる証拠であり、初めて彼の中で万引きすることに対しての罪悪感が生まれます。

この後からの演技は、常に何か心に引っかかった状態で演じてるんですね。

彼もまた素晴らしい演技でした。

 

 

ゆりちゃん演じた佐々木みゆちゃんも、登場時のおどおどした演技から、自らこの家族と共に暮らすことを選ぶ中盤のシーンまでの変わり様は見事。

 

最初は所々で虐待の名残を言葉で表現し、本当の家族からどれだけ辛いことをされたのかが透けて見える演技をしており、後半では祥太と共に仲睦まじい姿を演じていたのが非常に印象的です。

 

蝉が木を登るシーンで頑張れ~っていうところとか、祥太が万引きをするルーティーンを真似する姿がかわいらしかったですね。

 

 

初枝演じた樹木希林。

いつもと雰囲気違うなぁと思ったら、歯がないのか!

顔がアップになるシーンになるまで気づきませんでした。

 

「モリのいる場所」を鑑賞した時の演技も見事でしたが、今回もまた名演技。

 

もちろんおばあちゃんとして家族の柱となって優しさを振りまいてるんですけど、あるシーン以降、観衆側からは「優しいおばあちゃん」だけではない面も見えてくる。

ただ、家族の前ではいつも通り愛想を振りまいている。

 

凄いの一言に尽きます。

 

そして海に行くシーン。

みんなが浜辺ではしゃぐ中、一人パラソルの下で見つめる初枝。

 

脛に砂を落としながら声にならない声で「ありがとうございました」と囁く。

 

どうやらアドリブだそうなんですが、この言葉が後々凄く効いてくるんですよね。

お見事でした。

 

 

最後に

監督の作品はいつも「わからないままで終わらせたくない」気持ちが芽生えるんですけど、それだけこの映画が魅力的だってことなのかなと。

 

映像の色合いも終始日陰感が強く、ジメジメとした空気を色でうまく表現しています。

それと対比するように人肌は温かい。

 

取調室もものすごく暗くすることで、法によって彼らを追い込んでいるような感じに見せてます。

 

 

この家族は何で繋がっているのか。

愛か、血か、ウソか、それとも金なのか。

 

一筋縄ではないかない絆に何を思うか考えさせられる作品だったのではないでしょうか。

 

とりあえずこれから見る方は、決して「自分の正しさ」というメガネで見ないことを薦めます。

なんというか、単純に切り捨てることができないんですよ。

もちろん正論だけの意見も無視はできないんですけども。

あ~モヤモヤする。

誰かと語りたい。

そんな気分です。

 

 

また、ここで描かれている家族は決して日本の恥なんかではないです。

見もしない知りもしないで決め付けるのは、本当に勿体無い。

 

世界が誇る映画祭で1番を取った日本の映画です。

そこで描かれてるテーマを是非考えて欲しいです。

 

 

というわけで以上!あざっした!!

 

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10