モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ミケランジェロ・プロジェクト」感想ネタバレあり解説評価 豪華キャストなのに…。

ミケランジェロ・プロジェクト

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紆余曲折を経てようやく公開した豪華キャストの競演。

TOHOシネマズのシネマイレージウィークで安く見られるということで新宿にて鑑賞してまいりました。

 

 

あらすじ

芸術の専門家で結成された特殊部隊“モニュメンツ・メン”は、美術品を奪還するため1944年7月、フランス・ノルマンディに上陸。

ヨーロッパ各地を手分けして捜索するも、全ては奪われた後だった・・・。

そんな中、敗北を悟ったヒトラーは、ついにネロ指令――ドイツが敗北した祭には全てを破壊すること――を発令し、一刻の猶予もなくなる。

世紀の美術品はどこに隠されているのか・・・あることに気づいたとき、彼らの怒涛の快進撃が始まる!《HPより抜粋》

 


「ミケランジェロ・プロジェクト」予告編 - YouTube

 

 

 

監督・キャスト

今作の監督・脚本・製作・主演を務めたのが枯れないザ・ナイスミドルのふくろう顔、そして、落ち着いてネスプレッソが飲めない男、ジョージ・クルーニー。

 

 ジョージ・スタウトという美術学者をモデルにした、モニュメンツ・メンのリーダー、美術史学者フランク・ストークス役どころ。

個人的には中学の頃受験勉強の合間にBSで見ていたTVドラマ「ER 救急救命室」からの好きな俳優の一人で、ニヒルでかっこつけたリーダーの役が多いイメージですかね。オーシャンズシリーズはもちろん、自らの評判を下げてしまったバットマン&ロビンフロム・ダスク・ティル・ドーンといった90年代の作品からマイレージ・マイライフゼロ・グラビティトゥモローランドなど好きな作品は数知れず。

監督としては、スーパー・チューズデーしか見てないのすが、活動も政治的な面が多い彼だからこその題材を作品にしたポリティカルサスペンスだったと思います。

 

 

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つづきまして、ジョージに呼ばれたらやるしかないよな・・・主役級なのにジョージの前ではサイドキック、イヤ、子分止まり。ご存知ハリウッド界のジミー大西、ブタ顔イケメンのマット・デイモン。

 

学芸員ジェームズ・ローリマーという人をモデルにした、メトロポリタン美術館のキュレーター、ジェームズ・グレンジャーという役。

アゴの割れた親友と作り上げたグッドウィルハンティングをはじめ、ジェイソン・ボーンシリーズ、オーシャンズシリーズ、ディパーデッド、最近では、幸せのキセキや、ちゃっかりインターステラーに出てたり、その役がまだ忘れられないまま、来年には宇宙もの「オデッセイ」が公開予定です。

 

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 彼の代表作であり、彼の作品で一番好きな映画。記憶をなくした元CIA工作員が自分の正体をを知るために逃亡しながら黒幕を追うアクションサスペンス。

とっちゃん坊やなイメージだった彼が、肉体改造してたくましく男前になったなぁ、と感じた作品でした。同時期に別の工作員の物語としてボーン・レガシーという駄作もありましたが、ジェイソン・ボーン イズ バック!ということでちゃんと続編が決定されてます。撮影も順調なようでめちゃめちゃ楽しみです。

 

 

そして、だんだん江波杏子化しているとしか思えない大女優、ケイト・ブランシェット。

 

美術館職員ローズ・ヴァランをモデルにした、美術品の行方を知る女性、クレール・シモーヌ役。

お高くとまった、プライドの高い感じの役のイメージが多いかな、と。エリザベスで脚光を浴び、アビエイターロード・オブ・ザ・リングベンジャミン・バトンなどの出演が有名ですかね。今年はシンデレラにも出てましたか。もちろん、悪い人でww

 

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 やっぱりこれですよー、ケイトといえば。ウディアレン作品の中で、ミッドナイトインパリのような作品をシュガーというなら、この作品は完全スパイシー。セレブが落ちぶれるとこうも滑稽で見苦しいものかと苦笑しながらみてました。切ないというよりはざまぁみろな目線でw

この演技が評価されアカデミー賞始め数々の賞レースをかっさらってましたね。

 

 

 

でもって、コメディ俳優の重鎮、ビル・マーレイ。

 

建築家ロバート・ポージーをモデルにした、リチャード・キャンベル役。

ジョージ・クルーニーは友達が多いことで有名ですが、ここも繋がっていたとはっ!!

もうこのお方については、ヴィンセントが教えてくれたことの感想で書きましたので、気になる方はそちらもどうぞ。

 

 

www.monkey1119.com

 

 

他にも、彫刻家ウォーカー・ハンコックがモデルの、ウォルター・ガーフィールド役にコーエン兄弟作品の常連ジョン・グッドマン、ジャン=クロード・クレルモン役にサイレント映画アーティストで一躍有名になったジャン・デュジャルダンというオーシャンズを思わせる豪華なメンツ。

 

 

 

 

 

 

そんなジョージの人脈でおそらくそろえたキャスト陣との共演も話題の戦争のさなかでの美術品奪還計画の感想は、

 

 

 

 

 

 

彼らの功績を讃えるか、地味なお宝探しととるか。

 
以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 

人の命よりも大事なものか。

ピカソレンブラントダヴィンチの最後の晩餐ヤン・ファン・エイクのヘントの祭壇画ロダンのダヴィデ像、そして、ミケランジェロの聖母子像
今でも語り継がれるこれら、歴史的価値のある絵画、彫刻像などの美術品を侵攻したヨーロッパ各地から奪いに奪い去った。
 
なぜヒトラーは、そこまで美術品にこだわったのか?
実は彼はアーティストを志し、美大を受験するも失敗。だが、彼の夢は捨てきれず、とうとうヒトラー総統博物館なるものを街の中心に建造し、強奪した作品たちを展示しようと企んでいたそうです。
 
そんな数ある美術品をどこかへ隠していたものの、第二次世界大戦に終わりが近づきドイツ軍は劣勢だった。
そして、ヒトラーはもし負けた時のための作戦も用意していた。
それが、ネロ指令です。
このまま負けて奪われるくらいなら、いっそ燃やしてしまえ!
金塊や、書物、宝石などありとあらゆる金になるもの、貴重なものを所有していたナチス。
そして、このままでは名画たちが危ないってことで美術品を愛するアメリカ人たちが立ち上がったわけです。
 
冒頭、ストークスはこれ以上戦争が続くと、
歴史的建造物がこんなひどい有様になっちゃうんですよ!に対して、
司令官クラスの方たちは、
戦争なんだから仕方無えんじゃね?
 
ラストも、悲しい出来事を乗り越えての奪還の報告に、
そんなことしてまで捜索する価値あんのか?
 
と非難される始末。
 
ラストのセリフはすんばらしくかっこいいんですけどね。
 
展示会での貴重な美術品を見られるのは彼らのおかげかもしれない。
そこで目で見て感じたことで我々は何かをきっと得ているはず。
そんな美術品たちを如何にして彼らが守ったのか。持ち主に戻そうとしたのか。
そんなことを考えながら見るとなるほど!と。
美術品に対しての意識がまた変わってくるかもしれないです。
 
 

映画としてはひたすら低空飛行

大脱走とかあの時期の戦争映画のような感じの軽妙なテンポのマーチングスタイルの音楽でまとめた映画だったので、意外とエンタメ要素の高そうな作品かな?
と思わせといて、
敵の存在、目的、メンバー集めなどオープニングでさらっと流し、小細工で笑いを入れる展開に
よく言えばテンポよく、悪く言えば淡々と事が運ばれるのはまだ良かったものの、
その後の探索活動の場面では、各々が何を探し求めてるのか、
そして、何が今起きてるのか把握するのが困難でした。
 
それぞれ肩書きがあり、絵画の専門、とか建築に強いとか、そういったものをもっと扱って所々見せ場がなく、盛り上げ要素として作って欲しかった、というのも思いました。
 
トレジャーハンティング的なもので描いたのでなく事実に基づくストーリーということもあってか、非常に地味に描かれてます。
重々しいシリアス感ではなく、シニカルだったりユーモアも交えた運びだったとはいえ、無駄な場面だなぁとも思ったり。
最初の大物捕まえたのもきっかけが自家製ジャーキーくったビルマーレイが歯が痛くなって、といった件だったり。
美術品探してる最中に地雷踏んじゃったマットデイモンだったり。
そこいる?
と感じてしまったのは残念でした。
 
要するに路線をどっちに重きを置きたいのかが中途半端なまま最後まですすむのでのっぺりとした運びに退屈と思ってしまったわけで。
 
 

豪華キャストはやはり爪痕を残す。

オーシャンズでの男前さと仲間思いのリーダー像を確立したジョージは貫禄ある立ち振る舞いでした。
内に秘めた美術品に対する思いが行動になり、優秀な仲間を集め、時には辛いこともあるけれど、それを乗り越えて任務を全うする姿勢は彼ならでは、といった感じでしょうか。
 
ケイトブランシェットは、マットとの絡みだけですが、ずっと無表情だった彼女が徐々に心を開き、最後には微笑み、ドレスアップして女を見せる。
その変化にグッとくるものがありました。これが女優だよなー。
 
んでもっておいしいとこもってくのはビルマーレイで。
一言一言が、クスッとくるセリフのチョイスが彼らしく、この作品の笑いの大半は彼で成り立ってます。
 
 
 
 
 
これ、きっとジョージが監督じゃなくスピルバーグなら、もっと重々しくなったろうし、
かといって、ソダーバーグだとまたおかしな感じになんだろうけど。
 
とにかく娯楽でいくのかヒューマンものでいくのか、はたまたコミカルにしたかったのかはっきりしない作品ではありました。
 
 
 

満足度 ☆☆★★★ 2