モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ピンクとグレー」感想 評価 レビュー 加藤シゲアキ渾身の作品を映画化。

ピンクとグレー

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よくよく考えたら前代未聞なんですよ。原作ジャニーズ、主演ジャニーズ。そもそもあのアイドル集団で小説書ける人いなかったわけですから。

 

まぁ、内容はともかくネームバリューだけでも売れてる作品の実写化なので。しかも、意外と予告見たら食いついちゃったわけで。

どんな仕掛けか楽しみにしながら見に行ってまいりました。

 

 

あらすじ

大人気スター俳優、白木蓮吾(中島裕翔)が、突然死んだ。

第一発見者は、幼い頃からの親友、河田大貴(菅田将暉)。

 蓮吾に何が起きたのか?動揺する大貴は数通の遺書を手にする。

遺書に導かれ、蓮吾の短い人生を綴った伝記を発表した大貴は、一躍時の人となり、憧れていたスターの地位を手に入れる。

初めてのキャッチボール、バンドを組んで歌ったこと、幼馴染のサリー(夏帆)を取り合った初恋・・・。いつも一緒で、いつも蓮吾が一歩先を進んでいた――。

輝かしい青春の思い出と、蓮吾を失った喪失感にもがきながらも、その死によって与えられた偽りの名声に苦しむ大貴は、次第に自分を見失っていく。なぜ、蓮吾は死を選んだのか?なにが、誰が、彼を追い詰めたのか?

蓮吾の影を追い続ける大貴がたどり着いた“蓮吾の死の真実”とは・・・《HPより抜粋》

 

 

 

 

原作・監督・キャスト

これは原作者書いたほうがいいよなぁ。

ご存知アイドルグループNEWSのメンバー加藤シゲアキの処女デビュー作が今作の原作になってます。

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もう彼に至っては金八先生のハセケンのイメージしかないですね!上戸彩の親友の役。でもって代表作だよなぁ。てか今もハセケンて顔だなっ!wwそんな彼にも物書きなんて特技があったんですねー。

ジャニーズで小説家って椅子は実際なかったわけで、そのジャニーズ内でも乱立するアイドルグループの中で存在感を出さないと生き残れないわけで、でもってグループ内でも正直端っこの立ち位置でしかなかった彼が、なかなかドラマで主役もはれない彼が、こうやって花開いたのですからファンにとってはさぞ嬉しいことだったんではないしょうか。

なんでも、この小説と次作「閃光スクランブル」、「Burn.バーン」の舞台が全部同じ街ということで渋谷サーガ3部作と呼ばれて人気なんだとか。これを機に彼原作の話がジャニーズ若手主体でどんどん実写化になっていくんでしょうか。事務所ウハウハだな。

 

 

 

監督は、これいくらで引き受けたの?って疑っちゃうくらいマジか!と思いました、行定勲

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 90年代終盤辺りから00年代前半にかけて、こと青春やら恋愛映画に関してはこのお方の信者みたいなのが多かったように思えます。やはり岩井俊二の下にいたからなのか、岩井色みたいなのが強かった印象がありますね。

ちなみに私は、映画熱が低かった時代なので特に興味はなかった人です。

とはいえ、窪塚洋介の代表作「GO」や、大ブームになったセカチューこと、「世界の中心で、愛を叫ぶ」くらいはさすがに当時流行したし、好きな映画だったりするので全く興味がないわけじゃないですけど。

で、最近何か話題作、有名な作品撮ってるか?ないかぁ~。ぱっと出てこない。となると、過去の人だよなぁ。記憶が間違ってなければ「パレード」以来この人の作品見てないかも。

 

パレード [Blu-ray]

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 吉田修一原作の書き下ろし小説を案外豪華なキャストで実写化した作品で、男女5人が同じ家で干渉せずルームシェアをしていく中で、近くで通り魔事件が発生。彼らと密接に関わってくるのだが・・・という話。

干渉しない分、その居心地のよさに留まることしか出来ず、かといって、事を荒立てようとするのなら追い出されるというシェアリングの良い様で悪い部分を浮き彫りにし、ラストの衝撃はじわぁ~っとくる恐ろしさでした。

キャストもそれぞれのイメージにぴったりで特に藤原竜也は、あー藤原竜也だなぁってww

 

 

 

そして、主演の白木蓮吾を演じるのがHey!Say!JUMP中島裕翔

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念願の映画初出演にして初主演といったところでしょうか。

キムタクがF1ドライバーを目指しながら施設の子供たちを養っていくというなんとも無茶な設定だった「エンジン」にそういや彼出てましたね。随分前の姿なので幼さとクソなまいきさ全開だったのを覚えてます。

 

エンジン DVD-BOX

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時は経ち、Hey!Say!JUMPでデビューして久々に見たら「半沢直樹」でめっちゃ男前になっており、恐らくあのドラマにはまったお父さんたちは、娘たちがやけに食い入るようにTVにかぶりついていて疑問に思ったことでしょう。半沢の部下は実はアイドルだったんですよ!おかげで娘さんとの数少ない会話に花が咲いた家庭もけっこうあったんじゃないでしょうか。

それがきっかけで、彼ははCMでも見かけるようになり、TVドラマでも良く見かけるようになりましたね。そして、今作に至ったわけです。

しかも、先輩が原作を書いててそれを映画って。よく言えばおっきい後ろ盾があるっていえますが、けっこうプレッシャーなんじゃないんですか。

演技のキャリアはそこそこあるけど、まぁ温かい目で見たいと思います。

 

 

 

そして、親友の河田大貴役に今や若手俳優筆頭にまでなった菅田将暉

 

 そうです、あのCMでおなじみの鬼ちゃんです。

仮面ライダーWフィリップを見てたときはこんなかる~いノリの役というかイメージというか、想像してませんでしたねぇ。もちろん演技ですからプライベートは案外クソ真面目かもしれませんが。

映画共喰いで主役を演じ、そこのみにて光輝くで助演でありながら存在感を放ち、数々の賞を受賞してからはTVドラマや映画に大活躍してます。

去年鑑賞したピースオブケイクでも、レンタルビデオ屋で働くチャラい後輩を熱演してたのが印象的でした。あーこんなヤツいるなぁ、と。

よろしければ、どうぞ。

 

 

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他にも、2人の幼馴染サリー役に夏帆、柳楽優弥などが出演してます。 

 

 

 

そんなわけで、原作ジャニーズ×主演ジャニーズの構図が映画界に新風を巻き起こすのか?62分後の衝撃とは?鑑賞後の感想です。

 

 

 

 

 

 

 

衝撃は少なかったけど、劣等感という名の青春物語でした。

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

サスペンスの定義とは

サスペンスに良くある、衝撃のラスト!みたいなオチ。
これを知りたくて、それに驚きたくて見る人もいると思います。
で、それを知った途端誰かに話したくなる。見たいけど知らない人はそれを恐れる。
みたいな流れからして、サスペンスはやっぱりオチが命なんだな、と。
誰かが言ってましたが、オチのわかったサスペンス映画を何回も繰り返し観るか?と。
そうなった時にその映画への情熱は薄れてくるわけで。
だってオチ知ってるわけだから。
まぁ、当たり前のことなんすけどね。
 
あとは、見ながら予想してしまうパターンもありますね。あれは良くない。
良くオチが読めたからつまらなかった、なんて感想を言う人も居ますが、それ映画楽しんでんのか?と。おそらく自分よりも頭の回転が速い人なんだとは思いますが、なんかもったいないなぁ、と。
 
だから、こういうのは見る前には情報を入れず、見てる間は何も詮索しない、
そうバカになって見るのが一番楽しく見られる方法だと自負しております。
 
で、この映画のキャッチコピーも上映62分後に衝撃が走るわけで。
ココを推してるわけです。
でも、これ、上映時間2時間あるわけです。
普通のサスペンス映画ならオチは、もっと終盤でしょ!!
船越英一郎や片平なぎさだって犯人を掛けに追い詰めるの決まって22時40分でしょ!!
 
で、遠回りしましたが、わざわざそんなサスペンスチックなトリックなんか作らなくとも、そこを推すような宣伝なんかしなくてもちゃんと鑑賞したら青春映画として成立してたわけです。
だから、そんなオチを期待させるような謳い文句に先入観を持ってしまい、作品性が低い印象を持ってしまったのは否めませんでした。
 
まあ、原作がそんなミスリードで始まる話なんでしょうから映像にしたらこうなってしまうよなぁ。
 
 
 

理想と現実でピンクとグレー?

物語の前半、というか61分まで、白木蓮吾、通称ゴッチと、河田大貴、通称リバちゃんの出会いから転機、そしてゴッチが自殺するまでを描いてます。これがピンクサイドだと思うんですが。
女にモテ、その感性から何をやってもサクッとこなしてしまうゴッチに対して、その後ろをただついて行くだけのリバちゃん目線で物語は進みます。
 
そんなゴッチが大切にしていた姉が突如亡くなってしまいます。
そんな悲しみを乗り越え日々を過ごすゴッチとリバちゃんは渋谷でたまたまスカウトされます。
そこから、あれよあれよとゴッチはスターダムまっしぐら。
それに引きかえリバちゃんはゴッチのバーターでちょい役をもらうも失敗の連続。
挙げ句の果てにはバーターを断るリバちゃん。
幼い頃から心の奥底で積み重ねて来たゴッチに対する劣等感がたまり、2人は衝突、離れ離れになってしまいます。
 
それでも、月日は流れ久々の再会を果たし仲直りするんですが、ゴッチの部屋を訪ねると彼は自殺していた。
ってのがピンクサイドの話。
 
 
ここから、画面はモノクロに変わりその後の物語となるグレーサイドに入っていくわけです。
 
まあ、何にも考えず見ていたのでこのグレーへの衝撃は大きくはありませんでしたが、おーなるほど!と感心はありました。
そういうことねー!くらいの。
 
で、グレーに入ってからのあらゆる闇の部分というか裏の部分というか真実の部分が淡々と進んでいくんですが、
ピンクサイドで如実に出ていたと思ってたリバちゃんのゴッチという亡霊に対する劣等感がグレーサイドでは、もっと露わに自分を見失ってしまうほど心を蝕んでいきます。
 
あらすじでもある通り自殺したゴッチの事を書いた本を出したことで時の人となるリバちゃんなんですが、ピンクサイドはそれを美化したものとして、で、グレーは、本当にゴッチってそんな奴だったのか?真実は?みたいな展開になっていくわけです。
あーこれ以上書いたら核心に触れる〜!!
 
 

主役より脇役で助かってる

正直主役の中島裕翔は演技面に対しては及第点といったところでしょうか。ピンクサイドとグレーサイドでは全く違う雰囲気を出して使い分けてるようにも思えましたが、それはきっと監督の演出のおかげかな?とも見れる演技だったかな、と。でも、決して悪くないです。そもそも初の映画出演で主演なんだし。ちゃんとこなしていましたから。ただ、弱かった。
 
それに対して菅田将暉はキラキラ光ってるゴッチに対してくすんだ配色を纏ったリバちゃんを上手く演じ、後半ではそのダサさが全く感じず、しかも中島裕翔をたてた演技だったと思います。
 
ただ、そんな2人よりも!!
 
これに関しての一番の衝撃はサリー演じる夏帆でした。
女優ってスゲ〜な!!と、ピンクサイドとグレーサイドを使い分けたこの役どころもすごいが、夏帆そのものが凄かった。
全部書くと核心に触れちゃうので伏せますが、その豹変ぶりは見事。声色まで変えてやがった!
ちょっというならば、夏帆が制服着てくれたのもグッド!だし、ベッドシーンもグッド!!彼女の全ての演技の引き出しが出ていますどっちもエロいんだよ!!とにかく!!
 
あとは、役名は伏せますが柳楽優弥も存在感バッチリ。ほぼセリフないけど、あのギラついた眼と佇まいはどこから出てくるんだ?
 
 
 

若者が書いた若者が好きそうなワード

リバちゃんの芸名は、河鳥大という芸名で俳優活動をするんですが、この芸名のきっかけはリバー・フェニックスからとっています。
リバー・フェニックスは若くして亡くなってしまった非常に将来有望だった俳優で名作「スタンド・バイ・ミー」でクリス役を演じたのが有名です。
 
で、ゴッチの本名は鈴木慎吾というありきたりな名前で芸名が白木蓮吾です。
これも、好きな映画がマグノリアで、マグノリアは蓮の一種である白木蓮からとったとなってます。
 
このように、あー今の20代が10代で好きになった感じがするなぁと少し上の世代として感じた部分でした。
 
他にも、ラーメン一蘭デュポンのライター、そもそも渋谷が舞台というのも若者向けだなぁ、と感じました。
 
 
あとはこれ絶対関係ないとは思いますがファンが故にまずピンクとグレーでインスピレーションしたのがMr.Childrenフェイクというシングル。

 

 

 

フェイク

フェイク

 

 

 

 

このPVが正にピンクとグレーで構成されているんです
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あんましわかりやすいの無いなぁ。

この歌も全てがまがいもので何が真実かわかんねーぞって歌なんですけど、
原作者はこれヒントにしたんじゃねーかなぁ、と勝手に思ってしまいました
 
どうでもいいっすねww
 
 
 
 
 
 
表と裏という、見ていた景色と訪れた現実を分けて写した物語を、
本当に雲の上の存在となってしまった親友に劣等感を抱いていたリバちゃんと、ちゃんと彼を思って慕っていたゴッチとの友情をちゃんと軸にしていた話でした。
ほんとに62分後の衝撃って隠してただの青春映画でやればもっと面白く観れたと思うんですけどねー。
 
 
 
 

満足度 ☆☆☆☆★★★★★★ 4/10