モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【ネタバレ】映画「ブラック・スキャンダル」感想と評価 ハゲデップの悪巧み。

ブラック・スキャンダル

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今年のジョニー・デップは何ですか?ハゲですか??

でも、コメディじゃないよな・・・。

 はい、ジョニデ史上最高の演技という謳い文句で宣伝されてる暗くて重そうな犯罪物の作品ですね。

いいよ~こういうの大好きっ!!

てなワケで、早速見てまいりました。

 

 

あらすじ

 1975年、サウスボストンでアメリカの正義の根幹を揺るがす史上最悪の汚職事件が起きた。
マフィア浄化に取り組むFBI捜査官のコノリー(ジョエル・エドガートン)は、イタリア系マフィアと抗争を繰り広げるギャングのボス、バルジャー(ジョニー・デップ)に敵の情報を売るよう話を持ちかける。

FBIと密約を交わし、情報屋の立場を悪用して敵対する組織を壊滅に追いやるバルジャー。出世欲の強いコノリーと名声を望む政治家のビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)もまた、彼と手を組み権力の座を駆け上がっていく――。

そう彼らは同じ街で育った幼馴染だったのだ。悪の象徴であるバルジャーにより徐々に取り込まれていくFBI、思惑とは別に欲望の歯車が狂い始める――。
やがて地元紙のスクープで彼らの悪事が明らかになった時、彼らに訪れる衝撃の結末とは。

ギャング、FBI、政治家が手を組んだ、アメリカ史上最悪の汚職事件=スキャンダルがいま暴かれる!《HPより抜粋》


映画 『ブラック・スキャンダル』本予告【HD】2016年1月30日公開

 

 

 

監督・キャスト

監督はこれからの映画界を背負って立つといわれる有望株スコット・クーパー

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この人の作品、1本もまだ見たことないんで、どうにも語れないんですが、経歴としては、2009年、「クレイジーハート」で監督デビューし、アカデミー賞で最優秀主演男優賞、最優秀歌曲賞を受賞し一気に名が知れ渡ったようです。

次作である、「ファーナス/訣別の朝」も数々の賞レースにノミネートするなどの快挙を成し遂げている今後が楽しみな監督さんとの事。

そして今作が3作目ということで集めたキャストも豪華っす。皆さん彼の作品に出たいといって集まったのかな。

 

 

 

主演のジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを演じるのはご存知ジョニー・デップ。

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もう52歳だそうです。普通こんなハゲ親父になっていてもおかしくないですが、まだまだカッコイイ男の代表格ですね。ちと生え際が気になるけどww

大体みんな見てると思いますが、シザーハンズでの純真無垢なハサミ人間を見事に演じ、彼が大化けした大ヒット作、パイレーツオブカリビアンでは薄情で弱腰の船長、ジャック・スパロウを未だ演じ続け、他にもチャーリーとチョコレート工場アリス・イン・ワンダーランドローンレンジャーダーク・シャドウスウィーニートッド

 などなど近年は歌舞伎役者も顔負けの白塗りの役ばかりが目立ち、普通の役だと面白くない、つまらないなんてレッテルを貼られることもしばしば。確かに、奇抜な格好した後普通の役やったら目立たないし魅力的には見えないっすねぇ。

それでも、過去には、ディカプリオと共演したギルバート・グレイプや、マフィアに潜入捜査するフェイク、実在した銀行強盗を演じたパブリック・エネミーズ、後のピーターパンへと繋がる劇作家を演じたネバーランド、史上最低の映画監督といわれた男を演じたエド・ウッドなどなど現代モノで普通の役や実在した男など白塗りや奇抜な格好せずまともな役もしっかりこなしてます。

調べていて知りましたが、アカデミー賞主演男優賞に3度もノミネートしてるんですねぇ。知らなかった・・・。今作は残念ながらダメでした。きっと狙っていたと思いますけど。

今年はもう一本、アリスインワンダーランドの続編、アリス・イン・ワンダーランド2/時間の旅が7月に公開予定、来年はパイレーツオブカリビアンの続編が控えています。

 

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 ジョニデ演じるFBI捜査官がかねてよりマークしていたアル・パチーノ演じるマフィアの1人に宝飾品鑑定の腕を買われ潜入捜査に成功。徐々に頭角を現していく彼と、マフィアとの間に、やがて公私にわたり情が芽生え始め、捜査官とマフィアの一員の狭間で揺れ動いていく。

アルパチーノなんだからそんな下っ端とか勘弁してよー、といいたくなるけどこれはこれでアリだし、ラストの哀愁はハンパ無いっすね。

まだジョニデが覚醒してないというか普通の人を感情的に演じているのが初々しいかな、と。

 

 

FBI捜査官ジョン・コノリーを演じるのがジョエル・エドガートン

 

オーストラリア出身の俳優さんだそうで、ディカプリオ主演のリメイク作華麗なるギャツビーでギャツビーのかつての恋人デイジーの旦那を演じ、名が知れわたったんだとか。あぁ、いたなぁ。

他にも、ビンラディン殺害を追い詰めるまでを描いたゼロ・ダーク・サーティでは、シールズ隊員役として出演したり、実はスターウォーズエピソード2と3でオーウェン叔父さんを演じていたのも彼だったそう。気づかねーよww

 

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 そんな彼が主演の知る人ぞ知るコメディ映画がこれです。

イギリスの田舎町にある紳士靴メーカーの跡取り息子が、あとを継いだものの経営状況は火の車だった。そして、出張先で出会った女装したドラッグクイーンの悩みからヒントを得て、重く大きい体に耐えられる男性用のハイヒールブーツを作ること決意するのだが・・・。

 あとを継ぎたくなくてロンドンへ逃げちゃおうと考えた矢先の不運さ、そして、酔っ払いに絡まれちゃうひ弱さ、今のジョエルには到底結びつかないキャラですが、跡継ぎとして奮闘していく姿と、なんといってもドラッグクイーン演じるキウェテル・イジョフォーの女としての艶っぽさと度胸、佇まい!

悲劇、転機、順調、危機、団結、逆転、そんなよくあるパターンの展開だとしても、見たらワクワクするし、コメディとしても非常に愉快。オカマ故の哀しい性も笑いに変えてくれる満足できる作品だと思います。

 

 

 

そして、ジェームズの弟にして政治家のビリー・バルジャー役にベネディクト・カンバーバッチ。

 

 イギリスの舞台からテレビや映画に出演し、つぐないブーリン家の姉妹などで知名度を上げ、テレビドラマ、シャーロックでのブレイクを機に、

スピルバーグ監督の戦火の馬、ソ連の二重スパイを探すスパイ組織内の情報戦を描いた裏切りのサーカス、声での出演だが存在感を見せ付けたホビット、まさかの悪役にびっくりしたスタートレック・イントゥダークネス、奴隷の黒人に目をかけた温厚な農場主を演じたそれでも夜は明ける

破天荒なおばあちゃんの言動や行動に家族がめちゃくちゃにされる中、気弱な息子としてアンサンブルした8月の家族たち、そして、去年の作品イミテーション・ゲームでアカデミー賞主演男優賞にノミネートし、役者としてさらに高みへとステップアップしています。

マーベル好きとしては彼が、来年公開予定のドクター・ストレンジに決まったときは嬉しかったですねぇ。おヒゲ蓄えてやってくれるんでしょうか。

今作は兄の犯罪に眼を瞑るという悪い政治家の役ですが、どんな演技をみせつけてくれるのでしょうか。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

他にも、名優ケヴィンベーコンフィフティ・シェイズ・オブ・グレイで体を張ったダコタ・ジョンソン華麗なるチェックメイトピーター・サースガードアントマンで宿敵イエロージャケットを演じたコリー・ストールなどが脇を固める。

 

 

そんな幼馴染の3人が自らの立場を利用し、互いの利害関係のために完全なる悪に染まった凶悪事件の全貌とは!?

はい、感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

派手な演出は一切なくとも目を離せない犯罪史

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ミイラ取りはやっぱりミイラに。

構成としては、指名手配になったバルジャーの情報を、捕まった手下たちが自供しながら進んでいきました。

地元に戻ってきたFBI捜査官ジョンは、てっきりこの悪事を秘密裏に行い、それが内部にバレて…って展開なのかと思いましたが、

正式に上に掛け合い、情報提供者として許可をもらってたんですねー。

 

地元にオレが帰ってきたんだから、オレが事件を解決してやるんだ!とばかりに、秘策を持って着任したジョンはバルジャーに接近して協力依頼をするわけですが、

この時の彼は既に、FBI捜査官という立場よりも、目の前にいる巨悪を、子供の頃オレを助けてくれて、オレがなりたかった憧れの男だ!という幼馴染でヒーローでって風にしか見えてなかったんでしょうね。

後々のことを考えたら厄介なことになるのはわかりきったことだと思うんですけど。

 

当時のFBIは、イタリア系マフィア撲滅キャンペーンの真っ最中であり、特にボストンはアンジェロファミリーなる組織が牛耳ってたんですねえ。

で、南の方で細々とマフィアっていたのがまだ小物感たっぷりのバルジャーで。

バルジャーもまた、のし上がっていくためにはアンジェロファミリーは目の上のタンコブなわけで。

で、ジョンはバルジャーにおたくのタンコブを取ってあげるから見返りにヤツらのアジト教えてチョンマゲ!

っていうのが秘策だったわけです。

 

そして、事件を解決した彼にとって、バルジャーはもう感謝の念しかなく、彼のためにしか仕事しなくなっていき、何が正義で何が悪かを見失い、気づけば身なりも態度も変わりぬるま湯につかっていたんですねー。

 

 

ボストンておっかな〜い!!

ボストンを舞台にした幼馴染の3人の話というとクリントイーストウッド監督のミスティックリバーを思い出しますが、
あの作品のようなユーモア一切なしの重く暗く冷た〜い空気を終始吐き出し
FBIに情報を提供することでやりたい方題となったアイルランド系代表バルジャー率いるウインターヒルVSイタリア系代表アンジェロファミリーの南ボストン抗争は、
直接ドンパチというものではありませんでしたが、仁義なき戦いを覗かせたものでした。
 
そして、兄がギャングで弟が政治家って大丈夫なの?
と疑問に思う部分もありますが、
これもボストンを舞台にしたベン・アフレック監督、主演の映画ザ・タウンでもあったように親子で銀行強盗を家業にする家もあれば、
今作での冒頭で語られる通り、警官かマフィアになる世帯が多く、大人になってもけいどろごっこしちゃってるような街なんですね〜。
 
まだあります!マーティンスコセッシ監督のディパーテッドもまたボストンを舞台にした警察、マフィアが互いに潜入捜査をしていく話でしたが、
ジャック・ニコルソン演じたマフィアのボスは、役名こそニューヨークの実在したイタリア系マフィアのボスの名前ですが、バルジャーがモデルだったんだとか。
それをアイルランド系から監督と同じようにイタリア系に置き換えた話だったわけですねー。
 
というようにボストンは過去の名作が語るようにとてもマフィアとは切っても切れない、犯罪が蔓延る街ってわけです。
 
んでもって、みんなレッドソックス大好きww
 
 
 

肝心の演技は。

結論から言うと、ジョニーデップに関してはズバ抜けて凄味を感じた、というほどのものではありませんでした。
これは、自分の彼に対するイメージですが、
元々爽やかな笑顔の似合う2枚目俳優というものよりも、
どこか影を背負っていて、病的な白さの中にダークな部分を兼ね備えた、冷たさ、怖さがあってこそのカッコ良さみたいな印象がありました。
 
だから、白塗りの奇抜な格好をして変な演技をしても暖かさが感じない分、気持ち悪いけど顔が男前だから成立したキャラがウケたと思うし、
今作もまた、微かに秘めていた暖かなオーラを完全に消し、終始一貫して冷たく暗く閉ざした空気感を出しながら、狂気を放つことができたのは、何となくわかっていたからそれほど驚くほどの演技とは感じなかったというのが大きな印象です。
 
後は、地声が低いのと、舌ったらずな喋り方で話すのがそもそもこういう強い役にはもってこいだなと思っていて、
酔っ払ったジャックスパロウのように、今作でも、
あぅばばゔぁ〜あゔぁばばばぅえゔゔぁ〜
と何言ってるかわからない口調で相手を脅し、息子にアドバイスをし、子分を励まし、裏切り者をビビらせ、
俺を誰だと思ってるんだ?バルジャーさんだぞ?
トレンディエンジェルのネタのようにドスをきかせていたのはぴったりたったな、と。
 
で、ジョンコノリー演じたジョエル、弟のビリー演じたカンバーバッチは、伝説の男バルジャーを盛り立てるようなフォローしかしておらず。
 
ジョンはこの話の発端だったわけで、バルジャーの前では笑顔をほとんど見せず、過去の恩義を忘れず、現在でも忠誠を誓っていた男を演じてましたが、
いざ、FBIに戻れば、俺がいなけりゃホシはあげられねぇんだぞ!!とオレ様を気取り、感情剥き出しな顔を見せる、2つの表情をキチンと分けて演じてました。
 
特にカンバーバッチに至ってはあまり出番がないという…ファンには残念な結果でした。
兄の悪事に手を貸すわけでもなく静観し、家でも外でも政治家ヅラで一本調子だった感じでした。
 
やはり、マフィア✖️FBI✖️政治家という史上最悪なトライアングルを見たかったし、この牙城がどう崩れていったのかというのが見どころなのかなぁ、と思っていた分、宣伝文句に騙されたのは悔しいです。
 
 
 
 

ビンラディンが現れるまで史上最高額の懸賞金をかけられただけの悪っぷりを明かしただけのことはあり、

そのキレっぷりと強欲っぷり、極悪っぷりを、ただ静かに淡々と描き、70年代の雰囲気をキチンと映し出したのは、変にエンタメにせず、実録ものとしてしっかりと作られたものでした。

怖さと彼らの欲深さだけが残った印象です。

しかしながら、ジョニーデップに関しては悪くはなかったものの多少の物足りなさを感じてしまったのは残念なところです。

それでも、見応えは十分にありました。じーっと堪えてジワジワくる狂気を堪能してみてはいかがでしょうか。

 

 

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10