モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【ネタバレ】映画「不屈の男 アンブロークン」感想と評価 アンジェリーナジョリーは監督に向いてるのか。

不屈の男 アンブロークン

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戦争もの、得意じゃないです。苦手です。でも、たまにはいいかなと。向こうが描いた日本を見たほうがいい気がする。

でもって、単館系の作品。監督がブラピの奥さん、アンジー。

 初めていく映画館なのでドキドキしましたが、早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

 カリフォルニア州トーランスでの青年期、イタリア移民の子であったルイ・ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)は兄ピートの励ましのおかげで、走りの驚異的な才能に振り向け、次々とアメリカの記録を更新し“トーランスの竜巻”と呼ばれるようになった。そして、1936年のベルリン・オリンピック5000mに出場し一躍英雄となった。

第二次世界大戦で爆撃手となるが、1943年4月、救助活動に向かう途中、グリーン・ホーネット号はエンジン・トラブルで 海に突っ込み、ルイと二人の生き残り、飛行機のキャプテンだったラッセル・アレン・“フィル”・フィリップス(ドーナル・グリーソン)と、後部砲手 フランシス・“マック”・マクナマラ軍曹(フィン・ウィットロック)は数週間にわたり無限に広がる太平洋上を漂流した。

その後、彼らは日本海軍に捕らわれ、クェゼリン島で独房に入れられる。二人は別れ別れとなり、フィルはどことも知れず連れ去られる。ルイは、東京の大森捕虜 収容所に送られた。そこで精神のバランスを欠いた収容所署長、サディスティックな振る舞いによって“鳥(バード)”とあだ名された渡辺伍長(MIYAVI)に目を つけられることになる。《HPより引用》


「不屈の男 アンブロークン」予告編

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督は今作で2本目となるアンジェリーナ・ジョリー

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そうです、あの女優のアンジェリーナジョリーです。今回が2本目ってのも知ってる人少ないでしょうね。

ブレイク期こそ、トゥームレイダーを始めとしたアクションを主流とした作品が多いイメージでしたが、

ここ10年では、CIA諜報員の妻という難しい役どころを演じたグッド・シェパードや、テロリストに誘拐されたジャーナリストの夫を救出すべく身ごもった体をおして全力を注ぐ妻を演じたマイティ・ハート/愛と絆、行方不明の息子が戻ってきたが全くの別人という事実を精神異常のレッテルを貼られつつも主張し続け熱演したチェンジリングといったヒューマンドラマにも出演が増え、演技派としても一目置かれる存在になりました。

プライベートでは、誰もがご存知ブラッド・ピットと長い付き合いにより婚約したり、乳がん予防のため、乳腺を切除したり、卵巣も同じような理由で切除といった、自らの体で癌への意識を高めるよう訴え、慈善活動なども本腰を入れるなどして社会的貢献を積極的に取り組んでいます。

 

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 監督作は見て無いので出演作で好きなのを。

キック・アスアベンジャーズシリーズ:シビル・ウォーなどを執筆したマーク・ミラー原作によるコミックを実写化した作品で、

うだつの上がらない青年が謎の美女と出会い、殺された実の父が殺し屋であることを告げられ、父の意思を継ぎ殺し屋の道を歩むという物語。

一人前の殺し屋にるまでの特訓がハードだったり、なんといっても実弾が曲がるというすげぇ演出、そして、少しずつ暴かれる嘘が紐解かれていくという、一人の男の選択と成長を描きながら真相を辿っていくコミック感覚で楽しめる1本です。

 

 

主演のルイを演じるのがジャック・オコンネル。

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初めて知る俳優さんです。

イギリス出身の25歳だそうで、サッチャー政権下の中で、右翼活動する若者を描いたTHIS IS ENGLANDでデビュー、その後もイギリスサッカーの名門、マンチェスターユナイテッドが航空事故に巻き込まれた悲劇を描いたユナイテッド‐ミュンヘンの悲劇‐ザック・スナイダー監督で大ヒットした続編300(スリー・ハンドレッド)~帝国の進撃~

最近では、面白いと評判なんで後で見ようと思ってるんですけど、敵地に取り残された若い英国兵士の脱出劇を描いたサバイバルドラマ、ベルファスト71で主演を務めています。

 

 

ルイと共に捕虜になるフィル役にドーナル・グリーソン。

 

ここ最近で露出の増えた俳優さんですね。

臓器提供のために作られたクローンの少年少女たちを描いたわたしを離さないでに出演後、ハリーポッターと死の秘宝にてビル・ウィーズリー役に抜擢、その後もタイムトラベルできる男の愛と時の大切さを描いたアバウト・タイム、仮面をかぶった男の音楽に心酔し共に活動する様を描いたFRANK-フランク‐、そして、スターウォーズ/フォースの覚醒では、カイロ・レンと肩を並べるファースト・オーダーのハックス将軍役としてその名をとどろかせています。

今後はレオナルド・ディカプリオ主演のアカデミー賞ノミネート作品、レヴェナント~蘇えりし者~が控えています。

 

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 モンキー的2014年映画ベストにもランクインした、こんな人生送ってみたい!と叫びたくなるキュンキュンした映画です。

一族の男がタイムトラベルできるという家系に生まれた青年が、一人の女性に恋をし何度もタイムトラベルして実を結び幸せを手に入れるも、能力では解決できない壁にぶち当たり時間の大切さを思い知り、1日という時間の大切さに気づいていく。

もぉー、個人的に大好きなレイチェル・マクアダムスの可愛らしさだけで100点あげたいくらい。情けないようでたくましくあるとglobeのFACE みたいな主人公もまた魅力的で彼女を幸せにすべく成長していく姿も頼もしいです。

そして、お父さん役のビル・ナイがズルイ!!美味しいトコ全部持ってくんだっ!笑いも涙も!これを監督したラブ・アクチュアリーでおなじみリチャード・カーティスの最後の監督作品でもあります。

 

 

 

そして、日本からどんな経緯でこの人をキャスティングしたのか?鬼軍曹、渡辺伍長を演じるMIYAVI。

 

おぉ~目つき恐っ!サディスティック感でてますねぇ~。

スラップでギターを弾くギタリストとして近年活躍しており、SMAPにも楽曲提供しているのが最近では目立ちます。で、今作が俳優デビューなんだとか。

アンジーもこの役にはロックミュージシャンしかいないと思ったらしく、それに合った人材を探していたようです。

果たしてどんな存在感を放つのか楽しみですね。

 

 

 

他にも、共に捕虜となり生き延びようと耐えるフィッツジェラルド役にPAN~ネバーランド、夢の始まり~でフック船長を演じたギャレット・ヘドランド、カップ役にターミネーター:新起動/ジェニシスでカイル・リースを演じたジェイ・コートニーといった注目の若手俳優たちが出演しています。

 

 

 

 

というわけで、彼がどんな半生を送ったのか、そして捕虜としてどんな思いで生き抜いたのか、鑑賞後の感想です。

 

 

 

 

 

 

 

作り手の未熟さゆえに作品の弱さが目立つ

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

この時期に公開したのがよくなかったか

今年に入って、どんな困難にも己を曲げず強い精神力を持って生き抜いたり、逆境の中挫けなかった男のドラマが立て続けにあったと思います。
しかも、どの作品も経験豊富な巨匠達が壮大でドラマチックで心揺さぶるものばかりでした。
国民から後ろ指を指されても自ら心に建てた旗を下ろさず、人質を交換することに徹底したブリッジオブスパイ
白鯨との壮絶な戦いの中、漂流し生き抜くために苦渋の決断をした白鯨との戦い
そして、昨日鑑賞した、異星での厳しい環境の中、孤独に助けを待つ様をユーモアにポジティブに描いたオデッセイ
 
それぞれが根っこの部分は同じでも作品によって色があり、深みがあり、他の作品と差をつけて、結果娯楽として非常に楽しめた作品ばかり。
そんな男のドラマとしての良作を立て続けに見てしまった後の、この作品の内容の薄さや弱さ、ショボさが目立ってしまったのが正直な感想です。
 
 
 

アンジーが伝えたかったこと

構成としては、戦闘機での空中戦、失った戦友を弔いながらも無事帰還を祝い、次の任務の途中での機体の損傷に伴い海上へ緊急着陸、
そこから約1ヶ月漂流していく中で、
ルイの幼き日からオリンピック選手としての活躍の回想を並べ、捕虜として耐えに耐える日々を過ごすといった流れでした。
 
おそらく回想シーンを少しずつ挟むことで、やんちゃで悪さばかりしてた彼がどのようにして屈強で強靭な精神力を身に付け形成されたかを描きたかったんだと思います。
 
 
ただ、途中で回想シーンは終わり、ただただボコボコにされる日々が流れるという後半から、耐え抜くまでのラストにこれといった爽快感はなく、心は揺さぶられず。
漂流のシーンも予算の都合なのか海原が安っぽく見え、ダラダラと間延びした時間が流れ、
上から敵機、下はサメという危機的状況にもかかわらず、緊迫感はあまり感じることができず。
 
収容所では、特に日本兵のセリフの棒読みがすごく目立ちました。
早く行け!という怒鳴り口調の指示はまだいいとして、さりげなく聞こえる会話がかたっ苦しい。
でも、日本人が話す英語がちゃんと発音が和製英語っぽくて指導が行き届いてるなあ、と。
 
 
何というか、順序よく半生を描いても良かったし、
回想の中で一番彼がタフになった部分、オリンピック選手としてレースでラストスパートをかけるシーンと、
終盤跪けば死が待っているというギリギリのところを踏ん張り立ち続けるシーンを並行して描けばよりドラマ性が強くてわかりやすいのになぁ、と個人としては感じました。
 
 
とはいえ、表面的には物議を醸し出す反日映画と捉えられてしまうような残酷描写が多々あるものの、
最初から最後まで、ルイという男が、暗闇の中でもがき、光を求め探し続け生き抜く、
我々に明けない夜はないと身をもって教えてくれる、アンジーはそんなことを作品として伝えたかったんだと思います。
 
 
 

一番わからなかったルイと渡辺の対比

バード羽鳥ならぬバード渡辺伍長が初お目見えする朝礼。
ここでルイは彼を直視してしまうことで目をつけられます。
何目そらしてんだ、俺を見ろ!俺を見ろ!俺を見ろ!と。
その後も中々屈しない彼をみて、同じ意志の持ち主だと話します。
 
良家に生まれエリート街道をひた走るはずだった彼が収容所などに赴いてしまったというセリフから、彼もまた強い精神で這い上がろうという背景があるんだろうと理解できたものの、
映像面では渡辺の苦悩や葛藤といったそんな描写は汲み取れず。
 
そして、どんなに罵倒してボコボコにしても見つめるルイに、しまいには俺を見るな!俺を見るな!俺を見るな!と。
憧れと嫉妬と怒りを体全体で表現していたMIYAVIは頑張ってたし、ラストは渡辺の弱さがにじみ出たようにも感じましたが、
いかんせん渡辺の心情を理解させるような映像がなく、なぜあそこまで執着するのかが腑に落ちませんでした。
 
てか、MIYAVIって美男子かと思って見てたら案外ブスな顔してるんだなぁ、と。
ファンの方すいません。きっと帽子被ってたからです。
 
 
 
 
 
 
逆境にくじけない男の半生を描いてはいたものの、監督の作品作りの未熟さが浮き彫りになってしまったのが非常に残念ではありますが、
決してアメリカをひいきにした作りには感じなかったし、日本もあんなことをしていたという事実を我々は見るべきかと。
私もまた初めて行った渋谷イメージフォーラムの場内の寒さに耐え、不屈の精神を身に付けたというどうでもいい思い出も出来ましたww
 
 
 

満足度 ☆☆☆★★★★★★★3/10