モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【ネタバレ】映画「アーロと少年」感想と評価 恐竜は喋れて少年は喋れない。

アーロと少年

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ピクサー最新作は、恐竜の擬人化です。昨年、インサイドヘッドで感情を擬人化するというなんともユニークな発想で楽しませてくれましたが、どうなることやら。

 なるべく子供たちが来ない時間帯で見てきました。

 

 

 

あらすじ

弱虫で、父親に甘えてばかりだったアーロ(声:石川 樹)は、激しい嵐で最愛の父親を亡くして、川に流されて見知らぬ土地で目覚める。そんな迷子のアーロを救ってくれたのは、人間の少年スポットだった。言葉も通じないのに、アーロを小さい体で一生懸命に守ってくれるスポット。最初は反発しながらも、やがてアーロはスポットに少しずつ心を開いてゆく。そうしてふたりは、アーロの家族が待つ家を目指し冒険の旅を始めるが、彼らの行く手には想像を絶する大自然の脅威や敵が待ち受けていた。力を合わせて困難を乗り越えていくアーロとスポット―。いつしかふたりは、言葉を超えた心で通じ合う、人生初の友だちになっていく。だが、運命は、そんなふたりを引き裂こうとしたー。(公式サイトより抜粋)


映画『アーロと少年』予告編

 

 

 

 

監督・キャスト

 

 監督はピクサーではアジア人初の監督ピーター・ソーン

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大学卒業後にピクサーに入社し、今年続編が公開予定の、クマノミ父子の再会までの冒険活劇を描いた「ファインディング・ニモ」や世間から必要とされなくなった超能力を持った家族が再び力を必要とする騒動に巻き込まれた「Mr.インクレディブル」などの脚本や製作に加わり、

ちょいちょい声優としても参加したりという逸材。今作でも声優で参加しているそうです。

今作を監督するに当たっては、大変なプレッシャーの中での製作だったそうで、長きに渡って製作していく普段のピクサーのやり方とはうって変わって、公開まで残り1年という時に急遽監督として抜擢。前監督のそばで製作に携わっていたとはいえ突如の交代とタイムリミットに相当な重圧を抱えていたそうです。そんな中でも、周りの人たちに助けられ、ようやくここまでこぎつけた、とインタビューで語っています。

 

そうまでして作られた作品がしっかりできているのか、多少のの不安はあるものの見届けたいですね。

 

 

 

キャスト陣は、日本語吹き替えの方たちの紹介です。

恐竜なのに怖がりで弱虫な11才・アバトザウルスのアーロの声を担当するのが石川 樹くん。

 

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はい、情報がまったくありません。これで本格的デビューなんでしょうか。大抜擢ですね。

 

そして、父を亡くした後、女手ひとつでアーロを育てる、アーロのお母さん恐竜の声を担当するのが安田成美

 

 

 

ファインディング・ニモで旦那さんであるとんねるず木梨憲武も声優として担当してますが、今年公開予定のファインデイング・ドリーでも参加するのでしょうか。そうしたら夫婦で今年ピクサーに携わるなんて快挙になるかもしれませんね。

 

 

 他にも、アーロと関わることになっていくTレックスの家長ブッチの声を松重豊、その息子でアーロと人間スポットを助けるナッシュ役に八嶋智人、その姉ラムジー役に片桐はいりが吹き替えを務めます。

 

 まぁ、アニメだしディズニーだし吹き替えの人をイントロダクションするのもなんか違うのでいつもより短めに。

 

 

 

もし地球が隕石の衝突から逃れ、恐竜が絶滅していなかったらというコンセプトのもとに描かれた怖がりな恐竜と怖いもの知らずの人間がどんな物語を紡いでいくのか。

では、感想です。

 

 

 

 

 

 

 

アニメの映像美がここまできたか!

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

一瞬実写?と思えるほど鮮明なアニメーション。

まず褒めるべき点は映像にありました。冒頭の川の流れに実写?と目を疑ってしまうような透き通って滑らかな水に驚きを隠せず前のめりになってしまうほど。そこからというもの、山に覆われた大自然の数々をこれでもかと言わんばかりの鮮明さ、木々の葉や草など一本一本が細かく処理されていたり、雨や風といった天候もリアリティある描写、動物の毛も繊細に描かれていて。
クリエイターたちの限られた時間でのブラッシュアップに感服でした。
 
キャラクターたちに至ってはディズニーらしい愛嬌のある可愛らしいものになっていて、特に恐竜たちはクレイ感のあるタッチなのにもかかわらず、やはりそこは仕事人たちの細かい作業が行き届いていて、寄った映像では皮膚が立体的でツヤがありアニメとはいえ生々しくもありました。
その生々しさになぜかよもぎまんじゅうが食べたくなりましたw
そんな写真さながらな風景とは対照的にしたキャラクターの動きに新たなアニメーションを作り上げたスタッフたちの仕事っぷりは見事だとおもいました。
 
そんな中、これ悪ふざけだなあと思った部分がひとつ。
アーロと少年の距離が徐々に近づき、道中落ちていた果物を2人でほおばるシーン。
なんと腐っていて、しかも幻覚作用のある果物で彼らは突如ラリっていきますwこの映像がちょっと行き過ぎなんじゃないかというほど危ないものに感じました。面白いっちゃあ面白いんだけどディズニーっぽくねえなあと。よくこれオッケーしたなぁ。見方によっちゃあアウトです。でも、観客が一番湧いたのはそこだったなぁ。
 
後は、ディズニーならではのエンタメたっぷりな描写。
地面に穴を掘るモグラのような生き物を捕獲しようと穴に息を吹くと飛び出してくる生き物たち。このシーンは生き物の可愛さもあって微笑ましい楽しませ方でした。
 
 

擬人化設定も面白い。

アーロの家族たちアバトサウルスは、寒い冬を越すために木を伐採し、土を掘り起こし種を植え水をまき育ったとうもろこしを収穫して食料を蓄え、そのとうもろこしを餌にニワトリたちに卵を産ませるという自給自足の生活を送っていました。
もう人間そのものです。もうアメリカの田舎に住む人たちとなんら変わらん!
恐竜を擬人化したとはいえ非常に親しみやすい設定でした。
 
そんな草食的なアバトサウルスに対して、アーロと仲良くなるTレックス家族は牛を放牧しながら生活する暮らしっぷり。全て描かれてるわけじゃないから想像ですが、あれを飼いならして冬に食べるんだろうなぁ。正に肉食。
 
そんな恐竜たちは話ができるのに対して人間である少年は言葉を話すことが出来ない、言わば原始人という立ち位置になっています。
普通なら逆だけど、恐竜目線の話なのでそれはそれで面白いのかな、と。
 
ただ、友情をテーマにした話なのにも関わらず対等した関係にはなってないのが腑に落ちませんでした。
どう見ても恐竜が人間をペットにしたような構図にしか見えない(^_^;)
人間が喋らないから余計そう見えてしまう。
少年に対し若干命令口調なアーロ、それに従順な少年。全てが全てではないですが、そんな部分も多々あり。そこには友情をテーマにした作りとはいえ感情移入しづらい部分ではありました。
 
 
 
 

映像のハイクオリティの反面。

物語に関しては、昨年のインサイドヘッドと比較してはいけないですが、あのおもちゃ箱をひっくり返したようなテーマパーク感、多彩なアイディア、それを脳内パニックにしたエンターテイメントとは違い、至ってシンプルなものでした。
 
父が死んでしまうきっかけを作った少年と家に帰るまでの道中で育まれる友情物語でしたが、大小の差のないハプニングやアクシデントの連続、泣き落としの弱さ、きっと言葉が少ないぶんわかりやすく画で訴えようとしたからでしょうがパンチの弱さが目立った印象が強いです。
 
ただ、言い方によっては非常に見やすい作りだったことは間違いなく親子で見たりするぶんには子供でも親しみやすい、楽しめる作品ではないでしょうか。
 
 
 
 
 
何事にもビビりだったアーロが、怖さを受け入れ、それを乗り越え、逃げずに友達を助けようと思える強さを手に入れ成長していく過程を、見事な風景をバックに描かれた冒険劇でした。
 
 
帰り道、子供が母親にこの映画の話を一生懸命話してる姿が微笑ましかったです。
 
 

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10