モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【ネタバレ】映画「スポットライト/世紀のスクープ」感想と評価 エンドロール前の文言が衝撃。

スポットライト 世紀のスクープ

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待ちに待った今年のアカデミー賞作品賞に輝いた作品の公開です。

 渋い役者の中に、オレのレイチェル!!ぐわぁぁぁたまらん!

りゅうちぇるじゃねーぞ、レイチェルだ。

・・・取り乱しましたが、役者ももちろんのこと、内容も非常に楽しみにしております。では、早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

 

2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)が着任する。マイアミからやってきたアウトサイダーのバロンは、地元出身の誰もがタブー視するカトリック教会の権威にひるまず、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。

その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手がける4人の記者たち。デスクのウォルター"ロビー"ロビンソン(マイケル・キートン)をリーダーとするチームは、事件の被害者や弁護士らへの地道な取材を積み重ね、大勢の神父が同様の罪を犯しているおぞましい実態と、その背後に教会の隠蔽システムが存在する疑惑を探り当てる。

やがて9.11同時多発テロ発生による一時中断を余儀なくされながらも、チームは一丸となって教会の罪を暴くために闘い続けるのだった・・・。(HPより抜粋)

 


Spotlight Official Trailer #1 (2015) - Mark Ruffalo, Michael Keaton Movie HD

 

 

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はトム・マッカーシー

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ごめんなさい、どなたか存じません・・・。はい、知らないときはネットで検索です。

 

90年代にショービジネスでキャリアをスタートしたそうで、監督と脚本を手がけた「The Station Agent」が高評価、

その後手掛けた作品、9.11以降厳しい措置で移民政策してきたアメリカを背景に、心をと閉ざした大学教授とジャンベというアフリカンドラムを演奏する移民の青年との心の交流を描いたヒューマンドラマ「扉をたたく人」が話題に。

その後もコンスタントに作品を作りながら、役者としてもたくさん作品に出演しています。

最近では、突如地球を襲ってきたなつかしのゲームキャラたちをゲームオタクのおっさんたちが迎え撃つことで話題となった「ピクセル」に出演していたそうです。どこに!?

脚本も定評があるそうで、ディズニーアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家」も手掛けているそうで、なんとも多彩なお方です。

 

 

 

 

 

主演がイマイチ誰かわからないので有名順で。

行動力抜群の熱血記者、マイク・レゼンデス役にマーク・ラファロ

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一言で言えば、もじゃ男。濃い。ハルク。いや失礼しました。

 

9年間バーデンダーをしていた後、「ユー・キャン・カウント・オブ・ミー」に出演したことで注目を浴び、その後、

謎の犯人により引き起こされた連続殺人事件をそれぞれの立場から真相を追い、事件を追及するあまりやがて運命を狂わされていく男たちを描いた奇才デヴィッド・フィンチャー監督作品「ゾディアック」、

匿名の精子提供により子を宿したレズビアンカップルと、やがて成長したことで父親の存在が気になる子供たちの複雑な人間関係をコミカルに描いた「キッズ・オールナイト」などシリアスからコミカルなものまでこなし、

マーベルコミックのキャラクターたちが勢ぞろいしたアクション大作「アベンジャーズ」では、単体作品で演じていたエドワード・ノートンに代わってハルク/ブルース・バナー役として出演するなど娯楽作品にも積極的に出演してます。

 

 

 

フォックスキャッチャー Blu-ray

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 はじまりのうたを紹介してもよかったんですが、マークがすごいのはこっちかな、と。

 

レスリングでロス五輪金メダルを獲得したにもかかわらず、マイナー競技から苦しい生活を余儀なくされているマークは、大財閥デュポンの御曹司から彼のチーム「フォックスキャッチャー」に誘われ、その素晴らしい環境にようやくトレーニングに集中できると思っていたが・・・。

 

 終始重い空気、張り詰める緊張感、そして、御曹司の怪しく不気味な佇まい。サスペンスの基本をすべてクリアしたつくりとチャニング・テイタムと兄演じるマーク・ラファロのガチレスリング!もまた魅力のひとつであり、成功を求めるあまり訪れた代償、その悲劇は非常にリアルだと感じました。良作です。

 

 

 

 

ボストンの街をこよなく愛すスポットライトチームのリーダー、ウォルター“ロビー”ロビンソン役にマイケル・キートン

 

この歳になってようやく役者として輝いてきた、堕ちて這い上がってきたバードマン!

 

もともとはスタンダップコメディアンとしてスタート。裏方の仕事もこなしながらコメディ番組に出演したことで知名度が上がり、ティム・バートン監督の「ビートル・シューズ」でブレイク。その後、

DCコミックの人気キャラクターを同じくティム・バートン監督とタッグを組み作り上げた「バットマン」「バットマンリターンズ」にてブルース・ウェイン/バットマン役を演じ人気を不動のものに。

しかし監督降板とともに自身もバットマンを降りたものの、その後作品を選んでいたのか目立った作品はなく。

ようやく目にしたのは、せっかくリメイクしたもののパッとしなかった「ロボコップ」でのオムニコープ社のCEO・レイモンド役。これにしっかりインパクトを残した後、

己の役者人生をそのまま描いてるとも例えられ世界中で絶賛され、落ち目の映画俳優がブロードウェイでの再起を賭けた模様をアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が作り上げ、ほぼ前編1カットという撮影方法で描いた「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」であらゆる賞を総ナメ。まさに本物の羽を手に入れました。

  

 

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そして!チームの紅一点サーシャファイファー役にオレの!!レイチェル・マクアダムス!!

 

私の師匠が言いました。この女はいっつもおんなじ役ばっかりだ!

その通り!!どの役も一緒だ!だからなんだ!かわいいんだから許してくれやっ!!キュートでガーリーな役こそ彼女にしかできないんだ!!いや、その役が彼女そのものなんだ!!そうだろっ!レイチェル!

・・・モンキー暴走してました。女に飢えてるからかな・・・。

はい、そんなキュートでガーリーなレイチェルももう37歳。そろそろ本格的な役者になるべく今作に出演した気がしないでもない。でも、この作品でアカデミー賞助演女優賞にノミネートしたことはそっち路線でも今後問題ないってお墨付きをもらえたと思ってよいのではないでしょうか。

 

運命的な恋に落ちながらも引き裂かれてしまった男女の、時を経た永遠の愛をロマンティックに描いた女子必見の映画「きみに読む物語」でブレイク後、

自分の意思関係なく時間軸移動してしまう男と彼を愛してしまった女の、バラバラな時間軸に翻弄されながらも絆と愛を深めていくSFラブストーリー「きみがぼくを見つけた日」、

交通事故で夫のことを忘れてしまった妻と、記憶と自分への思いをを取り戻そうと必死で尽くす夫の姿を描いた「君への誓い」、

低視聴率で打ち切り寸前のモーニング・ショーに抜擢された女プロデューサーが、頑固でプライドの高いニュースキャスターとの衝突を筆頭に仕事に恋に奮闘する様を描いたロマンスコメディ「恋とニュースのつくり方」、

そして最近は、タイムスリップできる家系の男が意中の女性をモノにすべく悪戦苦闘しながら、やがて人生の何たるかを知っていくSFラブコメの傑作「アバウト・タイム ~いとおしい時間について~」というように、

師匠の言うとおりほぼそっくりな役柄ですwww

 

最近桐谷美玲がレイチェルと同じ事やってる気がして腹が立ってます。

そんなことはどうでもいいとして、どの作品もかわいいレイチェルがみられます。

 

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 恋に仕事に頑張る女性におススメな1本です!!

 

 

 

 

 

 

他にも、新任の編集局長マーティ・バロン役に「スクリーム」「ウルヴァリンX-MEN ZERO」のリーヴ・シュレイヴァー、ベテラン部長ベン・ブラッドリーJr.役に「アイアンマン2」「アントマン」でトニースークの父ハワード役を務めたジョン・スラッテリーが演じています。

 

 

 

 

 

こんなキャストで作られた、巨大権力とされるカトリック教会の大罪の真相をどう暴いていくのか、そして、この映画を見て我々はどう感じるのか。

では、これより感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうこの新聞の読者になった気分。

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

pray(祈り)ではなくplay(餌食)

時は2001年、丁度911テロのあった年。メディアはインターネットの普及により情報化社会の加速が上がっていき、ボストングローブ紙もまた時代の変化に追われる立場となっていました。
 
そんな矢先、新たに編集局長としてフロリダから就任したユダヤ人でありボストン出身ではないバロンは、神父による性的虐待の訴訟が起きたにもかかわらず示談なになったという小さな記事に疑問を抱き着目し、地元の人間ばかりで構成されたスポットライトチームに取材を要請するところから物語は始まります。
 
なぜ今さらこんな隅っこに書かれた記事を掘り下げるのか?きっと部外者だからだ、そんな半信半疑で取材は進んでいきます。
しかし、聖職者による性的虐待被害者の会・通称SNAPの一員からの生々しくヒートアップした証言を聞くことで、カトリック教会の信じがたい実態の根深さ、大きさに気づいていきます。
 
見ていた自分自身も、冒頭こそボケーっと見ていたわけですが、やはりこのシーンの彼の熱弁と小見出しにしたイヤな韻の踏み方による例え、被害者達を生存者と言い放つ言葉の意味、
そして何より過去に沢山のサインを出していたのに気づいたの今かよ!?ざけんなよ!!という悲痛な叫びに、記者たち同様胸を打たれ、ふんぞり返って見ていた体を起こし、ふわふわしていた頭の中をシャキッとさせたくらい印象的なシーンでした。
 
そして、取材を進めていくうちにボストンでの神父たちによる性的虐待は氷山の一角に過ぎず、バチカンにまで広がりカトリック教会というバカでかい組織ぐるみの隠蔽だというところまでたどり着いていくわけですが。
 
 
 
ボストンといえば、ジョニーデップ主演のブラックスキャンダルでも描かれていたようにアイルランド系の移民が多く、カトリックが根付いているようで、しかも熱心に教会へ通うのは貧困層を中心とした人たちだそうです。
記者達も関心を持たなかったのは、ボストンの内側にいたから、自分含め周りの人たちもカトリック信者で、常に当たり前のようにそこにあったからであって、外部から来た編集局長のようでないと気づかなかった事件だったのでしょう。
 
 
そんな多くの信者たちが生活するボストンという街で、善悪の区別もつかず、神様は絶対なんだという信仰心に漬け込んだ子供達に対する神父のあるまじき行為。
これを拒めば、神様を否定することだと言いくるめられ、家族も訴えたところで示談金をもらい神父は異動することで蔑ろにされ、当事者は大人になってもその恥ずべき行為を打ち明けることもできないまま引きずっていく。
しかも、組織はあまりにも大きく警察、弁護士、裁判所などあらゆる法に携わるものを抑えつける力を持っていて簡単に太刀打ちなどできない環境。
 
これを劇中、取材していくシーンの中で明らかになっていくわけですが、被害者たちは落ち着きがなかったり、腕に注射の跡があったりと確実に精神的ダメージは大きく、その姿と話に呆然としました。
 
 
 
 
 

非常に地味な会話劇

社会派の作品を見たことある人には想像つくかと思いますが、この映画にエンタメ性など皆無であり、話は淡々と進んでいきます。
とにかく1シーンが短く、外で取材、会議、外で取材、疲労、外で取材という具合にドラマチックな場面もないまま展開していきます。
ただ、事件の真相に近づくにつれ、アクティブになっていく記者たちの行動や次に繋がっていくヒント、進展があったにもかかわらず立ち止まらざるをえない状況に、見てるこっちはもっと知りたいという欲求にかられ前のめりになるほど夢中になります。
 
そんな中でも役者達のシブい演技は魅力的でマークラファロ演じるマイクに至っては、積極的な姿勢で声を荒げる素振りも見せるほど熱意溢れる演技でした。
マイケルキートン演じるロビーもスポットライトのリーダーとして感情を抑え目力で訴える演技も貫禄のあるものでした。
リーヴシュレイバー演じる編集局長のバロンもまた、いつもならガルルルな感じの牙むき出しなワイルドなイメージを消し、落ち着いた表情と冷静な眼差しで見守る編集局長を演じていて好感を持てました。
ただ、レイチェルマクアダムス演じるサーシャは、これでアカデミー賞助演女優賞ノミネート?と疑問にも感じましたが、紅一点として被害者たちに真摯な態度で顔色変えずに取材に取り組む姿は見どころのひとつなのかな、と。
てか、個人的にはそこにいるだけでいいんですwwひとつ気になったのはレイチェルのヒジのシワが…あぁ、おばちゃん化してるよ…でも、その肘のたるみもまた愛おしい…
 
 
みんなみんな実在した人物を演じているので、モデルになった記者たちがわかればどれだけ彼らに寄せた役作りだったかわかると思いますが、そこは第一線で活躍する人達なので気にすることもないかと。
 
 
 

記者たち頑張れ!

ネット社会の現在、日々飛び交うように溢れるニュース。気がつけば、そういえばあの事件どうなった?と思うことが増えていきました。
こんな事件がありました、あってはならないことだ、私はこう思う、でもこういう意見もある、しかも、それを芸能人がしゃべるなんて情報番組ばかり。
事実と個人の意見で終わることが増え、そこに追求する間もなく埋もれ次のニュースへ流されていくという繰り返し。
今作のように一つの事件に特化して掘り下げていくニュースは非常に貴重だと思います。おかげでもっと詳しく知りたくなった。
しかも、その裏側ではたった4人でクソでかい組織に喧嘩売って、その喧嘩に勝ったわけですから。
すごく時間と労力のかかるものだけど、記者として働く人たちには是非これを見てもっと我々に知らせてほしいなと今回この作品を見て感じました。
マイクの言う、記事にしない場合の責任は誰が取るの?というセリフ。
これに尽きると思います。
我々もこんな深く掘り下げたニュースを見れば、知らないだけで言い逃れできなくなると思うし。
 
アカデミー賞をとれた要因もこんな理由がひとつとしてあるのかなとも感じました。
 
 
 
事実に基づいた話を題材にした映画でのエンドロールでのおきまりの後日談。その最後に流れるものは、4人から始まった取材がここまで影響を及ぼし明るみになった結果が記されています。
上映時間が長かったからといって、すぐ席を立たず、その記されたものを見てこの事件の規模を感じてみてはいかがでしょうか。
 
 
 
 
 
 
 
非常に面白いです。説明も多く、地味で疲れると感じる方もいるかと思いますが、そこは、役者たちが魅せてくれます。きっとのめり込むと思います。これを映画と捉えるかどうかは別として、この事件を知るきっかけだけでも味わうだけで一見の価値はあると思います。
 
 

満足度 ☆☆☆☆☆☆☆★★★ 7/10