マネーモンスター
マニーマニーマニー♪マスビーファニー♪インザリッチマンワー♪
お金がらみのことになるとこのABBAの歌を思い出す私ですが、「マネーショート」に続きウォール街ネタな映画の登場です。
早速鑑賞してまいりました!
あらすじ
司会者リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の軽快なトークと財テク情報で高視聴率を稼いでいるTV番組『マネーモンスター』。番組ディレクターであるパティ(ジュリア・ロバーツ)はセットの陰に潜む不審者に気がつく。突然鳴り響く銃声。犯人(ジャック・オコンネル)が銃を手にリーを人質にとり、番組がジャックされた。
株の情報操作が意図的に行われ、全財産を無くしたとTVを通じて視聴者に訴える犯人。その原因は、数日前のO.Aでリーが発した情報だった。犯人の主張の中で、リーは自分自身も後情報を無自覚にタレ流していたことに気づく。いったい何が起きているのか。
ウォール街の闇に封じ込まれた情報操作を暴くため、リーは人質から“共犯”へと立場を逆転させる。一方で警察の銃口は彼らに狙いを定めていた。事件の中継を通じて、徐々に見えてくる“真実”。その核心が暴かれようとしたとき、彼らと全米の視聴者が直面する、知ってはならない「結末」とは・・・。(HPより抜粋)
監督・キャスト
監督は、実はこれが4作目。大女優ジョディ・フォスター。
実は私この人と同じ誕生日で。勝手に深い縁を感じております。だからといって全部見てるわけじゃないんですけど。
ちなみに、ほかに同じ誕生日がメグ・ライアン。そして、松崎しげるw なぜ日本人はお前だけなんだッ!!
女優としての作品は多々鑑賞してきましたが、監督作品はこれが初めてになります。
軽く調べてみると、
1991年とかなり前から監督してたんですねー。知らなかった。
「リトルマン・テイト」という天才児がその母親と児童心理学者によって苦悩と葛藤から抜け出し成長していくお話だそうで。
「ホーム・フォー・ザ・デイ/家に帰ろう」では、一見平凡ながらもそれぞれが事情を抱えた複雑な一家が一堂に会した休暇での出来事を描き、
3作目「それでも、愛してる」ではいろいろとお騒がせ俳優となってしまったメル・ギブソンを主役に迎え、鬱症状を抱えた男が社会復帰と家族の絆を取り戻していく話と、全作がヒューマンドラマというものになっています。今回サスペンスだけど大丈夫か?
それにしても、今作のプロモーションがかなり気合入ってるのが驚き。4作目にもかかわらず。
カンヌ映画祭に出品されるのも意外だし、ましてや日本でのプロモーションに監督自ら来日し、まさかのMXテレビ「5時に夢中」に生出演!!
リアルタイムでは見ることはできませんでしたが、Youtubeで見ると、ADとしてカンペを出してのサプライズ!!生放送中に犯人が乱入するという映画の内容にも絡めた登場に驚きでした。
トークも非常にユーモラスで、今年5月にハリウッド殿堂入りしたときの印象を聞かれると「非常に光栄です」なんていうかと思いきや、「固くて冷たかったわw」と、記念碑の触り心地の感想を言い放つボケっぷりに思わずふかわもつっ込むwww
で、極めつけが、
こんな大女優を東京ローカルの生放送に出演させるという暴挙というか大博打というか・・・とにかく 宣伝部の皆さん、よくがんばったと思います!!すごくいい宣伝でしたよ!!!
そして、ジョディのチャーミングな振る舞いとノリのよさに好感度があがりました。
主役のリー・ゲイツを演じるのがジョージ・クルーニー。
ジョージも俳優兼監督業をこなしてますからね、きっとジョディの監督振りを見て、同じ気持ちを感じたりアドバイスしたり、はたまたテクニックを盗んだりとかを撮影中でしてたのでしょうか。
「ヘイル、シーザー」での軽くヌけた大御所俳優役は見事でした。
番組ディレクター・パティを演じるのがジュリア・ロバーツ。
個人的にはあまり好きな女優さんではないですねぇ。自由奔放にやっててお高くとまってる感じの人なんだろうなぁ、と。
松島菜々子はこれになりてぇのかなぁと。
リチャード・ギアと共演したロマコメの傑作「プリティ・ウーマン」で一躍トップスターの仲間入りを果たした後、
冴えない書店主とハリウッド女優の恋愛模様を描いた人気作「ノッティングヒルの恋人」といったラブストーリーから、
ジリ貧で3人の子持ちシングルマザーが半ば強引に働き始めた弁護士事務所で、持ち前のガッツと正義感を武器に巨大企業の環境汚染の実態を暴くサクセスストーリー「エリン・ブロコビッチ」ではアカデミー賞主演女優賞を受賞、
これをきっかけにハリウッドでギャラががめっちゃ高い女優としても認知されています。
今作で、「オーシャンズ12」以来のジョージとの共演も話題を呼んでいます。
そして、犯人役にジャック・オコンネル。
アンジェリーナ・ジョリー監督作品「不屈の男 アンブロークン」で主役を演じた若手俳優さんです。
よろしければこちらもどうぞ。
といった、監督として作品作りに意欲的な大女優とビッグネーム2人が再び共演した、番組ジャックから見えた驚愕の真実とは?マネーモンスターとはいったい誰のことなのか?
それでは、鑑賞後の感想です!!
予想外にエンタメ!!食い入るように見てしまう面白さ!
以下、核心に触れずネタバレします。
事件も放送もリアルタイムで進む
アメリカのテレビって日本の地上波放送と違って多チャンネル。スカパーみたいなもんでニュースならひたすらニュースみたいに、ジャンルに特化した番組を24時間放送していて。
だから競争も激しいし、事件なんぞあれば放送を自粛せず、徹底的に追うというスタンスで。
そんなハプニング、いやトラブル、いや劇場型犯罪をTVショーにしてしまう司会者とスタッフの巧みな連携プレーが非常にサスペンス感を加速させる演出が見事でした。
生放送直前から物語はスタート。
今日も台本にないことバンバン言って週末のディナーを楽しむぜ!
と息巻くリー。
それに頭を悩ませながらもそんな彼で番組は持ってると自分に言い聞かせ裏で番組を仕切るパティ。
番組スタートと同時に簡単にセキュリティを突破してスタジオに潜り込む犯人カイル。
既にこのセキュリティの甘さががフィクションだろ!wと観る前からツッコミたくてウズウズしてたけど、これから始まる壮大なTVショーが始まると知っていたらダラ〜っとふんぞり返って見ないで、襟を正して観ておけば良かったと少し反省。
というわけで冒頭5分少々で事件は勃発。ノリノリで番組を進めるリーは、演出のひとつと思い、シャレをかますも一気に憔悴。
スタジオに緊張感が押し寄せる。
カイルは、この番組でリーが銀行に預けるよりもこの株だぜ?と太鼓判を押した上場企業の株に亡くなった母の遺産6万ドル全て注ぎ込み無一文になってしまった。
その償いを番組の司会者と、現在暴落した理由を釈明する予定だったアイビスのCEOがゲスト出演する日を狙って計画を実行したのだった。
カイルは番組中断をしようとするならリーを殺すとディレクターに脅し、生放送を続行。
事件は世界中に発信されることになる。
ここからが面白い。
カイルの要求は自分を人生のどん底に陥れたリーとCEO2人に暴落の本当の理由と謝罪をしてもらうことだった。
だが、CEOは姿を見せない。連絡もつかない。
真相の究明をすべく時間を引き延ばすためディレクターであるパティはこの危機的状況をうまく利用し、人質状態のリーにイヤモニで番組の進行を命令するのだった。
ここからかつてない壮大な劇場型犯罪が幕を上げる!
ワクワクドキドキのエンタメ度がここから加速していくんですねぇ。
こっからは見てのお楽しみ。
2大ハリウッドスターの阿吽の呼吸
オーシャンズやミケランジェロプロジェクトの時のようなナイスミドルで妖艶な2枚目でなく、ヘイルシーザー!の時のようなヘタレ野郎もこなすジョージが、今回は両方のタイプを見事にこなしているように思えました。
司会者リーの小粋なジョークとアメリカのテレビ番組ならではのハイテンションな進行がホンモノのように感じ、一視聴者のように見入ってしまうほど。
そして、彼にひとつの疑問が浮かんでからの顔と行動、空気感があのリーダーシップを発揮していた時の2枚目ジョージに変わった時は嬉しかった。
ヘタレ野郎でヘンテコダンスを披露したジョージも嫌いじゃないけどやっぱりかっこいいジョージの方が私は好みですね。
でも、最近のジョージは頬にほんのりチーク塗ってやしないかい?
なんかそれがおじいちゃんぽさを助長してるように感じでたんだけど、劇中では酒を飲みながら番組進行してるって言ってたのでそれのせいとして。
そんなリーをブースから支持するパティ演じたジュリアロバーツのスピーディ且つ緊張感漂わせる顔つきも見事で。
きっと生放送でハプニング起きた時の対処はこうなんだろうなって思わせる臨機応変な指揮はそう簡単にこなせるものではないしベテランならではの演技なんだろうなと。
で、表向きは事件の早期解決目的なんだけど、絶対視聴率も気にしてるなって演出も指示してて。ジュリアっぽいしたたかな一面もw
スタジオのリーとブースにいるパティ。同じ場所にいないにもかかわらず、大御所2人久々の共演は安心して見られるし、連携プレーもお手の物でした。
犯人カイルを演じたジャックオコンネルの若手ならではの感情と勢いに任せた迫真の演技もあるからこそ、2人が引き立つし、逆に対極にいるカイルも犯人役として良かったと思います。
そして、監督したジョディもまた良い仕事をしたなぁと感じました。
このリアルタイムサスペンスを絶妙な編集と撮影と過去の経験で劇的なエンタテインメントに仕上げ、
話の根底にあるあネット普及によるスピード重視な経済状況、それに踊らされる株主たち、それにアメリカンドリームを求める貧困層、高みの見物をしながら私服を肥やす奴ら、何でもエンタメにしてしまうアメリカのテレビ番組の在り方などなどアメリカの現代社会をキチンと取り入れていて、
ラストは決してハッピーエンドではないところもまた、才能豊かで知的であるジョディならではな作品だったのではないでしょうか。
うだうだ書きましたが、財テクやら金融トレードやら経済に疎い私でも全然楽しめる一本でした。
とにかく疾走感あり最後まで目の離せないサスペンスです。
おもしろおかしく株の説明をしながらサプブライム問題を描いたマネーショートよりも確実に楽しめます。
あえて悪いとこを挙げるなら、緊張と緩和の波を作って欲しかった、もっと巨悪を扱うのかとも思ってたし。まあ巨悪っちゃあ巨悪なんだけど。
そして、翌週のマネーモンスターの放送はねえだろwwと。