モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【ネタバレ】映画「秘密/THE TOP SECRET」感想 映像技術が冴え渡る!なのに話は壊滅状態。

秘密 THE TOP SECRET

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近い将来ありそうでなさそうな科学捜査を題材にした映画じゃないでしょうか。

キャストも豪華ですし。てか吉川晃司ファイナルファンタジー感がすごいんですけど。

 

 これ少女コミック原作なんですってね。

今こんなのが少女コミックでやってる世の中なんですね。

もう知らないことばかり。

ちなみに同僚の女性がこの役は生田斗真じゃなくHYDEがやるべきと言ってました。

美青年じゃないと成立しないって話なん?

 

とにかく2時間半あるらしいんで気合入れてみてきました!!

 

 

 

あらすじ

 

死んだ人の脳をスキャンして、記憶を映像化し、難事件の謎に挑む特別捜査機関「第九」。室長の薪(生田斗真)、新人捜査官の青木(岡田将生)らに、死刑囚・露口(椎名結平)の脳を見て、行方不明の長女・絹子(織田梨沙)を探し出すというミッションが与えられた。だが、モニターに映し出された記憶の映像に捜査官たちは息をのむ。

そこには刃物を振り上げる絹子の姿が映っていた。「第九」は刑事・真鍋(大森南朋)と共に捜査を続けるが、事態は急転、絹子が発見される。

さらに絹子は、父親の犯行のショックから記憶喪失になっているというのだ。一方、真鍋は絹子と関係のあった男ををつきとめるが、男は真鍋の前で自殺。やがて同時刻に、全国で9人が自殺したことが判明する。

なぜ、9人が同時刻に自殺したというのか?謎を追ううちに、かつて日本を震撼させた凶悪犯・貝沼{吉川晃司)の存在が浮上する。

(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

監督

監督は元NHKの職員という経歴の持ち主、大友啓史

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やはり「龍馬伝」での演出がどの監督作品よりも印象に残っていて、一連の大河ドラマとは一線を画した雰囲気だったり画と動きにこだわってるな~とよく思いながら毎週楽しみにしていた記憶があります。中でも岡田以蔵を演じた佐藤健の鬼気迫る演技を見事に捉えた回は彼の役者人生を変えただけのこともあり、この人映画やったらいいのになぁと当時思っていました。

 

その後NHKを退職し個人事務所設立を経て、龍馬伝で共に仕事をした役者たちで構成された、幕末を生きた剣士たちの物語で人気を博した少年コミックの実写化作品「るろうに剣心」3部作を手がけ、

DNA捜査で容疑者を追う立場から追われる立場となってしまった天才科学者と彼を追う刑事を軸に描いた東野圭吾原作の近未来サスペンス「プラチナデータ」などを手がけています。

他にも、連続殺人犯を追う刑事に小栗旬を迎えて描く人気コミックを映画化した「ミュージアム」、幼くしてプロ棋士になった少年の葛藤と周囲を描いた青春コミックを映画化した「3月のライオン」がなどがあります。

 

 

3月のライオン 1 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 1 (ジェッツコミックス)

 

 

 

 

 

 

 

 

キャスト

主演の薪剛を演じるのは生田斗真。

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「第九」の室長。頭脳明晰、冷静沈着、凶悪犯の脳を見ながら唯一正気を保ち、周りから特別視されている。

 

ジャニーズで数少ないCDデビューせず俳優業のみで活動しているアイドル。「土竜の唄」ではバカ正直に、「グラスホッパー」ではヘタレビビリに、「脳男」では無感情という様々な役柄をこなしています。待機作には結局やるのか「土竜の唄」の続編。

他の作品はこちら。

 

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

青木一行役の岡田将生。

 

「第九」に新しく配属された捜査官。家族を殺された過去があり、犯罪心理学、法医学に精通している。

 

告白」や「悪人」などの作品で爪あとを残す役柄を演じてきた彼ですが、正直それ以降の魅力的な役はないように感じます。彼はまじめな堅物なんかより、スカした奴とかハッピーな奴とかの方が合うんだよなぁ。今回いっぱい叫んじゃいそうな気がします・・・。

今後の待機作として朝井リョウ原作の映画「何者」に出演とのこと。空想クリエイター男子の役ということで。そうそう、そういうのを今後やればいい。これは期待。

 

 

 

鈴木克洋役に松坂桃李

 

薪とは「第九」を立ち上げた捜査官。事件の捜査中に命を落とす。

薪を叱責できる唯一の理解者。

 

 

最近の出演作としては、「MOZU」のテロリストだったり、「ピースオブケイク」のオカマ役だったりと普通の役をやってきていない分、今回はどんな演技を見せるのか楽しみ。おでこ広いよねー。

 待機作に、非常に怖い案件である堤幸彦監督作「真田十勇士」、今後注目されるであろう中野量太監督作「湯を沸かすほどの熱い愛」に出演とのこと。

 

 

他にも、貝沼事件の犯人・貝沼清孝役に吉川晃司、監察医であり薪の友人・三好雪子役に栗山千明、行方不明となっていた少女・露口絹子役に新人女優の織田梨沙、その絹子の主治医・斎藤純一郎役にリリー・フランキー、絹子の父親で死刑囚・露口浩一役に椎名結平、その浩一を逮捕した刑事・眞鍋駿介役を大森南朋が演じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映像にこだわりを持つ監督と豪華キャスト、まさかのSIAが主題歌、音楽も監督とのタッグが多い佐藤直紀、んでもって脚本が「凶悪」の高橋泉とスタッフも強力な布陣。

あらすじを読む限り一筋縄ではいかなそうな話になりそうですが、どうなることやら。

というわけで、鑑賞後の感想です!!!

 

感想

監督の飽くなき挑戦は認めるが、話はまとめられたんじゃない?

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやいや何も解決してないでしょ。

まずは、率直な感想。

とにかくR指定にならないようギリギリのラインでのグロい描写が多く驚きました。一応PG12でしたけど。

なんてたって冒頭、婦女暴行で亡くなった女性の解剖後の死体を前に生々しい解剖結果と死因を語るシーンが、この先訪れる猟奇的な描写とちらつくエロスと重々しい内容であることを予見させてるのですから。

それを感知したのかどうかはわかりませんが開始10分足らずで足早と会場を退出する人たちが5、6人いました。

まさか入るスクリーン間違えたわけじゃないよね?怖くて見てられなくなったんだよね?

 

私も得意ではない描写ながらも、監督お得意の映像技術に飲まれマジマジと見ていたわけですが、

とにかく長い!長すぎるんです。2時間30分もあるんです。画力には飲まれましたが、話は全くのめり込めない。

 

ひとつ大きな原因として、原作の中で代表的なエピソードを2つ合わせて描いたことにより、絹子パートと貝沼パート両方を丁寧に描いたため、流れが右往左往して尚且つ凡長してしまっている。

2人の接点は後半明かされるものの、それがもたらす説得力は特になく、何のための合体なのかよくわからなかった。

結果体内時計は一向に進まず、終電時間を気にしてしまうという悪いパターンになってしまいました。

 

そして何を隠そう真相は闇の中…で終わり!ん?結局絹子はサイコパスなの?まともな女の子なの?てか、なんでそんなんなっちゃったの?

 

 

 

 

監督の挑戦とアプローチ

もちろん褒めるところもあって。それは監督のハリウッドに対する挑戦ともいえる強気な試みとこだわり。

死んだ人の脳を他者にインプットさせそれを映像化するというものでしたが、これを演者の視点で映すために主観カメラなるものを使って撮影したこと。

エンドロールでも確認できるが、脳内で記憶された映像は、生田斗真が、岡田将生が、椎名桔平が見たそのものを映しているという画期的な試みでした。

これにより我々は彼らと同じ主観で記憶映像を見ることで、より感情移入できるという仕組みになっているわけです。

 

これはおそらくですが、監督がニコニコ動画で生放送されたWOWOWぷらすとにゲスト出演した時に、今回の映画について可動域を広げたいとしきりに話していました。ノーラン監督のインターステラーを見た時に悔しがったらしく、あれだけの広大な宇宙を表現したことに対し、日本映画でこれができないものかと思ったそうです。そしてぴったりの原作を見つけ映像化にこぎつげたわけです。

 

現実と脳内映像にコントラストをつけることで区別させ、脳内映像に至っては幻覚まできちんと描くおまけ付き。

これをフル活用しながらダークかつデジタルな監督独特の世界観もきちんと用意されており、貝沼の脳内に記憶されたシーンはホントに殺してるんじゃないかと目を疑うほどリアリティある描写に驚きを隠せませんでした。

 

気になったのは、所々主観でなければいけないところを大事なシーンだったためか客観的に見せてしまっているところ。盛り上げなくてはならないと思ったのもわかりますが、そこは一貫して主観で行きましょうよ。被験者と対象者2人いっぺんに出ちゃってるから。

あとは、急なブツ切りが気になりました。場面転換するのはわかりますが音楽がフェードアウトせず、余韻も残さぬまま次のシーンへいっちゃうのはいただけない。よほど上映時間が長いからか苦肉の策だったのかな。

 

 

 

 

 

ツッコミどころ。

他人の脳を記憶した時に平然といられる薪と青木。相当な精神力だと思うけど、やっぱ無理でしょどう考えても。日々の生活で他人の記憶のせいで思いもよらない行動したりとかないのかな。

そもそもそれを映像にできるなら人いらねーよな。百歩譲って捜査官じゃなきゃダメか?それこそ死刑囚とかでいいんじやないか?

あと所々脳内映像流れてたけど誰の脳を経由して映像にしてるんだ?

 

 

青木の柔道シーン。あれ2ヶ月くらい特訓して臨んだシーンだそうなんですが、あのシーン以降体を張ったシーンがひとつもなく何のフリだったのか全くわからない。

青木の家族は殺されたという件があるけど犯人は?なし?

そんな青木は17歳で東大に入りあらゆる心理学犯罪学といったプロファイリングに長けた男なのにもかかわらず、絹子の前では感情的という前がすぐ見えなくなっちゃうシナリオ。

いやいやその取り調べこそあなたの腕の見せ所でしょ。話そらされたからって怒鳴ってどうこうしようってキャラが違うでしょう。常に冷静でいろよ。

まあこれは行動を共にした眞鍋の影響だろうと無理やり解釈することにして、その眞鍋を演じた大森南朋の演技が酷すぎる。あなたもっとうまいよね演技。怒鳴り散らす役柄あまり向いてないのか。とにかく暴力的というのも些かどうかと。昔気質の刑事が欲しかったんだろうけどさ。

 

オリジナルキャラのリリーフランキーも必要か?マルコヴィッチの穴で説明するってのは面白かったけど。

 まさかの椎名桔平セリフなし!!

 

 まあ他にも探せば出てきますが、こんなところがおかしいなと。

 

 

 

 

 

 

 

 

作中で出てくる「善意と悪意は紙一重」という言葉。

この捜査も正にそうであり、他人の脳を覗くことが果たしていいことなのか悪いことなのか、それを知らしめるべく体現して薪に襲いかかる貝沼の恐ろしさとメッセージは、これから発達していくであろう科学捜査のみならず、便利だからという理由であらゆる場で今後作られ、問題になることも多くなるでしょう。

 

映画では他人の脳を見ることが悪いことだけじゃないことを謳って締めくくられますが現実世界じゃそうはいかないよなぁと少しばかり考えてしまう、そんな映画でした。

マジで長えから。

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10