チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~
長ぇよタイトル!!
チアダンて縮めた意味無いじゃんw
とりあえず置いといて、広瀬すずや中条あやみが、おでことおへそ全開で踊りまくる青春映画の登場です。
昔、榮倉奈々が「ダン☆ドリ」ってチアダンスのTVドラマやってたなぁ。
タイトルがクリソツですね~。
最初こそ面白そうと思いましたが、このサブタイのセンスのなさと、出来上がった予告編に、予想していたのと違う感じに多少の戸惑いが・・・。
最後は全米制覇する話なのはわかってるので、内容はともかくダンスに注目しながら淡い期待で鑑賞してまいりました。
作品情報
創部3年にして全米チアダンス選手権を制覇し、2012年から4連覇、計6回の優勝経験をするまで成長した、福井所業高校チアダンス部の実話を基に、フツーの女子高生が厳しい指導に耐え、チームメイトと共に成長しながら、全米制覇するまでの軌跡を描いた青春エンターテインメント映画です。
小説 チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話 (角川つばさ文庫)
- 作者: みうらかれん,林民夫,榊アヤミ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/02/15
- メディア: 新書
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あらすじ
県立福井中央高校に入学した友永ひかり(広瀬すず)は、中学からの同級生の孝介(新田真剣佑)を応援したいためだけにチアダンス部へ入部する。
しかし彼女を待ち受けていたのは、顧問の女教師・早乙女薫子(天美祐希)による「目標は全米大会制覇!おでこ出し絶対!恋愛禁止!」という超厳しいスパルタ指導!
早々に周りが退部していく中、チームメイトの同級生・彩乃(中条あやみ)の存在もあり何とかチアダンスを続けていく決意をするひかり。
チアダンス部は“全米大会制覇”に向かって走り出す!
フツーの女子高生たちの夢への挑戦が今、始まる――(HPより抜粋)
監督
監督は河合勇人。
いつものことながら名前も聞いたことがない方。
調べてみました。
相米慎二監督などの作品で助監督を務めた後、映画や数多くのドラマに携わっていたようです。
高飛車なジュエリーデザイナーに一目ぼれした韓国人とのラブストーリー「花影」で長編映画デビュー。
その後TVドラマでも関わったことから抜擢され、深夜帯ながら数々の賞を受賞し話題となった「映画 鈴木先生」、見た目とは裏腹に純情な主人公が一人美少女に恋をし、不器用ながらも恋に奔走する「俺物語!!」を手掛けています。
近年は土屋太鳳主演のラブコメ「兄に愛されすぎて困ってます」、橋本環奈とキンプリ平野紫耀主演の「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」などを手掛けています。
キャスト
主人公・友永ひかりを演じるのは広瀬すず。
20代に入り、演技の幅もグンと広がった広瀬さん。
10代の頃はテレビで時折見せる真顔が、お仕事に対してすごく葛藤しているようにも感じるんですが、20代に入ってからは余裕の表情でお仕事されてるなぁと感心しております。
でもお姉ちゃんのほうが好みですw。
彼女の代表作はこちら。
「ちはやふる」も良かったですね。
はつらつとした姿は彼女そのものにも感じましたし、2010年代の邦画では一番の青春映画シリーズとなったことでしょう。
2020年は初のコメディ映画「一度死んでみた」に出演しています。
チアダンス部の部長玉置彩乃を演じるのは中条あやみ。
え~一応インスタフォローしてますw
カワイイっすもんね・・・。
映画では、大ヒットホラーゲームを実写化した学園ホラー「劇場版 零~ゼロ~」で主演を果たし、秘密基地で辞意分たちの世界を作り上げる思春期の少年たちの暴走を描いた「ライチ☆光クラブ」、関西の男子高校生が河原でただひたすらダベるという異色の青春コメディ「セトウツミ」などに出演しています。
他にもそれぞれの片思いがバンドの音で紡がれていく、人気少女コミックの映画化「覆面系ノイズ」で主演を務めたり、少年ジャンプで連載されていた学園ラブコメ「ニセコイ」にも出演されています。
他のキャストはざっくり。
ヒップホップが得意な紀藤唯役に、「神さまの言うとおり」やTOHOシネマズに行けば必ず会える山崎紘菜。
見た目と動きのギャップがすごい東多恵子役に、「モヒカン故郷に帰る」に出演していた富田望生。
オタク系不思議少女永井あゆみ役に、「まいんちゃん」こと福永遥。
サッカー部所属でひかりの憧れ同級生山下孝介役に、「ちはやふる」の新田真剣佑。
チアダンス部顧問の鬼教師早乙女薫子役に、「恋妻家宮本」が公開中の天海祐希が演じます。
福井商業高校のダンス、YouTubeでみましたけどバッキバキのキレッキレでした。
果たしてこれに近いダンスを踊れたのか、それ以前に話はしっかり組み立てられているのか。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
素材がいいのになぜこうなった!!全てはテレビ局制作が原因だ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
非常にもったいない。
3年間で全米制覇する。
簡単なことじゃない、夢のまた夢だ。
それでも成し遂げるために高校生活全てをチアダンスに捧げ、頂点に立った時の風景を見るために心を鬼にし、努力してきた彼女たち。
彼女たちの感動の秘話を、演者たちが半年かけて血のにじむ努力をし、ダンスを体中に染み込ませ演じてきたにもかかわらず、最後のあの編集は何だ!!
正直冒頭からドン引きだった。
事実に基づく話と書かれた上に、わざわざ英語で表記、説明しなくてもいい「全米チアダンス選手権」の表記。
あぁ、いやな予感がする。
その後も日本、福井、三年前と表記の連発に加え、先生の車のナンバープレートが45-98で「地獄や」の表記。
表記表記表記の連発にド頭から嫌気が指す。
これらに加え、新入部員への挨拶に「地獄へ落ちなさい」とセリフを吐いた後の雷の演出や、いちいち耳に障る効果音の数々。
愚痴は止まらない。
新入部員の自己紹介になぜ得意分野の格好をして部活動に参加するのか。
ヒップホップ経験者は100歩譲って良しとしよう、不思議系アイドルも空気の読めないという点では、ある意味セーフでいいだろう。
しかし、バレリーナの格好でどこがバレリーナ経験者なんだとツッコミたくなるぷにぷに感、体操部員はレオタードを来て部活に参加し、「私たち体操部出身なんですけど」といちちジャージを脱いでレオタードをアピールし、チアダンスとチアリーディングをはき違えてたことから自分たちの特技は活かせないと退部、という件。
上映開始10分少々で我慢の限界だった。
なんだこの演出は!!
一瞬で見れば十分わかる部分に、なぜ余計なものを足すのか。
でもって笑わせるならもっと振り切れ!!
この程度のギャグやユーモアじゃ誰も笑わねえぞ。現に場内では2,3人しか笑ってなかったし。
要するにこれはもう私のような映画ばかり見ている人向けでなく、完全に小中学生向けの映画なんだな、と悟った瞬間でもありました。
最初こそイライラしながらではありましたが、これ以降ナメた演出は落ち着き(横一列になって登校するシーンでギターギュインギュインなBGM流れてたけどあれはナシ)、徐々にチアダンスの楽しさを覚え、県内ダンス大会で挫折を覚え、分裂の危機、廃部の危機を乗り越え、少しづつ上達していくダンスと、絆を深めていきながら輝いていく様は、青春映画の基礎として十分に描けていたと思う。
キャラ立ちは良かった。
人物描写に至っては巧く住み分けできたように思う。
片親ながら父の手作り唐揚げの甲斐もあって、逞しく成長したひかりは、チアダンスにはかかすことのできない笑顔だけは抜群に良かった。
抜群の笑顔という武器とは裏腹に向上心や欲がなく、頂点を目指すために日々厳しくなっていくチアダンス部の足手まといとなっていく。
多恵子もシングルマザーという家庭のため、自分の金は自分で稼がなければならず、部活とバイトの両立に苦しんでいた。
また、ふくよかな体型から自信を持てず、ダンスに影響を及ぼす。
多恵子とは逆に、あゆみはアイドル志望だからなのか、常に観られていることに意識しすぎ、表情に自信が出過ぎていることを部長から指摘される。
この3人は劣等生として、1年生の時はかなり足を引っ張っていた。
唯は常に孤独。
夜な夜なショーウインドウを鏡代わりにヒップホップダンスに励んでいたことから、仲間意識も薄く笑顔ができずに葛藤していた。
彼女の場合、克服後、同じ境遇の後輩が入ったことで、彼女がどれだけ変化したかがわかるのはいい演出だったと思う。
唯一チアダンス経験者の部長彩乃は、みんなを引っ張っていかなければ、みんなの手本にならなければ、と真面目。
その性格が時にチームの輪を乱すが、やがてチームの輪を結束させていく。
彼女がノートに記した、「努力しても報われないことがある。しかし努力し続けるしかない」という文章はこの作品の金言でありました。
彩乃と唯はダンス経験者故にダンスでは中心的存在。
皆、何かしら取柄と欠点を兼ね備え、克服した時の笑顔はたまらなくまぶしかったです。
これに加え、なかなか地獄っぷりを見せない早乙女先生が、後半みんなの知らないところで自分を追い込んでいた回想シーンは涙モノだし、ひかりと同級生の孝介との部活に対する情熱が真逆になり、お互いの成長を高めていく構図は、今の恋愛ありきの生活しか考えていない女子高生に是非感じてほしい部分だなぁと。
もったいぶるダンス
終盤に差し掛かり、大会で勝ち上がっていくチアダンス部。
各大会ごとに披露前と披露後しか見せないシーンの連続に、なぜ見せないんだ!と、これ最後はすげえダンス見せてくれるんだろ??と期待を膨らませながら、我慢していたわけです。
披露前では緊張をほぐすべく、ひかりの掛け声で「明るく素直に美しく!」と気合を入れ、披露後はとびきりの笑顔で抱き合うJETS。
ここでなぜダンスを見せないのか。
早乙女先生がこの時点で地獄だと言っていたのを思い出す。
まだチアダンス部は完璧なダンスを踊れていないのだ。
だから観衆にも見せないという演出なんだ、そう解釈し我慢していた。
このときには冒頭のふざけた演出など、とうに忘れていた。
そしてアメリカへ。
予選はギリギリ通過。
ここへきて早乙女先生が英断を下す。
今までチームの中心であり、ダンスの中心でもあった彩乃をセンターから外し、ひかりをセンターにする変更を言い渡す。
これまで引っ張ってきたのはこの2人。
みんなから好かれる人気者ひかりと、目標達成のために心を鬼にして厳しくしたことでチーム内の本気度を高めてきた彩乃。
ここへきてもうひとドラマですか。
あくまで目標は全米制覇。
そのためなら犠牲もいとわない。
この決断が将来のためになる。
彩乃の気持ちを誰よりも理解しているひかりは先生を憎む。
私たちには今しかない。
彩乃がセンターで踊れるのは今しかないのだ。
では、センターで彼女が踊れば優勝できるのか。
この時点でひかりは先生が下した決断の意味を分かっていなかった。
優勝した時、センターだろうが、端っこだろうが、そこで見る景色は負けた時よりも数百倍違う。だからこそ最善の策を取る。
勝利を掴み取った者たちにしか見ることが出来ない景色が、彼女たちにとって将来価値のあるものだということを。
日本の少女たちはこういう映画を見るべき
話は変わるが、先日観た「モアナと伝説の海」では、女性が主人公でありながら、ロマンス要素を一切排除し、自分探しの旅をテーマにまだ見ぬ景色に夢を馳せ大海原へと飛び立つ冒険譚を描いていた。
作品の背景には、女性の社会的地位向上の風が吹かれていることを受け、女性にも光を与えるために作られたといっても過言ではない。
トランプ政権が色々と排他的な政策を掲げる中で、こうした作品がアメリカで増えている一方で、日本はいまだに一時の夢を見るために、イケメン2人に囲まれながらどちらと付き合うか迷ってしまう普通の女子高生ばかりを題材にした映画が目立つ。
日本の女子高生よ、そんな一時の夢に青春を捧げるのも悪くはないが、こうした成長ストーリーや青春映画を見て、今の自分を見つめ直さないか。
今やれることは何だ?
カッコイイ彼氏を作ることだけなのか?
何かに打ち込み頂点を目指す3年間を過ごしてみないか?
僕の主張が強すぎる部分もありますが、そういう意味ではこの「チアダン」は、彼女たちに見てほしい作品のように思うわけです。
一番腹が立ったラスト。
ようやく全米チアダンス大会決勝戦。
実況と解説者のアメリカっぽくないトークが邪魔する中で、ようやく心待ちにしていたダンス。
もちろんノーカットでしょ?全部見せてくれるんでしょ?と思ったら、
あー邪魔な演出!!
邪魔な編集!!
いや対戦相手の険しい表情とか、目に涙を浮かべながら見つめる先生とか、日本からの応援シーンとか、入れたい気持ちはわかる!
わかるが入れ過ぎなんじゃ!!!
2分30秒しかないダンスなのに、半分以上がお前たちの挿入シーンじゃないか!!!
彼女たちの努力の結果が全然拝めないじゃないか!!!
あ~ずっと我慢して最後まで見てたのにこれはないぜ・・・。
確かに物語としてはエンタメ要素もあり、成長していく過程の中で壁にぶつかっていく様もあり、青春映画としてもエンタメ映画としても成立してたかもしれないけど、映画的には残念な所ばかりだよ。
「自分を超えるには日々の積み重ねが大事」ってセリフがあったにもかかわらず、鍛錬が蓄積されていかないし、結果を最後きちんと見せてくれない。
きちんと見せてくれるのは、彼女たちでなく、彼女たちを応援する周囲の人間の感動してる顔ばかり。
正直監督のせいで、TBSのせいで、せっかくの素材が台無しだったなぁと。
これ見せ方変えればもっと響く青春映画になれたはずなんだけどなぁ。
と、こんな感じで非常に悔いの残る作品でした。
まとめ
これからの映画界やテレビ界をしょって立つ次世代の女優たちが、今だからこそできる青春映画。
個人的には、映画を見過ぎるあまり製作側のふざけた演出や編集によって悪い部分が目立ち、ノれなかったわけですが、彼女たちと同じように、これから大人になっていく10代の少年少女に是非見てほしい映画だと思います。
自分もサッカーやっていた頃のきつい練習を思い出しました。
もっと頑張れたなぁ。
というわけで以上!あざっした!!
今作のその後を描いたTVドラマもあります。
主演は土屋太鳳!
そもそも2時間でまとめるよりも連続ドラマの方が成長過程をじっくり描けるわけだし、打倒JETSということであの高校が舞台ではないという、映画との差別化も図っているのがいいですね。
映画を楽しめた方は、ドラマの方も見てみてはいかがでしょうか。
満足度☆☆☆★★★★★★★3/10