T2 トレインスポッティング
映画なんて全く興味なかったのに、ただカッコよさそうだから、音楽がカッコいいから、今東京の若者はこれを見てるだとか、能動的でなく周りの影響に感化され、流行に乗って見てしまったわけで。
まぁ、ぶっちゃけ最初はよくわかんなかったけど、これ見てUKってカッケーなぁなんて思っていたのでしょう、当時は。
そんな思い入れのある作品が20年ぶりに続編として、しかも当時のキャストが集結という、ファンからしたらたまらない作品の公開です。
早速みてまいりました。
作品情報
90年代ポップカルチャーの象徴として、イギリスを始めカルト的な人気を誇り、斬新でスピード感のあるカメラワークと音楽、ロクデナシの登場人物たちが不器用ながらも未来に向かってひた走る姿、そしてセリフのひとつとってもカッコいい、鬼才ダニー・ボイルを世界に知らしめたあの映画「トレインスポッティング」が20年のときを経て再び帰ってくる。
あのバカやローどもは、今どこでどんな風に暮らしているのか。そしてどんな騒動を巻き起こすのか。現代のポップカルチャーに再び衝撃が走る!!
あらすじ
スコットランド、エディンバラ。
大金を持ち逃げし20年ぶりにオランダからこの地に舞い戻ってきたマーク・レントン(ユアン・マクレガー)。
表向きはパブを経営しながら、売春、ゆすりを稼業とするシック・ボー^イ(ジョニー・リー・ミラー)。
家族に愛想をつかされ、孤独に絶望しているスパッド(ユエン・ブレムナー)。
刑務所に服役中のベグビー(ロバート・カーライル)。
想像通り!?
モノわかりの良い大人になれずに荒んだ人生を失踪する彼らの再会、そして彼らが選ぶ未来とは・・・。(HPより抜粋)
監督
監督はダニー・ボイル。
イギリスが誇る名監督でございます!大好きです!
彼の作品の特徴はなんと言っても走るシーンが多い!
主人公がドンドン追い込まれていくのが多い!音楽のセンスが良い!
革新的映像!
ざっくり言うとそんなところでしょうか。
ロンドンオリンピックの開会式でも演出を務め、大いに盛り上げてくれたことも記憶に新しいところ。
この後いったいどんな作品を生み出してくれえるのか楽しみですねぇ。
もう一度アカデミー賞狙って!
彼に関してはこちらをどうぞ。
キャスト
主人公マーク・レントンを演じるのはユアン・マクレガー。
20年前のときからはさすがに老けましたが、相変わらず細い!
たぶん今作のために減量したとは思いますが。
最近こそあまり目立った作品がないですが、話題作、名作でしっかりその存在感を示しています。
個人的に彼の好きな作品は、「ブラス!」、「ゴーストライター」と「トレインスポッティング」ですかね。
代表的な作品をざっくり紹介。
やはりブレイク作は今作の前編にあたる「トレインスポッティング」。イギリスの映画賞を総なめにした後、ハリウッド界に進出。
70年代のグラムロックに生きる若者たちを描いた「ベルベット・ゴールドマイン」では妖しく奇抜なコスチュームで魅了し、ダースベイダーの過去を描いた「スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」から「エピソード3/シスの復讐」では、主人公アナキンの師匠オビ=ワン・ケノービを演じています。
その間にも、20世紀を代表するポップナンバーで彩った豪華絢爛なミュージカル映画「ムーラン・ルージュ」、ソマリアでの内戦下、簡単に済む作戦が思いもよらない展開になる市街地戦を描いた「ブラックホーク・ダウン」、奇想天外な人生を振り返る父子の絆を描いたファンタジー「ビッグ・フィッシュ」などさまざまな作品に出演しています。
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他のキャストはこんな感じ。
スパッド役には、最近では「ジャックと天空の巨人」、「スノーピアサー」に出演していたユエン・ブレムナー。
シック・ボーイ役には、最近では「ダークシャドウ」に出演していたジョニー・リー・ミラー。
ベグビー役には、個人的に超大好きな作品「フル・モンティ」でお馴染みロバート・カーライルらが出演します。
要するに全員当時と一緒ですww
トレインスポッティングをおさらい。
ヘロイン中毒のレントンは、仲間たちと悲惨な現実が目の前にありながらも、愉快ででたらめな日々を過ごしていた。ロンドンで仕事を見つけたものの、仲間たちのせいで結局クビに。レントンは何度目かのドラッグ断ちを決意し更生へと向かう。そんなところへ、売人から大量のドラッグを売りさばく仕事を持ちかけられて……。
スコットランドのエディンバラで暮らす薬物中毒やアルコール中毒、そしてケンカ中毒に明け暮れる若者を中心に、そこから抜け出そうとする者、留まる者、何考えてるかわからない者をスタイリッシュに描いた青春ドラマです。
「トレインスポッティング」という意味ですが、かつて鉄道の操車場があった所で、ヤク中が集まりドラッグを売買してたことからジョークをこめてそう呼んだそう。
本来の意味は鉄道オタクなんだそうですが、そのジョークをネタにしたのが今作のタイトルの由来なんだそうです。
一見麻薬を扱ってることから敬遠してしまう人も多いかと思いますが、それはあくまで設定であって、中身は労働者階級の若者に対する問題を描いてたり、ひとつの青春映画の形だったり、悪い仲間とつるんだらそう簡単に抜け出せないとかの教訓だったり、俺らは結局何かに依存していて、それが安心であり危険だったりってのを言ってる気がするし。
それに対しての「人生を選べ。」って言葉だったり。
ポップカルチャーの象徴といわれてるだけあって、映像も音楽もファッション、あらゆる要素が新鮮だったりと、もうざっくり言ってカッコいいんだよ!
なんか憧れちゃうんだなぁこのボンクラどもにw
イギー・ポップやアンダーワールド、プライマル・スクリーム、ニューオーダーといった音楽も最高だし、めっさ汚い便所からとんでもない場所に行き着くし、赤ちゃんのあの無残な姿にはドン引きだし・・・
「だし」「だし」でツギハギな感想ですいませんw
若い人にはぜひ見ていただきたい。こんなのが当時流行ったのですよ。
あれから20年後、レントンが再び彼らの前に現れることで始まる青春物語。世界は変化し、あの頃よりも息苦しくなってきてるけど、ちゃんと生きているのだろうか。彼らの未来は。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
あいかわらずセンスの塊ムービー!時代に取り残された4人が踊り狂う!
以下、核心に触れずネタバレします。
あれから20年。
どうせできっこないだろ、と思われたところを出し抜き、大金をネコババし、オランダへと消え、彼らと決別した人生を選んだはずのマークが、エディンバラに帰ってきたことで再び彼らは集まり、ひと悶着起こしていきながらも、時代の変化や前以上に窮屈な現在を憂い、過去を美化し、哀愁を漂わせ、それでも此処で、この有様で生きることを決心していくロクデナシ4人の群集劇でした。
20年経ち、家族もでき、一人前の大人になったかと思えば相変わらずの4人。
マークは結婚したものの子供に恵まれず、仕事も不景気の波に押され、学のないことでリストラの対象に。
病も患い、今までの自分の人生を後悔していた。
シックボーイ/サイモンは相変わらず恐喝やゆすり、売春と以前と変わらない。
結婚はしたが、妻とは別居。
ベロニカという新しい彼女と仕事をしている。
スパッドは、その後ゲイルと結ばれ子を授かるも、相変わらずヘロイン中毒。
サマータイムで時間を間違え会社をクビに、福祉局での手当申請の面接も遅刻など、時間のせいで路頭に迷う日々を集団カウンセリングで吐露。
ベグビーは未だ刑務所の中でくすぶる日々。
仮釈放申請も却下され、脱走を図り、息子とこそ泥稼業に精を出すも、真面目に暮らしたい息子に拒絶される。
そんな4人があの時のマークの行動によって人生を狂わされたと憤ったり、再会を喜んだりと様々。
だが集まればやることは一緒。
プロテスタントの集会に侵入しカードを盗んだり、サイモンが叔母から譲り受けたパブを改装し、売春宿にしようと画策したり、それを中小企業への資金援助をする機関に、地域活性化の施設と嘘をつき資金を調達したりと、少々賢くなったやり方だけど、中身は万引きレベル。
腹の中は収まらいが、マークと過ごすことであの頃の楽しかった日々がよみがえる。
しかし、ケンカ中毒だったベグビーだけは違っていた。
クラブで鉢合わせたことを機に、執拗にマークを追いかけるベグビー。
4人は再び顔を合わせ、あの日の出来事に決着をつけるが。
マーク視点で語られた前作と比べ、今作はマークとサイモンの親友以上恋人未満なべったり具合だったり、スパッドの隠れた才能、鬼と化したベグビーなど、若さのかけらもないオヤジと化した4人が均等に描かれ、ヘロインも物語の中心ではなく一部として扱われていました。
クズは所詮クズとしてしか生きられないのかといった問題提起や、社会情勢、雇用問題、アナログからデジタルなどの時代の変化についていけない人たち、都市開発など様々な問題をうまく散りばめており、彼らの存在を、再開発すらままならない場所でポツンとそびえるサイモンの経営するパブがそれを象徴しているかのよう。
ベロニカとマークが食事するシーンで、まくし立てるかのように不満をさらけ出すマークの演説もまたグサッとくるセリフ。
前作の曲を流すかと思いきや寸止めしてしまう演出は、過去に縋りたいけど現実を見ようと努力しているメタファーのようにも感じたし、その場が楽しくても持続しないことを訴えているようにも。
マークとサイモンが、ベロニカに昔はこんなことがあったんだよと、サイモンの大好きなショーンコネリーの「007 ロシアより愛を込めて」のBGMをバックに早送りで語るシーンだって、過去を美化している、当時を懐かしんでいる、あの頃に戻りたいといっているようで。
そんな彼らが行き着いた答えがあのラストカット。
いつまでも踊る阿呆でいようという表れなのかもしれない。
そう考えるとなんとも言えない救いようのないラストにも感じました。
監督サイコー!
とにかく際立ったのは前作以上にブラッシュアップされた監督による映像演出。
資金もかなりもえたからだろうか、出し惜しみなく描かれるアートな映像。
自殺することを決めたスパッドがビルから落ちるように意識が遠のくところを間一髪で救うマーク、プロジェクター越しのマークとシックボーイ。
二人でサッカーのユニフォームを着れば部屋の中は土砂降りのスタジアム。
赤と緑のコントラストがまた素晴らしい。
走る車のボディにプロジェクションマッピング、車内でのSNOW画像に、無機質なスパッドの部屋に過去の影、部屋のガラスに張り付けた当時の写真、その上に当時のことを書き記した紙の山。
光を当てることでそれは神々しく見え、彼らの過去が輝かしく感じる演出。
実家に帰宅したマークが父とテーブルを囲み、亡くなった母の空席に重なるマークの影。
書き出したら止まらないほど、随所で冴える演出の数々。
これがダニーボイルなんだよなぁ。
音楽だって今回も秀逸。
寸止めイギー・ポップや、アンダーワールドの「Born Slippy」ならぬ「Born Slowly」がかかるたびに懐かしく思えば、
クラブで流れるクイーンの「Radio gaga」やRUN DMCの「It's Like That」、ブロンディーの「Dreamin'」、そしてフランキーゴーズトゥハリウッドの「Relax」などの懐メロたちがここぞとばかりに流れてくる。
また、次世代を担うアーティストたちの楽曲たちが割ってくるように並び、前作同様何度でも聞きたくなる、聞いたらまた見たくなるといった、素晴らしいラインナップで構成されてました。
前作が蘇る。
4人は端々で当時のことを思い出します。
それが懐かしくもあり切なくもあり。
それを重ねるようにセルフオマージュした監督のニヤリとした演出もよかった。
一番ぐっと来たのはスパッドが町を走るシーンで、当時万引きから逃げたシーンを思い出すシーンでしょうか。
車にぶつかるマークが笑うあれです。
しかもその車の前で手をついて笑うマークそのものも、別のシーンで再現してました。
トレインスポッティングで一番強烈だったクラブの汚いトイレ。
あれも、あそこまでヒドイものではなかったですが、それを思わせるシーンがあり、しかもそこでベグビーと鉢合わせるハプニング。
前作で亡くなったトミーを見舞うシーンでは、過ぎ去った列車からプラットホームにたたずむ3人が前作と全く同じカットで登場。
ヤク断ちするために向かったあの山へと向かいます。
そんなトミーも回想で登場するし、修道院長のダチのマイキーも本人が登場、スパッドの彼女も同じだし、たぶん気づいてない人多いかもしれないけど、サイモンがマークに弁護士を頼めと言って訪ねた弁護士、あれマークのヤリ友だったダイアンですよ!
ぶっちゃけ最初わからなかったんですけど、マークたちが部屋から出るときに気付きました。
最後に
人生を選んだ彼らのその後。
ちょっぴり成長してる部分もあれば、そのほとんどは変化なし。
20年前の自分と何か変わったのかと自身を振り返ったら最後。
へこむことでしょうw
人生を選ぶとは依存する何かを選ぶことだ、と締めた前作から、結果抜け出せないままレールの上を走り回っている彼ら。
もういいぜそのまま振り返らずに突っ走れよ。
そんな風に感じたラストでした。
これからの人生を生きていく若い人たちは、是非前作と今作合わせてご覧あれ。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10