スプリット
ボウリングやってると、よくやらかすんですよねぇ。
で、その状態からスペアとか獲った時にゃあ、ガッツポーズですよ。
っしゃあっ!!って。
今回はそんなボウリングでなかなかストライクの獲れない男が3人の女の子相手にムキになるという姿を・・・
って話じゃねーからww
はい、失礼しました。スプリット違いですw
毎回毎回オチを期待してしまってばかりのシャマラン監督の作品です。
この人の持ち味はオチだけじゃないってのが前作の「ヴィジット」でようやくわかりかけた若輩者でございます。
今回も批評家からの評価は前作に引き続き上々で、これで監督の低迷期からの脱出はほぼ確実なんでしょう。
というわけで、早速見てまいりました。
作品情報
前作「ヴィジット」でその鬼才健在をアピールし、見事に成功した監督がまたしても観客の予想を裏切る期待作を作り上げた。
拉致された女子高生3人VS多重人格者の攻防を、恐怖や興奮、緊張感漂うキレのあるスリラーに仕上げた今作は、監督全盛期を彷彿とさせると話題騒然。
アメリカでも3週連続1位を記録するほどの加熱ぶり。
完全復活した監督最新作、決してあなたの期待を裏切らない!
あらすじ
級友のバースデーパーティーの帰り、車に乗った3人の女子高生。
見知らぬ男が乗り込んできて、3人は眠らされ拉致監禁される。
目を覚ますとそこには殺風景な密室・・・彼女たちはその後、信じがたい事実を知る。
ドアを開けて入ってきた男はさっきとは違う異様な雰囲気で、姿を現す度に異なる人物に変わっていた――
なんと彼には23もの人格が宿っていたのだ!
そして、さらに恐るべき24番目の人格が誕生すると、彼女達は恐怖のどん底に。
3人VS〈23+1〉人格。
果たして、3人は無事に脱出できるのか!?(HPより抜粋)
監督
監督はM・ナイト・シャマラン。
前作「ヴィジット」で原点回帰したことが低迷期脱出の引き金となり、これからの作品も大いに期待できるほど、信頼も回復されたように思えます。
個人的にも「ヴィジット」は不安でしたが、怖いのダメな自分でも楽しめた作品だったし、オチにも納得だったので、今回はもう期待しかしてないです。
では監督の作品をざっくりと。
驚愕のラストに世界中がざわついた「シックス・センス」で数々の賞や高い評価を受けたことで監督の代名詞ともいえる作品になりました。
その後も、大規模な列車事故で助かった男ととある難病を抱えた男の奇妙な関係を描いた「アンブレイカブル」や、ある家族の前に不可解な現象が起きていく「サイン」などヒット作が続きますが、謎の美女と出会ったことで不可思議ね出来事に遭遇していく男を描いた「レディ・イン・ザ・ウォーター」以降低迷期に入ります。
数々のジャンルの作品を作り酷評されながらも、彼らしさを忘れず作り続けてきたことが報われたのか、祖父母の元へ訪れた姉弟に予想だにしなかった恐怖が襲ってくる「ヴィジット」で批評的興行的に上々の兆しを見せ、原点回帰とまでささやかれるようになりました。
今作の評価も非常に高くヴィジット同様に期待が持てそうです。
キャスト
多重人格者ケヴィンを演じるのはジェームズ・マカヴォイ。
もう昔からいい演技する役者さんなんでね、彼が多重人格者やるなんていっても驚かないですよ。
彼なら大丈夫。そう勝手に思ってますw
やはり坊主で登場ってことは去年のX-MENアポカリプスでの剃髪以降、そのままにして演じたのかな?
彼も代表作を簡単にご紹介。
まず名が知れたのは、ひょんなことから不思議な生き物と暮らす異世界に迷い込んだ4人兄弟の冒険の物語「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」でタムナスを演じたこと。
それ以降、国民の期待を集めながらも権力を得ると独裁者へと変貌していった男を描いた「ラスト・キング・オブ・スコットランド」、少女の過ちによって引き裂かれた男女の行方と、それを一生かけて償う様を描いた「つぐない」などで数々の賞を受賞。
ハリウッドへ進出後も、一人の青年が血筋によって暗殺者へと覚醒していくバイオレンスアクション「ウォンテッド」や、長きに渡って演じることになったX-MENシリーズでの若きプロフェッサーXも様になった演技を見せています。
彼の作品はこちらもどうぞ。
そのほかのキャストはこんな感じ。
さらわれる女子高生ケイシー役に、アニヤ・テイラー=ジョイ。
同じくさらわれる女子高生クレア役に「スウィート17モンスター」にも出演していたヘイリー・ルー・リチャードソン。
Dr,カレン・フレッチャー役をベティ・バックリーが演じます。
というわけで、どんな百面相をマカヴォイが見せてくれるのか、監督が誰にも言っちゃいけないとまで豪語するオチはどんなものなのか。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
終始マカヴォイ祭り!!あんたやっぱすげえな!それに対抗する美少女も忘れるな!!
以下、核心に触れずネタバレします。
シャマラン作品はこうでなくちゃ。
多重人格者にさらわれ監禁された女子高生3人が、彼を出し抜いて脱出するスリラーかと思いきや、野獣対女子高生というB級チックな展開に。
しかしながらこの物語の根底にあるのは、過去のトラウマや恐怖から逃げずに向き合うことで、己の心の弱さに打ち克つというシャマラン作品でもおなじみのテーマでありました。
多感な10代の女の子なのだから、こんな状況に遭ったら大体が、騒ぐ、わめく、泣く、怯える。
そこから怒りに変わりアタシ半年空手やってたから倒せるとか言って立ち向かおうとする。
そんな無謀さも見せながらイメージ通りの行動をする2人に対して、ヒロインであるケイシ―は至って冷静。
笑わない、泣かない、群れない。
その大きな瞳で虎視眈々とこの危機をどう切り抜けるかを見極めようとしている。
なんて子だ!!めっちゃ大人じゃないか!
しかも、3人をさらった人格デニスが、マルシアを捕まえて別室に連れてこうとしたら「オシッコしちゃえ!!」とアドバイス。
ヤバい状況でもサラッとアドバイスできちゃう機転の速さ。
彼女はなんでこんな冷静に判断できるのか。
そういった疑問を、現在の視点から離れ、彼女の幼少期のシカ狩りの回想シーンから徐々に紐解いていく流れがあることで、この物語が決してケビンだけが主役でないということが分かります。
ではケビンがただの多重人格者なのかというとそうでもなく、彼を長年カウンセリングしているフレッチャー先生の視点から、執拗に送られるメールや、目の前の人物がどの人格なのか、ケビンが作り出した数々の人格が何を企んでるのかを、ミステリー調で推理していき、彼のビギニングな部分が明かされる流れになっており、この二人がなぜこんな人物になったのかを丁寧に抽出し、絡まっていく流れはお見事でした。
なんで最近までつまんない映画ばかり撮っていたのか不思議でしょうがないww
やればできんじゃん!!といった、緻密な脚本が功を奏した作品でありました。
マカヴォイヤバい。
何といってもこの物語はマカヴォイの怪演なしでは成立しないほど、作品に緊張感と恐怖感を与えてくれました。
前にも日本のカメレオン俳優は大したことないみたいなことを書いたのですが、なぜ大したことないかっていう答えが彼の演技観たらわかるなぁ、と。
今回ぶっちゃけ23人も演じてないんです。
それでもですよ?
9歳の男の子や、
ちょっとオネエなファッションデザイナー志望の男、
潔癖症で完璧主義のインテリ野郎、
不気味さ漂う貴婦人、
そして24人目の人格であるビーストと、どれも全く異なる人格を、ワンポイント変えるだけでここまで演じ分けられるかと。
何でしょう、顔の筋肉の使い方がどうかしてます。
例えば、ファッションデザイナーのバリーは口調こそオネエ調ですが、若干眉間にしわを寄せ、常に口角を上げて話していて。
そこから潔癖症の今回の実行犯であるデニスになると、メガネはかけますがその奥は冷たい眼差しでこわばった表情へとすぐ切り替わる。
9歳の男の子ヘドウィグも舌足らずな口調とへたくそなキスには笑ったけど、下唇を微妙にひん曲げたり、目をとろんとさせたりとあらゆる人格にアクセントをつけて違いを見せていました。
これをですよ、オーバーに変えないってのが凄いんですよ。
特に最後のシーンで鏡越しにいろんな人格が出てきて話し合うシーンがあるんですが、すぅ~っと顔色変えて別人格に変わる。
これノーカットですよねきっと。
でもって一瞬誰なのかわからないんです。
これ明らかにわかっちゃったら凄み感じないと思いません?
きっと多重人格者ってこうなんだと思います。
他人から見たらあなた今誰?って思うような変化を見事に体現してたなと。
極めつけは24番目の人格ビースト。
途中でフレッチャー先生が学会みたいな場所でウェブカメラで語ってましたが、人格が行くとこまで行くと肉体まで変化するんだよ、ってフリがありましたが、その通りになっていくんですねぇ。
急に列車の中で上半身裸になって、ウウウゥ~っ!!ってなるもんだから悟空が大猿みたいなるのか、はたまた坊主でマッチョだからアンディ・ラウのマッスルモンクみたいな超ムキムキマッチョになるかとドキドキしてましたが、案外現実的な変身で。
そのあともビーストっぽい暴れっぷりと暴走っぷりに、一人クスクス笑ってしまった私ですw。
ある意味マカヴォイの真骨頂を見た七変化でございました。
アニヤもステキ!!
今作のヒロインに抜擢されたケイシー役のアニヤ・テイラー=ジョイも良かった。
なんてったってその大人びた表情がかわいい!
序盤こそ笑わない、泣かない、叫ばない、慌てない、そんな大人な雰囲気を見せていましたが、大きな瞳がウルウルしだす表情や、しゃがれた声、これは本気で逃げ出せないと分かった時の絶望感をゆっくりと涙を流しながら表面に出し取り乱していく演技。
いやぁうまいなぁ!!
もう他の二人の女子高生と空気感が違う!明らかに違う!
後は何といってもそのプロポーションですよ!!
今回潔癖症男デニスがですね、服を脱げって何回も言うわけです。
汚れた服で部屋に居て欲しくないからなんでしょうね。
だから、ちょっとずつ彼女たちが下着姿になっていくんです。
マルシア役の子はおパンツ一丁で、クレア役のヘイリーはブラジャーだけで、そして、アニヤちゃんは胸元の大きく開いたインナー一丁で過ごすんですが、寝そべってる時の胸元がまぁエロい。
後ろで寝そべってるマカヴォイと代わってほしかったよ畜生。
てかシャマランはあれか?
裸よりも下着フェチか?
どうでもいいけど今回シャマラン監督久々に1シーンだけ登場して、フーターズについてアレコレ突っ込まれてますww
やっぱりあなたはそういうの好みなのかい?
核心に触れます。
ここから核心を突いたネタバレします。鑑賞後読んでね。
監督がオチは誰にも言っちゃダメ!!っていってたから今作のオチを久々に期待していたんです。
どんな終わり方をするんだろう、もしかしてシックスセンス以上のものだったりして!?
物語はクライマックスへ。
もはや刃物すら折れてしまうほど筋骨隆々となったビーストにショットガンなど効くのだろうか。
そんな小さな疑問など考える余裕もなく逃げるケイシー。
そしてついに追い込まれてしまったケイシー!!
果たしてどうなる!?
そこから警察に通報したことで事件となり、ケビンの家の所在地がそんなところにあったのかといったタネ明かしや、ケイシーの恐怖に打ち克ったことで踏み出す新たな一歩なんかも描かれて、え?これで終わり???
どこが凄いオチなの???と。
場面は変わり朝のダイナーで今回の監禁事件のニュースを見ていたお客さんが、「確か15年前にもこんな事件あったわよね~。なんか車いすで変な名前を名乗ってた男が犯人の・・・なんて名前でしたっけ・・・?」
「ミスターガラスですよ。」
んん???
どこかで聞いたことある名前。
そこからカウンターの奥に座っていたある男がクローズアップ。
なんとブルース・ウィリス登場!!!
ここで幕は閉じエンドロールへ。
エンドロール後、急告の文字。
「スプリット」と「アンブレイカブル」の続編「Glass(原題)」2019年公開予定と表記された告知がラストに登場。
帰ろうとしていたお客さんは立ち止まり、驚いた人もいれば、アンブレイカブルって何?と「?」がいっぱいだった人もいたり。
じゃあ私はどうだったのか。
うわ~~~~!!!!
この前このニュース見たから俺知ってたぁ~~~!!!!
決して自分からネタバレ記事を探したわけでもなく、twitterから回ってきただけでもなく、監督来日後に重大発表をtwitterで明かしたという内容のニュースを、よく見る映画ニュースサイトが掲載しており、たまたまそれを読んでしまっていたわけで。
当時はへぇ~、と、とうとう監督もシャマランユニバースみたいな構想で攻めてくのかなぁ、なんて今後の作品に期待していて。
だったらアンブレイカブルおさらいしておくか、とわざわざレンタルして鑑賞し今作に備えたのですが、まさかふたを開けたらそれがオチかよ!!!!と。
いやぁ~悔しい。
悔しいよ。
お話は決して悪くなかったから、これ知らずに見たら、ラストのブルース登場でむっちゃ歓喜したのになぁ。
まぁあれですよ、アンブレイカブルでもデヴィッドが監禁してた女性たちを解放して犯人と戦ってましたからね。
あれをケビンが犯人的な感じでやるんでしょうね恐らく。
んな先の話の予想なんかどうでもいいんだよ!!!
監督も監督で、来日して浮かれてツイートしてんじゃねえよ!
それをしっかりニュースサイトで拾ってんじゃねえよ!!
ふつう日本で公開してからやれよ!!
公開前に掲載してんじゃねえよ!!
そうです、たまたま見てしまった私が悪いんです。
予習の鬼とか言っといて地雷踏んでしまった私が悪いのです。
あ~あ。
あとからYoutubeで見つけた驚愕の真実です。
幼少期のケビンとお母さんとすれ違うことで、虐待していると知ったダンの映像です。
うだうだ愚痴をこぼしてましたが、この映像を見て「こりゃあすげぇ!!!」と。
ここから繋がってるの!?と。
ちょっとおったまげました。
最後に
ケビンを守るために、むしろケビンを黙らせるために、彼が生み出した人格たちがさらなる進化を求め、生まれた獣という人格。
その獣に過去の恐怖を重ねた女子高生が一人立ち向かう緊張感満載のスリラーでございました。
最後のオチを知っていなければ、もっと楽しめたことでしょう。
しかしそれを無視しても、役者たちのシリアスな演技と、緻密な脚本もあって作品としては十分面白い内容になっていたと思います。
今回深い内容は書いておりませんが、皆さんもネタバレにはくれぐれも気を付けるよう努めましょう!
そしてついにシャマランユニバースと化した続編「ミスター・ガラス」はこちらをどうぞ。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10