亜人
エンドレス・リピート・バトル・・・。じゃあ映画終わらねえじゃん。
なんてツッコミは置いといて、旬の俳優が体を張ってのアクションバトル。CGもめちゃめちゃ使ってるんでしょうね。
アニメもコミックも全くの未読。
なんで見たいかって、やっぱり話題性とミーハー魂から来る興味でしかなく、アクションで楽しみたい、話は二の次、そんな低い期待値。
一応、邦画では久々のIMAX上映とあって、せっかくだからIMAXで見てやるか、ということで早速鑑賞してまいりました。
作品情報
2012年より連載されるや否や、話題となり読者を唸らせた桜井画門による原作コミックを実写映画化。
命が繰り返す、という禁断の設定が活きる驚天動地のアクションバトルと、「何のために戦うのか?」といった不条理な現実での混乱、異質な存在となってしまったことへの葛藤など、原作同様の世界観を映画で再現。
ある日突然、亜人であることが発覚し、政府から追われる身となってしまった主人公と、最強最悪の不死身テロリストの男の戦いが今幕を開ける。
あらすじ
あじん【亜人】〈名詞〉
命を繰り返す新人類。その姿は人と全く同じ。
①絶命➡蘇生➡完全復活と、命をリセットし続ける。
②死んで初めて自分の真実を知る。
③亜人にしか見えない「ある能力」を持つ。
病気の妹を救うために研修医となった永井圭(佐藤健)はある日、事故で死亡。しかし、直後生き返る。
亜人と発覚し、崩れ去る圭の人生。国家に追われ続け、非人道的な実験のモルモットとなってしまう。
そんな圭の前に突如、人類に牙をむく亜人最凶のテロリスト【佐藤】(綾野剛】が現れる。
自分の運命に葛藤する圭は、佐藤が描く亜人の未来に共感できないでいた。
やがて始まる、佐藤による衝撃の国獲りゲーム。
衝突する人類と亜人、そして亜人と亜人。
【絶対に死なない男】と【絶対に死なない男】の終わることなき、【エンドレス・リピート・バトル】が始まる。
亜人たちは、永遠の命をどう生きるのか——。
(HPより抜粋)
監督
今回監督を務めたのは本広克行。
ご存知「踊る大捜査線」シリーズの監督であります。
映画ファンからはあまり好かれていませんが、モンキー的には映画に全く興味のなかった時代に、TVドラマをリアルタイムで見ていたこともあり、すごく好きなんですよ、「踊る」が。
みんながみんなつまんない!ひどい!と言っても、首を縦に触れない、肩身の狭い思いをしておりました。
監督が手掛けたほかの作品も実は好きなのが何作かあるのでご紹介。
長きに渡って「踊る」シリーズを手掛けながらも、思ったことを口に出さなくても周囲に悟られてしまう主人公を描いたヒューマンコメディドラマ「サトラレ/TRIBUTE to a SAD GENIUS」や、
劇団ヨーロッパ企画の代表作のひとつとして知られ、ある日現れたタイムマシンを巡って思いがけない体験をしていく大学生を軽快なテンポで綴ったSF青春コメディ「サマータイムマシン・ブルース」、
劇作家平田オリザの原作小説ならびにワークショップなどを通じて関わった作品で、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」を主演に、弱小高校演劇部がワケあり新人教師と共に全国大会を目指す青春映画「幕が上がる」などがあります。
モンキー的に本広監督の中では一番好きな作品です。
彼の作品の登場人物やアイテム、セリフなどあらゆるものが他の作品とリンクしていて、それを探すのがファンの中では楽しみの一つになっているんですが、この作品は今までの本広作品とは一線を画した、彼の渾身の映画になってます。
アイドルの青春映画。ファンにはたまらないですが、作品としてみるといまひとつ、なんて作品をよくみまけます。
しかし、この映画は彼女達がアイドルだということを忘れさせるほど彼女達が役に入っているし、ほぼ演技未経験の彼女たちがワークショップで学びながら順撮りしていることもあり、徐々に演技がうまくなっていく感覚が見て取れます。
そんな彼女達を支える先生役の黒木華の存在感もハンパない。
何かに夢中になれることの素晴らしさを教えてくれる良作です。
キャラクター紹介
左上から。
- 永井圭(佐藤健)
ある日事故に遭い、国内3例目の亜人であることが発覚。
逃避行を繰り返しながら、自分の運命を受け入れようと葛藤する。
「るろうに剣心」(なんかまたやるらしいですよ)でも爆発的な運動神経を発揮してるし、やはりダンスをやってただけあるので、アクションや身のこなしはお墨付き。期待しましょう。
こちらもどうぞ。
- 佐藤(綾野剛)
いつも微笑んでいる不気味な男。
その正体は存在が発表されていない最凶の亜人にして、人類に牙を向くテロリスト。
圭に敬いの手を差し伸べるが、その目的は謎に包まれている。
彼の不敵な笑みは、もはや笑う仮面の様。そして今回も「無曲」のときのようにバッキバキのバディを見せてくれることでしょう。
こちらもどうぞ。
- 戸崎優(玉山鉄二)
厚生労働省・亜人管理委員会のトップ。
任務に被害者が出ても顔色ひとつ変えない、冷酷で超ドSな官僚。
彼を映画で見るの久々な気がします。てか何か出てた?
どれくらいドSなのか楽しみたいですね。
- 田中(城田優)
国内2例目の亜人。佐藤と共に行動している。
過去のある経験から、人間に激しい敵意を抱いている。
彼も久々に見る気がします。おそらく「勇者ヨシヒコ~」のFFパクリ回以来w
亜人なので彼のアクションするんだと思うのですが、果たしてキレの良さやいかに。
- 奥山(千葉雄大)
佐藤の思想に共感し、仲間に。
生まれつき右足の筋肉が弱く、車椅子を利用している。
メカに強くハッキングを得意とする。
随分いい歳ですが、甘い顔立ちとベビーフェイスのおかげで、毎回スイーツ映画でしか彼を見ることができず、無論そんな映画など観ないので、彼を映画で見るのは初かも。
- 下村泉(川栄李奈)
戸崎の秘書。常に傍にいてボディーガードとしての役割も担う。
小柄で華奢な彼女が護衛役なのには、ある秘密が隠されている。
AKB卒業組では、今一番女優業がうまくいっている人なのではないでしょうか。舞台「AZUMI」も好評だったようなので、アクションできる、という抜擢なのかもしれません。
他のキャストとして、圭の妹・慧理子役に、「君の膵臓をたべたい」の浜辺美波。
亜人・高橋役に山田裕貴。
亜人の能力・IBMの声を宮野真守が担当します。
さてさて、話は期待しません!!今の日本映画のアクションがどれだけのものになったのか、それが楽しみです。ノリもテンポは良さそうだなぁ。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
やはり話にツッコミしたくなるけど、アクションとCGは良い!これはこれで面白かった!
以下、核心に触れずネタバレします。
あくまでアクション映画。
死んでまた蘇る、そんな特異体質な体になってしまった主人公と、彼を利用し、国家を揺るがそうとする敵、それをひた隠しに実験を繰り返してきた政府側の思惑などが交錯し、熾烈な攻防戦を繰り返す、ハイスピードアクションバトル映画でございました。
原作未読の状態で臨んだ本作でありますが、色々言いたいことはあるけれど概ね楽しめた、というのが率直な感想であります。
なんてたって、アクションが楽しい。
アクロバティックなアクションもあれば、片端からぶっぱなす銃撃戦、人を人とも思わないような佐藤の攻撃戦術、研修医が何でそんな動き出来るんだよ!と突っ込まずにはいられないほど身のこなしがパない永井圭の身体能力。
そして何といっても斬新なのが、重症を負ったら自ら命を絶つ=リセットをして、バトル再開。
これがエンドレス・リピートバトルなわけですよね。
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」なんかでも自ら命を絶って元いた場所からリスタートする設定が非常に面白かったですが、こちらはタイムリープではなくリアルタイムで進行している話なので、それとは違ったスピード感と面白さがあります。
この能力を活かして政府と戦う、あるいはテロ行為をする佐藤の戦略は、予想を覆す作戦で楽しかったです。
それとこれR指定でもいいんじゃないか?というほど描かれる殺戮描写ですね。
まぁいとも簡単に人が死んでいくわけです。
冒頭から永井圭を救出すべく研究施設に現れる佐藤ですが、亜人の能力を駆使して中央突破していきます。
そこで彼を待ち伏せる警備隊たちを拳銃やらマシンガンならで秒殺。
ナイフでサクッと一刺し。
う~ん冒頭からあまりいい気分では見れないアクション。
というのも、しょっぱなから永井の人体実験を映してたから、その延長でというのもあるんですが。
まぁ内心不快にもかかわらず食い入るように見てしまう描写は、原作コミックの実写ならではなんでしょうかね。
一番衝撃的だったのは、厚生労働省を壊滅するというテロ行為。
マスコミややじ馬が標的地点でやんややんやと群がっている中、どう壊滅するのか。
大臣ものんきに大丈夫だぁ、なんて椅子に座ってましたが、そのわずか数秒後には飛行機ごと厚労省めがけてズドン!!
はい、まさかの9.11ですよ。
うわぁ~とうとうこれやっちゃうのか・・・。
おおすげぇ!!とか、佐藤大胆だなぁとかそんなことよりも、これを描いてしまう監督・制作サイドの、無神経さというと大袈裟かもしれませんが、いくら海の向こうで起きた事故とはいえ、思い出しちゃうでしょ、その辺配慮大丈夫?なんて心配が先行してしまいました。
これまた佐藤の亜人の能力だからこそ突入できるパフォーマンスであり誰しも予想できないテロ行為だったわけで衝撃でありました。
もちろん永井圭も負けてません。
自分が囮になって医者を逃がす序盤のシーンでは、自ら手を切断し囮になって佐藤に飛びかかって戦ったり、屋上から中2階までダイブ、クライマックスでも手すりの上を全力疾走したり、IBMとのコンビプレイも見事。
佐藤が人間を盾にして突っ込んだり、ひたすら銃撃戦をやるのとは対照的に、もともと一般人なので銃の扱いに長けてない、だから身体能力をメインにした戦法で動き回るという対比は良かったと思います。
CGも悪くない。
亜人には体内から出る黒い粒子状のものから形成される黒い幽霊=IBMなるもう一人の自分のような物体が現れるんですが、こいつが良かった。
今年やった似たようなもので言うなら「ジョジョの奇妙な冒険」の数倍動きが良かった。あれくらいスタンドも躍動感無いと。
ここだいぶ予算つかったろうなぁと思うほど安上がりな出来は見当たらなく、とにかく豊かで瞬発的な動き。
それでいて足音に音をつけたことで動きに重みも感じる。
永井圭とのコンビプレイなんかもどう撮ったのだろう?と思えるほどよくできていたと思います。
ただでさえ亜人同士のバトルがスピード感あるものなのに、この黒い幽霊が出ることでよりスピード感とエンタメ性が増し、より楽しいアクション描写になっていたようになっていたのではないでしょうか。
永井圭とのやり取りもおもしろい。
ただの分身かと思ったら、不完全ではありますが自我があって、この掛け合いのおかげで、見る側はひたすら続くバトルからの小休憩をとれる作用を発揮していたように思えます。
どうやったらこの黒い幽霊が出せるのか➡すでに出てた。
これ取って来い、と木の枝を投げる➡圭を投げる。
一緒にPCで動画を見る。
再び石を投げて取って来いと命令➡木を殴る。
一見不可解な行動ですが、実はこれちょっと前に圭がやっていた行動をそのままやってるんですよね。
木の枝を投げる行為は伏線で、この後PCを奪って投げようとする行為が映っていたし、クライマックスでのコンビプレイは圭と同じ動きをして戦う姿勢をとっていたので、圭と共に行動することでこいつはシンクロ性を高めているのではないか、と。
テロ第1波の後の瓦礫の後もセットとうまく融合していてよかったですね。
瓦礫の上に立つ佐藤を埃がかったようなグレイ背景で映し、そこで舞い上がる燃えカス。いい画だなぁと。
なぜか一瞬「CASSHERN」を思いだしてしまったのは気のせいですw
ツッコみたいところ。
やはり本広監督作品だけあって、色々「ん?」と思うところは多々あります。
現実的に描いているようで現実的ではないなぁ、とか、いやそれはダメだろ、とか。
それはまぁ冒頭から思ったわけで。
世界でまだ46体(だったかな?)しかいない亜人の3体目が見つかったというニュースで個人情報をさらしてしまう政府やマスコミの対応はいかがなものか。
そういう場合匿名で報道するのでは?といきなり疑問。
鳥インフルエンザが流行しましたよね。
あの時だってヒトへの感染が発見された時、個人名出さずに報道してましたよ。
亜人てのはそういう感覚で報道しなきゃいけないんじゃないのかい?と。
話を追っていくとなんとなくわかってくる永井圭の人物描写。
彼は感情を表に出さない、きわめて冷静なやつ、愚痴をよくこぼす、というのが徐々にわかるんですが。
序盤で佐藤にあいつら殺せと言われて、デメリットしかないからと断ってました。
でも佐藤には何の躊躇もなくいきなり銃を乱射してしまう。
いくら相手が亜人だからとセリフを挟んだとしても、簡単に人を殺そうと思ってしまう神経のずぶとさには疑問。
そもそも人の命の重さを十二分にわかっているはずの研修医です。
この辺はもっと葛藤があってもよかったのでは?
国内3例目の亜人永井圭。
交通事故で重傷なのに起き上がってケロッとしてしたところを周囲の人に見られ、「あれ亜人じゃね?」なんて声が聞こえたんですが、これも突発過ぎる。
確かに亜人が出た。
亜人を今後どう扱のかといったテレビ放送を乱発して無意識にこちら側に亜人の危険性みたいなものを刷り込ませ方式で見せてはいましたが、国内3人目です。
めちゃめちゃ少ない。
例えば、居酒屋に行きました。
トイレに行ったらおう吐物がありました。
ヤバイこのままじゃノロウィルスにかかっちゃうかも。
これってそういったケースで感染してしまったってニュースを散々見ているわけだし、店ごとに告知してたりといった注意喚起があるから我々は対処出来たり、それに結びつけたりできるわけです。
で、物語の上でそのような注意喚起というか、亜人を見つけたらすぐに○○を!みたいな報道とか、それ以前に亜人てやばい奴なの?みんなテレビでそういう人物見てて把握してるの?と思っちゃうわけです。
要するに、あそこで「あれ亜人じゃね?」って言ってざわついてる周囲の人間たちがすぐさま結びつけてしまうような刷りこませを映画の中で描いてなくちゃいけない。
それこそ海外の映像でもいいし、実際に亜人はこんな風に蘇生します、みたいな映像。
ただニュース映像やHIKAKINの動画とか、コメンテーターの意見とか映してもリアリティが弱いんです。
あれだけ逃亡生活を送り行方をくらませていた永井圭。
なぜ彼が佐藤の暴走を止めようと決断したのか。
劇中では単純にお前が嫌いだからだよ!なんてカッコイイセリフを言ってましたが、それはそこだけを切り取ったらの話で、彼の心情は正直劇中では読み取れません。
もちろん病を患っている妹の事を考えると、こんな生活を続けていたらダメだって気持ちにはなるし、まして東京にガスをばら撒くというトンデモねぇテロを止めるには自分しかいないって気持ちにもなります。
俺が亜人ならそうするww
ただそういう気持ちになるきっかけが見えないというか。
でもうまいんですよこれ。
永井圭がああいう感情を表に出さないような人物設定だから、それでも通用するように見せてる。
もっと言えばこの物語は、命の重さを問うようなテーマ性を孕んでおきながら、あえてそこに重点を置かない、とにかく作り手の技術先行型のエンタメ映画に特化して作っているから、いちいちそんなところで立ち止まらず俺らの技術を見て!って言ってるようなもんで、このツッコミたい気持ちも正直笑ってすんじゃうところもあって。
あとはもう、黒い幽霊の正体とか何の説明もないし。
詰めは甘いから中々没入できず、疑問に感じてしまうんだけど、そこで立ち止まっちゃあダメダメってことですかね。
最後に
一番ツッコみたいのは、結末の部分なんで核心に触れちゃうから止めときます。
この終わりなき戦いをどう終わらせるのか。俺は笑いました。それもっと早くやれよwwと。
切り札は最後までとっとけってのもわかりますけどね。
てか、亜人が最後にケリをつけるんじゃないのかい。
おーっとこれ以上は。
そして一番ラスト!すげーいらないw
もっとスマートな終わらせ方があったろう。
他言及するとしたら、多彩な隠れ出演者ですかね。
臓器売買を生業に佐藤と武器の取引をする男役に品川祐(演技超下手w)、亜人評論家役にまさかの大林信彦監督。
大森一樹監督もいたな。
他にも工場で働く人役で今野浩喜、ユーチューバーとしてHIKAKIN本人、監督よくやってくれた!まさかのSAT部隊隊長で高杉亘(踊る大捜査線でも同じ役で出てます。リンク大好き監督のお遊び)、などバラエティに富んだキャスティングでした。
あとはあれですよ、佐藤がDSのマリオに夢中になるのとか亜人の能力に没頭してるって意味合いを持つ画だったし、20年間施設で人体実験されてたのに、まさかのスタートレックネタを放り込んでくるチョイスw
あれ佐藤ってもしかしてトレッキー??
とにかく、アクションとCGはよくできてます!上映時間の短さもちょうどいいでしょう!
この手の作品なら。音楽もいい。
このスピードバトルに合った疾走感ある音楽でした。
恐らくこれがうまくいけば続編をやるのでしょう。
やってもいいんじゃない?きっと見に行くと思います。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★★4/10