アウトレイジ 最終章
めっちゃ唐突に終わってしまった「アウトレイジ・ビヨンド」から5年。
まさかの続編にして最終章!!
殿!!稼ぎますね~~!!!
バカヤローコノヤローの連発、それをネタにひとりアウトレイジをやってのけてしまう松村邦洋の甲斐もあって(めちゃめちゃおもろいのよあれ)、若い世代を中心に人気作品となったわけですが、え、何、みんなヤクザ映画好きなの?じゃあもっと作っちゃいますか?と、東映がしゃしゃり出て実録シリーズ復活という時代に・・・はならないね。うん。
最終章では新たな抗争が勃発するのでしょうか。
大友の復讐はまだ終わってないのでしょうか。
花菱会とまたひと悶着するのでしょうか??
というわけで早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
裏社会に生きる男達の仁義なき抗争を描いたヒットシリーズの最終章。
とうとう抗争は日本と韓国まで発展。
些細なトラブルを機に、過去の清算する機会をうかがう者、関西一のヤクザ組織、そのトップの座を巡る幹部達の暴走、互いあの暗躍と陰謀が交錯し、やがてヤクザVSヤクザVS韓国グループVS警察という大規模な入り乱れとなっていく。
前作以上に怒号とカネ、銃弾が飛び交い、男達の裏切り、駆け引き、騙し合いが激しく行われていく。
一体どう決着していくのか!
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- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
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あらすじ
《関東【山王会】VS関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。
そんな折、取引のために韓国出張中の【花菱会】幹部・花田(ピエール瀧)がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。
これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループ】VS巨大暴力団組織【花菱会】》が一触即発の状態に。
激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。
時を同じくして、その【花菱会】では内紛が起こっていた・・・。(HPより抜粋)
監督
監督・脚本・編集・主演まで務めるのは、世界の北野武!!
70歳というご老体ですが、未だにあらゆるエンタテインメントの第一線で活躍されてる世界のキタノこと北野武監督。
最近では「27時間TV」で総合司会とTV番組はもちろんのこと、初めての小説にも手を出し、今作がヴェネチア国際映画祭のクロージング作品ということで現地へ渡るなど、話題に欠くことなく精力的に活動しております。
松竹が主な配給先だった北野映画ですが、「アウトレイジ」以降ワーナー配給になったおかげで、だいぶヒット作が増えたんじゃないでしょうか。
モンキー的にはそろそろ原点に帰って、アート色の強いバイオレンス映画を1本くらいとって欲しいな、と。
キャラクター紹介
日韓に強大な影響力をもつフィクサー・張グループ。
左上から。
- 大友(ビートたけし)・・・元山王会傘下大友組組長。前作「ビヨンド」で張グループの世話になって以降、韓国の歓楽街を裏で仕切っている。
- 張大成(チャン・テソン)(金田時男)・・・張グループの会長。日本と韓国を股にかける大物フィクサー。前作「ビヨンド」で出所した大友をかくまい、以降世話をしている。
- 李(白竜)・・・張の側近。前作「ビヨンド」で刑務所から出所した大友の迎えに行く。その後大友の復讐の手助けをする。
- 崔(津田寛治)・・・張の側近。
- 市川(大森南朋)・・・韓国で仕切る大友の下で働く。
日本最大勢力となった暴力団組織・花菱会
- 野村(大杉連)・・・花菱会会長。元証券マン。先代会長・布施(神山繁)の娘婿にあたる。
- 西野(西田敏行)・・・花菱会若頭。前作「ビヨンド」での一大抗争を見事に裏で操り、山王会を手中に収める知謀家。現在会長の野村とは対立関係にある。
- 中田(塩見三省)・・・花菱会幹部、若頭補佐。前作「ビヨンド」では大友と木村(中野英雄)を恫喝し、一触即発の駆け引きを見せた。
- 森島(岸辺一徳)・・・花菱会幹部。若頭・会長付。
- 花田(ピエール瀧)・・・花菱会幹部。韓国で張グループの手下を殺してしまうことで今回の騒動のきっかけとなる。
- 丸山(原田泰造)・・・花菱会組員で花田の手下。
花菱会の配下に成り下がった暴力団組織・山王会
- 白山(名高達男)・・・山王会3代目会長。前作「ビヨンド」で、裏で花菱会と結託し、加藤(三浦友和)前会長を引き摺り下ろし、西野の力添えの下、自身が会長となる。
- 五味(光石研)・・・山王会若頭で白山の弟分。
- 吉岡(池内博之)・・・山王会木村組組長。
マル暴・警視庁組織犯罪対策部
- 平山(中村育二)・・・刑事で繁田の上司にあたる。繁田を気遣う。
- 繁田(松重豊)・・・刑事。前作「ビヨンド」で、片岡(小日向文世)と共に、ヤクザ抗争を取り締まってきたが、一連の抗争をたきつけていた片岡のやり方に、納得できず片岡を見限る。
アウトレイジをおさらい
関東一円を牛耳る巨大暴力団【山王会】の配下で勃発した熾烈な内部抗争。その抗争に巻き込まれ、数々の部下を亡くした大友の暴走とその末路、その彼をうまく操りのし上がろうとする、加藤の仁義なき下克上が描かれたバイオレンスムービー。
陰湿で不気味な音楽と共に、張り巡らす緊張という名の静寂と、血で血を洗う容赦ない暴力描写、そして喧騒が劇中で繰り返される、キタノバイオレンスムービーの真骨頂的作品。
この映画がすごいのは、何と言ってもえげつない殺し方。
歯医者で治療中のところを襲って、口内を歯科用の電動ノコでかき回したり、舌を出させたところをツッパリで噛ませる、意表をついた殺し方、果ては車の助手席に目隠し、首にロープを巻きつけ、そのロープを道沿いのポールにくくり付け、はい、トップスピード。
いやぁ~怖い。
これだけでも、一見の価値ありです。オレ怖いのダメなのによく見れたわ。
新体制となり勢力を拡大し続ける【山王会】。業を煮やした警察組織は、山王会と友好関係にある関西を牛耳る暴力団組織【花菱会】を対立させようと目論む。
その抗争に、怒り心頭の大友が何かを企みながらシャバへ姿を現す。
内部抗争から5年、続編は関東と関西の2大勢力が、前作以上に裏切りと陰謀を企てていく。
マネービジネスで利益を上げていくインテリヤクザと、従来の義理を重んじるヤクザ、そんなヤクザたちを手のひらで転がすように、片岡が操っていく。
三者三様の頭脳作戦に大友がどう切り込むか。
今作の見所は、大友と木村、西野と中田の怒鳴り合いでしょうw
「木村ぁ、もういいよ、帰ろう。」と松村邦洋が散々真似してたので、耳から離れないw
そんなのはいいとして、西田敏行や塩見三省の怒号は怖いです。
そしてこの落とし前を木村がどうつけるのか。これはきつかったぁ・・・。
あと高橋克典が一言もしゃべらないヒットマンてのが良い。
というわけで長くなってしまいましたが、とうとう日本と韓国まで巻き込んでしまう全員悪人達の最終章!!大友は一体この抗争をどう決着させるのか。それとも警察に全部しょっ引かれるのか、はたまた花菱会の力技なのか。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
大友という一人の男のけじめの物語!!静かなる終幕の余韻に何を思う。
それにしても相変わらず義理も人情もねえもんだ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
全3作を通して。
韓国で起きてしまった張グループの末端構成員殺害騒動。
花菱会の西野は現会長の新体制に嫌気が指し、この一連の騒動を利用し暗躍を図る。
その内部抗争にあえて飛び込んだ大友。
黙ってみているだけの張会長。
この長年の大抗争にいよいよ終止符が打たれる。
第1作目では、裏切りと復讐の連鎖、そしてえげつない殺し方を描き、第2作目のビヨンドでは、前作以上の暗躍や陰謀といった頭脳戦、そして啖呵の切りあいを描き、今作では、大友という男の人生のけじめと、現代ヤクザがどうしのぎを削って生き残るか、それを過去の北野映画をどこか感じさせるような作りで描いた作品だったように思えます。
大友という男は、全作通して義理を重んじた昔気質のヤクザで、下の人間に何かあれば自ら切り込んでく、てめえのケツはてめえで拭く、そんな男でした。
その大友が今作でけじめをつけたラストシーンは、全ての物語を通しての爽快感と共に壮大な悲哀さを感じるシーンでもありました。
結局現代社会では彼のような男はうまく生き残ったり、のし上がることさえもできない、いかに頭を使って生きていかなければいけないのかを考えさせるようなものでありました。
オープニングシーンの美しさ。
舞台は韓国にまでフィールドを広げた今作。
張会長の下、韓国で水商売や売春などでしのぎを削っている大友。
海辺で市川と共に釣りをしているんですが、最初あれこれアウトレイジ?と思えるほど、喉かな風景。
北野映画ってこういう風景を扱う映画だったりするとこあるよなぁと思いながら物語を追う自分がいました。
そんなほのぼのとした場面もすぐ終わり、夜の繁華街。
黒塗りの高級車の後部座席から窓の外を見る大友。
街の活気とは裏腹に、物思いにふける大友の顔から、この物語の末路を予感させる物悲しさがありました。
そしてカメラはズームアウトして車の上部を映しタイトルバック。
これはカッコイイ!!
車に反射するネオンがまどろみを現すあたりは、どこかニューシネマを感じたり、ノワールモノの雰囲気を醸し出しています。
相変わらずの人間模様。
そんなオープニングでの美しさからどんどん遠ざかっていく、裏切りという名の醜い争い。
花田は韓国で先代が禁止していたクスリの売買で幅を利かせ、気持ちが大きくなっていたのか、相手が大友とも知らず見栄を切ります。
まぁこいつがいわゆる、なめんなよかかってこいごめんなさいタイプの人間で、最初こそ威張っていたものの、その後はヘコヘコキャラとして、あっちにお伺い、こっちにお伺いと頭の上がらない役として物語を楽しませてくれます。
オマケにド変態w
この花田の兄貴分として構えるのが、前作から登場した中田。
彼、意外と義理に熱い部分を持っていて、きちんと下の身分の世話もしながら上にもうまく立ち回る、決して頭の西野を裏切ることはしないし、彼の上を行こうとも考えない。ちょっと大友気質な所を感じました。
塩見三省が病み上がりということもあってか、前作ほどの怒号はほぼありませんでしたが、やはりサングラス越しの目はマジな目でした。
そして花菱会の若頭西野。
花田が起こした騒動を利用して、会長の野村を会長の椅子から降ろそうと、二手三手先を読んで計画を練ります。
手筈はこうです。
まず中田を野村の元へ置き、動きを探らせる。
すると野村は西野が邪魔でしょうがなく中田に跡目を継がせようと説得し、西野を殺すよう命令。
張会長の元へ詫びに行った帰りを狙えとのことでしたが、中田から全部筒抜け。
これを利用して自分が張会長のやつらに殺されたと見せかけ、表の行動を花田と中田に任せます。
見事に野村は張会長への仕返しを花田にやらせようとし、木村組の吉岡を使って襲撃を図ります。
そしてタイミングよく日本へ帰国した大友を使って、後始末させようと企てます。
野村もまた、前作までインテリヤクザとして活躍した山王会の石原を思わせる、金第一主義の男でした。
元証券マンとしてサラリーマン生活を終え、娘婿という理由で跡を継いだ、単なる素人ヤクザ。
形こそそれっぽい風貌だったり、言動だったりしますが、所詮は素人。
とにかくお金をたくさん集めた人がえらい。出世できる。
そんなことを言えば昔からいる西野が黙っているはずもない。
上に立つ人は頭ごなしに言っていたところで下はついてこないという典型だったように思えます。
そして彼の死に様は最高です。
大友、殺しの四十八手の一つ、狭い道路の脇に顔だけ出して埋められる、そしてただただ通過する車を待つ、という末恐ろしい殺し方。
やり口が「ソウ/SAW」のジグゾウと一緒だ!!手前まで施して後始末はただ待つだけ。
しかもこの光景、つい先日鑑賞した「北陸代理戦争」の西村晃と一緒じゃないか!
ナイスタイミングでみれてよかったw
もしかしたら意識して鑑賞していたのかも。
そんな彼らの暴走と暗躍、陰謀、裏切り、ヘタレっぷりが今回も満載であります。
過去の北野映画を思わせる。
正直映画でのたけしの笑いってそんなに好きじゃない。
笑わせようとしてるんだけど現代向きじゃない。
というか、展開が分かり過ぎて面白みに欠けるというのが正確な印象か。
だから「龍三と七人の子分たち」で描かれるコメディ要素ってそんなに笑えるほどのものではなかったんですが、今作では今までアウトレイジでやってこなかった小ボケと小ツッコミが序盤でちょいちょいあったのが印象的でした。
例えば。
白竜が運転手の髪の色の変化に気付き、韓流スターか!とツッコむところ。
他にも、外で親分たちを待ってる下っ端連中のどうでもいいやり取りで頭をはたくところとか、恐らく西田敏行のアドリブだとは思いますが、「迷惑もハローワークもあるかいっ!!」というセリフ。
てか今回西田敏行前作に比べふざけてますねw
ちょこちょこ西田節を間で入れてます。
監督もこれは編集できなかったんだろうなぁ。
そして一番過去作に感じたのは「ソナチネ」と似ているいう点。
最後の大友の行動がまさにそうだし、パーティー会場の銃乱射、太刀魚を釣る件、これ多分違うとは思うんですけど、ソナチネのクライマックスで乱射する大きな屋敷というか建物が、花菱会の家とそっくりな所。
もしかしたら他の作品とも類似している点があるかもしれないんですが、ほとんど鑑賞していない北野作品の中で、たまたま見ていたソナチネにあまりにも通じる点があったので、つい思った次第です。
最後に
見終わった後の切なさは、北野映画ならでは。そしてキムチ鍋が食べたくなる、そんな最後でしたw
正直3作目となると何をやっても二番煎じで退屈にも思えたりしてしまう部分もありましたが、ラストカットを見てしまうとそんな不満も忘れるほど、エンドロールでの余韻はたまりません。
是非前2作を見てから今作を鑑賞した方が楽しいし、話も分かりやすい、人物像も理解できる。
是非大友の暴走とけじめをご堪能ください。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10