ゲット・アウト
怖いの苦手なモンキーが今年は弱点を克服すべく、スリラーやホラーなどの作品に果敢に挑戦していくシリーズ第3弾!
そんなシリーズはありません。
苦手なのは事実ですが、アメリカでものすごく話題になりレビューサイトも高評価ということでぜひ見たいと。
もうね、椅子に座っている主人公の顔がすでに怖い…。
俺も見ていてこういう顔になるんじゃなかろうか…。
というわけで一足お先に試写会にて観賞してまいりました!!
作品情報
昨今のホラーやスリラー映画をことごとくあてる製作プロデューサーと、アメリカの人気コメディアンが初めて監督脚本するという異色のタッグで実現した今作。
ジワジワ来る恐怖と、あっと驚く結末が話題を呼び、低予算ながら全米No.1大ヒット!
今まで誰も見たことない、オリジナリティ溢れる本作。
映画の常識を覆すサプライズスリラーを堪能せよ!!
あらすじ
ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、ある週末に白人の彼女ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家へ招待される。
若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。
翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。
そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、フラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。
“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが・・・。(HPより抜粋)
監督
今回監督を務めたのは、これがデビュー作となるジョーダン・ピール。
この方、アメリカではキーガン=マイケル・キーという猛ひとりのコメディアンとコンビを組んで「キー&ピール」というコメディ番組で人気が爆発したんだとか。
映画に関しては、日本未公開ではありますが、盗まれた子猫を救うためギャング団に潜入した男たちが巻き起こす騒動を描いたアクションコメディ「キアヌ」で、キーと共に出演し、ピールは製作・脚本も務めたとのこと。
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今後も監督とコメディアン2足のわらじでいくのでしょうか。
監督に関してはこちらもどうぞ。
キャスト
主演のクリス・ワシントンを演じるのはダニエル・カルーヤ。
はい、もちろん知りません。コメディ俳優とはいえ、有名どころしか把握してない私は未熟者であります。
でもですね、調べてみたら結構有名な作品に出演してたんですね~。
ロンドン生まれということも会って、イギリス製作の映画に出演しています。
元強盗の初老と若手刑事が、思いもよらぬ陰謀に巻き込まれたのを機に手を組み、巨悪に立ち向かうスタイリッシュクライムサスペンス「ビトレイヤー」で、ジェームズ・マカヴォイ演じる若手刑事の同僚役で出演。
平凡なオタク高校生と謎の殺し屋少女ヒットガールが繰り広げるバイオレンスエンターテインメントアクション「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」ではブラック・デス役として出演。
そして現在最も注目されているドゥニドゥニことドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が手掛けた、メキシコ国境の麻薬組織撲滅を図る特殊チームの女性捜査官が、最前線の現状を目の当たりにし、翻弄されていく社会派アクションサスペンス「ボーダーライン」で、主人公のエミリー・ブラントの相棒役として出演するなど、話題作の中で脇役ながら活躍しています。
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出演作はこちらもどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
クリスの恋人・ローズ役に、コメディエンヌ、ミュージカル女優として活躍するアリソン・ウィリアムズ。
クリスの父・ディーン役に、TVドラマ「ホワイトハウス」で人気を博し、ブリー・ラーソン監督作に出演予定のブラッドリー・ウィットフォード。
クリスの弟・ジェレミー役に、「X-MEN/ファースト・ジェネレーション」や、「バリー・シール/アメリカをはめた男」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。
クリスの母・ミッシー役に、「マルコヴィッチの穴」、「カポーティ」のキャサリン・キーナーが出演します。
果たしてこれをまじまじと捉えホラーと感じてしまうのか、はたまたそれを越えてのブラックコメディと受け取れるのか。
アメリカの現状の人種問題にも直結しそうな今作。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
やっぱりこれ怖えよっ!!!
不気味さと滑稽さが入り混じったB級感たっぷりのサスペンススリラー映画!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
途中まで詳細。
付き合って半年に満たないカメラマンの黒人男性クリスと白人女性ローズの恋人たち。
週末を使って彼女の実家に遊びに行くことになり、主人公は不安と緊張を隠し切れないでいた。
それはなぜか。
周りの人間が全員白人だからだ。
白人だらけの中に一人ポツンと黒い奴。
想像すれば誰だって嫌に決まってる。
ご両親たちは黒人である僕のことを嫌ったりしないだろうか、差別したりしないだろうか。
「大丈夫、私のパパね、オバマ政権に3期目があったら間違いなく応援していた。」
両親が人種差別に否定的だというローズの言葉に後押しされ、クリスたちは出発することに。
道中、友人とスピーカーホンで電話をしながらいじられるクリス。
そんなとこ行くもんじゃないぜ!などとからかわれながらも楽しく車中を過ごすが、突然飛び出してきたシカを轢いてしまう。
なぜか横たわったシカに深い悲しみと嫌悪感を抱くクリス。
いたたまれなくなったクリスは警察を呼び後処理を頼むが、クリスは運転していないにもかかわらず白人警察官に身分証を提示しろと言われ、ローズは反発。
彼は関係ないでしょ、と。
確かに白人警官は黒人というだけですぐ身分証を呈示しろというのがアメリカでは通例のように感じる。
そして条件反射なのか、日常茶飯事なのか、特に抵抗もなく身分証を提示するクリス。
無事、事なきを得た2人は無事実家に到着。
黒人の管理人が庭の手入れをしている。
どこか不自然に感じるも、まずは両親に挨拶。
中に招かれたクリスは、神経外科医の父ディーンと精神科医の母ミッシーと談笑。
そして家の中をディーンに案内される。
壁には旅行で購入した土産などが並び、その中に祖父の写真も飾ってあった。
祖父は陸上選手としてベルリンオリンピックに出場したが、黒人選手であるジェシー・オーエンスに及ばなかったことを話す。
それをきっかけに何かと人種差別に否定的、むしろ黒人に対し尊敬の念を語るディーン。
未だ緊張が解けないでいるクリスは、外でアイスティーを飲みながら引き続き談笑。
メイドがお茶を注ぐと、何やら硬直状態になりお茶を注ぎ過ぎてしまう。
やはりどこかぎこちない素振りを見せる黒人の使用人たちに、違和感が拭えないクリス。
そこへ、弟のジェレミーが帰宅。
彼を囲んで夕食へ。
ジェレミーは、姉のローズの過去の失態を暴露したりして場を盛り上げますが、母がデザートを運んでくると、席を離れたのちスポーツの話題へと切り替えます。
バスケが好きだと答えたクリスに対し、ジェレミーは格闘技はどう?と問います。
黒人は身体能力が高いことはよくいわれますが、実際クリスにとってこの手の質問には少しばかり嫌気が指すのでしょう。
苦い顔をしながらもうまくかわすクリスですが、ジェレミーは今ここで試そうかとヘッドロックをかけようとします。
しかし、ジェシーがデザートを持ってきたことで中断。
その場を何とか逃れたクリスは床に就きますが、一連の出来事に対しての違和感、そして喫煙者であるクリスにとって、吸えない状況がずっと続いているということもあるだけに、彼女の家について以降落ち着きを取り戻せません。
とうとう一服しようと外へ出ると、こちらに向かって一目散にダッシュすしてくる人影が。
管理人であるウォルターが運動をしていました。
外から家を覗くと、ずっと窓越しに髪の手入れをしているメイドのジョージナの姿も。
こんな夜中にあいつら何してんだ・・・そんなもやもやを喫煙と共に吐き出し、再び床に就こうと家の中に入ると、精神科医である彼女の母親が起きていました。
喫煙をやめさせるために催眠術をかけさせてと懇願され、渋々承諾したクリス。
ついでに、日中母親の事を聞かれうまく話せなかった、実際には話したくなかったクリスの話をもう一度聞こうと彼をソファーに座らせます。
ミッシーは紅茶をティースプーンでステアしながら、クリスを催眠術にかけていきます。
するとクリスは、母親が事故で死んだ時の真相を話し始めます。
クリスの母親は彼が11歳の時事故で亡くなりました。
その時の映像をテレビで食い入るように見ていたのですが、徐々に意識は当時の記憶に戻りはじめ、体は硬直状態となり、意識はどんどん地の底へと落ちていくのでした。
意識がどんどん沈んでいき、気が付くとベッドの上。
喫煙しようとすると吐き気を催すため、実際に催眠術が効いていることを実感します。
そして今日は祖父が生前催したパーティー。
とりあえず笑顔を絶やさないことがこの状況を打破する近道だ、そうローズと作戦を練り、近所の白人たちがワンサカ押し寄せる中、挨拶を交わしていく。
話していくと、彼らは黒人であるクリスの肉体や身体能力に興味津々。
良い体ね、あっちの方はすごいのかしら?タイガーウッズのファンなんだよ。
スウィングを見せてくれ。
さすがに疲れたクリスはローズをほっぽって、盲目の老人と談笑する。
彼は盲目にもかかわらず、アートディーラーとして活躍するジム・ハドソン。
助手が話す言葉で絵画を想像し、評価して値段を決めるやり方に加え、カメラマンとしてのクリスの腕前も評価しており、クリスも前のめりで話を聞き始める。
しかし彼もまたクリスが見る世界がどんなものか、彼の目を羨むのだった。
ただでさえ居心地の悪い環境に早く離れたい主人公。
しかし、そのパーティーに黒人が一人いるじゃないか。
やあブラザー調子はどうだい??
そいつはどこかぎこちないながらも笑みを浮かべ、似合わない服を着た男。
簡単に言えば白人を装ったかのような佇まい。
しかも奥さんは彼よりだいぶ年上。
しかもどこかで見たことあるような顔立ち。
とりあえず気分がすぐれない主人公は部屋へ戻るといい、友人に電話をして相談をした。
「何かがおかしい」と。
とにかく写真を送れよと頼まれ、彼を写真に収めようとフラッシュをたくと、突然意識が遠のき鼻から出血。
「ゲットアウト!!!!」
と、大声で主人公の胸ぐらを掴み興奮を隠せないでいる白人まがいの黒人男性。
いったい何が起きたのか。
そしてここでは主人公の裏で何が行われているのだろうか。
この後の怒涛の展開に、種明かしに期待しながら劇場で堪能してください。
ブラックユーモア満載のスリラー映画。
今回試写での鑑賞だったわけですが、それなりにいい音響と一番前のど真ん中に座って鑑賞したことも手伝って、この「何かがおかしい」の「どこがおかしいのか」をくまなく見てやろうと躍起になっていたからか、どっぷり映画の世界に入ってしまい、わかりやす~いところで驚き、効果音のデカさにビビり、終盤で描かれるショッキングな映像に顔をしかめるといった、完全に怖くて仕方のない状態で映画を堪能する結果になりました。
この手の作品はなぜこんなにビビらすんだよってくらい、わざとらしい音でアクセントつけるんですよ。
シカが轢かれる所とか、メイドが後ろを素通りするところとか。
だから苦手なんですよスリラーやホラー映画は・・・。
でもね、スリラーだホラーだって煽っといて、たいして驚く要素も怖い要素もなかったら面白いと思わないわけで。
結果楽しく鑑賞できたってことなんですよ。
で、内容はですね、前半はもう疑問の数々、伏線の数々ですよ。
なぜ事故ったシカに気持ちが揺らぐのか。
なぜ使用人たちが不自然な態度をとるのか。
なぜ両親はやたらと黒人に絡めた会話しかしてこないのか。
なぜパーティーの白人は色目使ってくるのか。
このクリスの一連の疑惑を確信に変えさせてくれるのが、友人のロッドなんですね~。
空港警察で働くロッドは、クリスが留守の間、愛犬の世話を仰せつかうわけなんです。
最初こそ冗談で白人が住む実家なんか行かないほうがいいぜ~やばいぜ~なんていうんですが、クリスから電話越しで話を聞いただけで、ことの真相を言い当てちゃう名推理なんかしちゃう。
見た目とは全然違うかしこぶりを見せてくれるんですね。
で、このロッドがですね~この映画のユーモア担当ということで、後半彼のマシンガントークが炸裂するんですね~。
是非ここは笑っていただきたいです。
正直あまり笑えてなかったんですけどww
今思えば笑えるなぁということで。
後半はグロ描写をあえて間接的に見せることで恐怖感を煽ったり、ある登場人物が豹変したり、クリスに襲いかかる身の危険があったり、回避できるかできないかのギリギリのラインをうまく見せていく構成が見事です。
もちろんそれと同時に伏線の回収を一気に畳みかける脚本の妙!
上映時間100分という短さの中、人種差別的なメッセージ性やスリラー描写や実は冒頭から数々の伏線が入り混じっていた、なんて思い返すとよくできた作品だったなぁと感心しました。
作品の根幹にあるもの
まぁ黒人が白人の家に行って色々怖い目に遭うっていうプロットから察するに、やはり物語の根幹には人種差別が大きくあるんだろうなぁという予測はできると思います。
我々日本人からすると中々感じることのできないものではありますが、多種多様な人種が存在するアメリカでは、昔と比べて寛容になったものの、完全に解消されるにはまだまだ道半ばである社会問題であることは周知の事実。
特にトランプ政権が発足して以降、映画にもそういった人種差別や多様性を訴える作品も増えてきました。
最近で言えば「ズートピア」だったり「ドリーム」なんかもそうです。
で、この作品が何をどのように皮肉っているのかというと、劇中では声高に人種差別を訴える白人は誰一人出てこない、むしろみんな黒人に憧れを抱いていたり、尊敬の念を抱いているんです。
でも裏を返せば彼らを蔑視し差別的に見ているという描写になっているという内容になっていることが、後半で明かされます。
クリスがいない間にビンゴ大会しているんですが、これは奴隷売買を意図した内容ですし(「マンディンゴ」という映画で競りがあったし、「それでも夜は明ける」でも競りではないですが売買の様子が描かれていましたね)、舞台が南部の田舎町、そこで働く使用人の黒人、そんな彼らが本音を言えない状況、どこをとっても差別を風刺した作品といえるでしょう。
実際問題、白人富裕層は人種差別に否定的ではあります。
しかし心の奥深くで本質的に差別している、ということをこの映画では描いています。
例に挙げた「ズートピア」でも、ニックと仲良くなったけど、やっぱり催涙スプレーを無意識に肌身離さず持っているジュディだったり、「ドリーム」で言えば、キルスティン・ダンストがオクタヴィア・スペンサーに対して言う「偏見なんて持ってないのよ。」という言葉。
正に頭ではそう考えていても、実際無意識に言葉や行動に出てしまっている差別的な面を、今作はブラックにスリラーテイストに皮肉を込めて描いているわけです。
最後に
色々感想やら解説やら書いて見ましたが、もう一度見ると作品を深く理解できるような映画だったと思います。
しかしながらマジマジとビビりながら見たせいで、肩の力を抜いて笑えるところで笑えなっかった点や、展開を先読みできてしまった点を含めてみると、概ね満足した、が丁度いい評価なのかなぁと。
タイトルである「ゲットアウト」は出ていけ!という意味ですが、誰が何に対してのゲットアウトなのか、見終わった後思い出すと非常にうまいタイトルだなぁと。
とにかく低予算なのにこれだけのめり込める完成度に拍手であります!!
というわけで以上!あざっした!!
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満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10