アナザー・シンプル・フェイバー
シングルマザーの女性とファッション業界で働くセレブな女性という対照的な二人が親密になるも、突如失踪したセレブな女性の行方を追ううちに、驚きの展開を迎える傑作サスペンス「シンプル・フェイバー」。
個人的にも大好きなアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーが競演だったことや、「ブライズメイズ」以降大好きなポール・フェイグ監督作品とあって、いったいどんな物語になるかと思いましたが、少々整理するのが大変なほど二転三転する展開、そして二人がいったい何を隠してるのか見えない中で行われるミステリーな要素に、心躍った作品でした。
今回鑑賞する映画は、その続編。
あれだけ騙しあった二人がどうして再会するのか、そしてどんな事件が起きるのか。
Amazon prime videoなのがもったいないですが、自宅で鑑賞しました!!
作品情報
「ブライズメイズ」や「ゴースト・バスターズ」のポール・フェイグ監督のヒット作で知られ、シングルマザー役のアナ・ケンドリックとセレブリティなブレイク・ライブリーが様々な嫉妬や羨望、友情や利害、そして「言えない秘密」を駆け引きしながら対峙するフレンチポップ・ノワール「シンプル・フェイバー」の続編。
イタリアのカプリ島を舞台に、ママブロガー兼私立探偵のステファニーが、刑務所に送ったはずのエミリーの結婚式に介添え人として招待されたことをきっかけに再び事件が巻き起こる物語を、前作以上に贅沢で華麗に、そして危険なほど魅惑があふれた内容のミステリーサスペンス。
本作は、2025年3月にテキサス州で開催された「サウス・バイ・サウスウエスト映画祭」のオープニング上映作品となった。
これまで女性を主人公にしたコメディ中心だったポール・フェイグ監督。
前作「シンプル・フェイバー」で一気にノワール調のミステリーに舵を切ったが、やはり根底にあるのは「女性の本音」。
本作も前作以上にオンナのしたたかさをブラックかつ鋭く描いているに違いない。
キャストには、前作同様アナ・ケンドリックとブレイク・ライブリー、「アンジェントルメン」のヘンリー・ゴールディング、「マイ・インターン」のアンドリュー・ラネルズの他に、「ザ・クリエイター創造者」のアリソン・ジャネイ、Netflixシリーズ「愛は、365の日々で」のミケーレ・モローネなどが出演する。
互いの秘密を知る二人の再会。
ステファニーの名探偵ぶりが炸裂するのか、はたまた今度は二人で事件解決?
あらすじ
ステファニー・スマザーズ(アナ・ケンドリック)とエミリー・ネルソン(ブレイク・ライブリー)は再会し、エミリーとイタリア人実業家との豪勢な結婚式が執り行われるイタリアの風光明媚なカプリ島へと向かう。
しかし、そこには華やかな招待客たちに混ざり、招かれざる客もやってくる。
入り組んだ殺人と裏切りが巻き起こり、ステファニーとエミリーの華麗な再会の先には、予想外の展開が待ち受けていた。(映画.comより抜粋)
感想
#アナザー・シンプル・フェイバー 観賞。互いの執着が思わぬ展開を呼ぶ続編。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) May 2, 2025
絶景とエレガンスな衣装にうっとりしながらも、前作よりがっつり探偵モノになってしまってるのは仕方ないのか。
陽気なアナケンと妖艶なライブリーは相変わらずで掛け合いは見事。
続編作る気満々?? pic.twitter.com/prRvgzAv1m
刑務所にいたはずのエミリーが結婚!?
復讐される疑念渦巻く中利用されていくステファニーの才能がさらに開花する、イタリアンポップノワール。
しかし、ささやかな頼みはどこへやら。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ。
イタリアのカプリ島。
いつものようにスマホからライブ配信を行うステファニーだったが、どうも様子がおかしい。
彼女は部屋から軟禁状態にされていると告白する。
どうやら事件の容疑者として疑われているらしく、視聴者にアドバイスを求めているようだ。
なぜそうなってしまったのか、話はおよそ5年前に遡る。
エミリーが殺人の容疑で逮捕さされて以降、ステファニーはシンママインフルエンサーとして活動を続ける一方で、趣味が高じた探偵稼業も兼業。
エミリーが起こした事件をノンフィクション小説として出版するまで活動の幅を広げたモノの、売り上げはイマイチ。
売り上げアップを図るために朗読会を行うことになる。
息子をキャンプへ送った後、当時の担当刑事と出版代理人が同席した朗読会でハプニングは起こった。
なんと、刑期を務めているはずのエミリーが出所に、ステファニーに会いにやってきたのだ。
しかもそれだけじゃない。
多額の保釈金を払えるほどのリッチで、なおかつステファニーの本がきっかけで所在を知ったカプリ島のマフィア・ダンテと晴れて結婚することになったのだ。
エミリーは、親友であり自分を刑務所へ追いやったステファニーに花嫁介添え人として招待しにやってきたのだった。
自分の人生と子供を奪われた復讐にやってきたとばかり思いこんだステファニーだったが、もし拒否したら肖像権侵害で訴訟を起こすと半ば脅され、渋々承諾する。
こうしてステファニーは、本の売り上げを期待している出版代理人と共にカプリ島へと赴くのであった。
現地へ到着すると、結婚相手のダンテを紹介される。
彼をグーグルで検索してもヒットしないことから、本当に本人なのかを疑うステファニー。
そんな不安をよそに、今度はエミリーの前夫ショーンと気まずい再会を果たす。
彼は裁判所からの要請で息子を結婚式へ同行させていたが、前妻のせいで仕事も人生もパーになったことを酒の勢いに任せてエミリーとステファニーにぶつける。
介添え人としてパーティーに出席したステファニーは、今後の事も想定してビデオ撮影を敢行したが、ダンテと敵対するマフィアから撮影をやめるよう促される。
ダンテが仲裁に入って事なきを得たステファニーは、エミリーに誘われ、絶景の崖に向かうことに。
エミリーは、確かに人生を狂わされたが、今回自分の結婚を見届けるためにどうしても必要だったと本心を語る。
エミリーへの疑念が晴れないステファニーだったが、当初よりは気持ちが和らいだかのように思えたのだった。
パーティー会場に戻り食事をとるステファニー。
しかし相変わらず酔っ払ってクダを巻くショーンは、周囲を不快にさせる言動をとったためにダンテから退席を命じられてしまう。
エミリーは独身最後のパーティーを一緒にしたいということで、時差ボケで眠いステファニーをナイトプールへ誘う。
色々なことがあったが、当初のママ友の時と同じような関係性を見せていく2人。
そしてプールから帰ると、ショーンの息子がカギを無くして部屋に入れないでいる所を目撃。
フロントから鍵をもらうよう助言したステファニーだったが、ドアの足元を触ると濡れていることに気付く。
そしてスタッフに鍵を開けてもらうと、そこにはシャワー室で血まみれになっていたショーンの死体が目に飛び込んでくる。
警察はマフィアに脅されているためか、今回の騒動を「事故」と断定。
シャワーを浴びている最中に目や鼻や耳から血が流れて死ぬなんてありえないと詰め寄るステファニーだったが、事を荒立てたくない警察は全く耳を傾けようともしなかった。
事件は起きたが挙式の予定を強行することになったエミリー。
ショーンがいなくなって一番都合がいいのは、親権争いの相手であるエミリーであることは事実。
ステファニーは彼女を尾行して探りを入れていく。
するとステファニーも誰かに尾行されていることに気付く。
その相手は朗読会にも姿を見せた女性だった。
問い詰めると彼女はFBI捜査官だった。
彼女はステファニーに、結婚式に招待されたエミリーの叔母を尾行していたことを告げる。
朗読会に出向いた際中、彼女は誰かと密会していた画像を見せると、その相手が左上でのタトゥーの絵柄からエミリーであることを知る。
エミリーはアメリカにいる担当刑事に連絡をして、エミリーの叔母を調べてもらうよう依頼する。
ようやく挙式を迎えた当日。
夜の食事会でダンテは婚前契約書を燃やすサプライズで周囲を驚かせ、ダンスパーティーへと場面は映る。
バーカウンターからエミリーを目で追うステファニーは、叔母と親密な会話をする姿を目撃。
ダンテや敵対組織の男の動向も目で追うようになったステファニーは、ダンテを尾行してみると、何者かに脅され射殺される姿を見てしまう。
花火が置かれた小屋ごと爆発した現場を目の当たりにしたステファニーは、一同の前でダンテが殺されたことを知らせるが、なぜか自身が犯人だと疑われてしまう。
こうして冒頭の軟禁状態に場面は戻る。
警察にスマホとパスポートを没収されたステファニーは、後に部屋にやってきたエミリーと二人で会話をすることに。
しかしエミリーは悲しみに暮れる姿を装って近づき、ステファニーにナイフを渡して自分を傷つける行為をしはじめ、暴行されたとでっちあげるのだった。
警察の目が疑惑から確信へと変わりつつある状態の中、濡れ衣を晴らしたい一心のステファニーは、突然やってきたルームスタッフから手紙を預かる。
それはFBI捜査官と落ち合う場所だった。
エミリーの叔母の情報を入手した捜査官の元へ直行する前に、ステファニーは叔母と同じく招待されたエミリーの母親の元へ向かう。
すると、母親から衝撃の事実を知らされる。
前作で三つ子として生まれたことが明かされたエミリー。
エミリーには殺した妹以外にもう一人妹がおり、生まれてすぐに亡くなってしまったことが明かされていたが、実は叔母が死んだと見せかけて子供を奪っていたことが判明。
今回の一件のどこかでエミリーと入れ替わっていることを知らされる。
急いで捜査官の元へ向かうステファニーだったが、エミリーになりすました妹チャリティが捜査官を殺して密会を妨害されてしまう。
再び警察に捕まったステファニーだったが、連れ去られた場所はダンテの母親の前だった。
自白剤を撃たれ全てを正直に告白するステファニーだったが、全ての犯人と思い込んでいたダンテの母親は中々白状しないステファニーに嫌気がさし、手下に殺害を命じる。
そして殺されようとした瞬間、エミリーが助けにやってくる。
チャリティの事を聞かされたステファニーは、エミリーの息子を人質に捉えているチャリティの姿を動画を通じて知る羽目に。
果たして、ステファニーとエミリーは、叔母とチャリティの犯行を阻止することができるのだろうか。
・・・というのがざっくりしたあらすじです。
前作よりだいぶ探偵ものに。
前作では2人の交友関係を前半で描いたのち、行方不明から遺体となったエミリーの真相を追う後半という分かりやすい構成になってましたが、今回は続編ということもあって二人の関係性は険悪な状態からスタート。
にも拘らず互いが執着してるかのように描く序盤は、この後一体どんな展開や事件が勃発するのか楽しみな内容でした。
そりゃ自分が刑務所へ送り込んだ相手から結婚式に招待されるなんて何かあるに決まってるし、向こうからしたら人生をめちゃくちゃにされたわけですから、何しでかすかわからない。
親友なんて言葉がめちゃくちゃ嘘くさい間柄になってるせいで、結婚式で何が起きるかドキドキしましたね。
恐らくステファニーはエミリーの計らいによって濡れ衣を着せられるんだろうと予想を踏んでいましたが、展開としてはその通りに。
しかし黒幕が、死んだはずの妹と突如現れた叔母だなんて読めもしませんでした。
また今回はショーンやダンテはじめ殺害される人物が多かったせいか、話自体の面白みが薄れてしまった印象があります。
具体的に言うと、一つの事件を深掘りするようなミステリーではなく、一人ずつ被害者が増えることで尺を伸ばしてるようにしか思えなかったという点です。
飲んだくれて精神不安定のエミリーの母親まで殺害する必要はなかったんじゃないかなと。そこ深く扱ってないし。
さらには冒頭からステファニーがアマチュア探偵としてたくさん動くんだろうなと予想出来てしまうのも面白みに欠ける。
実際ステファニーは小児性愛者の教師を問い詰めたことで、自害する姿を目の当たりにしたことからライブ配信からは遠ざかっており、探偵稼業への代償のデカさを痛感していた矢先の結婚式だったんですよね。
結局本能からは逃れられないのか、エミリーを尾行したり、叔母を怪しんだりと何の迷いもなく行動してる姿に疑問も感じました。
にも拘らず、これといったなぞ解きをするでもなく、真相が転がり込んでくるあたりは、少々都合が良すぎる展開でしたし、何よりエミリー自身が助けにやってきて犯人を追い詰めるのは違った劇的な方向で、個人としてはもう少し工夫の余地があったのではと。
例えばステファニーが自力で軟禁状態から抜け出し真相を足で掴むとか、チャリティによって眠らされているエミリーをステファニーが助けに行くなど、それまで疑惑の目を持っていたステファニーが本心で救いたいと思うような気持の変化を見せてこそ、関係性が深くなったのになぁと。
とはいえ、罪を犯したことで不信感を募らせている相手に水面下で守ってもらうための招待だったわけですから、本来ならもっとエミリーの視点を増やしたほうがよかったのかもしれません。
最後に
絶景のロケーションミステリーとしては抜群で、カプリ島の青々とした海と白で統一された建造物は、正に旅行気分を味わえるという意味で眼福。
さらにアナケンの庶民的な衣装から解放的なバカンス風衣装にうっとりですし、さらにエレガンスで妖艶なライブリーのファッションも楽しめるた前作以上の良さがありました。
掛け合いに関しても、前作とは違い互いが本音で毒づける間柄になっていることもあり、本当に無神経な言葉が飛び交う会話はクスッと笑えます。
そこに今回の「ささやかな頼み」が思いもよらぬ方向で事件へ向かっていく内容に、安定した楽しさがあったのは事実。
最後には姑からダンテが死んでしまってもあなたはうちのファミリーだと告げられるシーンから、続編を匂わせる終わり方になっており、終身刑を言い渡されたチャリティと共に、ステファニーとエミリーはマフィア絡みの事件に関わることになっていくんでしょうか。
全然シリーズ化されても良いんだけど、もっとステファニーの謎解きを楽しませてほしいですね。
これまで以上の掛け合いも忘れずに。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10