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女性がエージェントとして活躍する映画。
「アトミック・ブロンド」、「レッド・スパロー」、「ANNA/アナ」、「AVA/エヴァ」、「SPY/スパイ」、「ブラック・ウィドウ」、一昔前だと「チャーリーズ・エンジェル」や「デンジャラス・ビューティー」などなど、探せば意外とあるもんです。
といっても、ここ数年で増えたイメージ。
多様性を重んじるハリウッドとはいえようやくこの数ですよね。
実際もっとあってもいい。
「男も女も関係ない」社会は、アクションやスパイを題材とした映画でもそうです。
そんな思いを汲んだのか、ようやく女性たちだけで描いたスパイチーム映画の登場です。
きっと美しくも激しいアクションを見せてくれることでしょう。
一体どんな作品になっているのでしょうか。
早速観賞してまいりました!!
作品情報
アカデミー賞に2度ノミネートしたジェシカ・チャスティン発案のプロジェクトが実現。
世界で活躍する女優5人が勢ぞろいし、夢の競演を魅せる。
18世紀のアメリカ独立戦争時代に実在した女性スパイのコードネームを拝借した本作は、各国の女性エージェントが勢ぞろいし、第三次世界大戦を誘発しかねない巨大な危機に立ち向う姿を、華麗に鮮やかに、そして泥臭く描く。
「AVA/エヴァ」でも女殺し屋を熱演したジェシカ・チャスティンが、「X-MEN/ダーク・フェニックス」で共に仕事をしたサイモン・キンバーグを誘い完成した本作は、世間一般における男女間の偏見や思い込みに一石を投じるべく、これ以上ない情熱を注いだ意欲作。
カーチェイスもガンアクションも肉弾戦も男と変わりない激しい演出で構成。
全てが「ガチ」だと思えるほどのアクション映画に仕上がった。
彼女が本作に込めた想いを、アクション満載の本作から読み取りたい。
世界の女優競演というドリームチームは、スパイ映画の「オーシャンズ」になれるのか。
あらすじ
アメリカのCIA本部に緊急情報がもたらされた。
あらゆるセキュリティをくぐり抜け、世界中のインフラや金融システムなどを攻撃可能なデジタル・デバイスが南米で開発され、その途方もなく危険なテクノロジーが闇マーケットに流出しようとしているのだ。
この非常事態に対処するため、CIAは最強の格闘スキルを誇る女性エージェント、メイス(ジェシカ・チャスティン)をパリに送り込む。
しかしそのデバイスは国際テロ組織の殺し屋の手に渡り、メイスはBND(ドイツ連邦情報局)のタフな秘密工作員マリー(ダイアン・クルーガー)、MI6のサイバー・インテリジェンスの専門家ハディージャ(ルピタ・ニョンゴ)、コロンビア諜報組織の心理学者グラシエラ(ペネロペ・クルス)と手を組んで、世界を股にかけた追跡戦を繰り広げていく。
やがて中国政府のエージェント、リン(ファン・ビンビン)もチームに加わるが、彼女たちの行く手には想像を絶する苦難が待ち受けていた……。
果たして第三次世界大戦を阻止することができるのか——(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、サイモン・キンバーグ。
「Mr.&Mrsスミス」や「ジャンパー」、「シャーロック・ホームズ」、「オデッセイ」などで脚本を手掛け、「X-MEN/ダーク・フェニックス」で初の長編映画を手掛けた監督。
ジェシカ・チャスティンから話を持ち掛けられた監督は、自身が初めて手掛けた脚本「Mr.&Mrsスミス」以来のオリジナル作品であることから、ワクワクが止まらなかったとのこと。
確かにこれまでは著作物のあった作品を映画に落とし込むパターンが多く、一から作品を作ることから、初心に帰るような思いがあったように思います。
監督自身も「007」の大ファンであり、スパイ映画を手掛けることができる喜びをかみしめたことでしょう。
「ジェイソン・ボーン」シリーズのアクションコーディネーターが製作に参加したことから、監督の思いもしっかり形になっていることを願いたいです。
キャスト
主人公メイソン・”ルイス”・ブラウンを演じるのは、ジェシカ・チャスティン。
「AVA/エヴァ」で殺し屋を演じた彼女でしたが、作品としては面白みの欠ける内容でした。
そもそも彼女の身体が非常に重く、アクションには不向きな印象が出ていました。
その重さを見せない映像を見せればいいのに、アクション映画の経験がない監督ということもあり、マイナス要素がそのまま映像になってしまった気がします。
しかし本作は、彼女発案のプロジェクト。
アクション映画で数々の脚本を手掛けた監督に依頼したことや、「なぜ男のスパイ映画はあるのに女のスパイ映画はないのか」、「男=強い、女=弱い」という既成概念を壊したい思いを詰めたとのこと。
また本作は組織に属する世界各国のエージェントが集い危機を回避する内容だが、組織の忠実なスパイとして描かれることが多い男性とは違い、組織の立場よりも世界平和を優先して行動するエージェントたちの姿にしたとのこと。
終盤で明かされる「敵」も彼女なりの皮肉が漂ったものだそう。
期待していいのではないでしょうか。
彼女の作品はこちらもどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
ドクター・グラシエラ役に、「バニラ・スカイ」、「悪の法則」のペネロペ・クルス。
リン・ミーシェン役に、「X-MEN/フューチャ-&パスト」、「孫文の義士団」のファン・ビンビン。
マリー役に、「女は二度決断する」、「トロイ」のダイアン・クルーガー。
ハディーシャ役に、「それでも夜は明ける」、「ブラックパンサー」のルピタ・ニョンゴ。
特別部隊要員ルイス役に、「ジャングル・クルーズ」、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレス。
CIAエージェントニック役に、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」、「オデッセイ」のセバスチャン・スタンなどが出演します。
首謀者は一体誰なのか。
国?それともテロ組織?
女性5人の圧倒的アクションを堪能したいと思います!
ここから観賞後の感想です!!
感想
#355 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年2月4日
何故ジェシカチャスティンは動き鈍いのにアクションをやりたがるんだろうか。
MVPはダイアンクルーガー。 pic.twitter.com/VrQx1Tpo68
話自体はよくある話だが、女性だけで描くことに意義があると思う。
組織に従事る男たちへの皮肉も見事!
以下、ネタバレします。
共闘スパイアクション
全てのテクノロジーを操作してしまうデバイスを悪の手に渡さないために、世界各国の諜報員たちが共闘するスパイアクションを、男顔負けの荒ぶる格闘や街の意図たちを蹴散らすほどの豪快な追いかけっこ、スパイならではの隠密行動、情報を駆使して共同作戦をする展開など、これまで男性でしかできなかったアクションを見事にやってのけた清々しさ、そして組織の忠実な犬として描かれる男たちに痛烈な皮肉を浴びせるラストに震える、爽快な作品でございました。
昨今の国を代表するエージェントものって、敵を「国」にできない風潮あるじゃないですか。
昔は中国やロシアなんかが的に描かれて、ちょっと前だと中東のテロ組織が敵にされる。
戦争にしたって国同士なんかよりも、国対組織って構図だし、市民を巻き込むような戦いではなく、ドローン機使ったりとか情報戦とかで描く。
実際今じゃ量子戦争なんて呼ばれるほどだし、情報こそ勝負を分けるカギになってる。
じゃあ今回の敵って誰よ?ってなると、自ずとそうなるよねっていう設定は、ありがちだけど絶妙な描き方でしたね。
コロンビアの麻薬組織みたいな組織のボスの息子がむちゃくちゃ天才で、ありとあらゆるコンピューターを操作できちゃう代物を作ってしまうわけです。
これさえ手に入れば銀行で金をじゃんじゃん引き出せるし、飛行機だって勝手に動かせる。
終いには核爆弾のスイッチだって押せちゃうわけです。
これをもし悪~い人たちの手に渡ったりしたら、例え一人でも世界を相手にできちゃう。
果ては掌握すらできてしまう。
それを回収するのが、ジェシカ・チャスティン演じるルイス演じるCIAエージェントなんですね。
相棒のニックと共に、コンタクトを取ってきた謎の男からデバイスと現金の交換に向かうんだけど、邪魔者が入ってしまう。
それがドイツの情報機関に属する一匹狼マリー。
彼女と地下鉄の中まで追いかけっこするシーンは、撮影技術とカットの巧さも加わって、スリリングに映し出されてましたね。
特に街の中で繰り広げられる追いかけっこは、バイクで逃げるマリーに街灯を撃ち落として制止したり、地下へ逃げ込むマリーを、住民にあたらないよう絶妙な距離からバイクのタイヤに命中し横転させるなど、ルイスの確かな銃の腕が見ものです。
結局、CIAだけでなく他の情報機関もこのデバイスがやばいってことでエージェント送り込んで回収しようと躍起になってるんですね。
MI6のハディーシャはルイスと友達ってことで、組織の任務としてでなく友人として協力する立場で、グラシエラは一応組織に頼まれて謎の男のセラピーをするってことで関わってくるんだけど、エージェントではないので基本的にはビビってるだけ。
最初こそ「あんた何者よ!」
「銃を降ろしなさい!」
「そっちが降ろすのよ!」と一触即発ムードでしたが、本作のキャッチコピー通り「敵の敵は味方」ってことで、組織の協力を得ずに、共通目的のために手を組んでチームを結成する流れになってます。
やっぱり見どころはアクション。
最初はトレーニングをしているジェシカ・チャスティンが男相手に組み手をしてる姿が描かれてますが、半分くらいは本人がやってると思います。
投げ技もパンチも蹴りもしっかりしたもので、「AVA/エヴァ」で培った能力を発揮してる印象でした。
共通の敵を追って尾行を続けるルイスとハディーシャ、単独行動しているマリーが、魚市場で激突するシーンも白熱してました。
ルイスとマリーのタイマンは、手持ちカメラで躍動感を演出しながら見せており、投げ技で突き飛ばしたり、ナイフで襲い掛かるところを段ボールで防御したりするなど身の回りのもので対処しながら、フルスイングで互いを攻撃する姿は勇ましかったですね。
共に行動するようになってからはモロッコの繁華街で隠密行動。
白人の女だと怪しまれるかと、イスラム教信者に変装したハディーシャが活躍。
それまではルイスとマリーを前衛にし、ハディーシャが後方支援という形で監視カメラを傍受して敵の位置を教えるといったサポートに回ってましたが、モロッコでは銃を持ち出し男3人に囲まれても対等に戦えるスキルがあることを証明。
この後もデバイスを持っている男を追う男たちを、隠密で殺めるマリーがカッコイイ。
バッグの中に銃を忍ばせサイレンサー付きの銃で2,3発撃ちこみ、周囲の人たちに気付かれないよう始末。
後ろでビクビクしているグラシエラにちょっと笑ってしまうんだけど、一匹狼マリーのクールな姿に惚れてしまいます。
クライマックスでの上海のホテルは、かなり大掛かり。
黒幕がいるホテルの部屋に連行された中国代表リンがかけていたカメラ付きメガネのおかげでアジトを割り出せた一行は、彼女とデバイスを奪取するために上と下の階を占拠して作戦を練ります。
マリーは爆薬を、ハディーシャはプランを立て、ルイスは下の階から上へ腕の力だけで登る暴挙。
リンが単独で攻撃を開始したのを合図に、爆弾で部下らを吹っ飛ばし、瞬時に潜入しマシンガン片手にガンガン敵を撃ち殺していきます。
文章で説明するのがとにかく難しいですが、一言で言えばド派手ですw
片っ端からホテルをめちゃくちゃにするほど容赦ない攻撃なんです。
リンはライトの棒の部分を使って棒術で敵を一掃し、ルイスとマリーはマシンガンで一掃。
マガジン交換の際の連携とかは頼もしかったですね。
ハディーシャもここでは銃を持って応戦。
ルイス、マリー、ハディーシャがトライアングルを作って敵を待ち構える姿はマジカッコイイです。
そしてこれまで一切攻撃に参加せず、作戦に加わってきたグラシエラの見せ場が登場。
敵に深くえぐられた心の傷を怒りに変えて放つ銃弾は爽快です。
クライマックスて前では敵の非情な罠が描かれており、とにかく腹が立つような流れになってるんですよ。
その後の女性エージェントらによる報復が、まぁ~爽快でして。
この展開があったから彼女たち応援できたなぁって思わせてくれた作品でしたね。
最後に
疲労困憊なので今回は短めに。
正直言うと、男のエージェントがこれまでやってきたモノを女性版で描いたって外見ではあるんですが、組織に準ずる男、そして敵も含め、その中でのし上がることしか考えてない奴らが、そこからはみ出て単独で生きる女たちに負けるはずがないっていう。
そういう意味で「導いてくれる男が女にも必要」ってセリフね。
あとはキャラクターもしっかり分かれててよかったですね。
ルイスはリーダー的存在だし、マリーは二重スパイだった親父という過去から誰も信じられない一匹狼、ハディーシャは恋人と何度も連絡を取るほどの恋人思いで、リンは凛とした佇まいからは到底想像できない激しい格闘センス。
グラシエラはエージェント未経験とはいえ、セラピストの仮面をつければ男もイチコロになるほど手のひらで転がす芸当w
それぞれが良い年齢である女性同士から、若い子特有のなキャピキャピ感がないのもいいんですよね。
リメイク版のチャーリーズエンジェルのような慣れ合いも大好きなんだけど、本作の彼女たちのような慣れ合わずに、いちいちハグしなくても通じ合える信頼関係がすげえカッコイイんすわw
別れる際もクール!
とりあえずダイアン・クルーガーが一番好きですw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10