モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「500ページの夢の束」感想ネタバレあり解説 スタートレックのためならどんな困難にも負けない。

9月7日

500ページの夢の束

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 かつて天才子役の名をほしいままにした女優。ダコタ・ファニング

子供の頃はそのかわいらしさ、愛くるしさから多方面でもてはやされたとは思います。

しかし子役は短命と誰が言ったか、彼女が大人になるにつれて目立った活躍は見られなくなってしまいました。

いや、ただ単純に僕が観たい映画に出演していなかっただけなのか?

 妹であるエル・ファニングが女優として日の目を浴びてきたからなのか?

 

そして今回彼女主演の作品を久々に観賞することに。

彼女主演の作品だから、という理由で観るのではなく、あくまで映画の内容、いやスタートレックを扱ってるからなんですけど、それが気になり今回の観賞に至りました。

 

自閉症の女の子が、自ら書いた脚本を持って、コンテストのために初めての一人旅。

大人になったダコタが一体どんな演技を見せてくれるのか。

楽しみな1本です。

早速観賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

1966年のTV放送以来、沢山のシリーズを経て現在も製作されている人気SF大河ドラマ「スタートレック」。

その脚本コンテストに参加するべく、自閉症を持つ女性が初めての一人旅に出る。

人生の大きな目標のために、つまづきながらも目的地へ向かう彼女と、それを支える家族たちの愛とユーモアが溢れるハートフルストーリーです。

果たして脚本は無事届けることができるのか、そして彼女が脚本に込めた本当の想いとは。

 

天才子役から時を経て、成熟した大人のダコタファニングの、新たな代表作になるかもしれない1本です。

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

『スター・トレック』が大好きで、その知識では誰にも負けないウェンディ(ダコタ・ファニング)の趣味は、自分なりの『スター・トレック』の脚本を書くこと。

 

自閉症を抱える彼女は、ワケあって唯一の肉親である姉・オードリー(アリス・イヴ)と離れて暮らし、ソーシャルワーカーのスコッティ(トニ・コレット)の協力を得てアルバイトも始めた。

 

ある日、『スター・トレック』脚本コンテストが開催されることを知った彼女は、渾身の作を書き上げるが、もう郵送では締切に間に合わないと気付き、愛犬ピートと一緒にハリウッドまで数百キロの旅に出ることを決意する。

500ページの脚本と、胸に秘めた“ある願い”を携えて― (HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのは、ベン・リューイン

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名前までは存じ上げなかったんですが、調べてみると「セッションズ」を作った監督さんでした。

え?セッション?あのドラムのやつ?

違います、セッションズです。

 

 

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 これ。

確か僕の大好きな制作会社「FOXサーチライト」の20周年記念の作品てことで公開され映画館で観賞したんですが、首から下が麻痺してしまった詩人が、童貞を喪失するためにセックスサロゲートという職の女性とセックス・セラピーを介して交流を重ねていく、というお話です。

まぁすごいですよね、障がい者とセックスするお話ですよ。

しかもまったく聞いたことのないセックスサロゲート=性行為の代理人みたいな職業の女性が、性に対して不満だったり前向きになれない、また今作のように障がいを持つ人たちに身を持って改善していくというわけで。

なかなか踏み込んだ内容の映画でした。

 

なんだか娼婦みたいだな、と思う人もいるかと思いますが、あくまでセラピーの一環で性の改善をするので全く違いますし、性の解消のための相手でもありません。

この映画では、今まで障がい者としてしか相手に見られず男としての自信を得るために、仕事を依頼された事をきっかけに体験していくんですね。

しかもシリアスに感じそうなお話ですが、主人公が詩人ということで非常にユーモアに富んだセリフで描かれてるので、楽しく観賞できることでしょう。

 

 

そんな前作から引き続き障がいを持った主人公のお話ということで、本作をきっかけに監督の過去作を観賞されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

キャスト

主人公ウェンディを演じるのは、ダコタ・ファニング。

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先日公開された「オーシャンズ8」にちょっとだけ出演していましたね。

 

www.monkey1119.com

 

一瞬誰?と思いましたが彼女でしたw

 

やっぱりダコタっていうと、「アイ・アム・サム」とか「マイ・ボディガード」、「アップタウン・ガール」や「宇宙戦争」なんてのが思い出されるのかなぁと。

どれも素晴らしい名演技で、彼女のとびっきりの笑顔と目いっぱいにためた涙に、心を動かされたことでしょう。

 

そんな彼女の代表作を簡単にご紹介。

知的年齢の低い父親が、引き離されてしまった娘を取り戻すべく勝ち目の低い法廷闘争に挑む姿を描いた「I am Sam/アイ・アム・サム」で注目を浴びた彼女。

天才子役と賞賛された彼女はたくさん作品に出演を重ねていきます。

わがまま放題の元金持ちお嬢様と大人びた少女が、いがみ合いながらも友情を築いてくガールズコメディ「アップタウン・ガール」、心を閉ざし生きる希望を見失った元CIAの特殊部隊員の男がボディガードとなり、少女と交流していくことで生きる希望を見出していくアクションサスペンス「マイ・ボディガード」、異星人による地球への侵略に混乱しながらも家族の愛と絆を深めていく主人公の奮闘する姿を描いたSF超大作「宇宙戦争」など大小問わず様々な作品に出演し話題を呼びます。

 

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少しずつ成長していくと共に作品の役柄も変わり、10代の女性から絶大な支持を得たヤングアダルト小説の実写化「トワイライト」シリーズにレギュラー出演したり、1970年代に一世を風靡したガールズバンドの栄光と挫折を描いた青春群像劇「ランナウェイズ」では奇抜なメイクと挑発的なファッションで観衆を驚かせました。

 

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他のキャストはこんな感じ。

ソーシャルワーカー、スコッティ役に、「シックス・センス」、「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレット。

ウェンディの姉オードリー役に、「セックス・アンド・ザ・シティ2」、「スタートレック・イントゥ・ダークネス」のアリス・イヴ。

フランク役に、「ヤング≒アダルト」、「LIFE!」のパットン・オズワルトなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回旅のお供に愛犬も加わるみたいなんですが、僕はこれに癒されそうな気がしますw

もちろんそこだけじゃない!

ダコタの大人になった姿の演技に注目です。しかも自閉症ですからこれまた難役じゃないでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

これは人生初の大冒険で人生うまくいかないことも描いたロードムービーだ!

スタトレネタにクスっと笑えるし、何よりダコタだ!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の少女の物語。

自閉症を抱えるスタートレックオタクの主人公が、「スタートレック」の脚本コンテストに自身の思いを投影した脚本を届けるべく、勇気を振り絞ってロサンゼルスまで旅に出る姿を、ファンにはクスっと笑ってしまうスタトレネタでユーモアに描きつつ、人生順風満帆に行くことなど無理に等しいといわんばかりのアクシデント、そこで触れ合う人たちとのコミュニケーションなどを通じて、主人公を一回りも二回りも成長させていくロードムービーでございました。

 

はい、僕はスタートレックを扱ったロードムービーで、ダコタ主演という部分に惹かれ今回鑑賞したわけですが、スタートレックネタがたくさん出てきてはいるものの、それはあくまで記号的な意味合いでしかなく、決してネタだったりどこのなんのセリフかまで把握していなくても、全然オッケーな映画でした。

 

ただ、これを知っておくと作品における登場人物の関係性だったり、主人公が誰に何を伝えたいのかってのがより深く理解できるのかな、とも思います。

 

 

そもそもスタートレックって何よ?ってところから始まるわけですが、すげぇざっくり言えば、「スターウォーズ」みたいに宇宙を舞台にしたもので、様々な種族と交友しながらまだ見ぬ宇宙を開拓してく一大スペクタクルSFロマンストーリーなわけです。

そこにはカークという勇敢な艦長がいて、スポックという宇宙人がいて、エンタープライズ号という宇宙船に乗って旅するんですけど、その道中で時には対立したりするんだけど友情を深めていくのがたまらない素晴らしい作品で。

 

で、これに自閉症のウェンディは脚本コンテストに自身の思いを投影したオリジナルストーリーを書いて届ける、というお話なんですね。

で、どんな脚本をウェンディが書いたのか、というと、エンタ―プライズ号が事故に遭い、カークとスポック以外のクルーは全滅、瀕死のカークをスポックが支えながら、彼を見捨てることなく惑星をさまようというお話。

 

これのどこに自身を投影しているのか、って話になってくるんですけど、ウェンディはスポックというバルカン人を自分の事のように見てるんですね。

スポックというのはバルカン人という宇宙人と地球人のハーフなんです。

元々バルカン人は常に合理的に物事をすすめ、論理的思考に基づいて動くために感情的にはならないんです。しかしスポックは地球人という感情を持つ人種の血を引いているせいで時に感情を露わにすることがあります。

スタートレックイントゥダークネス」でもカーンによって瀕死の状態になってしまったカークを見てブチ切れるスポックってのが、ここ最近のスタトレの中での名シーンなんですが、この時に感情的になるスポックが、自閉症のために感情的になってしまう自分と重なって見えたわけです。

だから彼女はスタートレックにハマッたわけなんですね。

 

そしてこの脚本を届けるために旅に出るという行為そのものが、スタートレックのようにまだ見ぬ惑星の中でさまよいながらも前進していく壮大で困難な旅と重なったりしていく面白さが劇中で描かれているんですね。

 

 

では一体彼女はこの脚本に何を込めたのかというと、唯一の家族である姉ともう一度暮らしたいという思いが詰まった脚本だったんです。

姉夫婦に子供が生まれたんですが一緒に暮らすとこができなくなり、彼女はソーシャルワーカーのスコッティと共に施設で暮らすことになってるんです。

劇中でも赤ちゃんを抱く女性が登場するんですが、ウェンディは赤ちゃんを抱くことができません。

これは姉夫婦の間に生まれた姪っ子を抱くことができない現在のウェンディの状態を示唆したシーンになっていることが分かると思います。

抱きたいけど抱けない、だけど姪っ子を抱っこしたい。それが出来れば姉とまた暮らすことができる、これがウェンディの願いなのです。

それを脚本に込めていたというわけなんですね。瀕死の状態のカークを見捨てることなく抱えて歩き出すスポック。私はあなたがどんな状況でもこうやって助けることができる、それが例え困難な状態であろうとも。

 

 

ここまで書いてしまうと完全に核心をついているネタバレになってしまってそうなんですが、とりあえず僕が言いたいのはスタートレックはあくまで記号的な意味合いだから全く知らなくてもいいけど、せめてスポックがどういう人物なのかってのをわかっているだけでも、彼女が脚本に込めた思いだったり、なぜスタトレにはまるのかってのが理解できるかと思います。

そしてこの物語はウェンディから姉への思いを描くと共に、自分の子供のために施設へ送ってしまった姉の複雑な思いという視点も描かれていて、ラストにはこの姉妹がどうやってこの歯車の噛みあわないすれ違いの思いを一つにつなげていくかが見どころとなっています。

 

他にも、クリンゴン語を使うことでウェンディの警戒心を解こうとする警察官のシーンだったり、「長寿と繁栄を」というバルカン人の挨拶だったり、細かいところにも色々な小ネタがあるので、そこを見つけるのも楽しさの一つだったのではないでしょうか。

・・・結局スタトレ見ないとダメ、みたいな文になってしまってるなw

 

 

非常に困難な旅路。

はっきり言って自閉症がどんなものなのかってのは詳しく分かりませんが、そんな方にでもこの障がいが、どれだけ一般的な生活をするのに苦労するのかというのをキチンと冒頭で描き、それによっていかに単独で街に繰り出すことが大変かというのを表現しているので、作品に入りやすくなっていたと思います。

 

例えば、主人公は1日のルーティーンが決まっているところ。

朝起きてシーツを変えて、シャワー浴びて、決まった朝食をとり、曜日ごとに色の違うセーターを着て、大通りを渡らないで仕事場へ出かけ働く。

このルーティーンに予想外の事が起きたり順番を間違えると癇癪を起してしまうわけであります。

 

そして人と目を合わせて話すのにも一苦労だし、何よりメモ帳がないとコミュニケーションがうまくいかないわけで、如何に単独での外出が厳しいかがわかるはずです。

 

そんな中でどうしても脚本を直接届けたいという一心で、一念発起し旅立つ主人公。

普通の人なら相手を信じたり疑ったり、または的確な距離でコミュニケーションを計れるから、何かトラブルがあったとしても対処できますが、彼女の場合それすらも大変なわけで。

 

それでも一歩ずつ前に進む彼女の行動力だったり、危機回避能力ってのを見ていて驚きを隠せません。

ロス行きのバスを途中で降ろされてしまい、歩いて目的へ向かう彼女。しかも目的地まで270キロ・・・。赤ちゃんを抱いた女性に頑張って心を開くけど、開いた結果置き引きされipodを強奪されてしまったり。

老婆に助けてもらい、ワゴンにのせてもらうけど運転手が居眠りしていて事故に。

病院に運ばれるけど、看護師の目を盗んでうまく逃げだしたり。

どうしてそこまでできるのか、彼女は普通の人とは違う・・・

って思っちゃうんですよ。

やはり脚本を届けなくては、という原動力が彼女を突き動かしてるんですよね。

 

そして彼女が冒険に出る中で、様々なトラブルに見舞われるのは、まさに人生の縮図といえるでしょう。

決まった時間に決まった場所で決まった服を着て決まった行動をしながら生きていくことなど無理に等しいわけで、まさに彼女はそれを旅路で体感していくんですよね。

そんな時にスタートレックのセリフが彼女を平常心にさせ、一歩ずつ前進させていくんです。

好きな作品がここまで彼女を大胆にさせるのかと。

 

 

最後に

今作で自閉症を持つ主人公を演じたダコタ・ファニング。

彼女の役者人生第2章ともいうべき名演技だったのではないでしょうか。

こういう障がいを持つ役柄を、いかに自然に演じられるかが大事な作品だったわけですが、もう完璧でしょう。

目線を下に向けて、たどたどしいと思ったら急に早口になったり、同じことを何度もいったり、頭を何度もたたいて癇癪を起したりなど、過剰に演じるのでなくあくまで自然に演じていたと思います。

 

旅先で起きる出来事によって少ずつ心情が変化し、やがて大きく成長を遂げていくという流れは正にロードムービーに適した内容。

そんな旅の主人公ウェンディは冒頭、自身を光に例えて語ります。目的地まで何百万光年も離れた場所から旅に出るものの、あまりの広大さに目的さえも見失ってしまう。いったいこのたびは無事ゴールにたどり着けるのだろうか。

是非ウェンディの旅路の果てに見た景色を目に焼き付けてほしいと思います。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10