モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「兄を持ち運べるサイズに」感想ネタバレあり解説 支えであり呪縛ではない。

兄を持ち運べるサイズに

妹が一人いる二人兄弟なんですが、割と仲いい方だと思ってます。

親の方針で当時の実家の部屋は共用で、思春期真っ盛りのころはそれなりに口論したしお互い不便だと思ったんでしょうが、そのおかげもあって今でも喧嘩することなく連絡を取り合ってます。

 

いい歳こいて未だ独身の俺に対し、妹はちゃんと結婚し二人の子供をもうけ、大きな家を建てて家庭を作り、ちゃんと親孝行もしています。

ぶっちゃけ親の今後のことは任せてしまいたいほどしっかりした妹ですw

 

いきなり家族の話をしたのは、今回鑑賞する映画が死んだ兄の後処理をする妹の話からです。

順番的には俺が先に死ぬんだろうし、恐らく孤独に死ぬと思うので、もし後始末をするとなると妹になるんだろうなと。

悪いが後のことは頼んだ!!!と軽い感じで言っておいたら悲しむことなくやってくれるんでしょうかw

 

これまで家族の死を絡めた作品ばかり手掛ける中野量太監督ですが、今回はどんなユーモアと涙を誘う内容なんでしょうか。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

浅田家!」、そして『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した中野量太監督が、村井理子のノンフィクションエッセイ『兄の終い』を映画化。

 

急死した兄の“人生の後始末”をすることになった、妹と兄の家族のとまどいと混乱の数日間を、決して感傷的にせずコミカルに描きながらも、なぜか心の琴線に触れる感動が押し寄せるハートウォーミングな物語。

 

原作の一文をタイトルにした本作。

人の死を扱いながらも「笑いと涙」を織り交ぜながら、残された人たちが明るく前を向けるような作品を作り続ける監督は、今回も「原作の良さを大事にしながら、キャラをいとおしく思えるような笑って泣ける作品を追求した」と語る。

さらに「人間は一面的には語れない」という裏テーマも意識して製作したのこと。

「善悪」「是か非か」といった二元論で議論されがちな昨今、人間ほど複雑なものはないことを、それぞれのキャラを通じて伝えていく。

 

本作の主人公・理子役に、「でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男~」の柴咲コウ、理子の兄役に、「THE オリバーな犬 (Gosh!!) このヤロウ MOVIE」のオダギリジョー、兄の元妻・加奈子役に、「ラストマイル」の満島ひかり、加奈子の娘・満里奈役に、本作で映画デビューの青山姫乃、兄の息子・良一役に、「俺ではない炎上」の味元耀大などが出演する。

 

兄の後始末という面倒な作業が、やがて家族の思い出を巡る作業へと変化する。

誰もが自分の家族を思い出す作品です。

 

兄の終い

兄の終い

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浅田家!

浅田家!

  • 二宮和也
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あらすじ

 

作家の理子(柴咲コウ)は、突如警察から、兄(オダギリジョー)の急死を知らされる。

兄が住んでいた東北へと向かいながら、理子は兄との苦い思い出を振り返っていた。

 

警察署で7年ぶりに兄の元嫁・加奈子(満島ひかり)と娘の満里奈(青山姫乃)、一時的に児童相談所に保護されている良一(味元 耀大)と再会、兄を荼毘に付す。

 

そして、兄たちが住んでいたゴミ屋敷と化しているアパートを片付けていた3人が目にしたのは、壁に貼られた家族写真の数々。

子供時代の兄と理子が写ったもの、兄・加奈子・満里奈・良一が作った家族のもの・・・ 兄の後始末をしながら悪口を言いつづける理子に、同じように迷惑をかけられたはずの加奈子はぽつりと言う。

 

「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな」

 

兄の知らなかった事実に触れ、怒り、笑って、少し泣いた、もう一度、家族を想いなおす、4人のてんてこまいな4日間が始まったー。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

ダメだったことよりも良いことの方が多かったよねという都合の良さ。

そう思わせないためにもっと兄嫌いなエピソードを見せた方が良かったのではないか?

ちなみに理子の父の方が怖い。読めない。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

妹と元嫁では違う面があった

何故東北に。

金の催促しかしてこない兄の突然の死。

最後の別れと全ての後始末をするため、元嫁とその娘、そして妹によるてんてこまいな4日間を、ユーモアを交えた丁寧な演出と涙を誘うエピソードの数々で綴る、ほどなくお別れです映画。

 

正直、良い話ではある。

生前の兄は妹の理子にとって「金の事」しか連絡してこない嘘つきな奴だった。

実際エッセイストとしてそれなりに顔出しして活動してる有名人なのだから、そりゃ貧乏な兄から集られても仕方ない。

 

昔からどこか変わっていて、母ちゃんからの愛を独占していた兄。

なのに母ちゃんが末期のすい臓がんと知った途端家を飛び出し、他の人に介護を任せるという卑怯さ。

葬儀の時に突然顔を出したかと思えば、香典余ってたら頂戴!と再び金の催促。

会うたびに仕事をコロコロ変える、地に足付けない兄の存在を疎ましいとばかり思っていたんだろう。

 

しかしこの死をきっかけに、兄への見方が変わっていくというのが本作の肝。

ボロアパートに小学生の息子と共に住んでいたようだが、掃除は行き届いていないことはもちろん、ビールにタバコ、食べかけのゴミ、洗いモノの溜まったキッチン、室内に干しっぱなしの衣類、洗ってなさそうなシーツと、男の一人暮らしのレベルを超えた汚さ。

そんなガサツで荒れた部屋の中で見つけたのは、兄が作った履歴書。

糖尿病だったこと、そのせいで仕事ができなかったこと、沢山の資格をもっていたことなど、知らないことばかりが記されていた。

 

それだけじゃない。

元嫁の加奈子に兄の酷い嘘を語ると、徐々に加奈子はその嘘を違うように受け止めていたことが発覚する。

理子の言い分としては、どんなことを言っても約束を守れないという結果である以上、嘘をついていることになる。

逆に加奈子は、確かに結果的には嘘になるが、約束を行った時の思いは決して嘘ではないという言い分。

 

一人の人間を兄弟と結婚相手とでまるで違う捉え方をする言い合いは、本作の一番の見どころだったのではないでしょうか。

 

冒頭でも書いた通り、出来のいい妹を持つダメな兄としては、後始末ってあんなに大胆なのね、もうちょっと丁重に処分してもらえないかしら、いやでもやってもらってる身だし、いちいち感傷に浸るようなブツを持ってるわけでもないし…

とまるで自分が死んだつもりで、彼女たちの勢いの良い処分法を眺めていました。

 

さすがにあそこまで散らかった部屋ではないけれど、やっぱり死後の後始末をやってもらうからには、もう少し整理整頓しておいた方が良いよなぁ…余分なモノは生前の内に処分しておこう、あ、棚の上に隠してあるいかがわしいやつとかもいいかげん捨てないと…など、これからの事さえも考えてしまうほど。

 

いいか、妹よ、俺が死んだときに元嫁なんか手伝いに来ないからな、そもそも元嫁どころか今嫁すらいないんだからな。

マジで頼んだぞw

 

 

・・・と、自分の事は置いといて、個人的には理子よりも加奈子のキャラの方が見ていて良かった気分でした。

理子はどちらかというと「私兄の事大嫌いなんで!」という想いを盾にしており、一人きりになると妄想全開で「おにいちゃぁ~~~ん…」と嘆くあたりが、見ていてイラッとしたんですが、逆に加奈子は、離婚して一人娘を育てる立派な母親として描かれていました。

 

なんていいうか思ったことを正直に吐き出すタイプであり、理子の前でも思ったことは譲らないし、怖いモノは怖いと言ってタバコを吸うなど、色々わかりやすいタイプの母親でした。

 

兄の部屋でまず最初に吐いたのは「このうそつき野郎!」という言葉。

当初は息子を大事に育てていなかったことに腹を立てたのかと思いましたが、どうやらそういうことではないことが最後明かされるのでお見逃しなく。

 

そもそもなぜ息子と娘両方引き取らなかったのか不思議だったんですが、それもこれも兄が離婚を承諾する条件だったことが発覚。

勝手に借金を作ったり、相談なしに家を抵当に出してしまうような男とは、一緒にいられない。

きっと見た目のカッコよさと巧い言葉にコロッとやられたんだろう、実際嫌いになって別れたわけじゃなく、金に無頓着な面や家族を路頭に迷わせるような行動に、見限った、らしい。

 

意外と堅実な面もあってキャラ的には好感を持てた存在でした。

 

色んな家族がいて、色んな約束や決まりごとがあって、互いの許せるところも許せないところもある。

骨折したことを黙って妻の帰りを待つ夫の姿を初めて見た理子が、夫に体ごと寄せて泣きじゃくるシーンでは、倒れそうになる夫を子供たち二人が支える姿で幕を閉じます。

 

また加奈子が理子に告げる最後の言葉は「やっぱりお金がない家族は幸せじゃないよ」って言葉も、本作がキレイごとだけではない部分を覗かせていたんですね。

 

結局、別れた理由もそういうことだと。

幸せにはなれないから加奈子は別れた。家族を守ると言っておきながら守ろうとしない彼と、別れるしかないと。

でも、できることなら、加奈子は息子のためにも定期的に連絡を取ってほしかったよなぁ。

本作の一番の不満はそこです。

なぜそこまでして離れなくてはならなかったのか、って理由が明かされてないんだよなぁ。

不満は結構ある

どれかで加奈子が体裁のいい事だったり本音を吐露しても、結局のところ離婚して以降、子供と会おうとしてないことに疑問を抱くのです。

どういう約束事を交わしたのか具体的なところはわからないし、東北にいることを知っていたのかもわからないんですが、手紙のやり取りとか電話なりなんなり手段はあったはず。

父親の決め事で一切のやり取りを絶ったのかもしれないけど、オダジョー演じる彼も、金の催促を妹ばかりしたのにも疑問は残る。

 

そこは元妻にも催促したりしなかったのだろうか、そこはかっこつけたんだろうか。

息子を引き取る以上、ちゃんと育てることを約束したわけだから、こっちの状況をっ耐えることはしなかった、と思えば合点は行くが、どうもその辺のリアリティがなさすぎて、ついていけない部分もあった。

 

それ以上に、今回演出が酷い。

本作は思っていた以上に尺が長く、それでいて話が一向に進んでいかない。

さらにじっくり見せたいのか、色々とテンポが悪すぎる。

 

回想シーンに関しては父親の存在がめっちゃ気になる。

ファミレスで何を食べようかじっくり悩む兄にしびれを切らして、勝手に注文する父親。理子の分まで勝手に決める始末。

さらにはやっと決まったオムライスを食べたら「普通」と言ってしまう兄に堪忍袋の緒が切れ、先に車で待ってるという父。

あ~、この家庭は親父に難アリだったんだ、そう思ったにも拘らず、なかなか仕事から帰ってこない両親を覗きにいくと、両親揃って子供たちに手を振る2人。

 

よくわからん。

あのファミレスの風景は、まだ二人が喫茶店を経営する前の光景だったのか。

だいたい喫茶店にはファミレスで食べられそうなメニューが書いてあるわけで、例えば仕事をしながら子供たち二人に店でご飯を食べさせることも可能だったりする。

そこでオムライスなりお子様ランチなりハンバーグなり食わせることも可能だったはず。

 

じゃああのエピソードは何だったんだろうと。

本来描かなくてはならないのは、母親の愛を独占していた兄の光景を理子視点でもっとたくさん見せる事や、兄が器用だったことも含めて理子が子供時代兄をどういう風に見ていたのかということ。

チャリンコの荷台に乗せて一緒に帰る風景だけじゃないはず。

 

要は理子がもっと兄の事が嫌だったこと言う側面を見せないと、兄はやっぱりいい人だったという結末に響いてこないなぁと。

 

 

それだけじゃない。

湯を沸かすほどの熱い愛は僕の好きな作品の一つだけど、あの映画で描写された部分にモラル的にアウトだと言及するレビューが当時散見され、確かにそう思えるなぁと思ったりしていたんです。

それが今回結構自分は敏感に感じてしまい。

 

例えば冒頭、柴咲コウがタンクトップ姿で手にクリームを乗せて顔に塗るシーンがあるんですが、なぜかバストの部分から見せている。

別に顔に塗るところから映してもいいのに、やたらバストが目立つようなショットになっているのが普通に気になってしまった。

 

他にも、兄が母親の愛を独占している姿を見た幼き理子が、スカートの裾をぎゅっと握って悔しがるショットも、ひざ上まで上げて悔しがる辺りがロリっぽく見えてしまうわけです。

そんなところを映してどうする!?という部分が非常に目立ったんですよね。

良一の下着のサイズがあってないってのも、またかよと思ってしまう。

それがあってないなら他の服もあってないはずだろ。

 

最後の方でも、骨を少し持って帰ってほしいと提案する理子が、新幹線車内で骨壺を開けて座席と座席の間から骨を一本ずつ渡すシーンがあり、加奈子が「ここで!?」とツッコミを入れてるからまだよかったものの、幾らユーモアを出したいからとはいえ、普通しないことをわざわざやらせるのも、正直どうかと思った。

 

 

全体的にもテンポが遅く、もっと端折れるところがあるのにいちいちそれを見せるのも物語に飽きてくる。

特に諄かったのは、全て片づけを済ませた兄のアパートで、ひとりひとり妄想の兄と対面する件。

どうやったら兄と会えるのか、それは自分の記憶を辿っていけば見えるという理子のアドバイスに従い、加奈子はタキシードを着た元夫にもう一度プロポーズをさせることに成功する。

 

良一と加奈子まではいい。だけど何度も妄想で会っている、その前にスーパーで散々思いをぶつけたのに、もう一度理子をアパートに活かせて兄と対面するのはさすがにクドイ。

 

 

最後に

兄のメールに対する伏線回収も弱いし、何より脳内でエッセイを書く理子のタイピングが遅いので、あれが出る度に場面が止まって仕方ない。

何度も挿入してくるのでかなりお気に入りの演出なんだろうが、特に新しくもないし、やるならもっと意外な場所から映るような演出を見せてほしかった。

 

とにかく俺もダメ兄なんだけど、オダジョーの方がよっぽどダメ兄なので、そういうところと比較してしまったのは大きい。

もしかしたら俺も今後体を壊して職を失い、妹に厄介になるかもしれない。

そうならないように今後も一人で生きる術を見出さなくてはいけないんだけど、ダメなところが嘘をつくとか金にだらしないくらいなんだよなぁ。

 

嘘かどうかは捉え方次第ってのはわかるけど、やっぱり金にだらしないのはちょっとね。結婚時の借金は何のために作ったんでしょう。

ギャンブルをやっていたようには見えないし、酒の飲み過ぎで金がなかったのか、普通に働きたくなかったのか、既に病気で働き口がなかったのか。

 

今回はあまりグッとくるものがなく、過去作の方が良かったなぁと思った、そんな感想ですw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10