あの頃。
1990年代。
世間一般からネガティブな形でみられていた「オタク」。
国内を震撼させた事件、マスコミやメディアによる扇動など、色々な流れによってできてしまった風潮でしたが、あれから30年経った今、気づけば「オタク」は「市民権」を手にれるほどポジティブでカッコよく、ごく当たり前のものとなりました。
アニメにフィギュアにミリタリー、アイドル、映画、音楽など様々なカルチャーやカテゴリーに心酔、熱中している人たちの姿に、昔のような「ダサさ」も「キモさ」も見当たりません。
むしろ眩しいくらい人生を楽しんでいるんだろうなとさえ思えます。
僕も俯瞰でみれば「映画オタク」と分類される身分なんでしょう(全然未熟なんだけどw)。
映画をもっと深く知りたいし、追求したい。
いくらあっても時間の足りない日々に悶々としながらも、人生を謳歌し「幸せ」をかみしめている今日この頃です。
さて今回鑑賞する映画は、そんな「オタク」にまつわる映画。
AKB48登場後、アイドルを「推す」という表現が一般的に使われている昨今。
それよりももう少し前の時代にアイドルに夢中になったオタクたちのお話。
世代的にドンピシャなので非常に楽しみです。
というわけで早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
エレクトロニック・ダブ・バンド、あらかじめ決められた恋人たちへや、他アーティストへのベーシスト活動、漫画作品など多彩な活動で知られる劔樹人が、自伝的なコミックエッセイとして出版した初の著書、「あの頃。男子かしまし物語」を、青春恋愛群像劇を描き続ける映画監督の手によって映画化。
2000年代初頭J-POP界を席巻したアイドルグループ、モーニング娘。率いる「ハロー!
プロジェクト」の面々に魅せられた者たちの、笑いと涙の日々を描く。
攻めた作品選びと奇抜な人物設定に果敢に挑む役者を筆頭に、今を時めく俳優や癖のある俳優、お笑い芸人などバラエティに富んだキャスト陣が、きっと誰もが懐かしむであろう「バカバカしいほど笑えるのに、ちょっぴり切ない日々」を熱演。
またハロプロの楽曲も「桃色☆片思い」からモーヲタ的神曲に至るまで使用。
当時を彩る楽曲たちによって、登場人物や我々観衆の心が、より一層輝きを増すだろう。
「推し」がいる人生が、いかに心を豊かにするか。
きっと誰もが本作を見て「尊い」と感じることだろう。
あらすじ
バイトに明け暮れ、好きで始めたはずのバンド活動もままならず、楽しいことなどなにひとつなく、うだつの上がらない日々を送っていた劔(つるぎ)(松坂桃李)。
そんな様子を心配した友人・佐伯(木口健太)から「これ見て元気出しや」とDVDを渡される。
何気なく再生すると、そこに映し出されたのは「♡桃色片想い♡」を歌って踊るアイドル・松浦亜弥の姿だった。
思わず画面に釘付けになり、テレビのボリュームを上げる劔。
弾けるような笑顔、くるくると変わる表情や可愛らしいダンス…圧倒的なアイドルとしての輝きに、自然と涙が溢れてくる。
すぐさま家を飛び出し向かったCDショップで、ハロー!プロジェクトに彩られたコーナーを劔が物色していると、店員のナカウチ(芹澤興人)が声を掛けてきた。ナカウチに手渡されたイベント告知のチラシが、劔の人生を大きく変えていく――。
ライブホール「白鯨」で行われているイベントに参加した劔。
そこでハロプロの魅力やそれぞれの推しメンを語っていたのは、プライドが高くてひねくれ者のコズミン(仲野大賀)、石川梨華推しでリーダー格のロビ(山中崇)、痛車や自分でヲタグッズを制作する西野(若葉竜也)、ハロプロ全般を推しているイトウ(コカドケンタロウ)、そして、CDショップ店員で劔に声を掛けてくれたナカウチら個性豊かな「ハロプロあべの支部」の面々たち。
劔がイベントチラシのお礼をナカウチに伝えていると、「お兄さん、あやや推しちゃう?」とロビが声を掛けてくる。
その場の流れでイベントの打ち上げに参加することになった劔は、ハロプロを愛してやまない彼らとの親睦を深め、仲間に加わることに――。
夜な夜なイトウの部屋に集まっては、ライブDVDを鑑賞したり、自分たちの推しについて語り合ったり、ハロプロの啓蒙活動という名目で大学の学園祭に参加するなど、ハロプロに全てを捧げていく。
西野の知り合いで、藤本美貴推しのアール(大下ヒロト)も加わり、劔たちはノリで“恋愛研究会。”というバンドを組む。
「白鯨」でのトークイベントで、全員お揃いのキャップとT シャツ姿でモーニング娘。の「恋ING」を大熱唱。
彼らは遅れてきた青春の日々を謳歌していた。
ハロプロ愛に溢れたメンバーとのくだらなくも愛おしい時間がずっと続くと思っていたが、それぞれの人生の中で少しずつハロプロとおなじくらい大切なものを見つけていく。
そして、別々の人生を歩みはじめ、次第に離ればなれに――。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、今泉力哉。
「愛がなんだ」以降、映画ファンならずとも認知された節のある監督。
残念ながら僕はまだ彼の作品を1作しか鑑賞できてないんですが、本作は情報が解禁されて以降、楽しみにしていた作品の一つ。
どちらかというと恋愛要素多めの青春映画の印象がありますが、今回は「推し」に対する一方的な愛という意味においては、ある種の恋愛青春映画になり得るのかな?w
一体どんな物語になっているのか楽しみです。
監督に関してはこちらをどうぞ。
また本作の脚本を、「南瓜とマヨネーズ」、「乱暴と待機」の冨永昌敬監督が手掛けているのも見逃せないところ。
コメディチックな掛け合いや行間がたくさん用意されているのではないかと期待しております。
キャスト
本作の主人公、劔樹人を演じるのは、松坂桃李。
ヒーロー番組出身俳優として、一時期はキラキラ系の作品などに多く出演して活躍したことから、いわゆる「二枚目俳優」枠を確保した印象でした。
しかし、「日本でいちばん長い日」、「劇場版MOZU」あたりからでしょうか。
これまでのイメージとは違う役柄に挑戦する姿がありました。
時にはダメ男、時には異物感たっぷりのダークキャラ、時にはエロスいっぱいのキャラに正義感の強いキャラなど、アクの強い設定の人物ばかりを選び、演技を磨いてきている印象が見受けられます。
なんというか、作品を選ぶ際の選球眼がしっかり養われている気がするし、これまでやったことのない人物を演じることへの貪欲さみたいなものが表面からは見受けられないけど、内心はむっちゃやりたくて仕方ない野心的な情熱がきっとあるんでしょうね。
戸田恵梨香さんと結婚後、初の劇場公開作品ということも重なって、どんな役を演じるのか非常に楽しみであります。
彼に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
コズミン役に、「生きちゃった」、「泣く子はいねぇが」の仲野太賀。
ロビ役に、「おらおらでひとりいぐも」、「泣く子はいねぇが」の山中崇。
西野役に、「美しい星」、「街の上で」の若葉竜也。
ナカウチ役に、「リップヴァンウィンクルの花嫁」、「音楽」の芹澤興人。
イトウ役に、お笑いコンビ、ロッチのコカドケンタロウ。
アール役に、「アイネクライネナハトムジーク」、「転がるビー玉」の大下ヒロト。
馬場役に、「新聞記者」、「ひみつの花園」の西田尚美などが出演します。
アイドルへ向けた一方通行の「好き」という気持ちを共有できる仲間たち。
「これほど幸せなことはない」と思わせてくれそうな映画の予感です。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
好きなことを一緒にできる仲間って最高だよね。
いつまでも続くと思ってた「あの頃。」を思い出させてくれる青春コメディでした!
以下、ネタバレします。
自分とダブることはたくさんある。
バンド活動をバイトに追われクビになった男の元に咲いた一輪の花「松浦亜弥」との出会いをきっかけに、ハロプロを推すヲタたちとの熱い談義やバカバカしい掛け合い、一人の仲間に訪れる命の危機など様々な出来事を、自由度の高い演技を定点カメラでナチュラルに映すことで、彼らの推しに対する熱量と辛いことも笑いに変える明るさ、松坂桃李のこれまで演じたことのないヲタ芸を包み隠さず描き、作品を通じてあの頃を思い返すことで昔も楽しかったけど今も楽しいと思わせてくれる映画でございました。
小学校から大学まで、学業というモノには必ず「卒業」という儀式がある。
社会人になれば仕事で手いっぱいになり、学生の時のようなくだらない事やバカバカしいこともできないことが多い。
気付けば学生時代を懐かしみ、歳をとったことを実感し、身も心も老け込んでしまうことだってあるかと思う。
青春とは学生時代に送った日々のことを指すのだろうか。
青春は大人になるとできないことなのだろうか。
そんなことはない。
学生時代を終え、死を迎えるまで卒業できない「大人」という時期の中、同じ趣味や同じ興味をもつことで、いつだって「青春」を送ることはできる。
本作は、大人になってもイマイチ人生を楽しめない男が、かけがえのない存在と出会うことで仲間とともに「青春」を謳歌した過去を振り返る物語。
かけがえのない存在と出会うことで、どんなに彼女が出来なくても、どんなにお金が無くても、どんなに辛い出来事があっても、心はいつだって幸せになれる。
現実という息苦しい毎日をバラ色にできる。
心の帰る場所がある。
「推し」が頑張ってるから自分も頑張れるのだ。
寝る時間を削っても、少ない生活費をあてても、「推し」のためなら声がかれるまで誠心誠意応援できるのである。
そして何より自分と同じ思いで応援している仲間がいるからこそ、過ごした時間は濃密なものになるのである。
同じ町の中で同じ年齢の者たちと机の並べた学校生活とは違い、年齢も収入もバックグラウンドも性格も違う者たちが、ただただ「同じ趣味」という共通点だけで集う奇跡。
こんな素晴らしい出会いはないと、今強く言える。
僕の場合、高校時代に仲のいい友人たちとバンドを組み、皆で上京し同じ専門学校に通いながらバンド活動をしていた。
バンド活動以外でも彼らと過ごした時間は長かった。
バカバカしいこともした。変な歌も作った。
全員働かずに朝から晩までファミレスでくっちゃべった時期もあった。
中古ゲーム屋で激安のソフトを一日中遊び倒したこともあった。
遊び過ぎたあまり、ドラムが学校を留年した。
毎週ライブとスタジオの連続で金が無かった。
同じ夢を追い求めるあまり、時には喧嘩もした。
そんな「あの頃。」を経て、映画に夢中になっていく。
この「モンキー的映画のススメ」というしょうもないブログを通じて、twitterを通じて沢山の映画仲間と出会い、SNSでやりとりしたり直接酒を飲み交わしながら「ああだこうだ」言い合ったり共感したりする日々があるおかげで、太陽が一日中雲に覆われたような日々が晴天に変わる。
本作のように「アイドル」に夢中になっていたわけではないけれど、音楽に夢中になり、仲間とともにバカやりながら夢を追いかけ挫折をし、別々の道を歩んでいるけれど、「あの頃。」を過ごした日々は、何物にも代えられない時間で最高に楽しかった。
死を迎えるまで卒業のない「大人」の時間の中で、気が付くと「あの頃。」を卒業していて、別の何かに入学し、青春を謳歌している。
今言えることは、「あの頃」に負けないくらい楽しい。
・・・最近自分語りし過ぎるなぁw
このように「あの頃。」は、正に自分が過ごした青春時代を振り返らせてくれる作品だったんですよ。
また自分にとっては、映画で描かれる2004年てのがちょうど音楽やってた時代で。
冒頭でのスタジオリハでペットボトル投げられて怒られていた劔と、おんなじこと言われてたなぁってw
他にも「白鯨」というライブスペースでのイベントや、溜まり場になっているイトウくんちでの他愛のない会話、コズミンのプライドが高いが故の暴走などなど、趣味も趣味以外もわちゃわちゃできるあの感じ、最高だよなぁって。
でもって、彼らの「ハロプロ」への熱意が熱狂的ファンという内の方向に向くあまり、外野がドン引きしてしまう構造も見事で。
これは今でもあると思うんですけど、自分に興味のない分野や趣味に熱を帯びすぎてる連中や、度を超えるほどのパワーを見ちゃうと引くことってあるじゃないですか。
本作はちゃんとその辺の温度差もしっかり描いていて。
恋愛研究会の面々は、その温度差を感じていても自らの「好き」や「推し」に注いでくのがさすが「ヲタ」だなぁと。
僕も職場で映画を観た子につい熱弁してしまう癖があって、聞く姿勢なんだろうけど、内心ウザがられてるんだろうなぁとw
でもそんなの関係ねえ!(よしお)ってことなんすよね~w
押し付けは良くないけどねw
という感じで、自分とダブる部分がたくさん詰まった作品でした。
モー娘。懐かしいわ。
劇中では、松浦亜弥の「桃色片思い」を筆頭に、2004年から2009年くらいまでのハロプロの歴史が透けて見える作品でもありました。
ぶっちゃけ2004年なのに、なんで2002年発売の「桃色片思いなんだろう?と疑問に思いましたが、そこは映画の嘘ってことなんでしょうか。
それとも原作者の劔さんの実体験通りなんでしょうか。
そもそも松浦亜弥って2004年だと歌手としては世間的にピークアウトしてて、どちらかというと、ミキティやなっちとユニット汲んで話題性を作ってた印象なんですよね。
モー娘。も既になっちが卒業して古参がどんどん卒業していく時期で、僕自身もシングル追いかけていかなくなった時期なんですよね。
白鯨でのイベントでも「シャボン玉」について触れてたけど、それも2003年のシングル曲で、1年遅れで6期生に触れてるのは、なんか時系列がヘンというか。
※Twitterで原作者の劔さんからリプをいただきました。
私が人から貰った映像に感動したゆえに松浦亜弥は後追いで、観に行ったイベントは6期加入後初のハロコン(2004)でコンサートで観た6期の歌の感想を言い合っているので、時系列はおかしくないんですよ。ありがとうございます。
— 劔樹狼 (劔樹人) (@tsurugimikito) February 18, 2021
ということでした。納得!
とはいえ、彼女たちが世間をあっと言わせた時期のお話じゃないんですよね。
僕が言いたいのは、出来る事なら「LOVEマシーン」以降の彼女たちにうつつを抜かす彼らの方が共感できたし、せめて時代をちょっとだけ前にして物語を構成してほしかったなぁと。
それこそ、あやや推しがいて、ミキティ推しがいて、石川梨華推しがいて、しかも楽曲オタクまでいたわけじゃないですか。
だからシャッフルシングルとかユニットのこととか、鈴木Daich秀行に触れたんだから、ダンス☆マンにも触れてほしかったし、要するに彼らの口からどれだけ詳しくてどれだけ熱弁してるのかってのは、正直少なかったなぁと。
ヲタ度は弱いなぁと。
一応、時系列としてBerryz工房がデビューして、石川梨華の卒業コンサートがあって、「Go Girl~恋のヴィクトリー~」が発売された時期に「恋ING」を歌うのは合っていたわけですから、何ら問題はないです。
いわゆるお話の材料としての「ハロプロ」なので、別にそこを抽出せずに恋愛研究会という仲間とのかけがえのない日々に特化させた作品て事に関しては正解だったとも思えます。
「サルビアの花」と「恋ING」
本作の中で象徴的に使われたのが、早川義夫さんの名盤「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」の中に収録されている「サルビアの花」と、モー娘。のシングル「Go Girl~恋のヴィクトリー~」のカップリング曲として収録されている「恋ING」という歌だと思います。
冒頭で劔がバンドをクビになって部屋で一人ベースをボンボン鳴らしながら「サルビアの花を」の歌を歌ってるんですね。
今にも死にそうなか細い声で歌ってるので、ここからどうやって物語ともども跳ねていくんだろうと思ってましたがw
どんな歌かと申しますと。
ずっと思いを寄せていた女性が別の誰かの元へ行ってしまったことに対する自身の思いを歌った歌でして。
相手の部屋のベッドに一面に敷き詰めたいくらい、僕はあなたを愛していたのに、自分ではない誰かと結婚してしまった姿を見て、ただ僕は無様に追いかけるのさ、という歌詞なんです。
歌詞の端々には「僕の愛の方がすてきなのに」とか、「泣きながら 君のあとを追いかけて」とか解釈によってはストーカーチックにも聞こえそうな歌詞なんですが、独りよがりに聞こえそうであるものの、よほど好きだったんだろうなという思いが伺えます。
劔はなぜこの歌を歌ったのかと考えるならば、おそらくベーシストとして音楽で飯を食いたいという「夢」が打ち破れたからなのかなと。
死ぬまで一緒にいたかった歌の主人公と、死ぬまでずっと音楽をやっていたかった自身。
僕の愛の方がステキなのにと嘆く歌の主人公と、僕の方が音楽好きなのにと嘆く自身。
恋に破れただ転げ落ちるしかない歌の主人公と、このままズルズルベースを弾くしかない自身。
サルビアの花のように真っ赤に染まった情熱は、他者によって打ち砕かれてしまったという思いが、このシーンで計れるのではないでしょうか。
この歌は劇中もう一度歌うシーンがあるんですが、ここはおそらく別の何かに対する劔の思いがひしひしと伝わるシーンになってます。
是非どういう心境なのか、歌詞を咀嚼しながら感じ取っていただきたいと思います。
そして恋愛研究会がバンド演奏しながらイベントの締めで歌う「恋ING」。
今回の映画で初めて聞いた曲なんですが、ファンの間では「神曲」なんだそう。
どんな歌かと申しますと、片思いをもできなかった自分が、恋の神様に辛いらしく懺悔しながら、今恋愛に夢中=恋愛進行形という表現を使って思いを歌い上げる歌でございます。
この「恋愛研究会」のイベントでも実際に演奏しながら歌うってのが定番だったそうで、その模様を劇中に取り入れただけの話なんですが、映画として見てみると、この歌が劔の思いとリンクするように感じます。
「サルビアの花」を歌ってた頃とは違い、今この超楽しい瞬間をどんなふうに呼べばいいのかわからないながらも、性格が変わってしまうほど人生で今一番楽しいと。
このメンバーといつまでもいたい、「推し」をみんなで盛り上げていきたい。
まだまだ駆け出しの恋だけど、仲間と夢中になってバカバカしいことをやってる今に恋をしている、恋愛中だと。
「パンが1つならわけわけね」ってすごくかわいいフレーズがあるんですけど、独り占めするんでなくて、酸いも甘いも分け合って過ごすことが恋愛の醍醐味だよね、仲間と過ごす醍醐味だよねって意味合いにも取れるかなぁと。
独りよがりの思いだった劔が仲間と共有する楽しさを見出した=人生に彩りが芽生えた。
本作の象徴としてこの2曲の歌詞を読んでおくと非常に物語に深く入れるのではないでしょうか。
最後に
松坂桃李や仲野太賀を筆頭に個性あふれるキャスト陣のアンサンブルが非常に愉快なのも魅力の一つ。
彼らのわちゃわちゃしたやり取りを見ていると、ホントかつての自分と巡り合えるし、何より自分が仲間に加わったようにも感じます。
暗い表情から松浦亜弥に出会った時の人生180°変わった表情や、仲間に出会って徐々に顔に血が巡っていく瞬間など、松坂桃李の普段見れない表情が目白押しですし、本作のMVPといってもいい仲野太賀のネット弁慶ぶりからの超高速土下座、彼に訪れる転機など、泣きも笑いも全てかっさらっていくほどの大活躍です。
僕としてはメンバーの中であまり態度や表情を変えないながらも、微妙な行間をいれることで心の機微を見せる芹澤さんのお芝居が非常に良かったですね。
劔と二人でライブハウスで語るシーンはグッときました。
不満になるんですけど、監督の画の撮り方が映画にハマってないなぁ、あのシーンはこうやって撮ったらエモーショナルなのになぁなんて見ていて思ってしまい、非常にもったいない映画ではありました。
カメラを動かさないやり方でハマってる箇所もあったんですけど、そればかりだとどうも手抜きに見えてしまう、役者任せになってるように見えてしまうなぁと思ってしまって。
どちらかといえば脚本が冴えてたなぁという印象です。
とにかく、今が楽しいと感じている方。
いつかその「楽しい」時を卒業する時が来ると思います。
もっと別の大事なものに出会う時が来ると思います。
別の大事なものに夢中になった時、あの頃の楽しかった時を思い出してみてください。
あの頃も楽しかったけど、今も負けないくらい楽しいって思えたら、ステキな人生を過ごせていると思います。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10