アントマン&ワスプ:クアントマニア
MCUはこの「アントマン&ワスプ:クアントマニア」からフェーズ5に入ります。
サノスをラスボスとしたフェーズ3までを「インフィニティ・サーガ」と呼ぶのに対し、4~6までは「マルチバース・サーガ」と呼ぶそうです。
実際フェーズ4では、スパイダーマンが別の時間軸の敵と相まみえたり、ストレンジによってマルチバースの扉が開いてしまったり、ドラマシリーズ「ロキ」でも、変異体ロキがいろんな場所を転々とするエピソードになっていたりと、楽しいサプライズもあるけれど、正直風呂敷広げてばかりで物語についていくだけで精一杯。
思った以上に楽しめてないのが僕のMCUフェーズ4に対する思いです。
ではフェーズ5は一体どうなっていくのか。
それを明確にするのが本作だと思います。
なぜかといえば、今回登場する「征服者カーン」というキャラが後に公開される「アベンジャーズ」の敵となるからであります。
そう、かつて最弱と呼ばれたアントマンが、今後アベンジャーズの敵となるボスキャラ相手に挑むことになるのです。
確かに最弱と呼ばれてしまっていたアントマンですが、サノスを倒すきっかけを作ったのは彼(俺から言わせれば量子トンネル開いたネズミなんだけどw)であり、量子世界においてもカーンと同等に値するのではと踏んでますが、果たして。
水面下で世代交代の波を感じるMCUですが、今回でアントマン、死なないよね…?
早速観賞してまいりました!!
作品情報
マーベルコミック原作のキャラクターを映画シリーズとして進行中の「マーベル・シネマティック・ユニバース」通称MCU。
そのフェーズ5のオープニングを飾るのは、身長1.5cmのヒーロー・アントマン。
小さいがゆえに最弱と揶揄されてきた彼だったが、「アベンジャーズ/エンドゲーム」で量子世界を使ったタイムトリップの可能性に気づき、過去へ飛んでインフィニティストーンを回収、サノスとの最終決戦まで持ち込んだ、アベンジャーズとしても地球にとっても非常に頼りがいのあるヒーローである。
そして本作はいよいよ「量子世界」へとフィールドを移し、今後待ち構えるアベンジャーズへの大きな足掛かりとなる物語へと進んでいく。
大人へと成長したスコットの娘キャシーや、ホープ、ハンク、ジャネットら家族とともに量子世界へと迷い込んでしまったスコットが、全人類の過去現在未来の時間を支配するカーンと対峙、娘を人質に取られたスコットが究極の選択を強いられ、MCU史上最凶の敵との戦いに挑む。
本作も過去2作同様ペイトン・リードが監督を務める本作は、ユーモラスな描写を振りまきながら、家族をテーマに、これまでにな壮大な物語へと導く。
新たなアベンジャーズの始まりを描く本作。
アベンジャーズ史上“最小”ヒーローが想像を絶する量子世界を舞台に繰り広げる、人類の常識を覆すアクション超大作が遂に始動する!
あらすじ
かつてキャプテン・アメリカらとともに「内乱」を起こし、ソコヴィア協定に違反した罪を問われ逮捕されたアントマンことスコット(ポール・ラッド)だったが、サノスとの戦いに貢献したことで、初代アントマンであるハンク・ヒム(マイケル・ダグラス)、そしてその娘でありスコットの良きパートナーであるワスプことホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)らとともに免除。
量子世界に閉じ込められていたことで、愛する娘キャシー(キャスリン・ニュートン)との5年間を失った悲しみはあれど、彼は愛する家族と幸せな日々を送っていた。
そんなある日、キャシーは今後の脅威に備えて漁師世界へと信号を送る人工衛星を開発。
しかし、起動するや否や突然装置が光を放ち、スコットと娘のキャシー、そしてピム博士と妻のジャネット、娘のホープは量子の世界に引きずり込まれてしまう。
スコットやハンク、そして30年間幽閉されていたジャネットたちが見てきた量子世界とは想像を絶する世界に様変わりしていることに戸惑う一行。
そこに謎の男カーンが現れる。
彼は存在を書き換え、時間軸を破壊する恐ろしい力を持っており、アントマンにある取引を持ち掛ける。
果たしてその取引とは、そしてスコットら一行はカーンとの戦いに勝利し、無事外の世界へと戻ることができるのか!?
監督
本作を手掛けるのは、ペイトン・リード。
「イエスマン」や「チアーズ!」、「恋は邪魔者」など、コメディタッチのドラマやロマンス青春ものを手掛けてきた手腕を買われ、アントマン全3作を任されてきた監督。
それもそのはず、アントマン自体ほかのヒーローと違い、ミクロの世界と家族という「小さい」規模の物語として描いており、それを監督特有のコメディタッチで面白おかしく作ってきたわけです。
それこそ「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のラストによって誰もが打ちひしがれたと思いますが、その後に公開した「アントマン&ワスプ」の狭い範囲で繰り広げるバトルやほのぼのとした描写に、心を救われたという人も多かったはず。
そんな彼が今回、3作目を再び自分に任せてくれたことに感激を示しつつ、これまでとは違うアントマン=壮大な物語にしたいと思ったそう。
それと同時に、彼の周囲のキャラクターの物語としても進めたかったと語っています。
スコットが失った5年の月日の間に、娘であるキャシーは13歳から18歳へと成長。
一番多感な時期を共に過ごせなかったことがスコット親娘の関係に大きな軋轢をもたらし、物語の核となっていくそうです。
だから、これまでのアントマンとは違った、壮大な世界での壮大な家族の物語になっている模様です。
これはシリーズ史上最高傑作になるのか!?
キャラクター紹介
- アントマン/スコット・ラング(ポール・ラッド)…元泥棒にして、アベンジャーズの一員である2代目アントマン。エンジニアとしての技術を使いカスタマイズした縮小・拡大できるアントマンスーツをピムから受け継いだ。 サノスとの最終決戦で、アベンジャーズとして世界を救ったことから一気に有名となった。
- ワスプ/ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)…ハンク・ピムとジャネット・ヴァン・ダインの娘で、母親からアントマンと同様の性能と飛行能力を持つワスプスーツを受け継いだ2代目ワスプ。 スコットと共にアベンジャーズとして世界を救ったことから一気に有名となり、その恩赦として一家全員罪が免除され元の暮らしを取り戻した。
- カーン(ジョナサン・メジャース)…TVシリーズ『ロキ』の登場人物で、時間変異取締局(TVA)の創設者である在り続ける者とは別のタイムラインの変異体で、彼の死によって出現した。
- キャシー・ラング(キャスリン・ニュートン)…スコットが全身全霊をかけて愛する一人娘。スコットがデジメーション時に量子世界から元の世界へ戻れなかった5年の間にかなり成長した。今後の脅威に備えて、量子世界へと信号を発信する人工衛星を開発し起動するが、それが原因でスコット達と共に量子世界へと吸い込まれてしまう。
- ジャネット・ヴァン・ダイン(ミシェル・ファイファー)…ピムの妻であり、ホープの母親。元S.H.I.E.L.D.のエージェント。30年間量子世界で行方不明になっていた初代ワスプ。
- ハンク・ヒム(マイケル・ダグラス)…元S.H.I.E.L.D.のエージェント、昆虫学者、物理学者で、1963年に原子間距離を操作する亜原子粒子ピム粒子を発見・開発した初代アントマン。スコットとホープがアベンジャーズとして世界を救った事から、恩赦としてスコットの過失による罪が免除され、一家揃って元の平穏な暮らしを取り戻した。
- ジェームズ・”ジミー”・E・ウー(ランドール・パーク)…自宅軟禁中だったスコットを監視していたFBI捜査官。TVシリーズ「ワンダヴィジョン」では、S.W.O.R.D.によるウエストビューの調査に駆り出され、事件解決に尽力した。
- クアイラー卿(ビル・マーレイ)…量子世界の内にあるコミュニティ・"アクシア"を統治する男。
(以上Wikipediaより抜粋)
アントマン史上最も過酷な戦い(つうかこれまでご近所範囲のヒーロー譚だったからなぁ…)になるであろう本作。
自分の命と引き換えに娘を守る…なんてことにならなよね…??
ここから観賞後の感想です!!
感想
#アントマンワスプ #クアントマニア 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2023年2月16日
アントマンたちが量子世界で超SF大作を模倣する、それだけの話。
小さな世界で壮大に見せてるが、工夫や斬新さは見当たらない。
だが、強敵相手にアントマンだからできる反撃は感動的。 pic.twitter.com/t4uWLPwnt7
アントマンでスターウォーズやってみました!!
選択肢としてはアリだが、選ぶなよ…。
とはいえ、2時間でだれることなくまとめた脚本は見事。
以下、ネタバレします。
詳細なあらすじ
まだ量子世界に捉われていた頃のジャネットは、外敵に襲われるが、そこへやってきたカーンに助けられる。
現在。
サノスとの戦胃の功績によって人気者となったスコット。
街を歩けば周囲から祝福され写真をねだられ、コーヒーをごちそうになり、前職のサーティーワンアイスクリームでで名誉従業員になるほど。
本を出版し朗読会に老けていた頃、警察から電話。
夜中にホームレスの住居を撤去する警察の行動に腹が立ち抵抗したために拘留されていた娘キャシーの釈放をするため、スコットは警察を訪れる。
ヒーローなのだから人のために役に立ちたい、そのためのアントマンスーツだと豪語するが、スコットはそれは君のやることじゃないと諭す。
自宅に帰ると、ホープやハンク、ジャネットと共に食卓を囲んで幸せなひと時を送れることにご満悦のスコット。
しかしキャシーとハンクは、スコットに隠れて「人のために役に立つこと」を計画していた。
それはアリを使って量子世界に信号を送る装置の発明だった。
失われた5年の間、キャシーは量子世界に没頭し、ハンクの協力も経て研究を進めていたのだった。
しかしジャネットは顔色を変え、装置を今すぐ止めることを促す。
急いで破壊したのもつかの間、量子世界の入り口が開き、一行は瞬く間に吸い込まれてしまうのだった。
以前きた時とはまるで別世界の量子世界。
スコットとキャシー、ホープとハンクとジャネットは2手に分かれてしまう。
スコットらは、ジェントーラ率いる軍団に捕まり、どこから来たのかを訪ねれられる。
彼らはこの世界を牛耳る者に住処を奪われ、反乱の時を窺っていた。
ホープ一行は、かつてジャネットが交流を深めた者たちに協力を求め、クワイラー卿を訪ねることに。
しかし、クワイラーたちを見捨て一人地球へ戻ったジャネットを裏切り者扱いし、ハンターらによって連行されてしまう。
反撃を試みたホープらは、飛行艇を奪い逃走に成功。
ジャネットはこれまで語ってこなかった量子世界での話を始める。
彼女がかつて助けた男カーンは、元の世界に戻るためジャネットに玉座のついた乗り物の修復を依頼。
理由も聞かずに手伝ったジャネットだったが、乗り物を動かす「コア」の修復jに成功し、接続した瞬間、カーンがこれまでしでかしてきたことを知ってしまう。
カーンはあらゆる並行世界を壊し続けたことで、並行世界に存在する自分たちによって、量子世界に追放されてきたのだった。
彼にコアを渡せば地球にも危険が及ぶと悟ったジャネットは、一瞬のスキを突いてコアを強奪。
ピム粒子を使いコアを巨大化し、カーンを量子世界に閉じ込めることを選択したのだった。
やがて量子世界に再びやってきたことを察知したカーン。
かつてハンクの下で働き、スコットと対峙したダレンは、量子世界に飛ばされた際、カーンに拾われMODOKと名乗り、スコットらの前に立ちはだかる。
幽閉されたスコットは、キャシーを人質にし、ジャネットが巨大化したコアを元に戻すよう命じる。
条件を飲んだスコットは、単独でコアに向かう。
果たして、カーンの陰謀を制止し、キャシーを取り戻すことはできるのか。
そして一行は、元の世界に戻ることができるのか。
・・・というのがザックリしたあらすじです。
可もなく不可もなくなフェーズ5の始まり。
これまで「小さいながらご近所での戦い」に没頭する姿を、かつての泥棒仲間と共にコミカルな描写で作り上げてきたアントマンシリーズ。
監督のインタビュー通り、これまでの世界観とは一変した「量子世界」メインの物語だったわけですが、中身はスターウォーズと何が違うのかというほど、帝国軍VS反乱軍のお話になっておりました。
宇宙での戦いであれば、結局こうなってしまうのね、と簡単に諦められるわけですが、量子世界は宇宙じゃねえ!って思ってしまい、その選択を選ぶなよ・・・と残念な印象はぬぐえません。
これまで量子世界をメインにしたSF映画はそうそうなかったわけで、出来る事なら今後のSF映画のために、何かお手本になるような、それこそパイオニアとなるような世界観を示してほしかったのが率直な思いです。
それこそこれまでのアントマンで描かれてきた量子世界は、顕微鏡で覗いたかのような細菌や胞子などが渦巻き、それこそ人間の体内に近いような世界だったため、この中で人間が過ごすのは無理があるだろうというヤバさを感じたわけですが、本作はカーンの征服によって、量子世界なのに妙に近代化文明化した世界となっており、それってもう宇宙のどっかの星と変わらないじゃないかと。
そこに住む人間のような生物たちも、どこの国の言葉かわからないけど、ケロケロなる飲み物を飲んだら言語を聴きとれるようになるとか、人間でないようなビジュアルの生物たちも、正直既視感あるようないで立ちばかり。
そりゃ人間が異世界を想像するんだから、近しいモノになるってのは承知ですが、もっとオリジナリティあふれる世界観を見せてほしかったのが本音です。
また、物語に関してもきっかけから本筋に入るまでがよくわかりません。
人のために役に立ちたいと願ってたキャシーは、何故量子世界とコンタクトの取れる装置を作っていたんでしょうか。
僕が聞き損ねたのかもしれませんが、あれを使って地球を救う手立てってなんだったんでしょう。
そう、結局フェーズ4で僕が懸念していた「自分たちで風呂敷広げて危機を招く繰り返し」をフェーズ5でもやるのかよ・・・という残念さ。
今回もキャシーがあんな装置を作らなければ、カーンなど永遠に量子世界でふんぞり返ってるだけなのに。
向こうから危機がやってくるようなパターンはなぜ採用されないのかと、つくづく疑問に思います。
それこそMODOKと化したダレンも研究者だったわけですから、カーンに協力して地球にやってくるような物語でも良い気がするんですよね。
まぁそれやっちゃうと一気にアベンジャーズの話になるからダメとは思いますが、どうも「自分たちで風呂敷広げて危機を招く」パターンは、これで終わりにしてほしいです。
とはいえ、クライマックスはアントマンらしい展開で好きです。
巨大化してカーンの結界を破壊しようとツッコむアントマンでも、征服軍の攻撃は防戦一方。
反乱軍の猛攻撃でも、カーン一人に歯が立たない状況の中、「俺は別の世界でアベンジャーズを倒してきた男だぞ!アントマンなんかアリを動かすだけだろ!」といった瞬間、ハンクの操作によって大量のアリたちがカーンに襲い掛かる展開は、この強敵でもアリ(アントマン)には敵わないと示した最高のシチュエーションだったと思います。
やはりアントマンは、アリの存在無くして勝利はあり得ません。
それが例え量子世界でも通用してしまうアントマンとアリの強さは、笑いが止まりませんでしたね。
また、笑いで言えば、今回シリアス一辺倒な壮大な物語の予感がしましたが、しっかりペイトン・リード監督ならではの笑いが挟まっており、淡々と進行する物語の中でアクセントとなってましたね。
一番はやはりMODOKとなったダレンの存在でしょう。
デカい顔して手足の短いモンスターが、鬼の形相をした仮面を外すと横長に拡大したかのような顔でお出まし。
全く怖くなかったww
細かい点で言えば、コメディ俳優であるポール・ラッドの受けの芝居になるときの「間」だ絶妙に良く、1.5テンポくらい遅れてツッコむ感じが最高でしたねw
最後に
エンドクレジットのおまけは今回二つ。
どちらもカーンにまつわる映像でしたが、今回あらゆる時間軸で暴れまくったほどの凶暴なカーンはいわば序章に過ぎず、他の並行世界のカーンの変異体が、彼を倒した存在を脅威とみなし、今後迫ってくることを示唆するシーンでした。
あぁ、あれが今後いっぱいやってくるのか、そして他の作品でも別のカーンがチラチラ登場するんだろう、そんな想像ができるんじゃないでしょうか。
そしてふたつめはロキが登場。
恐らくドラマシリーズ「ロキ」のシーズン2に触れるシーンだと思います。
ヴィクター・タイムリーは正にカーンの変異体であり、今後ロキとどのように対峙するのか注目です。
色々不満はありましたが、実は長尺化の一途をたどるMCUにおいて、ドクターストレンジ同様、2時間以内でテンポよく大衆娯楽テイストで描く構成は見事だと思います。
変な余韻で感動を煽ったり、話がどんどんこじれるようなことはなく、手堅くはあったものの、大衆娯楽映画はこういうのでいいんだよ!と考える僕の見たい映画の尺になっていて好感はありました。
だからこそ、フェーズ5に入ったのだから「観たことのない世界」をもっと提示してほしかったですね。
もっと驚くような世界観の話。
とりあえずまだまだMCUは卒業できそうにありませんw
しかしビル・マーレイ要らなかったなぁ…
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10