モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「AVA/エヴァ」感想ネタバレあり解説 「なぜあなたは殺されるの?」知らんがな。

AVA/エヴァ

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 殺し屋に暗殺者。

決して男ばかりじゃない。

女性だっているんです。

 

男が殺し屋の場合、獣のような野心に哀愁漂う背中が相まって、ハードボイルド感を堪能できるイメージがあります。

 

ですが、女性の場合、男とは違う美しい容姿や衣装のエレガントさといった外見で惚れ惚れするあたり、さらには、どこの世界も男性優位であるが故に女性としてのプライドを傷つけられるなどの社会性なども加わって、全く違う悲哀さがにじみ出ていることも。

 

肉体的にも男性より劣ってしまう女性暗殺者が、いかにして男性を倒していくかの描写は非常に熱いものがあります。

 

今回鑑賞する映画は、そんな女性暗殺者が組織に反逆を誓うスパイアクション映画。

 

ニキータ」、「LUCY/ルーシー」など手掛けたリュック・ベッソンの専売特許にも思える「女暗殺者」モノですが、形は違えど「悪女/AKUJO」、「キック・アス」、「キル・ビル」、「ハンナ」、日本でいえば「あずみ」など、過去の「女暗殺者」映画の系譜をしっかり受け継いでいるであろう正統派のアサシンアクションの予感です。

 

早速鑑賞してまいりました!

 

 

 

 

 

作品情報

2度のアカデミー賞ノミネート女優が、孤高の女暗殺者を演じるアクション映画。

 

ふとした疑問を抱きつつ任務をこなす女暗殺者が、激しい不信感からたった一人で組織に立ち向かう反逆の物語。

 

美しい容姿と知性を兼ね備えた完全無欠の暗殺者に仕向けられる刺客との壮絶な戦いが繰り広げられていく。

 

ヘルプ~心がつなぐストーリー~」でアカデミー賞作品賞にノミネートした監督が、自身の作品に出演経験のある女優を抜擢し、定評のあるドラマ性に加え、激しい銃撃戦や肉弾戦といったアクション描写に挑む。

 

また、心無い暗殺者が自身のアイデンティティを確立すべく、本当の敵に立ち向かう展開は、これまで世に放たれてきた「女暗殺者」映画の系譜をしっかり継承。

きっと観る者の心に圧倒的没入感と感動の銃弾を浴びせられることだろう。

 

ヘルプ~心がつなぐストーリー~ (字幕版)

ヘルプ~心がつなぐストーリー~ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

あらすじ

 

 美しき暗殺者エヴァ(ジェシカ・チャスティン)。

完璧な容姿と知性、そして圧倒的な戦闘能力。

組織に命じられるまま完璧に任務をこなしながらも常に自問自答を繰り返していた、「なぜ標的たちは殺されるのだろうか」と。

 

ある日、エヴァは全組織員が注目する極秘の潜入任務に臨むが、組織から事前に与えられていた重要な情報に誤りがあり、そのことでエヴァの正体に気づいた敵と熾烈な銃撃戦になってしまう。

 

辛くも生き延びたエヴァは、関係者の中に自分を陥れようとしている存在を疑い、次第に組織への激しい不信感を募らせていく。

 

そんなエヴァに、組織にとって危険因子となった彼女を秘密裏に始末しようする最強の殺し屋”サイモン”(コリン・ファレル)の魔の手が迫っていた。

 

暗殺者VS暗殺者、血で血を洗う戦いの火蓋が今、切って落とされる。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

監督

本作を手掛けるのは、テイト・テイラー

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彼といえば、1960年代の公民権有働を背景に、不当な扱いを受けた黒人メイドのために若い白人女性が立ち上がる「ヘルプ~心がつなぐストーリー」や、離婚の悲しみによりアルコールに溺れた女性が、心の拠り所だったある夫婦に起きた事件を車窓から覗いてしまったことで巻き込まれていく「ガール・オン・ザ・トレイン」などを手掛けたお方。

 

どちらも好きな作品ということで今回鑑賞しようと至ったわけですが、ドラマ作品に定評はあるものの、なぜ彼がアクションを撮ることになったのか、経緯がよく理解できませんでした。

 

調べてみると、本作はどうやら色々ゴタゴタがあった模様。

 

元々マシュー・ニュートンという方が「イヴ」というタイトルでメガホンを取る予定だったそうです。

しかし、妻への暴行がメディアによって暴露、有罪になったことから降板。

Metoo運動を積極的に推進する主演のジェシカ・チャスティンも、本作のプロデューサーを兼任していることから、彼をクビにしないと筋が通りませんもんね。

 

そんな彼女が白羽の矢をたてたのが、過去作でタッグを組んだテイラー監督だったという経緯。

 

元々出来上がっていたプロットを、テイラー監督がどう立て直したのか。

ちょっと不安ですが、まずは見てからってことで。

 

監督に関してはこちらもどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

キャスト

女暗殺者・エヴァを演じるのは、ジェシカ・チャスティン。

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ツリー・オブ・ライフ」や「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」、そして「ゼロ・ダーク・サーティ」で、数々の賞を受賞、ノミネートし、不動の地位を確立した彼女。

 

近年では「女神の見えざる手」や、「モリーズ・ゲーム」など主演として存在感を発揮する一方で、「IT/THE END❝それ❞が見えたら、終わり」、「X-MEN/ダーク・フェニックス」などの大作映画にもしっかり出演してます。

 

これまで彼女がアクション映画をやるイメージが無かったので、今回演じることが新鮮ではあります。

しかし、「モリーズ・ゲーム」をご覧になった方もなんとなくわかると思いますが、細身の割にはお胸が大きいグラマーな体型なんですよね・・・。

 

これまでのいわゆる「女暗殺者」モノの主演て、やっぱりスレンダーな方が演じられている傾向にあるので、ちょっと彼女には不向きに感じます。

だって、動くたびにブルンブルン揺れてしまうわけで、動きが鈍く見えてしまう気がするんですよ。

 

容姿としては完璧なんですけど、果たして彼女の体型が吉と出るか凶と出るか…。

 

彼女の作品に関してはこちらもどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

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他のキャストはこんな感じ。

殺し屋サイモン役に、「デアデビル」、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のコリン・ファレル。

エヴァの元婚約者マイケル役に、「ジョン・ウィック2」のコモン

デューク役に、「RED」シリーズ、「マイル22」のジョン・マルコヴィッチ

他、「テルマ&ルイーズ」、「ロング・キス・グッドナイト」のジーナ・ディヴィスと豪華布陣。

 

 

 

 

 

 

 

調べてみたら不安材料がいくつか見えてしまって期待値が下がってしまいましたが、見て見なければわかりませんw

とりあえずジェシカがカッコよければいいのだ!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

殺し屋に家族の話とか要らんねん!

設定もアクションもストーリーも浅~い暗殺者の反逆映画でした。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜあなたは殺されるの?

将来有望に育つも、アル中にヤク中の上塗りのせいでハメ外し、軍隊入って名誉除隊。

権威に反感を持つような反抗期真っただ中のエヴァは、あれよあれよと殺し屋稼業を生業として生きていく。

 

美しい美貌と知性を兼ね備えた優秀なアサシンとして任務をこなす一方で、彼女にはある疑問が頭から離れない。

それは標的を殺す前に「なぜ標的は殺されるのか?」を問いかけること。

 

今まさに銃を突き付けられている標的はもちろん答えようがない。

返ってくる答えは決まって、身に覚えがないか、全財産上げるから助けてくれのどちらかだ。

 

結局答えを知ることもないまま、彼女は浮かない顔をして任務を遂行していく。

 

 

僕が思う殺し屋は、自分が一体どれほどの汚い仕事をしているのか認識しているはずだし、たいていは多額の報酬目当てで任務するもんだから、標的が一体どんな目的で殺される羽目になるのかなんて気にもしないし、雇った組織の目論見などいちいち干渉しないのがセオリーってもんで。

 

にもかかわらず、仮称アヤナミレイの如く「あなた殺される、なぜ?」と質問してしまうエヴァ。

 

「花はなんで咲くのだろう?鳥はなんで飛ぶのだろう?」と小学生みたいな歌詞でミリオンヒットを飛ばしてしまったオレンジレンジのように質問してしまうエヴァ。

 

一体全体それを聞いてどうしたいのかを、この映画は全く持って説明してくれない。

 

 

彼女が組織から狙われてしまう理由は、この一連の「殺しの儀式」によって任務に支障が出てしまう恐れがあるからという上層部の判断によるもの。

 

上司の命令は絶対であり、殺し屋稼業にとって標的に猶予を与えてしまうことは闇組織にとっては全く持って必要のないものだったわけで。

 

色んな映画を観ていれば映画的な演出ということで、殺す前にちょっとした猶予を与えてあれこれ詳細を話す時間てのが設けられてますよね。

それこそ地上波TVの2時間サスペンスでよくある「崖の上での真相究明」みたいな。

さっさと捕まえて署で聞けばいいものを、なぜか崖の上で全部アリバイ崩して動機突き付けて自供させる。

 

エヴァはそれをやってるようなもので、映画的には別にこれといって悪いとは思わないんですよね。

何故聞くのかは意味不明ですけど。

 

でも組織はそれを嫌がるところから物語は始まっていくんです、はい。

 

 

復讐でも反逆でもねえ。

そんなちっちゃいこと気にし過ぎワカチコワカチコ!な組織のボス・サイモンによって狙われるエヴァ。

 

中間管理職でありエヴァの直属の上司であるデュークは、彼女に何度も警告するけど、心のケアもサポートする父親代わりの存在。

彼がいるからエヴァはしっかり任務を遂行できているわけです。

 

デュークは彼女の悲痛な過去を知っているからこそ、労わり、守ろうと体を張ってサイモンに盾突く。

しかし残念ながらデュークはサイモンの手によって無残な死を遂げてしまうわけであります。

 

どこぞの企業でもよくある光景ですよね。

若い社員のポテンシャルに期待を寄せて、背中を押す係長。

「やりたいようにやれ、責任は俺が持つ」と励ます一方で、課長や部長にひたすら謝る。

TVドラマ「宮本から君へ」でも、宮本のムチャな策に、彼を応援する先輩たちが課長に黙って実行させる。

先輩たちは必死に宮本を庇い、課長に盾突く。

あのシーンは号泣でした。

 

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裏社会でもそういうのがあるってことですよね。

 

ですが、なぜか話はデュークの弔い合戦でも、自分を消そうとする組織への反逆でもない展開へ流れていくんです。

 

こういう場合ですよ、エヴァが組織に単独で殴り込みに行くのが一般的な話の流れってもんです。

ですが、なぜか元婚約者で今は妹のフィアンセであるマイケルに言い寄って「一緒に逃げよう」と誘い断られ、これまで自分がどれだけ自己中で身勝手な性格だったか気づき、我慢していた酒におぼれて泣き崩れる間にサイモンが部屋までやってきて奇襲をかけられるんです。

 

この後解説しますが、エヴァの気持ちが全く分かんないです。

あれだけ世話してくれたデュークが消され、今度は自分が殺されるかもしれないという時に、好きだった男の元へ駆けつけ逃げようという気持ち。

 

本作はエヴァの過去に深く関わる家族の物語も同時進行しており、どうにか彼女が「過去に逃げる」ような展開に持っていこうとしてるわけなんです。

だからどうにかして2つの話の軸を一つにしたい方向って魂胆が見え見えのせいで、盛り上がりの強弱がギクシャクしていて、観てるこっちはヤキモキしてしまう。

 

ぶっちゃけさっさと復讐にしに行けよ!と。

 

 

家族の話要る?

冒頭から不満ばかり書いてますが、まだまだあります。

 

エヴァはマイケルという結婚を誓ったフィアンセがいました。

カードゲーム賭博に出入りした際に元締めのカモと化していた彼と出会い、お付き合いすることに。

しかしエヴァは浮気やそれ以上のことを隠し、さも自分を浅笑うかのような態度をとる親父への憎しみから忽然と姿を消してしまうんです。

 

8年ぶりに実家へ帰ってきたエヴァは、妹がマイケルと付き合ってる事や、母親が入院していることなど、家族と色々向き合わなければいけない時期に突入。

 

自分のせいで違うレールを走ることになってしまった家族という過去の清算をしようと動いていくわけです。

 

 

まず大前提として、殺し屋稼業をやってる奴の家族の話って要りますかね?

設定として普通殺し屋って一匹狼で、後ろ盾になるようなものなんてなくて、寧ろ家族が生存していたとしても絶縁か疎遠てのがセオリーなんじゃないかと。

 

そもそも闇で働いてる人間が、家族と繋がってる=狙われやすい、人質にされやすいってイメージできませんかね。

なのに堂々と会いに行くわけですよ、家族に。

サイモンの手下が監視してるのに。

 

さらに話をややこしくしてるのは、マイケルがギャンブルにハマり過ぎていて、賭博の元締めに多額の借金をしていること。

 

再会を祝してエヴァと妹、マイケルの3人で食事をするんですが、マイケルが妹を茶化しエヴァを褒めるせいで、妹がゴキゲン斜めに。

原因は親父の死後、家族を全部自分で背負ってしまうことに対する情緒不安定からくるもので、マイケルはそんな彼女にそこそこストレスを抱えてる様子。

そのはけ口がギャンブルであると。

 

確かにエヴァと付き合っていた時もカードゲーム地獄だったわけですが、まさか8万ドルも借金してるとは。

このエピソードが挟まれることによって、組織から狙われてる本筋はいったんお預けとなり、エヴァに新たな敵が出てきてしまう流れに。

 

借金もエヴァが全額払うことで一件落着なのに、元締めの本拠地を荒らしまくり、手下も殺し、元締めを殺す寸前まで追い込むエヴァ。

これくらいしておけば、マイケルに手だししないだろうって魂胆なんでしょうが、普通に金返して、さっさと本筋行けよと。

 

 

一番納得いかないのがこの「家族」とのパートで。

恐らくドラマ出身のテイラー監督だからこそできると思われる「エヴァの内面と向き合う」ってのを見せたかったがためのエピソードだと思ったんですが、完全にノイズでしたね。

 

実際家族と向き合い、過去の自分と向き合った成果ってのが、反逆という気持ちにスライドしていかないので、ホントに無駄だなぁと。

簡単に言えば「それはそれ、これはこれ」になってしまっている。

 

 

最後に

アクションに至ってもひどくて、ジェシカがジョギングしてる時点で体が重々しいし、殺し屋って感じに見えないぶよぶよ感で説得力ないし、いざマンツーマンの戦闘シーンになってもカメラのカット割りが多すぎて何やってるかわからない。

意外と大ぶりなアクションなんで、こういうアクション久々に見るなぁって気持にもなったけど、ジェシカにまぁ隙があり過ぎで強そうに見えない。

射撃技術はお手の物なんでしょうけど、肉弾戦はそこまで得意ではないのかな。

 

 

お話のオチでもサイモンと対峙してとどめを刺す前に、彼に猶予を与えるんです。

でもそこで「あなたはなぜ殺されるの?」ってセリフ言わねえ!

カウントダウンて猶予を与えるけど、1の時点でバァン!てのは、彼女の成長を意味したシーンだと解釈はできるけど、自分のやり方に異を唱えた上層部に対して、これが自分のやり方だと証明するための「あなたはなぜ殺されるの?」になるんじゃないの?と。

 

そもそも組織が小さいんですよね~w

サウジでの凡ミスを中東のテロ組織にもみ消してもらうほどのネットワークがあるにもかからわず、手下は少ないし、エヴァを始末しに行くのはサイモン本人くらいだし、エヴァのやり方を寛容視出来ない時点でひととしても小さい。

 

せめて全体的にジョン・ウィックくらいの規模でやってほしかったなぁと。

 

やっぱりあれですね、製作の段階で色んなお家事情が絡むとロクな映画にならないってのが今回改めて勉強になったということで。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆★★★★★★★★2/10