ビートルジュース2
ティム・バートンと言えば、「チャーリーとチョコレート工場」や「アリス・イン・ワンダーランド」、「シザーハンズ」や「バットマン」などが有名ですが、彼の製作する映画はいつもダークで歪な世界の中で孤独を背負った変わり者が登場することが多いイメージ。
初期の作品はダークファンタジーを描いてますが、「ビッグ・フィッシュ」を皮切りにポップな作風も増え、より大衆受けされやすい作品が目立ちます。
そんな彼の初期の代表作「ビートルジュース」の続編が、今回観賞する映画。
僕自身まだ鑑賞したことがなく、今回をきっかけに初めて見たんです。
模型や美術デザイン、キャラクター造形がものすごくこだわって作られていて、物語も「死者が住んでいた家から住人を追い払いたいためにヤバい奴に助けを求めてしまった」という少々ややこしい内容のお話なんだけど、ビートルジュース演じるマイケル・キートンがまぁ~ハイテンションで楽しい。
一体この映画をどうやって続編として作ったんでしょうか。
まぁ~、久々にあいつを呼んじゃったってことなんでしょうけどw
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
死後の世界で「人間恐がらせ屋」を営む男によって起こす騒動を描いた、ティム・バートン監督の初期の代表作「ビートルジュース」。
名前を3回呼ばれると人間界に現れ、人間たちを怖がらせて家から追い出してしまう、いわば地縛霊や座敷童のような存在が、再び現代によみがえる。
前作から35年後のハロウィンを舞台に、母親になったリディアと一人娘が、またもやビートルジュースによって騒動に巻き込まれていく姿を、ダークファンタジーな世界観やノリをアップデートさせ描いていく。
監督曰く続編は前作製作時からアイディアを持っていたようで、今日に至るまで経験した出来事を映画に注ぎ込むことで、リディアのその後を描きたかったと語った。
また、マイケル・キートンらと再び仕事ができたことにも感銘を受け、映画を作ることへの意欲も湧いたそう。
そんな本作では、「ザ・フラッシュ」でのバットマン役が未だ印象に残るマイケル・キートンや、今やNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス」のジョナス役や、「ホーンテッドマンション」での活躍も記憶に新しいウィノナ・ライダー、「アーガイル」のキャスリーン・オハラが続投。
リディアの一人娘役には、「スクリーム」シリーズや、Netflixドラマ「ウェンズデー」で一躍人気女優の名を手に入れたジェナ・オルテガが抜擢。
他にも、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」や「ジョーカー」のジャスティン・セローや、「マトリックス・リローテッド」、「007スペクター」のモニカ・ベルッチ、「哀れなるものたち」や「憐みの3章」の公開が控えるウィレム・デフォーなどが出演する。
果たして、ハロウィンの夜にどんな騒動が巻き起こるのか。
バートンの原点にして最大のヒット作をご堪能あれ。
あらすじ
ビートルジュース(マイケル・キートン)は、かつて結婚を迫るも叶わなかったリディア(ウィノナ・ライダー)のことが今も忘れられないでいる。
彼の願いはただひとつ、「人間と結婚」し、死後の世界から人間界へ移り住むこと。
一方、リディアは自身の霊能力を活かしTV番組「ゴーストハウス」の司会者としてお茶の間の人気を博しているものの、私生活では一人娘・アストリッド(ジェナ・オルテガ)との関係に頭を悩ませる。
アストリッドは幽霊の存在をまったく信じておらず、母親の霊能力をインチキだと思っているのだ。
そんななか、死後の世界で事件が起きる。
何世紀にもわたり、死後の世界の倉庫に身体をバラバラに封じ込められていたビートルジュースの元妻・ドロレス(モニカ・ベルッチ)が復活。
ドロレスはビートルジュースに復讐したい因縁があるらしく執拗に探し回るが、1年で最も不気味な夜が訪れるハロウィンの日に、アストリッドが死後の世界に囚われてしまうという急展開に。
なんとか娘を助け出したいリディアは最終手段としてビートルジュースに助けを求める。
ビートルジュースへの復讐に燃えるドロレス、今度こそリディアとの結婚を成就させたいビートルジュース、死後の世界に囚われた一人娘を助け出したいリディア、ハロウィンの夜に訪れる結末とは?(Fassion Pressより抜粋)
キャラクター紹介
- ビートルジュース(マイケル・キートン)・・・死後の世界で “人間怖がらせ屋” を営む推定年齢600歳のお騒がせ者。人間との結婚を夢見る。
- リディア(ウィノナ・ライダー)・・・アストリッドの母親。自身の霊能力を活かし、TV番組で司会を務めている。
- アストリッド(ジェナ・オルテガ)・・・リディアの一人娘。母親の霊能力を信じていない。ハロウィンの夜、死後の世界にとらわれてしまう。
- ドロレス(モニカ・ベルッチ)・・・ビートルジュースの元妻。死後の世界の倉庫で身体をバラバラに封じ込められていたが復活。バラバラの身体はホッチキスで繋ぎ合わせられている。
- デリア(キャサリン・オハラ)・・・リディアの母親。奇抜なものが大好きなアーティスト。少々ぶっとんでいるが、家族を大事にしている。
- ウルフ(ウィレム・デフォー)・・・ドロレスとともにビートルジュースを追う。
- ジェレミー(アーサー・コンティ)・・・ハロウィンの夜に大騒動をおこしてしまう近所に住むミステリアスな青年。
- ローリー(ジャスティン・セロー)・・・リディアの婚約者。オカルト番組「ゴーストハウス」のプロデューサー兼リディアのマネージャー。
(以上Fassion Pressより抜粋)
正直ここ数作低迷期っぽく感じたティム・バートンが、自身のブレイク作の続編をきっかけに作家性とエンタメ性爆発!!となるんでしょうか。
ここから観賞後の感想です!!
感想
ワーナー・ブラザース映画より招待いただき #ビートルジュース #ビートルジュース 試写。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) September 13, 2024
前作同様ジオラマにセット美術小道具ファッションに至るまで遊びに遊び倒したティムバートンの世界観が可愛くて楽しい!
そして何よりダニーエルフマンの音楽!相変わらずビートルジュースはハイテンションだ! pic.twitter.com/WhERfL2744
死者への思いをベースに描かれる母と娘の物語。
前作よりドラマがあって良いけど、それでもあいつのせいでハチャメチャな展開は健在だ!!
それにしてもおもちゃが散らばったような世界で楽しいなぁ。
以下、ネタバレします。
あれから35年。
ビートルジュースとの結婚を阻止することに成功し、あの家で幽霊となった家主と家族が仲睦まじく暮らす姿が描かれ幕を閉じた全作。
それから35年経ってどんな物語が生まれたのか。
何とリディアは「幽霊が見える」特性を生かして「ゴーストハウス」という心霊現象をナビゲートする番組の司会を務め、一躍お茶の間の人気者に。
しかしふと客席を見ると、なんとあいつが見えるではないか!!!
驚いたリディアは退出し、トイレで安定剤を飲むも、番組のプロデューサーでフィアンセのローリーに止められてしまう。
すると今度は継母で芸術家のデリアからメールをもらうことで、番組の収録を抜け出して彼女の元へ向かう。
すると彼女から父が亡くなったことを告げられる。
バードウォッチングへ向かうために島へ向かったモノの、飛行機が海へ墜落。
一時は助かったものの、サメに食われて死んでしまうという不運な事故に巻き込まれてしまったのだ。
哀しみに暮れるリディアとデリアは、リディアの一人娘であるアストリッドのいる学校へ迎えに行く。
彼女は母が有名な霊能力者であることをからかわれており、孤独なスクールライフを送っていたと同時に、自分よりも幽霊に向き合う母に対して苛立ちを募らせていたのだった。
さらには、南米で川に溺れて死んだアストリッドの父リチャードとのことも母娘で話したことがなく、余計に関係をこじらせていたのだった。
一方死後の世界。
未だにリディアへの思いを募らせているビートルジュースは、顔が小さく体のデカい幽霊「ボブ」らと共に霊界コールセンターを設立し、部下らをシャカリキに働かせていた。
死後の世界にやってきた若者の道案内をしていた用務員(ダニー・デヴィート!!)が倉庫の掃除をしていると、掃除機が突如漏電!
電流によって、棚にあった箱が落ちてしまったが、なんとそこからバラバラのまま眠っていたビートルジュースの元妻ドロレスが復活を遂げてしまう。
彼女は相手の魂を吸う能力を持っており、ビートルジュースを探すために次々と出会った者たちの魂を吸っていたのだった。
その事件を解決するため、幽霊探偵をしているというウルフから、事情を説明される。
かつては墓荒らしをして生計を立てていたビートルジュースは、彼女と出会い結婚をしたが、彼女はカルト教団の教祖で、毒を盛られたビートルジュースは一目散で彼女を斧で切り刻み殺したのだった。
蘇った彼女は真っ先に自分に復讐しに来るに違いない。
そう脅えながらも、実家に戻ってくるリディアの存在を知り、活路を見出していくのだった。
父の葬儀後、ローニーはリディアに求婚を迫るもリディアはすぐさま返事ができずにいた。
それを見たアストリッドは腹を立て自転車で街へと出かけてしまう。
道中道から転げ落ちたアストリッドは、青年ジェレミーと出会い仲を深めていくことに。
家に帰り屋根裏部屋へ行くと、そこには町の模型とパンフレットが置いてあり、興味津々となったアストリッドは母親に尋ねる。
無論それが何かを知っているリディアは「決して名前を3回読んではいけない」と詰め寄るが、ローリーがついそれを3回言ってしまったことで、リディアとローリーは模型の中に吸い込まれ、再びビートルジュースと対面することになってしまう。
ハロウィンの夜、アストリッドはジェレミーの家にいき口づけを交わすが、宙に浮いていることに気付く。
そう、彼は死んでいたのだった。
自分が生き返るためにアストリッドに手伝ってほしいと頼んだジェレミーは、一緒に霊界に来てほしいとお願いをする。
そうすれば死んだ父とも出会えると思ったアストリッドは、死んだ人のためのガイドブックに記載された呪文を読み上げ、二人で霊界へ向かうのだった。
一方リディアは不動産屋と何気ない会話をしていると、ジェレミーの家が「殺人ハウス」であることを聞く。
両親を殺し、自分もツリーハウスから落ちて即死したという物件がなかなか売れないと嘆く話を聞いたリディアは、アストリッドの身が危ないと急いで彼の家に向かう。
しかし時すでに遅く、二人は霊界に旅立ってしまった。
事を急ぐリディアは、急いで実家に戻りビートルジュースを召喚、自身との結婚を条件に、アストリッドを助けるべく裏ルートで霊界に侵入し、アストリッド救出を敢行する。
果たしてリディアは無事アストリッドを霊界から救出することができるのか、そしてビートルジュースは念願のリディアとの結婚を叶えることができるのか!
というのが、ざっくりしたあらすじです。
相変わらず独特な世界観。
原点回帰とも呼べるグロさとおもちゃ感あふれる小道具やミニチュアたち、そして愛らしさも垣間見えるキャラやサブキャラたちなど、どこを切ってもバートン印な映画でしたね。
お話に関して言えば、死者の世界を股にかけることで、死者に対する思いを汲みながら母娘仲良く生きていくという家族再生の物語として、前作以上にハートフルなドラマになっていったのは、バートンが人生の中で様々な経験をしてきたからこそ辿るいた答えなのかもしれません。
孤独を愛し、異形を愛してきた彼が、ビッグフィッシュを皮切りに挑んできた親子の物語は、初期の代表作の続編に挑む形で、彼の次のキャリアへと歩ませたような作品だったと思います。
という話の軸はさておき、やはり本作の見どころはその世界観でしょう。
35年経ってもマイケル・キートンのぶっ飛んだ芝居は衰えを知らず、バイオエクソシストとして、腹から腸を飛び出させたり自分の分身を産ませたりなどして、しっかりローリーを怖がらせたり、終盤で行われる結婚式のシーンでは、ギャラリーを自分おスマホに閉じ込め、主要キャストを操って躍らせたかと思えば、上から泥が溢れてくるウェディングケーキで祝福という何とも気味の悪い演出で、我々を楽しませてくれるではありませんか。
他にもデリアの旦那はサメに食われたせいで、上半身が真っ二つに割れた状態で窓口に並んでいたり、リディアの夫も死者の世界で体中にピラニアがくっついたままの状態で「ソウルトレイン」の窓口で仕事をしているなど、どれも凝った特殊メイクで我々を驚かせます。
あれなんですね、どんな形で死んでいようとも、再会した家族は決して嫌がることはしないんですね。
愛だな、愛。
そして今回初登場の幽霊探偵ウルフ!リーゼントでカッチカチに決めてるかと思いきや頭半分中身が見えてるようなキモさがある刑事みたいな風貌で、とにかく刑事モノをたくさんみてきたのか、かっこつけるかっこつけるw
タクシードライバーよろしくな決めポーズもあれば、部下に鼓舞する時はあらかじめカンペを用意させて読み上げるというお茶目な面もあって、なかなかいいキャラでした。
とはいえ、死者の世界に侵入したリディアとビートルジュースを追いかけたり、ドロレスを探したりと捜査めいたことはするものの、あいつ結局何も解決してねえからなw
他にも前作で登場した死者の世界の入り口や、サンドワームが生息する世界は前作同様再現性がしっかりされていて懐かしいと思う人もいるのではないでしょうか。
またサンドワームや回想シーンでのデリアの旦那の事故シーンはクレイアニメで表現されており、それもまた前作同様内容は直視できないモノの、可愛らしさが詰まった演出だったのではないでしょうか。
また「ソウルトレイン」なる列車が登場するのも今回新たな試み。
どうも「あの世行き」の列車だそうで、伝説の番組に倣って付けたネーミングってことで、死者たちが皆ソウルをダンサブルに踊りながら列車に乗っていくという楽しい演出。
これがもし本当ならあの世に行くのも悪くねえななんて思えるハッピーなシーンでしたね。
とはいえ乗る羽目になるのはアストリッドなんですけどw
キャラクターで言えば、前作でどこか冷たい態度だったリディアも母親になったことやビートルジュースの恐ろしさを知っていることで、感情の抑揚が激しいキャラクターとして変貌を遂げていましたね。
逆にデリアはちょっと狂った芸術家がさらにパワーアップした印象。
アストリッドが暮らす学校で叫んで呼んだり、葬儀の儀式で蛇を操って死者を葬るよくわからない儀式を始めるけど、結局発注した蛇が毒を持ってて死んでしまうという、なんとも残念な死に方w
アストリッドに関してはこれまで演じてきた作品のイメージを保ちながら、霊感を持つ母親にうんざりな態度と孤独を抱えた姿が、ミステリアスを助長させたような佇まいで、本作にピッタリな配役だったのではないでしょうか。
目の下のくまがこんなに似合う女優もそういないですよw
最後に
前作ってミニチュアになった状態や実家、死者の世界など行ったり来たりな中で、ものすごく細かい編集して映像を組み合わせる仕事っぷりが凄いなぁと思ったんですが、今回は割とそういう演出は控えめで、もっとオーソドックスにセットの中での画的な楽しさを全面的に押し出した作品だったように思えます。
というのも、もっとビートルジュースが暴れまわるかと思ったらそうでもなかったんですよね今回。
前作でもなかなか登場してこないじれったい始まりだったのに対し、今回は結構最初から出てきたにもかかわらず、あくまでメインはリディアとアストリッドの2人になっているので、個人的にはもっと暴れて掻き回してほしかったなぁという印象。
それでもあの世界観を今もういちど、しかも100分少々で楽しませる作り方は素晴らしいと思います。
またダニー・エルフマンが手掛ける音楽も、前作から使い回した者もあれば、終盤での協会とウルフの突撃のシーンとをしっかり音楽で使い分けてクライマックスを盛り上げる楽曲はさすがだなと感心しました。
オーケストラ調だけど、今のような一音で盛り上げるメロディラインではなく、どこかクラシカルな曲調の劇伴は、本作にピッタリだと言えるでしょう。
リディアが夢の中で再びビートルジュースと再会してしまうという怖いオチで幕を閉じますが、果たして再び悪夢は訪れるのでしょうか。
もしやるなら、もっと暴れてほしいな~ビートルジュースにw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10