ビッグ・シック/ぼくたちの大いなる目ざめ
年末映画好きがこぞって発表する年間ベスト。
日本国内で上映した作品が名を連ねる中、海外で鑑賞した作品も入れる人もいたりして。
羨ましいなぁと思う反面、日本で公開した作品だけにしろよ!とちょっぴりイラっとするのですが、それはもう日本で公開するのがただただ遅いのが理由であって、その人に文句言う自分が間違っているわけで。
で、昨年に海外で観賞された方のベストの中に、今回観賞する「ビッグ・シック」を入れてる方がたくさんいたんですね。
一応アンテナ張って海外の映画ニュースとかさらっと観てるんだけど、聞いたことない作品だなぁと。
そんな映画が案外早く日本で公開するということで、今回チェックしてみたわけであります。
そしたら、僕の大好きなゾーイ・カザンが出演してるではあ~りませんかっ!
あ~これ見なくては!
というわけで、いろんな問題を笑いに変えた異文化異人種ハートフルコメディということで早速観賞してまいりました!
作品情報
アメリカでたった5スクリーンから始まった公開数が、口コミで話題を呼び2600スクリーンまで拡大するほどの大ヒット!
その後の賞レースにも名前が挙がったり受賞したり、批評サイトロッテントマトでも98%を獲得するなど注目を浴び、ついには今年度アカデミー賞脚本賞にノミネートした作品がこの「ビッグ・シック」だ。
厳格な両親のせいで、彼女と破局を迎え、しかも彼女が原因不明の昏睡状態になってしまう、悲運続きのコメディアン志望の青年を中心に、異文化や異なる人種間でのいざこざを越え、彼女への愛を貫いた、実話という途方もない運命を描いたハートフルコメディです。
あらすじ
「1日5回だけ祈りを捧げる。そして親が見つけた相手と見合い結婚を──」
今日もシカゴのコメディクラブで、生まれ故郷のパキスタンネタで、笑いを取る駆け出しのコメディアンのクメイル(クメイル・ナンジアニ)。
両親からは弁護士になれと迫られているが、ウーバーの運転手もしながら何とか暮らしている。
ある夜、舞台に向けて歓声を上げた若い女性に、声をかけるクメイル。
彼女の名はエミリー(ゾーイ・カザン)、セラピストを目指して心理学を学んでいる大学院生だ。
ジョークの波長が合った二人はすぐに意気投合し、エミリーはクメイルのアパートを訪れる。
二人は会うたびに惹かれ合っていくが、クメイルにはエミリーには言えない“家族のオキテ”があった。
厳格なイスラム教徒の両親は、パキスタン人との見合い結婚しか認めない。クメイルが実家に帰ると、母がミエミエの偶然を装って、同郷の女性たちを招くのだ。
アメリカで育ったクメイルは、親が決める結婚に疑問を抱いていたが、白人と結婚して親戚中から縁を切られたいとこのようにはなりたくなかった。
ある日、エミリーから真剣な想いを告白されるクメイル。さらに、彼女の両親とのランチに誘われたクメイルは、とっさにジョークのはずの「連続2日以上女性と会ってはいけない」という“2日ルール”を持ち出して断ってしまう。
そんな中、別れは突然にやって来た。
エミリーがクメイルの部屋にある大量の“お見合い写真”を見てしまったのだ。
5カ月間も騙されていたと激怒するエミリーに、「私と一緒の未来を想像できる?」と聞かれたクメイルは、「分からない」と正直に答えてしまう。
数日後、エミリーの同級生から電話がかかって来る。
重病で入院したエミリーに、付き添ってくれと言うのだ。
家族の代わりにクメイルがサインをすると、エミリーは治療のための処置として昏睡状態にされる。
翌朝、エミリーの父親テリー(レイ・ロマノ)と母親のベス(ホリー・ハンター)が駆けつけるが、別れるまでの経緯をすべて娘から聞いていた両親は、クメイルに冷たく当たる。
そんな彼らをエミリーの部屋まで送り届けたクメイルは、気まずい空気に耐えかねて、「コメディ・フェスのオーディションがある」と嘘をついて帰ろうとするが、テリーから気分転換に観に行きたいと頼まれる。
仕方なくクメイルは、本当は飛び入りの出演を果たすが、観客から「ISISへ帰れ!」と野次られる。するとベスが立ち上がり、猛然と抗議するのだった。
ベスの勇敢な行動をきっかけに、心を開き始める3人。
やがて同じ人の無事を願う3人に、温かな絆が生まれていく。だが、エミリーの病状は日に日に悪化し、遂には命に危険が及ぶ。
未だ売れるチャンスは掴めないが、笑うことが大好きで、コメディアンとして成功する夢を応援してくれたエミリーのためにも、ステージに立ち続けるクメイル。
果たしてエミリーは目覚めることが出来るのか? もし、二人の関係が元に戻れたとしても、クメイルの両親を説得できるのか? トラブルの山はまだまだ続く──。(HPより抜粋)
製作総指揮
今作を製作総指揮したのはジャド・アパトー。
当ブログで製作総指揮をはじめて紹介するわけですが、正直誰だかよくわかっていませんw
どうやら現在のアメリカのコメディーシーンにおいて、第一線で活躍するヒットメーカーだそうです。
調べてみると、同期はベン・スティラー、アダム・サンドラー、ジム・キャリーと、一世を風靡したコメディ俳優がズラリ。
彼らにもネタを提供したほどの持ち主だそうです。
そんな彼は今や、次世代のコメディスターたちとタッグを組んで「アパトー・ギャング」なる名でアメリカのコメディ界を席巻しているそうです。
ちなみにこっちのメンツも名を挙げてみると、セス・ローゲン、ジョナ・ヒル、ポール・ラッド、ジェイソン・シーゲルと、昨今のコメディ映画で活躍するメンツばかり。
その後ろで彼があれこれプロデュースしてるってことなんですね。
今作も自分の作品に出演した男性と、案を練っている際にこの体験談を聞き、映画にしようぜ!で、主役お前なっ!で、彼女と脚本なっ!という具合で企画をスタートしたそうです。
彼はちゃんと映画監督もやっており、「俺たちニュースキャスター」を製作した際、彼の目に止まったスティーブ・カレルと共同で脚本を製作し、スティーブ主演で作った「40歳の童貞男」はなんと彼が監督なんですね~。
他にも、ダメ男が一夜を共にした女性の妊娠を機に、大人への自覚に芽生えていくまでを下ネタ満載で描いた「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」、過去作とは一線を画した雰囲気を持ち、余命わずかなコメディアンがこれまでの人生を見つめなおし、残りの人生を楽しもうと奮闘する「素敵な人生の終わり方」などを監督しています。
製作まで目を配ると昨今話題となった作品には必ず絡んでるラインナップです。
「スーパーバッド/童貞ウォーズ」、「俺たちステップ・ブラザーズ」、「スモーキング・ハイ」、「ブライズメイズ/史上最悪のウェディングプラン」、「俺たちニュースキャスター」と、「俺たちニュースキャスター史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」、そしてジョン・カーニー監督の「はじまりのうた」。
そして今回の作品ということで、今後日本で公開されるコメディ映画に彼の名前があるか気にしなくてはいけませんね!!
キャスト
主人公クメイルを演じるのは、クメイル・ナンジアニご本人。
パキスタン生まれのコメディアンだそうで、今回ジャド・アパトーに、自身の体験談を話した所、本人主演で映画化、しかも脚本まで任されてしまう大抜擢。
これまでも、数々の作品に出演し存在感を残しているそうで、最近では「セントラル・インテリジェンス」 や、「レゴニンジャゴー・ザ・ムービー」ではニンジャの声も担当していたそうです。
そしてとうとうMCUにも参戦。
2021年公開した「エターナルズ」に出演。
アンジェリーナ・ジョリーや、マ・ドンソクらとともに名を連ねています。
そしてクメイルの彼女、エミリーを演じるのはゾーイ・カザン。
ええ大好きです。
と言っても彼女の作品そんなに観てないんですけどw
彼女は「ルビー・スパークス」という作品で知り、なんて可愛いんだ!!と思ってたら、共演のポール・ダノと熱愛中だそう。
しかも日本の公式HPでも宣伝で使われてるくらいw
最近では、ワシントンで毎年行われる「ウイメンズマーチ」というデモ行進でトランプ批判をする彼女が報道されるなど、女優という知名度を使って発信している姿も見られています。
彼女に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
エミリーの父テリー役に、「アイス・エイジ」シリーズのマンモス、マニーの声の担当として知られているレイ・ロマノ。
エミリーの母ベス役に、「ピアノ・レッスン」、「サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと」のホリー・ハンター。
クメイルの父アズマ役に、「ベッカムに恋して」、「世界にひとつのプレイブック」に出演し、インドではもっとも著名な俳優の一人として知られるアヌパム・カーなどが出演します。
異文化の壁、彼女の難病、それらをビッグ・シック=大きな病気だと括り描かれる今作。どんな皮肉とハッピーを僕らに見せてくれるのでしょうか。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
異文化に悩む二人が、二つの大きな病気を克服していくラブコメディにして、ハートフルなヒューマンドラマでした!!
しかしモンキー的にはあまり楽しめなかった・・・。
以下、核心に触れずネタバレします。
クメイルの成長物語。
スタンダップ・コメディアンを夢要るパキスタン人青年と、セラピスト志望の大学院生。もう会わない方がいいと互いが誓うも、簡単にその約束が破れてしまうほど惹かれあっていた二人に大きな壁が立ちはだかる。
異なる人種、異なる文化、宗教問題、親子問題、しきたり、差別、テロ、そして彼女に降りかかる原因不明の病気。
あらゆるシリアスな問題を、軽妙かつ柔らかくユニークに会話に混ぜながら、純粋で献身的な愛をテーマとした作品でありました。
冒頭でパキスタンてどんな国?と漫談で語る主人公クメイル。
野球じゃなくてクリケットって競技が盛んで、1日5回お祈りするくらい。
後、結婚はお見合いでするんだ。
後は君たちが住む国と同じなんだ。
この冒頭の漫談が全てを物語っているように感じた。
国が違うのだから、それぞれの文化があり、それぞれの言葉があり、それぞれのしきたりや伝統、流行などなど違ってきて当然なんだけど、根本的には僕らはみんなと同じ「人間」なんだ。
その人間同士が未だに争い合っている。
文化の違いから宗教の解釈の違いから、そして肌の色から。
愛し合うことすらも許されない文化が普通に存在する。
こういう壁をこの物語では彼女の大病になぞらえて「大きな病気=ビックシック」であると描いているわけです。
劇中でクメイルに向かって「ISISに帰れ!」と野次る白人。
それに真っ向から立ち向かい歯向かうエミリーのお母さん。
もちろん野次った方が悪いが、それに歯向かって噛みつくのも実は良くない。
結果争いを生んでしまったわけですから。
エミリーのお父さんもクメイルに会うや否や、9.11をどう思う?なんて質問も先入観丸出しで失礼だ。
でもこれを冗談で返すクメイルがさすが。
僕の仲間が十何人もあれで死んだんですから悲劇ですよね・・・。
こんな時にそれ言うかww
このように問題を真っ直ぐにとらえながらも、決して難しく重々しく扱っていないのがこの映画の素晴らしいところ。
主人公が芸人ということもあり、全ての会話で彼は冗談を言いながら話題の核なる部分を避けるのではなく、笑いにしながら対象者の感情をうまく会話で表現しているのが印象的でありました。
そんなユーモアを振りまくクメイルには大きな悩みが存在する。
クメイルの家族は故郷からアメリカに移住し生活をしている。
両親にとっては、母国の文化やしきたりを重んじ、息子たちにもそう教育しているわけだが、クメイルは物心ついた時からアメリカで生活しているため、両親が押し付ける教えに対し、疑問を抱いたまま暮らしている。
髭を生やせと言われてもはやさずにいつもきれいに剃っていることや、母親が偶然を装って見合い相手を家に招きクメイルに紹介すること、お祈りをする時間も地下室にこもってしたふりをして動画を観たりして時間つぶしをするほど。
俺アメリカに住んでるのに、なんでここまでしなきゃなんねんだよ!という疑問を常に感じていたわけです。
ホントはお見合い結婚なんてしたくない。
髭を生やして歩きたくない。
信仰心なんてとうの昔からない。
でもこれが親にバレたら勘当されてしまう。
家族は大事だ。
自分の価値観で家族を失いたくない。
アメリカに住む二世特有の葛藤を抱きながら、彼は夢を追いかけていたという背景があります。
そんな時に出会ったエミリーに恋をし恋人になりますが、落とし穴はすぐそこまで来ていたわけで。
見合いなんてしたくないけど、写真まで捨てたら本当に親に反感を持っているだけになる、と考えていたのか、彼はこれまで見合いをした女性との写真を捨てずにとっておいたことがエミリーにバレてしまうんですね。
ちゃんと説明しようと努めるクメイルでしたが、彼女は気が動転してして話にならない。
そりゃそうだ、こんな大事なことなんでもっと早く言わないのか。
セラピスト志望なら落ち着いて物事を理解してよ、となだめてもこれは感情表現よ!と収まる気配がない。
僕の国では見合い結婚しなきゃいけないんだ。
それに対してエミリーは私たちの未来は見えてないの?と問いかける。
実際エミリーは一度結婚している。
隠してはいたが未練はないし引きずってもいない。
しかしクメイルのしていたことは見合いをした過去であり、それに対して罪悪感を感じ尾を引いていた。
今目の前にいる存在よりもそっちの方が大事なの?といっているのです。
クメイルにとっては非常にナーバスな問題であり、何も前に進んでいない問題ともいえます。
パキスタン文化という壁の前でモジモジしながら、その壁を乗り越える勇気もなければ、真剣に向き合おうとしていなかったわけです。
だがこの後エミリーは病気にかかってしまい昏睡状態に。
彼女が眠っている間毎日病院に通い、彼女への想いを募らせていきます。
そしてどうやって壁を越え、ビックシックを克服していくのか。
この続きは、ご自身で堪能していただければと思います。
他の登場人物が抱く愛
クメイルだけがビッグシックにかかっているわけではありません。
クメイルの親もまたビッグシックにかかっています。
パキスタン人であるものすべてが見合い結婚をし、イスラム教を信仰しなればいけないと考えている点です。
この壁が子であるクメイルの考えを受け入れられず、彼を苦悩させていた要因であります。
この辺りに関しては自分もクメイル同様、なんで親の言いなりにならなやきゃいけないんだ、なぜパキスタン人だからって親と同じことしなきゃならんのだ?と共感を持ちました。
残念ながらクメイルが本当のことを明かした途端、お母さんは完全に口を閉ざしクメイルを勘当してしまうんですね。
お父さんも怒り心頭です。
どちらかというと家族の主導権はお母さんにあるので、まだお父さんはやさしい方なんですが。
もしかしてお父さんもそんな葛藤を持っていた時期があったのか?
しかしながら、親は親でメンツを保たなきゃならない事情というものがあり、それを容認したら他のパキスタン人から総スカンを食らうこともあるわけで、仕方のない苦渋の決断だったのかもしれません。
だから最後まで和解には至らないんですが、それでも今まで手塩にかけて育てた子供です。
彼らなりに子供の身を案じ労う姿にはちょっとした感動がありました。
壁を超えるまでにはいきませんでしたが、親子の愛が描かれていたステキな場面でした。
もっとベタに感動を煽っても良かったんじゃないかとも感じましたが、この物語のテイスト上、あっさりなのが逆にいいのかもしれません、
逆にエミリーの両親には、そういう壁はありませんでした。
最初こそお母さんがクメイルを割けていましたが、パキスタン人だからってわけじゃないんですね。
全てエミリーから話を聞いていて、娘を泣かせたことに対して怒っていたわけで。
ですが、クメイルのライブで状況は一変します。
あれだけクメイルを避けていたのに、彼を野次る白人男性に対して怒鳴ります。
「何だお前、中東の人はみんなそう思ってるのか、じゃあお前何か、お前みたいに白人でアロハシャツ来てる奴はみんな短小チ〇ポなのか?あぁん?」
お母さん公衆の場でとんでもない発言wさすがです。
そう、お母さんは決して偏見など持っていない人だったんですね。
そこからクメイルと一気に距離を縮めていきます。
お父さんはどちらかというと、クメイル側の立ち位置。
こちらの家族もクメイル家同様、お母さんに主導権があるのか、後手に回る感じが見えます。
お父さんはかつて一夜の過ちを犯したことを娘の彼氏に明かします。
いやいやちょっと待ってお父さん。クメイルに何語ってんのさww
でもむちゃくちゃ説得力あること言うんですよね。
愛する人を本当に愛しているか確かめたかったら、浮気しろっていうんですよw
いや絶対ダメなんです。ダメ。ダメなんだけど理に適ってるとも思うんです。
お父さんは浮気後、とてつもない罪悪感に駆られ、本当の気持ちに気付いたとクメイルに話します。
娘を転院するかしないかで揉め衝突するシーンがあるんですが、その話を切り出され何も言えなくなるという、家族間の主従関係がわかる場面が描かれていて、後にこのクメイルに語るシーンが描かれているので、なるほど、このことをあそこでお母さんは切り出そうとしていたのかと。
で、エミリーにもっといい病院で診てもらおうとするお母さんと、ちょっと待ってとなだめるお父さんの間にちょっとした亀裂が生じるんですが、彼らが強い絆で結ばれているという場面がちゃんと用意されていて、夫婦の「愛」をちゃんと描いているところがステキでした。
印象に残った笑える場面。
このように、文化の壁や様々な愛が描かれていた中に、ユーモアな掛け合いもたくさんあったのも見逃してはいけない部分。
夜中に起き出してコーヒーを買いに行くエミリー。
僕もついていくよ?とここ治安悪いしと優しい一面を見せるも、大丈夫、一人で行けるからとやんわり断るエミリー。
何言ってるんだよ危ないよ!
僕がコーヒー煎れるよ!
大丈夫女の子って夜中にコーヒー買いに行きたくなるの!
なんか隠してるんじゃないの?
いってごらんよ?
大丈夫だからほっといて!
何なんだよ!
次第にエスカレートした結果、エミリーはついに白状。
お願い、お腹痛いのトイレにいかせて~~~!!
・・・まぁしょうがないっすw男はこういうの鈍感なんですよねw
僕からも謝りますw
他にも、親に正直な気持ちを打ち明けたことで勘当されてしまうことで、苛立ちを隠せないでいたクメイル。
ドライブスルーでハンバーガーを購入しようと、「ハンバーガー1つにチーズ4枚のせて」と頼むと、「ハンバーガー4つにチーズトッピングですね?」と間違った注文を繰り返されるクメイル。
「違う違う、ハンバーガー1つでその上にチーズ4枚乗っけて!」
「できません」
「なんでだよ、簡単だろ?ハンバーガーの上にチーズを4枚乗っければいいんだよ」
「できません」
「どうしてできないんだよ!」
「ルールなんで」
「なんでもかんでもルールだからできないって何なんだよっ!!!」
と、車から降りて店員の前で怒りをぶちまけるクメイル。
ゴミ箱をひっくり返して声を荒げます。
ここは劇中でいちばんクメイルがブチ切れるシーンで、その起こった様が非常に笑えます。
すると彼は新人だったので、そういうことができなかったんですね。
それを知ったクメイルはゴミ箱を片づけ「ごめん」と一言。
この「ごめん」は、お見合い相手に見合いを断るときにひたすら謝ることに、相手が苛立ってしまい「なんでも謝るのやめてくれる?」と言われる場面があるんですが、そこにもかけた描写だったんですね。
同時にクメイルは優しい心の持ち主だってこともわかる場面でもありました。
他にもクスッと笑える描写が多々散りばめられており、楽しい部分もありながら、シリアスな問題を丁寧に盛り込んだ内容の作品でありました。
最後に
ここまで書いといてなんですが。
クメイルの漫談や冗談が僕としては全然ハマらなかった・・・。
そこよりも別の部分の方が笑えた割合が大きく、すごく感動できるシーンもどこか中途半端に見えてしまって・・・。
特にエミリーが病気になって、もうちょっと死んでしまうかもしれないというところまで来るんですが、そこでグッと来なかったんですよね・・・。
あそこはもっとクメイルが漫談で思いっきり笑わせるの無視して彼女への想いを語ってくれたらよかったのになぁと。
後は終わり方です。
この話は実話でクメイルが本人役で出演してるんですが、エンドロールで結婚した写真を写して、この後二人がどうなったかを伝えるようになってるんですが、そこも劇中で描いてほしかったんですよね。
あれだけ頑固なクメイル家の人間をどう説得して結婚までこぎつけたのかめっちゃ気になるんですよ。
なんか悔しいんですよね。そこまで描いてくれないのが。
そこが実は一番のビッグシックなんじゃねえのって。
もしそこをクリアしたことが容易だったのなら、なぜ息子を勘当させたんだよってことになるので、もう一つ山場を描いてほしかったなと。
非常によくできた作品ではあるんですが、正直申し上げますと手放しでよかったとは感じられなかったのが僕の不満な点です。
クメイルもっと笑わせてくれるかと思ったらそうでもなかったのがなぁ。
これも文化の違いによるものなのか・・・。
逆に面白くねえからクメイルは売れてないってことなのか?
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10