モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「BLUE GIANT/ブルージャイアント」感想ネタバレあり解説 熱くて激しいジャズを劇場で聴いてくれ!

BLUE GIANT

普段アニメーション映画は流行りものしか見ませんが、こと「音楽」がテーマの映画なら話は別。

かつてバンドで飯を食うことを夢見た僕が、この「ブルージャイアント」を見逃すわけにはいかないのであります。

 

かといって僕がやってたのはJ-POPであり、いわゆる普通のロック。

ジャズなんて微塵もわかりません。

 

しかしジャズを耳にするたびに心の奥底から湧き上がる感動は同じ。

音に身をゆだね、指でリズムをとり、時に熱く時にスムースな演奏に酔いしれていくのです。

 

そこに本作は、夢をつかむためにバンドメンバーたちがもがき足掻くという、熱い青春要素を盛り込んだお話。

ジャンルは違えど、まさに過去の俺!となったのであります。

 

果たしてかつての俺を呼び起こすような音楽映画となっているのでしょうか!

すっげえ楽しみなんで、早速観賞してまいりました!!

 

 

作品情報

「ビックコミック」で連載されるや否や「音が聞こえてくる漫画」と話題を呼び、単行本の累計発行部数は920万部を超えるベストセラーとなった石塚真一原作の同名コミックを、様々な選択肢がある中「劇場の最大の音量、最高の温室でジャズを届けたい」という思いから劇場映画として製作。

 

世界一のジャズプレイヤーを目指す青年、凄腕ピアニスト、彼らに刺激を受け音楽を志す青年の3人がジャズバンドを結成し、様々な苦悩や葛藤を強いられながらもジャズに情熱を注ぐ青春音楽映画。

 

モブサイコ100」や「名探偵コナン ゼロの執行人」などで注目を集める立川譲が監督を務め、担当声優には山田裕貴間宮祥太朗岡山天音など、近年目覚ましい活躍を見せる若手俳優らが、夢を追うキャラクターに命を吹き込む。

 

また本作に欠かせない音楽を担当するのは、日本ジャズシーンのトップランナーであり、東京オリンピックの開会式でも演奏を披露したのが記憶に新しい上原ひろみ

オリジナル楽曲の書下ろしから作品全体の音楽に至るまで製作し、ユニバーサルミュージックの協力のもとオーディションを行い、主人公たちのバンド・JASSのメンバーを選出した。

 

青年たちの熱く激しい演奏と青春の日々を、最高の環境で体験してほしい1作。

エキサイティングな感動ストーリーをあなたに。

 

 

 

 

あらすじ

 

「オレは世界一のジャズプレーヤーになる。」
 
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大(ミヤモトダイ)。
雨の日も風の日も、毎日たったひとりで何年も、河原でテナーサックスを吹き続けてきた。

卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二(タマダシュンジ)のアパートに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈(サワベユキノリ)と出会う。
 
「組もう」
 
大は雪祈をバンドに誘う。
はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組むことに。
そこへ大の熱さに感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。

楽譜も読めず、ジャズの知識もなかったが、ひたすらに、全力で吹いてきた大。
幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈。
初心者の玉田。
 

トリオの目標は、日本最高のジャズクラブ「So Blue」に出演し、日本のジャズシーンを変えること。
無謀と思われる目標に、必死に挑みながら成長していく “JASS”は、次第に注目を集めるようになる。
 
「So Blue」でのライブ出演にも可能性が見え始め、目まぐるしい躍進がこのまま続いていくかに思えたが、ある思いもよらない出来事が起こり……
 
 
情熱の限りを音楽に注いだ青春。
その果てに見える景色とは—(HPより抜粋)

youtu.be

 

監督

本作を手掛けるのは、立川譲。

 

アニメ制作会社「マッドハウス」に入社後、数多くのアニメーション作品を制作。

死者の魂が客として訪れ、その後を行き先をゲームで決めるというBARを舞台に、人間の生きざまを描いた「デス・パレード」、霊能力を持つ中学生の青春の日々を描いた「モブサイコ100」シリーズ、そして「劇場版名探偵コナン ゼロの執行人」などの監督を務めています。

また今年は「名探偵コナン 黒鉄の魚影」の監督を務めるなど、忙しい日々を送ってるようです。

 

本作に関して、ジャズを全くわからない人でも楽しめる作品にしたい思いを念頭に製作を心掛けたそうで、3人のキャラの泥臭く汗臭い人間模様と、そんな彼らが情熱を注ぐ音を体で感じてほしいとのこと。

そして「何かしたいけど、何をしたいのかわからない」という問いに答えを出せる作品にを目指したとのことです。

 

また脚本には、原作の連載当時からの担当編集者であり、ストーリーディレクターとして原作者の石塚真一と二人三脚で作品を世に送り出したNUMBER8が担当。

原作を超える映画作りを目指したそうで、監督の思いを汲んだ物語になっていることでしょう。

 

 

 

 

キャラクター紹介

  • 宮本大(サックス)(CV:山田裕貴/演奏・馬場智章)…仙台出身。中3で出会ったジャズに心を打たれ、世界一のジャズプレーヤーになることを決意。高校卒業と同時に上京し、仲間を得て—

 

  • 沢辺雪折(ピアノ)(CV:間宮祥太朗/演奏・上原ひろみ)…大が東京で出会った同い年の凄腕ピアニスト。さらなる高みを目指すが故に思い悩んでいる。大の音に惚れ、トリオを組む。

 

  • 玉田俊二(ドラム)(CV:岡山天音/演奏・石若駿)…大の高校の同級生。東京の大学に進んだが大がジャズに打ち込む姿に刺激を受けて、経験ゼロながらドラムで大と雪祈を追う。

(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が音楽に没頭していた日々を重ねながら見ることになりそうです。

たぶん泣くわ…w

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

かつて音楽を志した身としては、あまりにも出来過ぎな物語。

だけど、あの魂と本気のぶつかりだったから、成し遂げられたんだよ。

過去の俺に、今の俺に足りない部分があり過ぎて、悔しくて羨ましくて、熱くて激しくて、泣いた。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

熱くて激しい感情の音

仙台から上京したサックスプレーヤー、彼に触発されてドラムを始めた同級生、そして4歳からの英才教育により若くして超絶テクを持つピアノマンの3人が、ジャズ界の東京ドームと言われる場所での演奏を目指して奮闘するする姿を、一流ミュージシャンの演奏や俳優陣の声による芝居、そして3DCGも織り交ぜたアニメーションによって、観る者の魂を熱く揺さぶる青春サクセスストーリーでございました。

 

このブログでは元ミュージシャンであるが故に、どうしても音楽がテーマの作品は厳しさと贔屓目な部分が強く出るジャンルなんですが、本作ははっきり言って本物でした。

 

正直ジャズに関しては全く持って知識がないので、どれだけ凄いテクニックだとか演奏だとかさっぱりわかりません。

ですが、本作はそんなジャズが分からない人にもしっかり届く「魂の音」を映像と共に見事に表現されており、誰もが感動できる作品となっていたのです。

 

確かに涙を誘うようなキャラの表情が物語が進むと共に増えており、つられてこっちも・・・みたいなことがもしかしたらあるかもしれません。

ですが、3人がどれだけ「SoBlue」という目標地点を目指してきたのか、どれだけ努力をしてきたのかを見せることで、キャラへの感情移入がしやすい仕組みになってたんですよね。

 

それ以上に、大を始め3人のプレーヤーが誠心誠意魂を込め、体を目いっぱい使って奏でるシーンを、まるで揺らめく炎のような煌きとまどろみで演出することで、カオスのような映像表現を施しており、ソロになった途端も各プレーヤーがゾーンに入ったような映像にもなっていてることで、まるで実際にライブハウスで聞いてるかのような錯覚に陥るんですよね。

 

あの~狭いハコとかでライブを見てると、音が回り出すんですよね。

その中にいるような感覚といったら適切でしょうか。

とにかく劇場内で流れてる映像なのに、場内が何かで蠢くような熱気を感じたというか、正直見終わった後軽く目が回りましたw

 

きっと心拍数が上がってたんでしょう、あまりの熱狂的演奏に涙が止まらなく、心と頭がかき乱されていたんでしょう。

映画を見終えてこんな感覚になったのは、いつ以来でしょうか。

それくらい最高の作品でした。

 

若さってやっぱすげえな

物語は、大を中心にした3人がJASSというジャズバンドを結成、世界一のプレーヤーになることを掲げる大、音楽で勝つことにこだわる雪折、大の演奏に感化されドラマーとなる玉田が、それぞれの壁にぶつかりながらも、努力とチャンスを逃さず前に突き進むというもの。

 

たった1年半で日本の頂点と言われる場所で演奏するなんて、はっきり言って非現実的です。

そこにリアリティはありません。

 

しかし、誰も成し遂げたことのないサクセスストーリーだからこそ夢がある。

僕はそこに胸を撃たれたのであります。

 

もちろんそれだけじゃない。

実際僕自身、どこか過信していたこともあって、やらなきゃいけないことをサボったり、俺はこうでありたいというちっぽけなプライドから可能性を狭めたりしながら、自分で目指した道をいくつもつぶしてきたわけで。

 

だから大が地方出身とぶれない性格ゆえに、恥ずかしげもなく新橋のSL広場でビラ配りする姿とか、次のステップを目指すために必要なことを全力でやる、それこそ個人練習も全体練習も常に全力でやることだったり、飛び込みで営業できちゃうポジティブな姿勢などなど、自分が真っ先にやってこなかったことをああして見せられると、色々後悔の波が押し寄せて感情がぐらぐらしちゃってw

 

それを経験値と実力の差ゆえに冷めた目で見る雪折は、どこか自分と重なってて。

だからSoBlueのオーナーにボロクソ言われた彼の姿は、別に雪折ほどの実力なんて俺にはないけど、どこか自分に言われてる気がして。

プレイが縮こまってるだとか、礼節を重んじてないとか、カッコつけてんじゃねえとか、もっと内面からぶっ壊さないと二人に置いていかれるとか、要はてめぇ枠に収まってねえで、若いんだからもっとがむしゃらにいけよと。

 

確かに自分も最初の頃は何もわからないながらに全力でやってた時期はあって、でもドンドンライブを重ねていくことで御座なりになってたり、力抜いて歌ってたりしてたと思うんですよ。

がむしゃらにやるってホント疲れるんですよ、だから年齢を重ねると全て置きに行くようなことを自然としてしまう。

だから雪折がああやって二人に謝ったりする姿も含めて、何でも全力で本気でやり続ける3人の姿にはやられっぱなしでした。

 

さらに言えば、少しずつファンを増やし、少ないライブの回数で頂点までたどり着いてしまう階段の登り方に関しては、もちろん才能や努力ってのもあるんdな朗けど、もうなんでもかんでも全力でやってきたから、その行動や態度、演奏が聴く人すべてに伝わった結果なんですよね。

 

 

特に僕の心を揺さぶったのは玉田。

3年間必死で練習してきた大や、4歳からピアノを習ってジャズ界全体を変えようと掲げる雪折とは違い、この2人と一緒に演奏したいという理由で始めたドラム。

 

初ライブはリズムを作る土台でなくてはならない立場にも拘らず、二人非ついていくのに必死過ぎてリズムがも経ったり走ったりの連続。

しかも途中で叩くことをやめてしまうという酷さ。

全然お客さんのいない中、恥をかきまくった初ライブは、大や雪折にとってはこんなもんかだったかもしれないけど、玉田にとってはもうドラムをたたきたくないほどの屈辱だったに違いありません。

 

しかし彼の中で何かが変わったんですよね。

このままでは2人と音楽を続けられない、だから彼ら以上に練習しなくてはバンドは成立しないと。

彼、途中で大学を留年してるんですよね。

きっと授業にも出ずず~~っとドラムの練習をしてたと思うんです。

1日12時間とかやってるんじゃないですかね。

 

楽器って練習の質にもよりますけど、やればやるほど上達するんですよね。

特にドラムなんてただ叩けばいいもんじゃない、リズムを取らなくちゃいけないからそこの練習も必要。

なんて言うか体に沁み込ませるというか。

しかも楽器を部屋に置くスペースもないわけで、ひたすら音を吸収するような何かを叩きまくって練習する姿をよく見かけます。

僕もドラマーじゃないけど、電車で座りながら膝叩いてましたしw

 

その努力が実を結んで、JASSの正式メンバーになり、気が付けばフィルまでできるほど上達。

大や雪折にサインを求めるファンが群がる中、とある老人が「初ライブから上達したね、僕は君のファンなんだ」ってシーンは、玉田以上に号泣しましたよ・・・ちゃんと見てくれる人がいるんだっていう喜びで。

 

とにかく玉田という男にドラマがあって、雪折が壁にぶつかった時も「なんで俺には厳しく言わねえんだ!雪折は仲間だから俺たちで助ければいいじゃねえか!」と人一倍仲間想いでありながら一番実力不足だと自認している負い目を持つ玉田に感情移入してばかり。

 

そんな玉田がたった1年半でSoBlueでライブできるって、大や雪折よりもサクセスストーリーなんじゃないかって。

この1年半に人生全部かけたんですよね。

しかもこれがJASSのラストライブっていうのを、アンコール直前で聞かされるっていう・・・。

あれも涙ですよ・・・

 

でもってあのドラムソロですよ!

お客さんみな感動して泣いてましたけど、中で老人の涙はもうたまりません。

(玉田ファンの老人と豆腐屋の親父が同一人物だと思ってましたが、どうやら別人とご指摘いただきました。修正してお詫び申し上げます。)

 

 

最後に

大のぶれない精神性と自分に一番厳しいからこそ叱咤できるキャラクター性、抜群のピアノセンスと作曲能力、ありとあらゆるコネクションを使ってバンドをどんどん次のステージへ引っ張っていく雪折の存在、そしてそんな2人に負い目を感じながらも、二人以上に負けない努力でつかみ取ったドラマー玉田。

 

多分原作を読めば映画で補完できなかったであろう3人の距離感や様々なエピソードを知ることでしょう。

実際残り4ヶ月でSoBlueでのライブってのに、一気に飛んでしまうわけですから。

きっとその4ヶ月の間にもっと彼らは巧くなっていたんでしょうし、喧嘩もしたことでしょう。

本来ならそこはダイジェストでもいいから見せてほしかったわけですが。

 

ただもうラストのライブシーンで全部そういう映画に対する不満や雑念が吹っ飛ぶくらい感動モノだったんですよ。

 

このご時世努力と化根性論ですべて片付くほど人間我慢強くありません、メンタルやられちゃうことだって多いです。

でもこういう芸事の世界で一番を目指すってことは、そういうことなんですよ。

年齢が若いうちにできることすべてやる、それで挫けても次に切り替えてネクストステージに備える。

そうすれば誰かがきっと見てくれて、チャンスは向こうからやってくる。

必ずじゃないけど、そう信じて、まずは目の前のことを全力でやろうよって話ですよ、おい聞いてるか!20年前の俺!!お前に言ってんだ!!!

 

製作サイドも言ってましたが、映画館案件です。

この魂のこもった演奏と音質は自宅では味わえません。

是非劇場で味わってほしいです、魂のジャズとやらを。

 

そして、早く続編が見たい!!

大器を持つ大が、海外でどんな逆境にもまれ、それを跳ね除けていくのか。

レベルアップした大の姿を劇場で拝みたいです。

さすがに原作読もうかな…。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10