ブゴニア

最近俺が得意でない監督、それはアリ・アスターとヨルゴス・ランティモスです。
アリ・アスターは「ミッドサマー」こそ楽しめたものの、それ以降の作品は完全にノットフォーミー。
この尺でこの内容かよ…てのが一番大きいですかね。
そしてランティモス。
「ロブスター」で気に入り、「聖なる鹿殺し」で路頭に迷い、「女王陛下のお気に入り」で歓喜したんだけど、「哀れなるものたち」と「憐みの3章」はついていけず。
特に「哀れ~」はそこまでして性描写を露わにしなくてもいいだろと不快な気持ちになったし、それが憐みの3章でも改善どころかエスカレートしてる印象をもったんですよ。
エマ・ストーンは彼の作品ですべてヌードを披露してるので、恐らく今回鑑賞する「ブゴニア」もあるんだろうな…別に脱ぐのは良いけど、見せ方なんだよな…と今から重い気持ちです。
そんな俺の不得意な監督であるアリ・アスターが製作、ヨルゴス・ランティモス監督が初めて手掛ける「リメイク」映画。
第98回アカデミー賞にもしっかりノミネートしてるので観ないわけにはいきません。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
韓国のカルト的映画「地球を守れ!」を、「ミッドサマー」「エディントンへようこそ」のアリ・アスターが製作、「哀れなるものたち」のヨルゴス・ランティモス監督がタッグを組んでリメイクした映画。
本作は第98回アカデミー賞において、作品賞、主演女優賞他4部門にノミネートされた。
カリスマ女性CEOが陰謀論に心酔する二人の男性によって誘拐、支離滅裂な要求からどう切り抜けるかを、ランティモスならではの毒気の強いジョークやユーモアを交えつつ、二転三転する展開を経て痛快すぎるラストへと向かっていく前代未聞の誘拐サスペンス。
素直に笑っていいのか迷うほどモラルの境界線を越えたユーモアを突き付けるヨルゴス・ランティモス監督。
今回も社長を誘拐するだけの話に留まらず、陰謀論から地球温暖化へと発展していく社会風刺が盛りだくさんの内容となっている。
オリジナルの作品を見ていなかった監督は、脚本を読むや否や一気にインスピレーションが湧き、製作に着手。
既に名コンビでもあるエマ・ストーンに声をかけ、ランティモススタイルに調節していった。
また、常に社会のあり方について示唆したテーマ性を作品に込めている監督は、本作は今までよりも明確な問いを投げていると語る。
それは製作時から身近な問題となっていて、現在ではもっと映画と強いかかわりがあるのではないかと語っています。
監禁や洗脳、支配と被支配、そしていけにえ。
過去作から共通するこれらのものが、本作でどう活かされるかにも注目だ。
そんな本作で、誘拐されるCEOミシェル役を、「女王陛下のお気に入り」以降、立て続けに監督作に出演及びプロデューサーとしても務めるエマ・ストーン。
監督作では惜しげもなくヌードを披露するほど体を張った演技が印象的だが、今回は劇中で「母星とコンタクトさせないため」との理由で丸坊主にされてしまう、ワンランク上の体を張った演技を披露する。
それもこれも監督とのリレーションシップが深いからこそできる芸当。
本作でもどんな立ち回りと芝居で楽しませてくれるか期待したい。
そして彼女を誘拐する養蜂家テディ役を、「憐みの3章」に続く出演、そして「シビル・ウォー~アメリカ最後の日~」での名台詞でおなじみジェシー・プレモンス。
他にも、テディの相棒役を、舞台や芸術プログラムに参加しているエイダン・デルビス、サンディ役を「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のアリシア・シルヴァーストーン、警官ケイシ―役を、スタヴロス・ハルキアスが演じる。
ブゴニアとは、牛の屍から発生した蜂が世界を再生するというような意味のギリシャ、ローマの言い伝え。
養蜂家であるテディがなぜ社長をエイリアンだと思い込んで誘拐するのか、タイトルの意味から本作の意図が考察できるかもしれない。
あらすじ
人気絶頂のカリスマ経営者として脚光を浴びるミシェル(エマ・ストーン)が、何者かによって誘拐された。
犯人は、ミシェルがCEOを務める会社の末端社員のテディ(ジェシー・プレモンス)と、彼の従弟のドン(エイダン・デルビス)の2人組。
陰謀論に心酔する2人は、ミシェルが地球を侵略しにきた宇宙人だと信じ込み、彼女に今すぐ地球から手を引くよう要求してくる。
彼らの馬鹿げた要望を一蹴するミシェルだが、状況は思わぬ方向へと加速していき、荒唐無稽かに思えた誘拐劇は誰も予想しえなかった衝撃の終末へと突き進んでいく——。(GQより抜粋)
感想
#ブゴニア 鑑賞。普通に退屈。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) February 13, 2026
陰謀論者vs👩🏻CEO。… pic.twitter.com/F0DdZTGwpF
下から舐めて接写するショットばかりが切り返されてばかりな上に、会話が物凄く退屈。
エマストーンが主導権を握ってくる辺りから面白くなっていくが、結局グロ描写という刺激物と意外な結末でスカッとさせるだけ。
この手の話ならウルトラセブンを見たらいいと思う。
以下、ネタバレします。
陰謀サスペンスから宇宙的寓話へ
今回オリジナル映画である「地球を守れ!」がどんな映画だったか未鑑賞のため、本作との比較ができないが、これまでのランティモス作品の中で割とブラックな要素が表立った作品だったと思う。
作品情報でも書いたように、ブゴニアとはギリシャ神話で、牛の屍から発生した蜂(実はハエ説も)が、世界を再生するという意味合いの言葉だそう。
いきなり核心に触れるが、陰謀論を信じる従兄弟たちの一方的な思い込みだとばかり思っていたら、彼らの信じていたことが本当で、しかも俺たちはアンドロメダ星人によって作られたものの、あまりの愚行の連続のせいで新人類を作ってる最中でした、でもごめんなさい、やっぱり失敗だったみたい、てなわけで月食が来ましたよさようならという・・・。
そう、蜂(人間)だと思っていたハエ(エイリアン)が、世界を再生するという話だったわけですよ。
ラストショットに映るミツバチは、花に蜜を運ぶ役割をもつ重要な存在。
人間も本来そういう役割をもっていて、女王蜂の下で働くのが一般的なのにもかかわらず、なぜか争いを繰り返す愚かな存在となっていった。
ならばいっそのこと、救うことなどせず見放すのが一番かもしれない。
ずっと影で見続けてきたアンドロメダ星人だからこそ思い、決断した内容だったのでは。
「花はどこへ行った」の歌が流れるシーンでは、エマ演じるミラーの一撃により、皆死んでしまってる姿が淡々と映る。
これはかなり野心的で悪趣味全開。
2人のタッグだからこそ生み出せた、ふざけていながら真面目に人間の愚かさを映した映画だったのではないでしょうか。
恐らく観客の大半は、二人が支配や被支配、資本主義を匂わせるかのようなミツバチ減少問題の話し合いに興味など持たず、あくまで「そんなわけないだろと思っていたことが実は本当だった」という反転的展開にゾクゾクするんじゃないかと思う。
そういった意味で評価が高いのであれば、エンタメ性を意識した本作は成功なんだと思う。
しかし、俺としては本当に序盤から中盤の会話が退屈で苦痛で、頼む!画を!画を動かしてくれ!!!と何度も願ったんです。
陰謀論者のテディと、彼しか頼れる人間のいないドンの従兄弟2人の話に、全く面白いと思える部分が見当たらなくてマジで退屈だったんですよ。
普通ね、陰謀を信じて詰め寄る側とあなたの間違いなのって否定する問答って、段階的に面白くなっていくことができるはずなんですよ。
極論から言うと、陰謀論者=バカでCEO=賢いって構図になるはずなんです。
だから、バカがどんなに喚いてもかしこさんはそれを巧くかわして手なずけないといけない。
ここまで持っていくのが長すぎるんですよ。
何というか論破するのに時間がかかり過ぎというか。
で、バカは言い返せなくなると実力行使にでるんです。
もちろんテディは何度もそれをやるんですけど、かしこさん側のミラーがそこまで詰めてない時点で手を出しちゃうんですよね~。
だから、同じことを2度やらないといけないからクドイんです。
だったら最初のうちに、ミラーが目が覚めたとき電気ショックを浴びせる状態にしておいて、ここで尺を使って遊べばいいのにって思うんですよね。
段階を1つ減らせるでしょう。
電気ショック⇒食事での話し合い、この二つでミラーもやんわり否定しながら状況を見てこいつらのしょうもない話に付きあいながら掌握してく術を見つけていけると思うんですよ。
心理学を学んでたんだから、というか、結末から逆説的に考えても、もっとうまくこいつらを転がせる賢さがあるはず。
そうよ、監督もアリアスターも逆から脚本を追ってないなこれ。
とはいえテディ側の背景も辛く、母親自体が陰謀論者でさらにミラーの会社の薬を飲んだことでずっと昏睡状態にあることから、誰かのせいにしたくなる=陰謀に没頭してしまうってのはわかる。
コロナんときなんか「ただの風邪」と息巻いて選挙に臨んだ人がいるくらい、いま世界は色々とおかしい。
これだけ不景気でこれだけ未来が不安てなると、何かを信じないと生きていけない人、多いと思う。
きっと心が貧しくなってる上に思考も機能しなくなってきて、目の前でウジャウジャオヨでいるネットの情報に引っかからないと泳げない魚になってるんだと思う。
そうした人が全く根拠のない陰謀を鵜呑みにして動いてる人が多いのが現代なんだよなと思ってる俺も、ある種陰謀を鵜呑みにしてるかもしれないっていう。
きっとこれからますます増えて来ると思うし、そうした情報がもっと飛び交うだろうし、何も信じられなくなった人とデマを信じすぎる人、みたいに人類は2分していくんだろう。
それを見事に皮肉ったのが本作ってことだと思うんですよね。
実際信じた結果、テディもダンも死んでしまうわけで、彼らは結局どうしたかったんだろうって思っちゃうのも本作の巧さだったのかな。
ま、陰謀論者にならないように色々物事を見極める力を身に付けないと。
お芝居の話をすると、いつものエマストーンとジェシープレモンスって感じでしたね。
元々チワワみてえな顔のエマを坊主にするとどうなるのか、正直気になってました。
実験の結果が本作になるわけですが、元々顔が小さくて目が大きいから似合うっちゃ似合うんです。
でも、ヒスタミン剤を塗りたくられるとあら不思議、もろにエイリアンじゃないですか!!
最近のエマ、他の写真を見ても、お顔をいじられたように見えるの、俺だけでしょうか。特にお口当たりがプクッとしてるような…
まぁ女優さんですからそれはいいとして、とにかくこのエイリアンじみた姿で、時にえげつない拷問を喰らって口から血が出るほどつらい表情をしたかと思ったら、今度は話し合いで冷静に詰めてって最後は取っ組み合い!
再び監禁されダンを説得できたかと思ったら、思いっきり返り血を浴びてしまう予想だにしない展開。
それでも状況を見極めて対処するクレバーさを、バリエーション豊かな表情を使い分けて演じていくエマ。
一方ジェシーはというと、彼の場合元々喜怒哀楽の激しい演者ではなく、様々なシチュエーションに応じて、ぼそぼそ喋りが活きていくのが特徴だと思っていました。
ですが本作では、その低いトーンの声が時にか細く時に激しく発せられることで、場面が変わっていくから素晴らしい。
この人ね、あんまり激しい動きとかしないイメージで、悪く言うとひとつひとつの動きもトロいイメージなんですよw
だから彼が思いっきりチャリンコ漕いでるときとか、必死で逃げてるときや慌ててる時が新鮮に映るんですよね、俺の場合。
だから話が劇的に動く後半は、エマの臨機応変な対応も面白いんだけど、ジェシーの慌てっぷりの方が笑えたかなw
最後に
あいかわらずカメラワークはドリーショットか下から撮影するパターンしかなくて面白みのない映り。
これに加えて会話がつまらないから、前半はホントに退屈でした。
激しく奏でるクラシック音楽が、サスペンス風味がありながらもどこかSFを連想させるので、音楽ありきな箇所も多かったように思えます。
聖なる鹿殺しのような投げっぱなし系の話だったら嫌だなぁ~と思ってたけど、割りと語ってることはストレート。
だからこそ物足りなさの残る映画でもあったかな。
あんまし長くなかったのが救い。
地球の秩序を保たせるためには、人間はいなくなった方がいい。
そんなエイリアンの考えにならないための策を、最悪の状態になる前に人類は答えを出さないといけませんね。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10
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