バンブルビー
映画「トランスフォーマー」、見たことあります?車とかが急にロボット生命体に変形しちゃうやつ。
この映画、なんと5作も製作されたんですよ。
トランフォーマー。トランスフォーマー/リベンジ。トランスフォーマー/ダークサイドムーン。トランスフォーマー/ロストエイジ。そしてトランスフォーマー/最後の騎士王。
この映画をですね、マイケル・ベイという男が全て手がけたんですけど、まぁ~どれも前半20分過ぎた辺りから満腹になってしまうほどてんこ盛りの映像に、めちゃくちゃな話、監督好みのヒロイン、そして爆破してナンボ。
これが大体1本2時間30分くらいあるんですね。
まぁ~ここまで言えば判ると思いますが、1作見ればもう十分、1回見ればもう十分、いや前半見ただけでもう十分、オプティマスプライムもう十分。
という気分になるほど面白いと思えない映画なんですね。
めっちゃ主観でモノ言ってますけど、きっと多くの方々がそんな風に思ってるんではないかと。
でもですよ、今度こそは!と思って新作観にいっちゃうんですよね。
そして、砕け散る。
今回も、今度こそは!と思って鑑賞しに行くわけですが、今回は少々事情が違う。
なんと、トランスフォーマーシリーズ初のスピンオフ。
主役はオプティマスでなく、バンブルビーという一番人気のキャラが主役。
そして、なんと、監督がマイケルベイではない!
ここがでかい。
そしてそして、この映画批評サイト「ロッテントマト」で93%というシリーズ史上脅威の数字を叩いているのです。
もちろん、このニュースが出たとき映画ファンは、「ウソだろ!」「あのトランスフォーマーに限ってありえない!」とザワつき。
我々トランスフォーマー被害者の会(そんなのない)の面々はその旗を降ろし、期待値を高めているのです。
というわけで、めっちゃ楽しみなのだ!!!
はい、いってきまぁ~す!!
作品情報
シリーズを重ねるごとに革新的映像をアップデートし、世界中を魅了してきた「トランスフォーマー」シリーズ初のスピンオフ作品が誕生した。
舞台は1987年のサンフランシスコ。
シリーズ1作目の20年前に遡った物語は、孤独な少女と、ボロボロに傷つき記憶を失った地球外生命体とが予想だにしない運命に巻き込まれていく。
ドジだけど優しい“かわいさMAX”の人気キャラ「バンブルビー」のこれまでに語られてこなかった地球到来の秘密が描かれていく。
なぜ彼は地球にやってきたのか。少女との友情とバンブルビーの使命が今、幕をあける。
あらすじ
父親を亡くした哀しみから立ち直れない思春期の少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は、18才の誕生日に、海沿いの小さな町の廃品置き場で、廃車寸前の黄色い車を見つける。
自宅に乗って帰ったところ、その車が突如、変形《トランスフォーム》してしまう。
驚くチャーリーを前に、逃げ惑う黄色の生命体。
お互いに危害を加えないことを理解した瞬間、似たもの同士のふたりは急速に距離を縮める。
チャーリーは記憶と声を失い“何か”に怯える黄色の生命体に
「バンブルビー(黄色い蜂)」と名前をつけて、かくまうことに決める。ボロボロに傷ついたバンブルビーと、心に傷を抱えたチャーリー。
思いがけない友情が芽生えるのだが、しかし、予測不能の事態に巻き込まれていくのだった-(HPより抜粋)
監督
今作を手がけたのはトラヴィス・ナイト。
なんと彼のお父さん、「ナイキ」の創業者だそう。
そのお父さんが経営しているアニメーション制作会社でCEOとアニメーターを兼業しているインテリボンボン野郎なんですねぇ。
とまぁ親のコネで映画作ってるわけではございません。
ちゃんとキャリアもございます。
僕は鑑賞していないんですが、封建時代の日本を舞台とした魔法の三味線を操る主人公の宿命を、3Dストップモーションアニメーション映画として描いた「KUBOクボ 二本の弦の秘密」を手がけたお方。
この作品は世界的に高い評価を得ており、アニー賞3部門受賞、英国アカデミー賞受賞、アカデミー賞の長編アニメーション部門や、ゴールデングローブ賞、全米製作者組合賞などの多くの賞でノミネートされた映画なんですね。
今回この評価あっての抜擢だと思うので、期待は大きいです。
マイケル・ベイでなくて良かったよ・・・。
キャスト
孤独な少女チャーリーを演じるのはヘイリー・スタインフェルド。
女優として,また歌手としても人気の彼女ですが、こういう映画に主演として活躍するなんて、まぁ嬉しい。
「トゥルーグリット」での絶賛演技が未だに忘れられませんし、一昨年公開した「スウィート17モンスター」でのこじらせぶりに、「ピッチパーフェクト2」でのKYっぷりに、アタクシもうたまりませんでございましたのよ~〈誰)。
要するにポテンシャルが凄かったわけですよ、デビューしたときから。
それで歌もちゃんとレッスン重ねてモノにしてきたから「ピッチパーフェクト2」でも活躍できたし、 そしてコメディエンヌとしても才能だしまくり。
そんな作品を経てようやくビッグバジェットで主演ですよ。
もっと売れろ!ヘイリー!!
他のキャストはこんな感じ。
バーンズ役に、「ザ・ウォール」に出演し、WWEの大スターでもあるジョン・シナ。
メモ役に、「スパイダーマン:ホームカミング」、「ブリグズビー・ベア」のジョージ・レンデボーグJr.などが出演します。
物語はもちろん彼女とビーの話が中心でしょうが、あくまでトランスフォーマーです。オートボットとディセプティコンの戦いが地球で火花を散らした「トランスフォーマー」第1作目に繋がってくるわけです。
そこをマイケルベイ版とどう差別化して監督のオリジナリティを出すのか。
既にビーのフォルムがとげとげしかった見た目から、丸みを帯びたフォルムへと変化したことで愛らしさがより強調されています。
ビジュアルでも楽しめそうな今作。果たして。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
うん、おれ、ずっとニコニコして観てた。
なんか無性に幸せな気分で観られた。
マイケルベイじゃなくてよかった・・・。
以下、核心に触れずネタバレします。
こっちのロボット生命体の方が好き。
ディセプティコンの急襲により故郷を失ったB-127が、リーダーであるオプティマス・プライムからの命により、地球にやってくる。
やはりトランスフォーマーですから、いくら宣伝で少女とロボットの友情物語を推したところで、それだけじゃないってことはわかってたんですが、まさかいきなり冒頭でオートボットとディセプティコンのガチンコバトルが勃発するとは思いもよらず。
でもですよ、これまで見てきた「トランスフォーマー」シリーズとなんか違うわけですよ。
なんとロボット全員キャラデザがシンプルになってるではありませんか。
もちろんバンブルビー、いやこの時はB-127なんて呼ばれてますが、彼は当初の発表通り、丸みを帯びた可愛らしいデザイン。
そこから感じるのは、我々が想像するロボットのどこか冷たさというか血の通っていない感じというか、そういう無機物ならではの感覚とは違い、どこか温かみのある体温を感じさせる作りで、非常に親しみやすいフォルムとなっているわけです。
しかもキャラデザが違っているのは彼だけではない。
何とオプティマスプライムもデザインが変わっているではありませんか。
それはこれまで登場してきたマイケルベイ仕様のゴツゴツでギザギザで刺々しい棘のメタル集合体なんかではなく、僕らがかつて愛してきた「超ロボット生命体トランスフォーマー」のコンボイそのもので、何度もチャレンジしては木っ端みじんになってクソゲー扱いになった「コンボイの謎」のコンボイで、ハズブロ社のオプティマスプライムではなく、タカラトミーのコンボイとなってたんですね~。
要約するとマイナーチェンジってヤツですか、ええ。
これはクライマックスのバトルでも感じたんですが、ロボット同士のバトルのやり取りも非常に見やすい作りになっていて、確かにドンパチ感はスクリーンいっぱいにド派手なものにはなっているんだけど、比較的抑え目な演出が功を奏したのか、取っ組み合いで変形したりバラバラになったとしても、その光景が目に刺さるような痛々しいものではなく、マイルドに仕上がっているというか。
これまた要約すると子供が見ても疲れない映像に留めている感覚を覚えました。
だってもうベイはさぁ~、ベイのはバトルしてても何やってたかわかんないじゃんw
スローモーションになって初めてどうなってるかわかるというか。
核心的映像かもしれないけど肉眼で捉えられきゃ革新性もわかんねえよっていうね。
そういった意味で言うとアニメーション制作を続けてきた監督だからこそできた、子供に優しい映像表現だったのかもしれませんね。
チャーリーの悲痛な過去
その頃物語のヒロインであるチャーリーは、新しい父を見変えた家族と溝を持ち、友達も作らずバイトで日銭を稼ぎ、その金で車のパーツを購入し、父の形見である車の修理に没頭している毎日を送っている、超がつくほどの内向的少女。
車買ってクルマ買って!とねだっても、ナースとして働くお母さんにそんなお金など作れず、移動手段は原付バイク。
とにかくうだつの上がらない日々を送っていた、ってのが物語の始まり。
起床して鏡を見ながら歯を磨くチャーリーが、音楽を聞きながらエアードラムをするシーンでまず心を掴まされます。
ぶっちゃけマスカラ付けて寝てたんかいwなんてツッコミを入れたくもなりましたが、あれがヘイリースタインフェルドです。クマができてるんじゃねえかってくらい上も下もがっつりマスカラ乙女なのが彼女なのです。
彼女への私的な指摘は置いといて、チャーリーは飛び込みの州大会で優勝経験を持つほどの腕前で、それを成し得たのも亡くなってしまった父のおかげだったからなんですが、いなくなった今となってはそれも諦め、心を閉ざし過ごしているんですね。
お母さんは新しいパパと弟と仲睦まじくし、素っ気ないチャーリーには心をひらいて、の一点張り。
夕食での3人の光景を見てしまったチャーリーはますます喪失感にさいなまれるわけです。
今のチャーリーにとって、心を埋められるのは父と共に組み立ててきた車でしかないんですが、どうしても一人では組み立てることができず、これまた父への想いを焦がしていく、非常に切ない場面が続いていくんですね。
そんな時いつものボート修理工場に足を運ぶとオンボロの黄色いビートルを発見。
おいジジイ!あれアタイにおくれ!誕生日やねん!
やらん!
わかった!1年間タダで働くからちょうだい!床も磨くし書類整理もするし、何ならあのクソ汚ねえ便所掃除もすっから!
ダメだ!あら俺んだ!
んだよケチ!
・・いいよやるよ、おめでとう。でもウチの便所はきれいだ!
ボート修理工場のおっちゃんは、ただのめんどくさい人でした。
ちなみにチャーリーはこんな乱暴な言葉使いません。僕の妄想です。
そして家に持って帰ったチャーリーは、初めて未知との遭遇をするのであります。
2人のやり取りとビーの仕草にキュンキュン。
この映画の肝といいますか、一番楽しめる要素は、父を失った悲しみを埋めてくれるビーの存在と、記憶と声を無くしたことで子犬感丸出しなビーが彼女を一途に慕うという構図なんですね。
冒頭の戦いでは副リーダー的存在で正義感むき出しの姿を見せていたんですが、地球でのディセプティコンとの戦いがきっかけで、僕らがよく知るバンブルビーになってしまうわけであります。
だからチャーリーとのファーストコンタクトは人間に対しものすごく怯えた態度をとり、少しづつチャーリーに心を開いていくわけであります。
チャーリーも同様にバンブルビーと名前を付けることで愛着を持ち、しかも初めての車がこんなかわいくて超ヤバいんですけど!みたいな喜びも加わって、そりゃあもうご満悦といった表情。
彼との時間を濃密に過ごしていくことになるんですね~。
まず自分意外の誰かに姿がバレないようにビートルにトランスフォームする練習を浜辺で行うんですが、変形した途端チャーリーに砂を浴びせてしまい、ビーのデカい手で髪の毛にかかった砂を払ってあげるんだけどボサボサになるだけっていう不器用なとこ。
キュン
練習開始。とりあえずチャーリーが声を上げたらすぐ変形っていうレッスン1は完璧だったんですが、不意を突いての変形としてのレッスン2はチャーリーが岩に隠れる姿を見て自分もそれをやってしまうという応用性の無さ。
キュンキュン
自宅にて。ひたすらチューニングを合わせるもなかなか選局出来ないでいるビーのカーラジオをチャーリーが修理している間、とりあえずビデオでも見てて!と、適当に探し再生した映画に夢中のビー。
観ているのは何と80年代の青春映画において欠かすことのできない傑作「ブレックファストクラブ」。
ラストシーンのあのガッツポーズが大好きになってしまうビー。
キュンキュンキュン!
その後も新しいカーラジオにチャーリーセレクトで入れたカセットがザ・スミスですぐさまカセットテープを吐き出すビー。
え?これダメ?じゃあこれどう?ナイスでしょ?と入れたのがリック・アストリ―で。スミス以上の速さで即吐き出す天丼構成。
キュインキュインキュイン!!
こんなやり取りの中で、一番最高なのはチャーリーがことあるごとにビーの頬に手を当てて抱擁するシーン。
あ~~~~~っ!!ゆ~~~じょお~~~の極みぃ~~っ!!!
まぁこんな感じでですね、僕は二人の掛け合いにず~っとニコニコしながら見ていたのであります。
もちろんビー単体の行動もいちいちかわいいし面白い。
クラスのイケてる面々が海への飛び込みをやっていて、そこに出くわしたチャーリーもやれよと言われるんですが、過去への思いが強すぎて結果辞退。
それをいじってきたクリスティーナアギレラばりのブロンド美女への仕返しを決行するシーン。
作戦としてはトイレットペーパーを家にぶん投げ、車に卵をぶつけて終了、という手はずだったのに、ビーは手本を見た途端トイレットペー全部を屋根にぶん投げ、卵1パック全部を車の屋根にこすりつけるのは良いとして、急にやる気スイッチが入って車の屋根の上で踊ってステップフ踏んで、終いにはジャンプして踏みつぶす失態を犯すんですね~。
しかもチャーリーの隠れて!って声を聞いた途端、練習での失敗をやってしまうビー。
家でのお留守番でも飼い犬のコナンとの遭遇に驚き、家を散策し始めた結果、全てのインテリアを破壊してしまう不器用っぷり。
なんというかですね、ビーってペットですよね。
動物以上に言葉は通じるものの、ちゃんとしつけをしないとやんちゃしちゃう辺りが、もう犬みたいで。
叱ればシュンてなるし、放っておけばじゃれてくるし、知らない奴には吠えるし。
多分僕は実家で飼っている犬とビーを重ねてみていたのかもしれません。
他にもいっぱいエピソードがあるので二人のやり取りとビーのやらかし具合に笑みを浮かべながら観てほしいですね。
80年代小ネタいっぱいあったなぁ。
さすが80年代ということで、当時流行った音楽や映画ドラマがふんだんに詰まっていましたね。
チャーリーの最初のシーンからTシャツに至るまで、ザ・スミス使ってましたし、ビーが好きになった映画が「ブレックファスト・クラブ」で(多分主題歌をラストに使ってたよね)、新しいパパがカーチェイスを初めてした感想が「マイアミ・バイス」みたいだ、でしたし。
あとはもう音楽が贅沢。
どの曲かまでは思い出せないんですけど、デュラン・デュランにボン・ジョヴィにフィル・コリンズ、ティアーズ・フォー・フィアーズ、あ、これは「Everybody wants to rule the world」でしたね、メモと初めてのドライブのシーン、あとa-haの「テイク・オン・ミー」にリック・アストリーって80年代ポップソング代表2曲揃い踏みで、あとなんだっけなぁ~思い出せん!!
そうチャーリーのTシャツもスミスとかモーターヘッドとかのバンドTだったし、メモの部屋には「遊星からの物体X」のポスターが貼ってあったり、ビーがリビングぶっ壊している時にTVについてたのがテーブルテニスだったり、あとはもう、チャーリーのベッドの上に張られたポスターやら、コレクションのカセットテープやら小道具の時点で超80年代を漂わせてましたよね。
またディセプティコンも地球上のネットワークが原始的で使えないとかいってて、電話線を使ってビーを探すってのが何ともアナログチックで。
もっと言うと当時はソ連と冷戦状態にあった時代で、ちゃんと司令官の部屋の後ろにレーガン大統領の写真が飾られてたし、ディセプティコンがこっちと協力しないとソ連に行ってしまう、なんて件はモロでしたよね。
正直この件、未知の生物にアメリカの衛星ネットワークを貸すって行為があまりにもバカバカしくて、結果使わせた理由がソ連に行かれたら困るってのがもっとバカバカしくてw
こんな奴が軍のトップかよと。
最後に
今回のバンブルビーは、未成年とエイリアンの友情物語でした。
それはまさしくE.T.だったり、アイアンジャイアントを彷彿させる内容でした。
またチャーリーの飛び込みという過去や、ブレックファストクラブの件などの細かい伏線をここぞとばかりに使う演出のうまさ、ラストでのトレーラーとカマロの並走といった本シリーズという本線へ戻る部分もナイスでしたね。
ただどうしても強引な持っていき方がある面もあって、特に家族と距離を縮めていく部分は結構ご都合的。そこにゴールを持っていくならメモとの件を減らして、特に母との時間に充てるなどしないときつかったですね。
あとは今回楽しめた要因としてベイ作品よりも見やすいという部分が挙げられます。
しかし今作を見た後は、ベイ作品を欲してしまうような感覚があり、バトル描写は特に派手さや豪快な点がベイ作品に比べて欠けていたように思えます。
まぁ、これに関してはないものねだりです。
薄味をたべたら濃い味食べたくなるような、そんな感じ。
といっても今回は終始ニコニコして観られたわけで、トランスフォーマーとしては貴重な体験ではあります。
充分満足できた作品でした。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10