カオス・ウォーキング
もしも頭の中で考えてることや心で感じた思いが、周囲の人に聞こえてしまったら。
まぁ人間関係なんか築けないですし、周りから敬遠されちゃいますよ。
だって、心や頭の声が「建前」を言うことなんてないわけですから。
そもそも心の声というのは「本音」であり「本能」なんですよ。
これらを口にしないように制御するのが、脳だったり理性だったりするわけで。
また、何も考えない思わないでいることも不可能です。
常に頭や心は何かしら動いてるわけです。
ちなみに僕の場合、常に考えてることといえば、「だるい」「眠い」、「腹減った」、「めんどくさい」、「金欲しい」、「彼女欲しい」です。
要するにクソですねw
こんなの聞こえてしまったらマジ終わるw
今回鑑賞する映画は、何故か男だけ脳内や心の声が周囲に見えてしまう世界のお話。
このせいで女性は絶滅してしまったそうなんですが、一体何があったのか。
若手人気俳優競演というのも面白そうです。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
ガーディアン賞やカーネギー賞などを受賞したパトリック・ハネスが、2008年に執筆したSF小説「心のナイフ」を、「Mr.&Mrs.スミス」や「オール・ユー・ニード・イズ・キル」などを手掛けたダグ・リーマンによって映画化。
脳内や心の思考が周囲に可視化される男だけしか存在しない新世界を舞台に、思春期真っただ中の青年と、彼にとって初めて目にする女性が、首長やエイリアンなどの追手から逃避行を繰り広げ、星の謎に迫っていくSF大作。
「スパイダーマン」シリーズで一躍有名になったトム・ホランドと、「スター・ウォーズ」シリーズでチャンスをつかんだデイジー・リドリーというシンデレラボーイ&ガールによる競演が実現。
初心でやんちゃなホランドと、強さと信念を併せ持つリドリーが、本作で絶妙な掛け合いを魅せながら、激しい逃避行を繰り広げていく。
巨大宇宙船、エイリアンとの戦い、首長からの逃亡、謎に満ちた星。
壮大な世界観と映画史上初の設定が、どんな物語を生み出すのか。
そして新世界と呼ばれた地に隠された秘密とは。
あらすじ
西暦2257年、〈ニュー・ワールド〉。
そこは、汚染した地球を旅立った人類がたどり着いた〈新天地〉のはずだった。
だが、男たちは頭の中の考えや心の中の想いが、〈ノイズ〉としてさらけ出されるようになり、女は死に絶えてしまう。
この星で生まれ、最も若い青年であるトッド(トム・ホランド)は、一度も女性を見たことがない。
ある時、地球からやって来た宇宙船が墜落し、トッドはたった一人の生存者となったヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会い、ひと目で恋におちる。
ヴァイオラを捕えて利用しようとする首長のプレンティス(マッツ・ミケルセン)から、彼女を守ると決意するトッド。
二人の逃避行の先々で、この星の驚愕の秘密が明らかになっていく──。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ダグ・リーマン。
「ボーン・アイデンティティー」をはじめ、アクションやSFを中心に手掛けるお方。
S級映画は呼ばれないけど、A級映画で呼ばれやすい監督というイメージですかねw
決して悪い意味ではなく、めちゃんこ金かけたわけではない作品を、めちゃんこ金かけたような演出で楽しませてくれる才能はある気がします(悪く聞こえるw)。
基本的には強い作家性よりかはヒットメーカーとしての部分が強く、深く見ると結構粗さがあったりしがちなので、本作も軽い気持ちで臨もうと思います。
彼に関してはこちらをどうぞ。
キャスト
主人公トッドを演じるのは、トム・ホランド。
みんな大好きトムホ。
これまで演じてきた誰よりもピーター・パーカーだと思えるのは、彼の人懐っこさと少年性あふれる表情や姿あってこそ。
本作でもピーターっぽさが爆発しそうな気がするのは僕だけでしょうかw
だって女の子見たことなくて、心の声が全部見えちゃうんでしょ?
きっと相手にバレたらあたふたするんだろうし、ぼーっとしながら妄想膨らますんでしょ?
トムホの顔だから成立する設定だと思いませんか?w
僕はそれだけが見られれば大満足ですw
彼の出演作品はこちら。
他のキャストはこんな感じ。
ヴァイオラ役に、「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」、「ピーター・ラビット」のデイジー・リドリー。
プレンティス首長役に、「アナザーラウンド」、「007/カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセン。
ベン役に、「明日を継ぐために」、「ヘイトフル・エイト」のデミアン・ビチル。
ヒルディ役に、「ハリエット」、「ピノキオ」のシンシア・エリヴォ。
ディヴィー・プレンティス・ジュニア役に、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」、「ミッドウェイ」のニック・ジョナス。
アーロン牧師役に、「グローリー/明日への行進」、「猿の惑星:創世記」デヴィッド・オイェロウォなどが出演します。
この星は一体何を隠しているのか。
心の声が全部見えてしまうトムホに爆笑しそうな予感w
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#カオスウォーキング 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年11月12日
トムホの心の声がストレート過ぎて爆笑🤣
思春期の男の子ならしょうがないよなぁw
しかしあれだ、世界観が薄い… pic.twitter.com/Q7kADOKtRH
ライオンズゲートっぽい映画。
心の声って良くも悪くも純粋で真実。
他者と共存するってなかなか難しいよね。
以下、ネタバレします。
トムホの心の声に爆笑の連続
なぜか男の思考だけダダ漏れになってしまう新世界を舞台に、第2波隊の偵察の不時着によってやってきた少女を首長たちから守るため新世界最後の少年が男を見せていく姿を、西部劇&SF&プチロマンスをミックスさせた斬新さを見せつつ、主演二人のフレッシュなアンサンブルや底が見えない不気味さを漂わせるマッツ様など、設定やキャステイングの面白さはあったが、予算の関係か世界観が薄く感じてしまった感じが否めない勿体ない作品でございました。
地球で生息することが難しくなり、新天地を求めやってきた新たな星。
コミュニティを形成し生き続ける住民の中で、主人公トッドはこの地で最後に生まれた人間。
赤ん坊のころに両親を亡くしたことから、親代わりであるベンの下で成長してきた彼ですが、まずい飯に畑仕事の繰り返し。
首長であるプレンティスに認められればコミュニティの中で一番勇敢とされる偵察隊に入れるという希望だけを胸に生きていたのでした。
なぜかこの村では女が誰一人いない。
先住民であるエイリアンに女を全員殺されたことで、トッド以降新たな命の誕生はないわけです。
そんな中で何とか生きようとプレンティスを中心に、村は生きながらえているのであります。
本作が他のSF映画と一風変わっているのが「ノイズ」という設定。
心や頭で考えた思考が全て可視化され、他の人に全部筒抜けになってしまうという設定。
隠し事もできないし、本音や真実もダダ漏れ。
ここでは建前など意味のない思考なのです。
そんな環境下でトッドの考えることは「食ってクソするだけの毎日」や「あの牧師は大嫌いだ」、「メシがまずい」、「早く一人前になりたい」など鬱屈した生活から抜け出して、プレンティスのような男になりたい思い。
もはや会話なんてする必要ないほどノイズで思考がダダ漏れのこの世界に、何と一人の少女が発見されるではありませんか。
最初こそプレンティスに一刻も早く報告して手柄を立て、自分の地位を確立したいと願うトッド。
しかし初めて見る女の子を前に、トッドの頭の中は
「ワオ!女の子だ」
「黄色い髪!初めて見た!」
「声が高いな!」
「すごくかわいい」
と、少女を前に率直な感情を出しまくってしまいます。
終いには少女との雨宿りの最中に勝手にキスをする妄想を膨らませたり、先ほどのようなファーストインプレッションの強さから彼女に対する好き度が増す一方。
夢を見ている時もノイズは発動するんですが、その夢の中でも彼女とのあんなことやこんなことをしてる妄想がぜ~んぶ可視化されているのです。
プレンティスはじめ、いっぱしの大人たちは精神が安定してることもあってダダ漏れになることはそこまでないんですが、トッドのノイズは異常ですw
まぁ仕方ありません。
だって思春期の男の子で、初めて異性を間近で見たわけですから、第二次性徴期というオスの部分が発動してしまったのでしょう。
そりゃイチャイチャしたい妄想くらいします。
寧ろ女性がいないことで、今まで溜まってたモノが爆発しない大人たちの精神状態の方が心配です。
もっと野蛮な展開が描かれるのかと思ったら、全然なかったんで拍子抜けしましたw
しかしトッドもそんなことばかり考えてるわけではありません。
エイリアンに母親を殺された恨みはしっかり持っており、見つけるや否やエイリアンに襲いかかてナイフで刺しまくるといった感情をコントロールできないくらい怒りに任せた行動をとったり、愛犬との死別の際には、女性の前で泣いてたまるかと男気を見せたりする一面も。
そんな喜怒哀楽たっぷりの、まだまだ大人になれずにいるトッド演じるトムホランドのピーターパーカーじみた少年性を楽しむ映画です。
一番驚いたのは、少女ヴァイオラと逃避行した際、昼飯ゲットのために川に入って獲物と格闘するんですが、この時全裸になって川に入るんです。
ヴァイオラが目の前にいるのに。
親代わりであるベンから女の子の前でしてはいけない行為とかエチケットとか教わらなかったんでしょう。
堂々とすっぽんぽんになって川に飛び込む姿は爆笑モノでしたw
ここの何が面白いって、トッドが全裸になっていく姿をヴァイオラがガン見してるところ。
せめてお前は恥ずかしがれw
というか注意くらいしろw
もしかしてトッドのあれが立派過ぎて目を反らすことすら忘れてしまったのか(なんかすいません)w
このシーンは誰もツッコミがいないせいで、二人ともボケまくっているのが好きですw
西部劇っぽいSF
なぜかヴァイオラを見つけて以降、執拗に彼女を追いかけるプレンティス。
本船から偵察隊としてやってきた彼女に、交信されてしまうと皆殺されてしまうと促し、村民全員でヴァイオラを捕まえに出かけます。
この流れから、どうも彼と女性には何かワケアリなのが見て取れます。
男気を見せるため、初めて見つけた宝石を手放したくないために、トッドはヴァイオラと共に本船との交信をするため、他にも存在したコミュニティまで逃亡することに。
馬に乗って追いかけるプレンティス一行と、足で逃げる2人。
途中エイリアンに遭遇する以外はパッと見SF要素はなく、生い茂った森の中で追う追われるの逃走劇になっています。
何というか西部劇のように見えるんですよね。
新世界なのに、これといって画期的な発明や機能もないため、ホント過疎化したかのような村しか出てきませんし、とにかくアナログ。
一応ヴァイオラが持っていたガジェットや村民が使う銃は、どこかしらデジタルなモノですが、ホントその程度。
オーロラのようにうねうねしながら発せられるノイズのおかげで、ギリギリSFのように見えるだけで、描かれてる内容はただの逃避行です。
ただ深く考えてみると、男しかいない村での独裁政治によって文明も発達しないような場所から逃れるも、新たな地ではよそ者扱いされ白目で見られてしまう移民のような姿にも見えたり、その新たな地では黒人の女性が統率しているリベラルな場所にも見えたり、どこか現代的な面も感じ取れます。
ヴァイオラら第2波でやってきた人たちの計画が「モノレール=懸け橋を作ること」ってのも面白い設定だと思います。
完成すれば村同士のいざこざも解消されるし、他者が行き来することで文明も発達するのではないかと。
どんな時代になっても歴史の繰り返しなんだなという側面を持った映画だったのかもしれません。
もっと予算があれば
物語の終盤では、何故プレンティスが統率するコミュニティには女が一人もいないのかが明かされるわけですが、ぶっちゃけただの保身です。
ノイズによって男たちの思考が全部筒抜けになってしまうこの星では、建前など必要ない。
野心が溢れているような男には、要は都合が悪いのです。
男は単純だから簡単に洗脳できるかもしれないけど、女はそうはいかないということなのでしょうか。
だから彼は手を汚したのであります。
統治したいというしょっぱい保身のために。
心の内を見透かされないために。
本作はこの理由が一つのターニングポイントとなり、今までプレンティスを尊敬していたトッドは、母親を彼に殺された怒りから反旗を翻し対峙するという。
ん?待てよ?
先住民であるエイリアンを蔑ろにし過ぎてやいねえか?
そう本作では、この地に生息するエイリアンが登場します。
トッドはプレンティスから女たちはエイリアンによって殺されたと聞いてたんですよね。
逃亡の途中でエイリアンに首根っこ掴まされもみ合いになるシーンがあるんですが、それ以降エイリアンの「エ」の字も出てこないほど人間同士の話になっていくんです。
いやいやこれだけならエイリアンとか出さなくていいじゃんw
寧ろ昔話のように会話でだけ扱って、わざわざ登場させなくてもいいじゃん。
せめて登場させたなら、元凶であるプレンティスたちと戦うために意志の疎通をするなりして最後は共闘して新世界での共存を見せるとかできるじゃん。
言語が通じない分ノイズがあるじゃん!
想ったことを可視化すれば通じるじゃん!
もちろんそれによる弊害も出るだろうけど、これまでノイズをうまくコントロールできなかったトッドが、危機を脱するために成長する姿を見せる見せ場を作れるじゃん!
恐らくCGに割く時間が無かったり、それによる予算が組めなかったんでしょうね。
だから仕方なくエイリアンの描写を排除した。
そう思いたいです。
またヴァイオラが登場したことで、プレンティスを慕っていた男たちの洗脳って解かれる気がするんですよね。
トッドが生まれて以降、女性はあのコミュニティには存在してないんですよ。
性欲が溜まりまくってると思うんですよね。
実際プレンティスの息子は「ようやく二人きりだな」と台詞を言うあたりから、多分初めて見る女性に対してやましい思いってのがあったと思うんですよ。
だから大人たちはもっと欲が芽生える気がするんですよね。
「我は円環であり、円環は我である」というノイズを見せ続けることでプレンティスは自分の心の内を読まれることはなく、その上皆をマインドコントロールしてきたわけですが、性欲はそんな洗脳なんか弾くほどの欲だと思うんですよ。
ヴァイオラを見た時に、そういう奴らが何人か出てくるのが人間なんじゃねえの?と。
クソ下世話な話なんですけど、その方がリアリティあるしなぜ女性が全員排除されたかって理由のミスリードとかもできる気がするんですよね~。
あくまで個人の意見ですがw
最後に
トッドの真の成長は、ヴァイオラとキスしたい!とかっていう欲求を抑えて、彼女と一緒に居たいっていう純粋な思いで留めたことにあるんじゃないかなと。
男はすぐがっつくから、ってヴァイオラが仮に思ってたとしたら、トッドの真にある気持ちを知ったことで一歩近づいたって結末ならステキやんと思ったんですけど、俺の思い違いでしょうかw
とにかく思春期真っただ中のトムホの心の声がダダ漏れなのがツボだったのと、ノイズだのエイリアンだの面白いアイディアがあったのに、もっと工夫できたよなぁという不満を感じた作品でした。
もう一言いうのならデヴィッド・オイェロウォ演じた牧師がめちゃんこ怖かったですね。
終始炎で覆われたノイズを出しまくって、殉教者は死!って野太い声で言いまくってる中々狂った牧師なんですよ。
神を信じるあまりノイズを自分の心の声ではなく神の声と勘違いしたことから、プレンティスと結託し、ノイズ=神の声が聞こえない女は罪だと言って始末。
またノイズがあれば教育など必要ないと本を全部燃やすんですから困ったもんです。
そんな彼の弱い部分を聞くと、結局罪を与えなくてはならないのは自分自身だと。
プレンティス同様、プライドだとか保身のせいで誰かが犠牲になってしまうことへの問題も浮き彫りにしたような作品だったのかもしれません。
ちなみになぜこの新世界で「ノイズ」が男だけに出てしまうのかは全く説明されてませんw
この星の秘密は一体何なんだ!!
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10