アナザーラウンド
20代の頃はカシスオレンジ1杯で頭痛がするほどダメだったのに(女子かw)、30代に入ってからというもの、少量とはいえ色んなお酒が飲めるようになったモンキーです。
コロナウィルス蔓延による緊急事態宣言になって以降、様々な不安から精神的ダメージを受け、毎晩酒に手を出してしまう「のんべえ」になってしまいました。
二日酔いや記憶がないといった深酒はしてないものの、何度かやらかしたこともあり、その都度酒を控えることはしたんですけど、気づけば結局飲んじゃうんですよね~w
どうすれば以前のような「酒に頼らない日常」に戻れるのか思い出せないし思い出したくもないんですが(おいw)、だからといって仕事中も飲んでるわけではありません。
多分そこまでいったらセラピーか施設行きですね。
今回鑑賞する映画は、「普段からアルコール入れて生活したら人生うまくいくんじゃね?」理論を証明するために、おっさんたちが検証していく物語。
世間的には僕もおっさん世代に入るので、今置かれてる状況も重なって妙な親近感がわいてます。
北欧の至宝ことマッツパイセンから、人生の何たるかを学びたいと思います!
早速観賞してまいりました!
作品情報
第93回米アカデミー賞にて「国際長編映画賞」を受賞し、世界を席巻したデンマークの作品。
冴えない高校教師と同僚3人が、とある哲学者の理論のもと、お酒の力で自信を取り戻すも、ほろ苦い顛末を迎えていく姿をユーモラスに描く。
北欧の至宝マッツ・ミケルセンが「冴えない教師」だけでなく「酔っぱらい」に扮していく姿を拝むだけでも至福のような本作は、一見酔っぱらうおっさんたちの姿に笑うだけかと思いきや、人生賛歌へと舵を切っていく。
飲み過ぎはよくないといいつつも、つい飲み過ぎてしまう中高年の世代は、教訓にすべき作品かもしれない。
あらすじ
冴えない高校教師とその同僚3人は、ノルウェー人哲学者の理論を証明するため、仕事中にある一定量の酒を飲み、常に酔った状態を保つというとんでもない実験に取り組む。
実験
- 【仮説】人間の血中アルコール濃度は常に0.05%保つのが理想
- 【検証】飲酒が心と言動に影響を及ぼす証拠を集める。
- 【検証】飲酒は勤務中のみ
- 【検証】ヘミングウェイと同じく夜8時以降と週末は飲酒禁止
- 【目的】飲酒に寄り自身とやる気がみなぎり人生が上向きになるかを論文化
すると、これまで惰性でやり過ごしていた授業も活気に満ち、生徒たちとの関係性も良好になっていく。
同僚たちもゆっくりと確実に人生が良い方向に向かっていくのだが、実験が進むにつれだんだんと制御不能になり…。(映画『アナザーラウンド』オフィシャルサイト より抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、トマス・ヴィンターベア。
名前こそ存じ上げていたものの、作品は本作が初めての鑑賞になります。
デンマークの監督といえば真っ先に浮かぶのはラース・フォントリアーですが、監督は当時彼と「ドグマ95」という映画運動に参加。
様々なルールにのっとって監督が製作したのが「セレブレーション」という作品とのこと。
監督作品はほかにも、デンマークの社会問題を背景に兄弟の過酷な人生を描いた「光のほうへ」、マッツらと初めてタッグを組み、少女の何気ない嘘によって人生を破壊された男が、尊厳を守るために懸命に立ち向かうドラマ「偽りなき者」などがあります。
本作について監督は、チャーチルが25万人の市民を戦争に出したとき、お酒を飲んでいた説があったそう。
もしお酒がなかったら彼は同じことを言ったのだろうかという疑問から、「お酒がなかったら果たして世界史はどうなっていたのだろうか」という着想から話を膨らませたそう。
また監督は本作の撮影期間中、最愛の娘さんが高速道路で車に轢かれてしまい亡くなってしまいました。
実はマッツの娘役として出演する予定だったそうで、本作を製作する後押しをしたのも娘さんが作品を気に入ったからとのこと。
アカデミー賞受賞時のスピーチでも「娘が大好きな作品が、輝かしい賞をとれたことはまさに奇跡。彼女の記念碑的作品になった」と語っていました。
本作は彼女の死を機に、人生を肯定するような作品へと変更されたそうで、正に娘さんが奇跡の糸を手繰り寄せてくれた瞬間を、監督は味わったのではないでしょうか。
キャスト
本作の主人公で冴えない高校教師マーティンを演じるのは、マッツ・ミケルセン。
もう皆さんご存じの俳優さんですよね。
僕が初めて彼を認知したのは「007 カジノ・ロワイヤル」でのル・シッフル役ですかね。
ポーカーをやってる時のこめかみに手を当てる姿や、ボンドをとんでもない方法で拷問したシーンは強く記憶に残っています。
他にも「ドクター・ストレンジ」でのカエシリウスや、「ローグ・ワン」でのジンの父親役などで認知されてる方も多いかと思います。
ヨーロッパ系の作品に疎いため彼の作品をほとんど見てないので、本作をきっかけにチャレンジしたいですね。
まずは「偽りなき者」に手を出そうかな。
お酒をこよなく愛する人にとっては、少々痛いところを突かれるような映画かもしれませんね。
もしくはもっと深いお話なのかも。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#アナザーラウンド 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年9月3日
酒の力が人生にどんな影響を及ぼすか。
若者と向き合う仕事ってのに設定したのは良い効果をもたらしてたのでは。
ラストはちと無理矢理だな。 pic.twitter.com/n4RGDlvvVU
酒は飲んでも飲まれるなってか?
酒の力は果たしてどこまで人生を豊かにさせるか。
実験としては面白いが、そう上手くいくわけないだろ。
以下、ネタバレします。
酒は百薬の長ともいいますが。
家庭も仕事も上手くいかない中年教師が、哲学者の論文の検証を仲間とともに実験していく過程と顛末を描いた物語は、酒によるメリットとデメリット両面を映し出すことで、教訓として捉えることできたりマッツの色気に酔いしれることができる反面、国の違いやフィクションだからこそ許される部分が大半を占めていると思えてしまい、少々肩透かしを食らってしまいました。
根は真面目のモンキーは、試しに酒を飲みながらブログを書いてみようか試そうと思いましたが、その選択肢は速攻で消えましたw
はい、恐らく中年の危機を描いた作品だったのではないでしょうか。
普段同年代の人たちとつるむ人を職業に設定したら、本作は上手く伝わらないような気がしました。
ティーンネイジャーを相手にお仕事をすることで、年齢よる活力の差を表面化することで、酒に頼るというきっかけに持っていったという意味では「教師」という職業はうってつけだったのかなと。
そもそもデンマークという国は16歳以上なら酒を自分で購入できるくらいアルコールに関しては寛容みたいで、冒頭から「湖を周回する間にかごに入ったビールを全部飲むレース」って大人でもやんねえよ!ってムチャなことを10代の子たちがやってる映像を見て、俺日本に生まれて良かったとか、文化が同じじゃなくて良かったとか、本編とはどうでもいいことを想像してしまいましたw
話を戻すとして、僕もまぁいい歳なので10代や20代で出来たことや無茶なことは、さすがにもうできません。
感性が乏しくなって来たり、惰性で生きてたり、頭が固くなったり、体が言うこときかない時があったり、夜型から朝方になったりと、「もうあの頃には戻れない」年代へと突入しました。
この歳だからこそ味わえる感覚というメリットはありますが、主人公マーティン一同にはそれをメリットだったり収穫だったりって風には思ってないんでしょうね。
そりゃガキンチョ相手にしてるから余計ですよw
要は若い時の活力があったら、この歳でも楽しく人生を過ごせるんだろうという意味で実験をしたんでしょうね。
実際授業では、言葉に詰まってしまう部分はあったものの上々の出来。
以前は保護者や生徒から「説明の意味が解らない」とか「将来がかかってるんだぞ」と苦言を呈されていたマーティンは、お酒の力を借りることで授業を円滑に進めることに成功します。
本作の面白い所は、ルーズベルトやチャーチル、ヒトラーやヘミングウェイや音楽家など歴史に名を遺した人たちが、大酒飲みであることで偉業を達成したり、酒やたばこをやらない人が悪行ばかりをしたという実績を劇中に盛り込むことで、酒というチートがもたらす効果は全て悪い事ではないと提唱している点。
マーティン一同も同様に、酒の力があったからこそ生徒たちが楽しく授業を受けるメリットを生み出しゴキゲンになっていく姿は、酒って良いもんだなぁと。
演者たちも実際飲んでるかどうか見抜けないほど上手に酔っぱらってるので、非常に説得力のあるお芝居だったように思えます。
しかし、アルコールがもたらす副作用は大きく、思考の低下や過剰摂取する恐れ、シラフな相手を顧みない行動や言動など、色々な面でたかが外れる部分も。
歴史に名を遺したのんべえたちは、そもそも特別な存在でポテンシャルが高くて、ここぞという時には能力を発揮できるってことですよ。
一般人が真似したところでたかが知れてるんです。
だからやっちゃいけないんですよ、泥酔して仕事なんて。
酒に酔って気持ちが大きななることで緊張が緩和されたりする利点はあれど、限度を超えると一線も越えてしまうんだなと。
劇中では相手を傷つけたり中毒になったりする姿も描かれており、やはり「程よく」飲酒するのが丁度いい事なんだと、改めて身につまされた作品でもあったなと。
ただですね、一教師が人生を豊かにしたいからと言って、仕事前に酒を注入して実験をしてみるってのは、根が真面目の私モンキーから言わせていただくとするならば言語道断です。
お国柄による価値観の違いでもあるんでしょうけど、先生が生徒に緊張がほぐれるからと言って酒を薦めるのも教職としていかがなもんかと。
こいつさっきから何言ってるんだ?と思う方、正解です。
クソまじめに観すぎですw
恐らくこれ、酒を飲みながらみたら「ばかだなぁ~ww」と思いっきり笑える映画だったんでしょうけど、冷静に見てしまったこともあって、どうしてもあまり笑えなかったんですよね・・・。
あとは普段どれだけ酒を愛好してるかによっても、見方が変わってくるんでしょうね。
僕も毎日飲むけど、限界値を解ってるから二日酔いもしないし、そもそもそんなに強くないと自覚してるってのもあって、どうも共感できない点ばかりが目立ってしまって。
やっぱり第1段階で留めておけばこんなことにはならなかったのにとか、いい歳なんだから加減を解っておけよとか、幾ら授業が上手くいったからって調子乗るなよとか。
映像的にも寄りの画ばかりで、僕の好きな構図になってないってのもあったり、検証の論文を書くという設定上、いちいち「0.05%」とか「第2章 次の実験は・・・」みたいな文字表記ばかり出る演出ってのも芸がないというか。
一番嫌だったのはラストシーン手前で、別居状態だった奥さんから「会いたい」ってメールが来た事。
マーティンの言い分しか描いてないので、奥さんから復縁を言い出すってのはいささか強引な終わらせ方ではないかと。
だって奥さんの心情場面が全然ないんだもん。
めっちゃ唐突で。
ワンカットでもいいから奥さんが「やっぱり夫が良い」と想像できるような映像を挟めば強引とは思わなかったんですけど。
一応復縁を持ち出すマーティンを拒む奥さんというシーンはあるんですけど、どう見てもこれは離婚路線まっしぐらだなって誰もが思ったろうし、そこからラスト手前で急にこのメールですよ。
華麗に舞うマッツ様の喜びの舞は素晴らしいんですけど、どうしてもここでゲンナリしてしまって…。
最後に
マッツ好きには相当たまらない映画なんだろうなってのは十分承知ですけど、単純に自分の酒の感覚から、どうしても許せない点が多く、心から楽しむってことはできなかったなぁと。
ただ人間の欲深さってのが中年でもあれだけ出てしまうくらい、彼らは今を楽しめてないんだなってのは、ビフォーとアフターでしっかり描かれてましたし、彼らはあの年でも失敗から学ぶことができる柔軟性も持ち合わせていたからラストの舞が美しく思えたわけで。
とにかく年齢を言い訳にするのではなく、心や体や頭の中をクリアにすることで、酒なんか飲まなくても人生は豊かになれると思いたいですね。
よし!とりあえず酒飲むぞ!w
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10