モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

実写映画「思い、思われ、ふり、ふられ」感想ネタバレあり解説 「ふりふら」は青春がまだ生乾きであることを思い出す。

思い、思われ、ふり、ふられ

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高3の時のクラス替えで一緒になった女の子がいまして。

お互いトライセラトップスが好きってことで意気投合してね、好意を持つようになったんですね~。

モテない男が恋に落ちる、「共通の趣味から生まれる恋」っていう、よくあるパターンです。

 

そっから文化祭とか夏休みとか、思いをひた隠しながら遊んだりとかして、卒業式までには思いを告げようとしたんですけどね。

 

まさか彼女がオレの親友に思いを寄せてたなんて知る由もなく。

 

それ知ったの卒業式の1週間前で。

しかも周りの友達みんな知ってて、俺だけ秘密にされてたっていうね。

 

きっと友人は、俺を傷つけないように黙ってたんでしょう。

 

彼らは言いました、おまえの親友に絶対詰め寄るなよ、と。

お前の気持ちを知っていたから敢えて黙ってたんだと。

いい奴らだ。

 

僕は彼女への思いにそっと蓋を閉じ、親友と彼女が付き合ったことを祝福しました。

 

・・・とはいうものの、東京に出てきたときに親友に久々に電話したら、まだ彼女と付き合ってて、しかも「電話代わるわ」とか言われたときの、親友への怒りと憎悪ね。

 

ちったぁ気つかえやボケ!と。

まだ瘡蓋なんだよ、早々に癒えねえんだよ失恋の痛みってのは!(コクれてないからフラれてもいないんですけどもw)。

 

それ以降、彼女のわがままで奔放すぎる性格を目の当たりにした結果、連絡は取ってませんw

 

はい、そんなモンキーの失恋話でした。

 

 

今回鑑賞する映画は、同じマンションに住む4人の男女高校生による、片思いに次ぐ片思い、すれ違いによるすれ違いを描いた青春恋愛映画。

ぱいすぅ~(酸っぱい)な思いをした高校時代がフラッシュバックしそうな予感満載の作品です。

 

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

咲坂伊緒原作の人気コミックを、実写とアニメーションのダブルで映画化。 

ストロボ・エッジ」、「アオハライド」と、両作品の流れを汲んだ「咲坂伊緒 青春三部作」の最終章として制作された。

 

偶然出会った異なるタイプの男女高校生4人が織りなす、片思いによるすれ違い、相手を想うからこその思いのすれ違いを、恋愛だけにとどまらず未来ある若者の葛藤なども交え、ほろ苦く切なく描く。

 

君の膵臓をたべたい」のゴールデンコンビ、その作品を監督した月川翔の師匠が、「アオハライド」以来の咲坂作品に挑む。

 

また主題歌には、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのバンド、Official髭男dismの名曲「115万キロフィルム」を採用。

高校生の未熟ながら繊細な思いを綴る物語に、色を添えます。

 

誰もが経験した片思い。

「ふりふら」で、少しだけ思い返してみませんか?

 

 

思い、思われ、ふり、ふられコミック 全12巻セット

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  • 発売日: 2019/06/25
  • メディア: コミック
 

 

 

 

 

115万キロのフィルム

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  • 発売日: 2018/04/18
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 

 

あらすじ

 

 明るく社交的な【朱里】(浜辺美波)、

内向的でうつむきがちな【由奈】(福本莉子)、
クールな【理央】(北村匠海)、

爽やかで天然な【和臣】(赤楚衛二)。

 


偶然出会ったタイプの全く違う4人は、同じマンションに住み同じ学校に通う高校1年生。


親同士の再婚で「家族」となり、朱里に言えない恋心を抱える理央。

そんな理央に憧れるけど自分に自信が持てない由奈。

和臣に惹かれていき、自分の感情に戸惑う朱里。

ある秘密を目撃してしまい自分の気持ちに蓋をしてしまう和臣。

 

一人の告白をきっかけにそれぞれの感情は複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違ってしまう。


4人の切なすぎる《片想い》の行方は——(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、三木孝浩

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恋愛映画、青春映画の名手の異名を持つ監督。

恥ずかしながら半分程度の作品しか鑑賞してないんですけども、どれも誰しもが過ごしたであろう青春の1ページを想起させる物語を作られてますよね。

なんて監督の心はピュアなんだろう。

毎度監督の作品を見て、心を洗われた気持ちになります。

 

咲坂作品では過去に、「アオハライド」を制作した監督。

今回のオファーについても、オファーされる前から今作の原作を数巻読んでいたそうで、自分ならこんな風に実写化すると、既にイメージされていたんだとか。

また、企画を進めていく中で、すでに飽和状態にある「少女漫画実写化」にどう向き合っていくのかを議論し、「少女漫画実写化」の一つ先に行くことをテーマに置いたそう。

 

12巻もある原作を2時間にまとめるのは至難の業とも仰っており、どういう仕上がりになっておるのか非常に楽しみです。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

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キャスト

現実的な恋愛をする女の子、山本朱里を演じるのは浜辺美波。

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べ~やん、一時期は激やせぶりが心配されましたが、お元気なようで何より。

「君の膵臓をたべたい」では、ほぼノーメイクな感じがリアルに高校生らしくてよかったんですが、今回がっつりメイクしてるんですね…

それはそれでちょっと残念。

 

とはいえ、今大人気の女優さんですし、なぜに今回鑑賞したいって、彼女と北村匠海のゴールデンコンビだからですからね。

また見たいですよ、二人の恋愛模様を!

 

 

そんな彼女の代表作をサクッとご紹介。

東宝シンデレラのニュージェネレーション賞を受章したのをきっかけに芸能界入り。

高校の麻雀部に入部したヒロインが、仲間と共に腕を磨き、個性豊かなライバルたちと県大会で激しいバトルを繰り広げるコミック実写化映画「咲ーSaki-」で映画初主演。

その後、膵臓の病気で余命僅かなヒロインと、そのことをクラスで唯一知る少年の交流を描いた青春ラブストーリー「君の膵臓をたべたい」が大ヒット、知名度を広げます。

 

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他にも、冷静沈着なイケメン教師に猛烈なアタックを仕掛けるバカで元気な女子高生との恋愛バトルの行方をコミカルかつポップに描いた「センセイ君主」、

戦艦大和の建造計画を阻止するべく奔走する天才数学者の物語「アルキメデスの大戦」、

大学ミステリー愛好会の男2人と美人女子大生探偵が、想像を絶する恐怖と謎に挑む姿をコミカルに描いた「屍人荘の殺人」などがあります。

 

 

2020年末には「約束のネバーランド」が公開予定。

主演を務めます。

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

朱里の義理の弟で、彼女に言えない思いを抱えている山本理央役に、「十二人の死にたい子どもたち」、「サヨナラの30分」、「とんかつDJアゲ太郎」が公開予定の北村匠海。

理央のことが好きだが、告白できずにいる女の子、市原由奈役に、「センセイ君主」、「映像研に手を出すな!」の福本莉子。

天然で捉えどころのない男の子、乾和臣役に、「劇場版 仮面ライダービルド Be the one」の赤楚衛二。

 

理央のクラスメイト、我妻暖人役に、「ホットギミック ガールミーツボーイ」の上村海成

朱里の中学時代の元カレ、亮介役に、「犬鳴村」の三船海斗

和臣の兄、乾聡太役に、「脳内ポイズンベリー」の古川雄輝

朱里の母役に、「女はバス停で服を着替えた」の戸田菜穂などが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ、大人が見たら小っ恥ずかしくて見てられなくなったりしそうw

胸の奥底がこそばゆい感じにさせてくれる映画の予感です。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

ここまですれ違うか!

高校生ならではの悩みと葛藤に共感。

アオハルで受けた傷が、まだ生乾きであったことを思い知らされた。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叶わない恋だと知ってても

同じマンションに住む4人の男女高校生が織りなす恋模様と、将来への悩みや葛藤など、高校生ならではのピュアで真っ直ぐな思いを、演者の微妙な表情の変化や鮮やかな映像美を監督の力量でしっかり捉え、「叶わない恋だと知っててもいつも一番近くで君を見てた」景色と、その先の景色、さらに片思いによることで生じてしまう「誰かが傷ついてしまう」ことへのアンサー、「みんなが幸せになる方法があればいい」という、未熟な高校生とは思えない選択の数々を見せてくれることで、清涼感溢れる結末と主題歌の意味に感動した作品でございました。

 

 

当時、相手への想いを打ちあけることができずに自己完結してしまった僕としては、その選択が正しかったかどうか曖昧なまま歳を重ねて大人になってしまいましたが、今作を見て、どこか過去の自分の選択を肯定してくれたかのような清々しさを感じた作品でした。

 

ぼやけた六等星だけど思い込みの恋に落ちた瞬間、人を好きになることの美しさ、それによる利己的な感情、些細な出来事による大きな喜びの痕に訪れる刹那、傷つかないように振る舞う自己防衛。

 

フレンドじゃ辛いけどTheENDになるくらいなら慌てなくていい、と自分で自分を勝手に納得させて片思いの延命措置をし続けた日々。

 

フラれた後に漂う絶望感と、それでもやってくる明日という日々、これでいいんだという諦め。

それでも前を向いて進もうと、半ば開き直りのカラ元気で過ごした日々。

掴もうとした手を掴めなかった歯がゆさ、まだ胸の奥で疼く傷痕。

 

 

僕の場合決してハッピーエンドなスクールライフではなかったけども、今作を見て人を好きになれたことへの悦びを思い起こさせてくれたと同時に、勝手に目の奥のフィルムで撮影されていた「高校時代の盲目の恋」の記録を、久々に脳内で上映された感覚に陥りました。

 

 

ただ高校時代の恋愛って、ここまで大人ぶって相手への事とか考えてたかな?という疑問は感じたんです。

登場人物たちはみな、相手の気持ちを尊重したり、傷つけないように傷つかないように振る舞ったりする行動が目についたんですけど、あの頃ってもっと他人を出し抜いて自己アピールしたり、がむしゃらに駆け引きしたりしてたような気がするんです。

 

あくまで自分の過去から紐解いての想像ではあるんですが、どうもその辺りが引っ掛かって。

 

とはいえ、登場人物たちにはそれぞれ環境だったり、近すぎる存在だから身を寄せたり身を引いたりする心情を持ち合わせていて、立場故のすれ違いで恋愛をこじらせていた、そんな作品だったなぁと。

 

 

 

登場人物たちが抱える気持ち

自分の思いはこの辺にして、作品の解説を。

 

作品自体は途中まで「あずきちゃん」のような、登場人物が皆「自分が好きな人が他の人を好き」の一方通行な恋愛模様から、どうやって自分の思いを完結し前に進むか、どうやって自分を傷つけずに過ごすか、などといった思いが溢れた映画でした。

 

またそれぞれの人物は恋愛観が様々で、その違いや分け方によって、誰とあてはまるか、自分と近しいタイプの恋愛観を持つ人間かを選択することで、感情移入しやすい見せ方をしていたかのように思えます。

 

 

まず朱里。

彼女の場合、母親の2度にわたる離婚から、これ以上家族をバラバラにしたくない想いが先行し、自分の思いは二の次になっていた感じがします。

 

誰も傷つけない世界を目指すあまり、これ以上を自分が傷つかないように思いをふたにしがちで、相手の気持ちを読んで自分はどう動くかという、人工的で計算された駆け引きをしがちなタイプの恋愛観を持った女性でした。

 

こういうタイプの女性ってもっと大人になってから出会う感じがするんですけど、彼女の置かれた環境によって、もっと自由気ままな恋愛にさせない価値観を生んでしまったんでしょう。

 

実際理央の父親と自分の母親が付き合ってなければ、朱里は高台で待つ理央の元へ向かい、彼の気持ちを受け取ったはず。

そうしなかったのは、やっぱり母親の幸せと、家族を失いたくなかったからってことですよね。

 

 

そんな朱里に想いを寄せる理央は、一見クールだけど家族になってしまった朱里に気持ちを伝えることができずに葛藤する男の子。

序盤では、気持ちを伝えることができずにいるやるせなさと、奥歯を噛みしめて過ごしていることへのいら立ちが、物語が進むにつれて加速する姿が印象的でした。

 

物語において登場人物への障害はつきもので、それをどう乗り越えるかってのが面白さの度合いだったりするんですが、理央の場合、中々つらいものがあります。

劇中でも言ってましたが、気持ちを行ってしまえば秩序が乱れるわけですから、なんともやるせない。

 

しかも同じマンションに住んでいる和臣との友情を育みながらも、気が付けば朱里の隣にいて、彼に対して屈託のない笑顔を朱里は見せるわけですから、そりゃあ焦る。

強引な行動に出てしまうのも理解できます。

 

そんな理央は、自分を好きでいる由奈を通じて、朱里の気持ちを知り、片思いの自己完結をするんですね。

これ以上家族を失いたくない故の、誰もが幸せであるための選択と努力を、朱里はし続けていることを教えられ、なんて自分は身勝手で独りよがりな片思いをしていたのだと気づくわけです。

 

 

そんな理央のことを好きな由奈は、きっと恋愛にオクテな人ならだれもが応援したくなる存在。

常にうつむき、自分に自信なさげの彼女は、唯一の友人である朱里から、相手へ思いを伝えることの素晴らしさや、勇気をもらい、理央に気持ちを打ち明けます。

 

特に素晴らしかったのは告白するときの表情。

理央の袖を掴んで立ち止まらせたあと、思いを言葉にして話す時の間だったり、何度もつばを飲み込んで落ち着かせる仕草、しっかり言葉にするために、たどたどしくならないように心の準備をする5秒間が、正に告白あるあるといいますか、初めての告白する際の初々しい表情を見事に表現されていて感激しました。

 

今作の登場人物の中では、彼女が一番輝いていたというか成長の度合いが理想的だったように思えます。

ちゃんと自分の気持ちを伝えることで、フラれたとしても悩み続けている理央の友人でありたいと思える意識、さらに気持ちを伝えたことで人間として一皮むけ、自分に自信が持てるようになったこと、そして気にも留めてなかった人物から告白されたことで、自分をここまで肯定させてくれたのはやっぱり理央が好きだという気持ちがあったからということに気付く肯定感。

 

また前半と後半で微妙に目のメイクが変わっているのも印象的。

恋って人をキレイにさせるなんて言いますが、それを体現してくれた存在だったように思えます。

 

 

そんな由奈の幼馴染である和臣。

勝手に大学をやめて役者を目指す自由奔放な兄を持つことで、自分の将来に関して弱気な態度を見せるも、その思いとは裏腹に明るく気丈に振る舞う姿勢が魅力的な彼。

そんな彼に徐々に惹かれていく朱里との恋の行方が気になる展開が序盤から見て取れました。

きっと彼も朱里のことが最初から好きなんだろうなぁと感じましたが、その思いを中々見せない男らしい行動が羨ましい。

 

中身知ってなくても絶対いい人だと思うよ、なんてことサラッと言えねえし、体育の授業中に熱中症で倒れた朱里を、お姫様抱っこして保健室に運ぶとか、その後さりげなくスポーツドリンク渡すとか、高校生でそんな気の利いた行動できませんw

 

また本能で行動する天然気質な和臣に、恋愛は相手の行動を見て駆け引きする計算しがちの朱里が惚れていくって関係性も、よく出来てるなぁと。

 

さらには和臣が映画好きってのも好感w

マッドマックスは、怒りのデスロードで字幕派。(要するにAKIRAがダメってことだろw)

朱里にアバウトタイムを薦めるのには、モンキー的にはちょっと待ったwでしたが(あれ男向けのSF恋愛映画だろw)、部屋にはボーンアイデンティティ8マイルのポスター、由奈に貸す映画がセカチューで、部屋の棚には少林サッカーもありましたな。

俺カズとなら友達になれるぜw 

 

そんな彼が映画監督になりたいけど、自分勝手な兄を理由に夢を諦めている姿なんてのも後半から浮き彫りになってくるあたりはちょっと心当たり。

 

自分も妹がいるんですが、勝手に音楽やるとか言って家族のこと考えずに上京して好き勝手やってた分、妹の将来の選択肢を狭めていたのかなと思うと、このエピソードを見た時はちょっとばかし罪悪感が。

 

そんな高校生ならではの将来の夢に対する悩みや葛藤も徐々に描かれていくのが、今作が恋愛だけでない、等身大の高校生を映していたのも見どころの一つだった映画ではないでしょうか。

 

 

最後に

少々雑な解説と、いい事言おうとして言えてない感想になってしまいましたw

 

片思いに対するそれぞれの思いと、相手を思うが故に、また自分にけじめをつけるべく伝える気持ちの微妙な振れ幅を、丁寧に抽出してくれた監督の技量に納得の作品でした。

 

また、好きを諦めたのに、やめ方がわからないってセリフ。

きっと原作にもあるんでしょうけど、いやそうだよね~!

一歩下がった方が絶対いい時ってあるんですよね、恋愛において。

でもわかんねえのよ!やめ方!

 

もうね登場人物みんな優しさを持ってるからすれ違っちゃうんだよね・・・。

でもさ、優しさって一歩引くことじゃねえと思うんですよ。

やっぱり思いを言葉にして伝えてナンボだと。

ダメだったらダメだったで、人生どうにかなるからw

 

アオハルなんて最近は言うそうですが、アオハルを謳歌するためにも、高校生たちには恋に部活に勉強に友情に全力で挑んでほしいですね。

僕のように後悔しっぱなしの大人にならないように。

なんちって。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10