モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ゴーストブック おばけずかん」感想ネタバレあり解説 子供たちに是非見てほしい真夏の大冒険譚。

ゴーストブック おばけずかん

 

子どもたちがひと夏で得た経験は、大人になっても心の中でずっと色あせることなく輝ているモノです。

おじいちゃん家に行ったことや、お父さんと二人で遠くに出かけたこと、友達の家に泊まって夜遅くまで遊んだこと、好きな子と二人だけの秘密の時間を過ごしたこと。

 

映画でも「スタンド・バイ・ミー」を始め子供たちがひと夏の経験をすることで逞しく成長を遂げる物語が多数あります。

邦画も確かに存在はしますが、大作級となると数える程度だったりします。

 

ではいっそのこと、作ってみたらどうだろう。

製作プロデューサーのそんな思いが、VFXの第一人者の手によって実現することになりました。

なんでも、「おばけずかん」という願いを叶えることができる本を探す旅だそうですが…子供たちはお化けに耐性があるのでしょうか。

 

この映画を見た子供たちは、この夏どんな冒険と経験をするのでしょうか。

良い思い出になってほしいな。

 

子供の頃なんてとっくの昔の僕ですが、子供の気持ちになって楽しもうと思います。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

斎藤洋宮本えつよしによって作られた童話シリーズで、さまざまなおばけや対処法を描く「おばけずかん」。

2020年からテレビ東京系列朝の人気番組「おはスタ!」でコーナー化して以降、多くの子供たちに認知されてきた人気シリーズを、「ジュブナイル」から20年を経て原点回帰を目指す山崎貴監督の手によって、実写映画化。

 

願いをかなえるために「おばけずかん」を探す小学生3人組と、彼らによって巻き込まれてしまった先生が、命がけの試練に挑むSFホラー映画。

 

昭和の街を再現した「ALWAYS 三丁目の夕日」、妖しくも美しい黄泉の国を描いた「DESTINY 鎌倉ものがたり」など、VFX技術によって数々の非現実的な映像で世間を驚かせてきた山崎貴が次に挑んだのは「原点回帰」。

宇宙からやってきた超高性能ロボットと子供たちとの冒険を描いた「ジュブナイル」から20年以上の時を経て、再び「真夏の大冒険」を夢いっぱいに描く。

 

主演には「万引き家族」で多くの観衆の心をひきつけた城桧吏や、その他オーディションによって選ばれた子供たち。

他にも神木隆之介新垣結衣など、彼らと同様幼いころから芸能界で活躍してきた先輩たちが、後ろで彼らを支えていく。

 

数々の試練、そして出会いと別れ。

きっと忘れることのできない命がけの冒険を、あなたも共に。

 

 

あらすじ

 

夜中に子供たちの枕元に現れて「願いをかなえたいか?」と耳元でささやく、白い布をかぶった謎のおばけ。

どうしてもかなえたい願いがあった一樹(城桧吏)たちは、おばけに導かれるまま、「おばけずかん」を探すことに。

 

瑤子先生(新垣結衣)と一緒に、妖しい店主(神木隆之介)のいる迷路のような古本屋で図鑑を手に入れるが、古本屋から出た外の世界は、もう彼らの知っている世界ではなかった—。

 

図鑑の秘密を知る図鑑坊(CV:釘宮理恵)の力を借り、おばけたちを相手に命がけの試練に挑むことになる子供たち。

 

彼らはおばけを図鑑に封印することで願いをかなえ、運命を変えることはできるのか!?(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

監督

本作を手掛けるのは、山崎貴。

 

「ALWAYS 三丁目の夕日」や「DESTINY 鎌倉ものがたり」などといった温かみのある作品もあれば、「永遠の0」、「海賊と呼ばれた男」、「アルキメデスの大戦」、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」など戦争を舞台にした男のロマンを秘めた作品にいたるまで、得意のVFX技術を使った様々な映像作品を世に送っています、

 

今回の企画は、「E.T.」や「グーニーズ」のような子供を中心とした大作モノが日本では少ないことや、ドラマ「ストレンジャー・シングス」のように今でもなお「子供が主人公の映画」は需要があることに目を向けたプロデューサーが、かつて「ジュブナイル」を作った山崎監督ならやってくれるだろうとオファーをしたのがきっかけとのこと。

 

そんな監督は今回脚本も書き下ろし、4人の子供たちに魅力的なキャラ像を吹き込んだとのこと。

2か月間かけて制作した撮影も、緊張の取れない子役たちに、彼らの目線になって話をしながら小学生の気持ちになって作ったとのこと。

 

監督が童心に帰って作った「ゴーストブック」。

僕らも子供の頃に戻って楽しめるのかもしれません。

 

 

キャスト

主人公・一樹を演じるのは、城桧吏。

 

4人の子供たちの中では一番演技経験のある桧吏くん。

それこそ「万引き家族」での求心力はずば抜けていましたし、他の作品でも輝いてたことでしょう。

 

実際撮影時には、他の共演者の子供たちと本の読み合わせや動作の確認などを考えてお芝居をしたり、怖がりで頼りないけど優しくて友達想いな存在だとキャラを解釈し、監督と共に構築していったというから、もう一人前の役者さんですよね。

 

年齢の誓い共演者たちとずっと同じ時間を過ごしたことでしょうから、彼らにとっても忘れられない経験となったことでしょう。

そんな彼らの思いが作品ににじみ出ていたらいいですね。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

工藤太一役に、「約束のネバーランド」、「明日の食卓」の柴崎楓雅

飯田サニー宗佑役に、今回で映画デビューのサニー・マックレンドン

橘湊役に、本作で映画デビューの吉村文香

一樹の母役に、「ジュブナイル」、「花とアリス」の鈴木杏

一樹の父役に、「ジュブナイル」、「空母いぶき」の遠藤雅弥

古本屋の店主役に、「妖怪大戦争」、「ホリック×××HOLiC」の神木隆之介。

葉山瑤子役に、「BALLAD 名もなき恋のうた」、「劇場版コードブルー」の新垣結衣などが出演します。

 

 

 

 

 

 

お化けのCVも、大塚明夫杉田智和田中泯といった俳優など豪華声優陣が揃う気合の入れ様。

学校の怪談」のように、後世に語り継がれるようなホラー青春映画になっているのでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

お話やお芝居、構成の粗はあるとして、VFXはさすが白組。

ざっくりいえばポケモンの要素あったから、子供たちは楽しいはず。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出が消えることは、ない。

3人組の少年たちが願いを叶えるため「おばけずかん」による異世界で命がけの冒険をしていく姿を、一見普通の田舎町が山崎貴得意のVFXによって面白い構造に変化した背景、そんな中で皆があれこれ言いながら知恵を絞り力を合わせて「お化け退治」していくワクワク感、そして例え記憶が失われたとしてもきっとこの日の出来事は「思い出」として刻まれていることを優しく教えてくれる、夏休みの子供たちに是非見てほしい1作でございました。

 

子供のころ住んでいた街は、大人になれば退屈そのものだったりしますが、子供にとっては果てしなく広い領域だったと思うんです。

それこそ移動手段は自転車か徒歩で、体力だって大したことないわけですから長距離はもってのほか。

だからいつもよりちょっと遠くといっても、結局は「街」を出ることは早々ない。

 

そんな街の片隅にある、いつもよりちょっと足を延ばしてたどり着いたスポットを初めて見つけた時の感じは「なんとなく」ではありますが記憶に残っています。

 

本作は年寄りっこであるサニーが、近所の老人から聞いたとある話を頼りに「ほこら」探しに行くところから始まります。

3人は神様に願いを聞いてもらうためにやってきたことがきっかけで、おばけずかんを持ち歩き、お化け退治をしながら異世界での命がけの冒険をすることになっていくのです。

 

「願い」の中身は後半に明かされるのですが、彼らにとっては命を懸けなければ叶わないようなもののため、比較的のんびりな進行ではあるものの、子供ながらに真剣にミッションに向き合ってる姿はかつての自分にもあったような感覚でした。

そして使い古された言葉だとしても彼らにとっての「絶対あきらめない」という思いは、この冒険の中で確実に強くさせてくれる魔法の言葉だったに違いありません。

 

また根底にあるのは、子どもたちだけで目の前の難題を解決したり、同じ目標に向かって協力することの楽しさやすばらしさ、ミッションを達成することで得た経験値、それらが彼らを大人への第一歩になっていくようなテーマ性だったと思います。

 

そして一番大事なのは「思い出が消えてしまうことはない」ということ。

当時仲良かった友達と過ごしていると「一生このままでいたい」とか「一生ずっと過ごす」ようなマインドになりがちですが、様々な選択を経て僕らは大人になっていくと同時に失ってしまう物も多いわけで、それが時として「友達」だったりもするわけです。

 

僕自身当時よく遊んでいた友達とは疎遠ですし、大きなきっかけが無ければコンタクトを取ろうともならないでしょう。

しかし、本作を見ていると不思議と当時の友達を思い出すのです。

 

家に遊びに行ってファミコンをしたり漫画を読んだりお菓子を食べたりなんてのは当たり前で、公園でおにごっこをしたり秘密基地でしょうもないモノを持ち寄って過ごしたり。

それこそ子どもたちだけで遠出して、限りある小遣いを計画的に使わないで遊んでいた良い目に遭ったり、あまりの距離に帰り道がわからなくなって迷ったりしたこともありました。

 

細かい部分まではパッと出てこないけど、あの時のあの空気や感覚は、確かに「覚えてる」んですよね。

 

 

きっといつかは離れ離れになるときが来る物悲しさをうっすら描写しつつも、「絶対わすれない」というメッセージを最後に持ってくることで、色々思い出させてくれる力が、この映画には備わっていたと思います。

世間的には3人と同じくらいの子供がいてもおかしくない立場故に、彼らの冒険を「見守る」ような視点で見るのが普通なんですが、個人的には当時の自分を懐古しながら楽しませてもらった映画でしたね。

 

これが「おばけずかん」か!

さて、具体的な内容に触れたいと思いますが、この「おばけずかん」、原作は「お化けに出会ったら怖いけど大丈夫!」という内容だそうで、お化けに出会った時の「対策」を挿入することで、子供たちが楽しめる本になってるそうなんです。

 

本作はこの設定のおかげで冒険らしさを高めていたように思えます。

当初は古本屋の店主から「おばけずかん」のルールを聞いたうえで異世界へと旅立つ流れだったんですが、彼が急に登場したことで3人は驚き、彼の話に耳を傾けず、おばけずかんを持ったまま外へ飛び出してしまうのです。

 

だからもってきてしまったはいいものの、どうやってこの「おばけずかん」を使うかわからず、皆で色々なヒントを見つけながら「お化け退治」をしていくんですね。

 

ずかんの表紙には真ん中に大きな穴があり、漢数字と3本の横線が引いてあります。

中をめくるとすべて白紙の状態。

ですが、時が訪れると、白紙のページに筆で書かれたような文字と画が浮かび上がり、おばけの特徴と対処法が記されていることが明かされます。

 

最初のおばけは「図鑑坊」。

3人が頭に思い浮かべた「願い」を聞き、思いの魂を持ち帰り古本屋の店主に「試練」を持ちかけるおばけです。

図鑑坊は3人の枕元に立ち、この古本屋に呼び寄せたのち、右も左もわからない異世界で後ろからずっと見守っている立場でもあったんですね。

 

見た目は目玉の部分に穴をあけた布団シーツを被って登場しますが、それを剥がせば「妖怪ウォッチ」に出てきそうな可愛らしい姿。

そんな可愛らしい図鑑坊に「おばけずかん」を強く当てると捕まえることができます。

 

ページを開くと捕獲のハンコが付き、一度だけ主の「命令」を聞くことができるという設定。

まるでポケモンみたいですね。

 

本作はこれらを繰り返して、7体のおばけを捕獲し、彼らを巧く利用してミッション達成へと進んでいく流れになってます。

 

おばけは図鑑坊のほかに、山彦、一反木綿、百目、身代わりおばけ、雲梯、そしてラスボスであるジズルの7体が登場します。

 

山彦は「汚い言葉を使うと怒りだして突進してくる」習性があり、3人は肉体的なダメージを受けながらも巧く機転を利かせて退治。

一反木綿は、「体が汚れるのを嫌がる」習性から、瑤子先生発案のペイント銃で退治。

百目は「体中の目玉を飛ばして攻撃してくるが、目玉が無くなればイチコロ」というずかんの対処法がありながら、すりおろし玉ねぎを駆使して退治。

身代わりおばけは、主人公・一樹に成りすましたはいいものの、「湊の言うことは絶対」という彼の弱点を利用して一瞬で退治。

雲梯は、「掴んだ腕を離さず、そのままあの世へ連れていく」という中々の怖さでしたが、唯一掴まなかったサニーがとあるおばけを召喚したことがきっかけで難を逃れることに。

 

こうしてラスボス・ジズル退治へとこぎつけるのであります。

 

本作のいいところは、瑤子先生という大人がいながらも、どこか頼りなさのあるキャラになっているため、子供たちだけで何とかしようとする姿を全面的に出しているところ。

それこそ瑤子先生の対処法で成功したのは一反木綿くらいで、雲梯の際には「みんなで掴んで重さで進行を防ごう」と発案したはいいものの、結果的に全員道連れになってしまうという残念な事態にw

百目も「すりおろし玉ねぎで攻撃」まではいいものの、一人一人失敗を重ねたことで戦法を編み出した湊の活躍でした。

 

意外と頭脳プレーを駆使していたのは、太一。

瑤子先生を「とりま先生」と小バカにするような小生意気なガキでしたが、おばけに物怖じせず先鋒として突っ切っていく潔さや、条件反射で戦法を編み出すクレバーな働きは大人顔負けでしたね。

 

このような感じで、子供たちが壁にぶつかり思考に思考を重ねてミッションを挑んでいくのであります。

 

 

また映像面もすごいことになってますね。

家屋はジグソーパズルをバラバラにしたかのような複雑な構造になってるんですよね。

どこかの家は車が埋まってたなw

瑤子先生の家が彼らの拠点になってるんですけど、この家も時間が経つと部屋が移動する仕掛けになってたり、水道の蛇口は90度横に向いていてお米を洗うのも一苦労。

階段を上っても2階にたどり着かないし、とにかく何もかもが「あべこべ」な状態になってるんですよね。

 

外に出ても道路標識は全然読めない字になってるし、街の電気屋さんののぼりも字が反転していたり、漢字と漢字が合体していて、全く読めないことになってるんです。

一見普通の田舎町なのに、こんな家屋が立ち並び、字も読めない。

しかも夜になるとおばけたちがぞろぞろ列をなして彷徨い始めるんですから、子供たちも不安になるわけですよw

 

こういう映像を監督はホント上手に具現化してくれるんですからすごい人だなぁと。

 

 

最後に

今回は「子供たちに見てほしい」意味合いを込めて、映画好きかぶれの戯言は省いての感想にしましたw

 

こういう映画を好きな友達と見て、楽しかったら帰り道でも友達の家でもいいから「おばけずかん」ごっことかして遊んでほしいんですよ。

それが絶対「夏休みの良い思い出」になる。

 

今はまだ「この先訪れるかもしれない分かれ道」の事なんか忘れて、好きな子と好きなことをして1日を刻んでほしいなと。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10