ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3
MCUもフェイズ5へ突入。
「アントマン&ワスプ:クワントマニア」では、これまでご近所物語だった過去作から一転、量子世界でスターウォーズをやってしまうミクロでマクロな世界観を構築。
その中で父と娘、そして家族の物語として、ある種の皮肉と今後の展開も含めたお話でした。
そしていよいよ最終章となる「GoG」シリーズ。
これまでほとんど言及されてこなかったロケットの出自に触れることが一つのテーマになっていることが発表されています。
個人的にガーディアンズはMCUの中でもトップ3に入るほど大好きな連中で、1作目はほんとに画期的なアメコミ映画だったと今でも思ってます。
過去にはジェームズ・ガン監督の過去の発言が物議をかもし、ディズニーを追い出されてしまった問題がありましたが、なんとか和解し、こうして3作目を作れたことは非常にうれしく思っています。
監督はこれからDCUを盛り上げるべく籍を移りますが、彼のアメコミ魂とはみ出し者たちへの眼差しは変わることはないでしょう。
最近のMCUは全然好きじゃないんだけど、今回ばかりは泣くわ、たぶんw
早速観賞してまいりました!!
作品情報
クセが強くてワケありな銀河の落ちこぼれたちが結成したチーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の活躍を描く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の人気シリーズ第3弾。
アベンジャーズの一員としてサノスを倒したものの、最愛の人を失った傷がまだ癒えないピーターを中心としたガーディアンズ一行が、銀河の宇宙を完璧に作り替えようとする敵に立ち向かう姿を、ゴキゲンなオールディーズサウンドに乗せて描く冒険活劇。
最終章と題した本作では、アライグマなのにアライグマというとキレるキャラ・ロケットの出自が明らかとなり、敵であるハイ・エボリューショナリーと深く関わっていくことが予想される。
また、ピーターの最愛の人ガモーラが戻ったとはいえ、別のガモーラであるため、二人の関係にも注目。
他にも前作のヴィランだったアイーシャが生んだアダム・ウォーロックとの対峙も見逃せないなど、今回も喜怒哀楽などラマに加えアクションも盛りだくさんな内容が予想される。
また本作をもってMCUを離れるジェームズ・ガン監督は、本作の幕引きにふさわしい作品になったと豪語。
我々の予想をはるかに超えた感動のフィナーレが待っているに違いない。
完璧な世界を目指すマッド・サイエンティストに、完ぺきとは程遠いはみ出し者たちはどう挑むのか。
あらすじ
アベンジャーズの一員として世界を救った《ガーディアンズ》の、最後にして最大のお祭り騒ぎ!
サノスとの戦いで最愛の恋人を失ったショックから立ち直れないピーター(クリス・プラット)が率いるガーディアンズに、銀河を完璧な世界に作り変えようとする最凶の敵が現れ、ロケット(CV:ブラッドリー・クーパー)は命を失う危機に...。
大切な仲間の命を救うカギは、ロケットの過去に隠されていた。
全銀河の運命とチームの存続を懸けた、最強の落ちこぼれチームvs最凶の完璧主義者の感動のラスト・バトルが今、始まる──。
キャラクター紹介
- ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)…子供の頃に地球から天界人である父エゴに誘拐され、ラヴェジャーズによって育てられたガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのリーダー。『ソー:ラブ&サンダー』にて、ソーと別れた後、ガーディアンズと共に新たな冒険へと旅立つ。
- ロケット(CV:ブラッドリー・クーパー)…アライグマをベースにした元賞金稼ぎ兼傭兵。ガーディアンズのメンバーで、武器と武術の達人でもある機械設計エンジニア。これまで彼の知能が高い理由が明らかにされてこなかった。
- グルート(CV:ヴィン・ディーゼル)…ロケットの相棒であり樹木型ヒューマノイド。話せる言葉は「アイ・アム・グルート(私はグルート)」のみ。前作では幼少期の姿だったが、本作ではさらに成長した姿を見せる。
- ドラックス(デイヴ・バウティスタ)…チーム屈指のパワーファイター。言動が天然な破壊王。仲間が止めに入っても戦い続けるほど力と闘志がみなぎっているが、普段はどこか抜けている。マンティスに何らかの思いを秘めてるようだが…。
- マンティス(ポム・クレメンティエフ)…触れた人の心を読んだり感情を操れる共感能力を持っているガーディアンズのメンバーで、額の触覚と大きな黒目が特徴的。心は読めても空気は読めない。
- ネビュラ(カレン・ギラン)…義父のサノスによって殺し屋として育成・サイボーグ化されたガモーラの義妹。そのサノスとの最終決戦後にガーディアンズと共に旅立ち、現在ではガーディアンズのメンバーである。
- クラグリン・オブフォンテリ(ショーン・ガン)…かつてはヨンドゥ・ウドンタの側近だった元ラヴェジャーズのメンバー。彼の死後にヤカの矢を引き継ぎ、ガーディアンズと行動を共にする。行く先々の惑星で出会った女性とよく結婚をする。
- コスモ(CV:マリア・バカローヴァ)…ソ連によって宇宙に送られた知性を持った犬。物を触らずに動かす念動力を持つ。
- ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)…ガーディアンズの紅一点。サノスの義理の娘にしてネビュラの義姉。現代のガモーラは、ソウル・ストーンにささげる生贄としてサノスに殺された為、2014年のサノスと共に現代へとやってきた2014年当時のガモーラとして登場する。
- アダム・ウォーロック(ウィル・ポールター)…前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』で、ガーディアンズを執拗に追撃したソヴリン人の女王アイーシャが新たに開発したバース・ポッドによって誕生したソヴリン人。アイーシャと同じく全身が黄金色である。
- ハイ・エボリューショナリー(チュクウディ・イウジ)…全ての生物を強制的に進化させて「特別な種族」にしようとする進化論を専門とする科学者。彼の手によりロケットが生まれている。
エンドゲーム以降、またしても既存のキャラの卒業を感じさせる最終章。個人的にはソーと共に旅を続けてほしかったけど、これで終わっちゃうとなると好きなだけに辛いっす…。
そんな彼らの最期の勇姿を目に焼き付けます。
ここから観賞後の感想です!!
感想
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) May 2, 2023
これはロケットの物語。相変わらずの掛け合いにウェットなエピソードが加わり、彼らの最後の勇姿がこれまで以上にエモーショナルに加速する。
ただジェームズガンの映画の見せ方に関しては別問題。
#ガーディアンズオブギャラクシー pic.twitter.com/n6LFgIGcp7
ついにロケットの過去が明らかに!
彼が大好きな故に感情移入してしまいそうになったが、なんで「回想」にすんだよ!
1の時に感じた「誰も予想できないような面白さ」はどこにいった、ガンよ。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ
惑星ノー・ウェア。
コレクターがいた星を買い取り本部として居住するガーディアンズたちの姿。
その中で一人、ピーターの持ち物である携帯音楽プレーヤー「ZUNE」を持ち歩きながら、レディオヘッドの名曲「クリープ」を聴き、口ずさみながら歩くロケットの姿。
「ホリデースペシャル」で明かされた通りノーウェアで暮らすメンバーの姿。
そこでは様々な住民と共に、クラグリンはヤカの矢の練習をし、今回正式にメンバーとなったコスモはそれを見守り、マンティスとドラックスは相変わらず仲睦まじく、ネビュラは住民たちと共に新たな看板をつけている。
皆が楽しそうに過ごしているが、ただ一人ピーターだけは愛しきガモーラへの思いに焦がれ、飲んだくれていた。
すると突然全身金色の男がノーウェアに突っ込んでくる。
ソヴリン人と対決した前作のラストでアイーシャが開発したアダム・ウォーロックだ。
彼は一目散でロケットの元へ向かい激しい攻撃を喰らわせる。
他のメンバーもウォーロックと戦うが、あまりの強さに防戦一方。
そして重傷を負ったロケットは、マンティスとピーターによる医療キットでの治療で回復を試みるも、なぜか逆にダメージを追ってしまう。
ネビュラ曰く、彼の体には体内を調べることができないよう、何者かの手によって制御プログラムが施されており、治療ができない仕組みになっていた。
ウォーロックによって星をめちゃめちゃにされた一行は、一刻も早くロケットを治療するため、彼を改造したとされるハイ・レボリューショナリーがいる星へと向かう。
ウォーロックはアイーシャと共にハイ・エボリューショナリーの元にいた。
彼は完璧な社会を作りたいと、ずっと前から動物たちに違法な遺伝子操作実験を繰り返しては失敗を重ね研究を続けていた。
そんな彼をソヴリン人は神のような存在と崇めており、かつてハイ・エボリューショナリーが実験体にした89P13=ロケットを探す手助けをしていたのだった。
任務に失敗したウォーロックは、ハイ・エボリューショナリーの能力である重力装置によって壁に押し付けられ、次はないと脅されるのであった。
そんなハイ・エボリューショナリーのいる星にたどり着いたガーディアンズたちだったが、シールドによって厳重な警備が施されており、入るのにも一苦労。
そこへラヴェジャーズと、彼らを束ねるガモーラが現れる。
ネビュラとの約束によって、ガーディアンズたちを中へ案内する役割を担ったガモーラと共に、グルート以外の面々は星の内部へと潜入することに。
ようやくガモーラと会えたピーターは心ここに在らずな状態で任務に挑む。
途中ではみんなに通信がダダ漏れの中、昔を思い出して一緒になろうと告白する場面も。
何とか整備員として紛れ込んだ面々は、ボウイ号で待機中のグルートと連絡とるマンティスとドラックス、ロケットの情報の在り処を探るピーター、ガモーラ、ネビュラの二手に分かれて行動するが、警備にバレてしまい囲まれてしまう。
深手を負うドラックスやネビュラを前に、ピーターは機転を利かせたやり口でこの状況を打破。
再びウォーロックが襲ってくる中、なんとかロケットの情報をゲットし機関に成功するのだった。
しかし、情報の中には肝心の制御プログラムを解除するコードが抜かれており、ロケットを助けることができない。
情報はハイ・エボリューショナリーの側近が抜いていることが判明。
ピーターは、ハイ・エボリューショナリーのいる地球にそっくりな惑星「カウンター・アース」へと向かうのだった。
果たしてロケットの命は助かるのか。
そして彼とハイ・エボリューショナリーにはどんな因縁があったのだろうか。
・・・というのが、ざっくりしたあらすじです。
これはロケットの物語
ならず者たちが力を合わせて惑星を救った第1作目から、彼らは大切な人を失ったという哀しみを抱き、その穴を埋めるかのように「家族」として、時にやんちゃに時に喧嘩しながらも、仲睦まじく過ごしてきました。
2作目ではピーターは本当の父親と会うも、彼の本当の目的を知り対峙。
この戦いを経てヨンドゥという自分を育ててくれた本当の父親の姿を目の当たりにするのでした。
ピーターはさらにガモーラという大切な存在を失ったことで、母親含め近しい人たちを次々と失いうという深い悲しみを背負っていたわけです。
そんな中、今度は一番の親友である「ロケット」を失ってしまうかもしれないということで、家長であるピーターの無謀ながらも実直な姿が本作では現れていたように思えます。
特にロケットの心電図が停止した際の表情は、これまでにない怒りと悲しみを前面に押し出しており、彼の叫びが今でも耳に残るほど印象的なシーンでした。
そんな本作で一番スポットライトを浴びるのがロケット。
観賞前から彼の物語になるとは知っていたものの、どのようにして明かすのか非常に気になっていました。
蓋を開けてみると、彼はハイ・エボリューショナリーによる違法な遺伝子操作の研究材料として改造され、言葉と知能を持った生物にされてしまったわけです。
檻の中で出会ったカワウソのライラやセイウチのティーフス、そしてウサギのフロアもまた、ロケットと同様改造されており、彼らは傷を舐め合うかのように寄り添いながら、檻の外にある空を眺めたいという希望を持ち、耐え忍んでいたのであります。
ハイ・エボリューショナリーは実験を失敗しては次のフェイズへと強度を上げていたものの、どうしても改造させた後の凶暴化を緩和させる手段が見つからずてこずっていました。
しかしロケットのとあるアドバイスにより、ハイ・エボリューショナリーの実験は成功したわけですが、神の代わりだと自負するハイ・エボリューショナリーにとって、自分の手で作り上げたロケットの方が一枚上手だったことに苛立っていたのであります。
腹の虫がおさまらないエボリューショナリーは、ロケットの脳を摘出して中を調べることを決定。
翌朝には死んでしまうことを知ったロケットは、ライラ達仲間と共に逃げることを決行しますが、ハイ・エボリューショナリーに先を読まれていたために、仲間たちは皆殺されてしまうのであります。
その悲しみと怒りからついにロケットは自我を解放し、彼に襲い掛かるのであります。
なんとか逃亡に成功したロケットは、その時の痛みを胸に秘めながらピーター達と過ごしていたのでした。
これまでの作品でのロケットは、アライグマと呼ばれるとすぐ悪態ついたり、人の気を惹きたいあまりすぐ悪さしたりするやんちゃな面が強い一方で、グルートがロナンにやられたりヨンドゥが死んでしまった時に哀しい表情を見せることもあり、実は誰よりも仲間想いである優しい一面ももっていました。
本作で明かされた過去によって、これまで彼がなぜそういう態度を見せるのかがようやく理解できたのであります。
普段の悪態はポーズであり実はめちゃめちゃ臆病だったこと、仲間を失った痛みを持っているから、自分と同じ境遇を持つガーディアンズをより仲間であり家族だと思っていること。
そんな彼が終盤で「ロケット・ラクーンだ」と名乗るシーンは非常に胸熱なんですよね。
見てこなかった部分や拒否してきた部分を受けれいたってことでしょうし、何よりも今までで一番頼もしいロケットになった表れなのではないかと。
だからピーターが去ることが決まっても、彼をリーダーにすればガーディアンズは安泰だと理解できた瞬間だったのではないでしょうか。
しかしながら本作の出来としては僕はシリーズの中で一番残念な作品でした。
というのも、このロケットの過去パートは全て「回想」。
しかもこの「回想」はロケットが瀕死の重傷を負っている時にロケット自身が見ているビジョンを我々が見ているという見せ方なんですよね。
だからガーディアンズのメンバーは結局彼の過去をすべて把握していないんですよ。
実際情報を盗んだ時に彼が改造手術をされている映像をガーディアンズは見ているので、どれだけ残酷な過去だったかは理解しているモノの、全体的にはわかっていないのではないかと。
もっと言えば、この過去を知った時の面々のリアクションをドラマチックに見せることができてないんですよ。
これ凄く勿体ないなと。
確かに見てるこっちは初めて知る事実に心動かされるけど、一番心を動かされる瞬間て「その過去を知ったメンバーの反応」だと思うんですよ。
それこそ映画って誰に感情移入するかで視点が変わるし、誰かに感情移入することで感動の度合いが変わっていくものだと思うんですけど、本作はそれを蔑ろにして、ただロケットの過去を我々にしか見せないわけですよ。
例えば、情報を奪ったことに成功した面々がようやく回復したロケットと対面できるっていう喜びを味わう前に、この映像を見てる姿をじっくり見せる。
特に一番の親友だからと豪語するピーターは、それまで知らなかったロケットの過去に感極まると思うんですよ。
コイツ、口だったり態度はホントむかつくときあるけど、こんな残酷な事されてきたのか、と涙して、目を覚ました瞬間にハグするとかめっちゃ感動するじゃないですか。
もうそこで終わってほしいんですよ。
なんで一度戻ってきたのに、また敵のアジトに向かうような脚本にしちゃうんですか。
クドイですよ。
また、キャラも増えてしまったことで描かなくてはいけないことが増えてしまってるのもややこしいというか。
今回ロケットの過去以外にも、ピーターとガモーラの恋の行方にも焦点を当てているので、おおきな軸が二つ存在してるんですよね。
それだけで十分なのに、他のキャラにもスポットを当てなきゃいけないから、結構話が渋滞してて。
クラグリンやコスモはそこまでスポットを当てなくてもあの程度で十分でしたけど、ドラックスとマンティスはあそこまで時間を割かなくてもよかった気がします。
彼らとすっかりまともになったネビュラとのシーンを増やすことで、弱い者に対する扱いを批判するやりとりが、その向こう側でチラつくハイ・エボリューショナリーの鬼畜の所業やクソ理念へと結びつく構造は買いますけど、どうも見せ方として巧さを感じないというか。
後はもう別にウォーロックとかアイーシャを出す必要あったのかと。
結局ウォーロックを仲間にするってゴールを作らなきゃいけないための口実でしかないというか。
最後に
個人的にはものすごく期待していたのですが、どうもお話の構成が残念だったと。
冒頭でのレディオヘッドのクリープや、最後にCome And Get Your Loveを流す音楽のニクイ使い方は、さすがジェームズ・ガンだなぁと思いましたけど、今回すごく悩んで作った気がするというか。
多分ロケットの過去だけで十分だったけど、その後に用意されてるアベンジャーズの事とか考えなきゃいけない関係からなのか、ここで去る人残る人を考慮して脚本を作ってる気がしたし、そのせいもあって結局2時間半という尺になってるわけで。
まぁファンサービスってことでね、ヨンドゥがチラッと出てきらり、ラヴェジャーズを登場させてスタローンが出てくれたりって嬉しいシーンもありましたけど、な~んか敵が小物に感じたし、ピーターが去るって決断も全然パッとしない、さらにマンティスもいなくなるってことに何の悲しみも生まれない。
俺本当にガーディアンズ好きだったか疑問さえ感じてしまいました…。
多分「ザ・スーサイド・スクワッド」によるジェームズ・ガン作品への飽きが原因かと。
やっぱりテーマの根底には彼が救いたいと願うマイノリティへの優しい眼差しが溢れてるんでね、簡単には批判できないんですけど、映画の作り方は段々惰性になってる気がするというか。
もっとできる人だと思うんだけどなぁ。
彼には今後DCUで本気を見せてほしいと願っているので追いかけたいと思います。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10