モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「ガリーボーイ」感想ネタバレあり解説 俺たちには価値がある!時代が来てるんだ!!

10月18日

ガリー・ボーイ/GULLY BOY

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色々な音楽を聞く私モンキーですが、残念ながら一番聞かないジャンルがヒップホップなんですよね…

やはり歌を歌っていた身からすると、どうしてか歌が聞きたいという思いが先行して、やっぱりメロディの無い曲はどうしても耳に入ってこないというか。

 いや、決してそれを音楽だと認めないなんて気持ちは毛頭なくて、彼らが綴るリリックや韻の踏み方とか、それこそ歌詞に込める熱量とか魂とか素晴らしいと思ってます。

また楽器の出来ない人にとっては、すぐ音楽をできる分野でもありますし、ストリートから生まれた音楽として非常に優れた文化だと思ってます。

 

でですよ、このヒップホップを題材にした映画、沢山あると思うんですね。

代表的なの言えば「8マイル」でしょ、僕が好きなので言うと「ストレイト・アウタ・コンプトン」に「ハッスル&フロウ」ですかね。

最近で言えば「パティ・ケイク$」とか「ブラインドスポッティング」もある意味ヒップホップでした。

またNetflixでもバズ・ラーマンが手掛けた「ゲット・ダウン」てドラマシリーズがありましたけど、あれも最高にクールでした。

 

とにかくヒップホップを題材にした映画って、普段聞いてない僕でさえ心を熱くさせる要素があって、優れたオリジナルの楽曲が素晴らしい音楽映画としても優秀だし、何者でもない奴がマイクひとつでのし上がっていく中での楽しさと苦さと酸っぱさが混じった青春映画にも見て取れるから好きなんですよね。

 

でも、これらの映画、どれもアメリカが舞台。

今回鑑賞する映画の舞台はインドなんですよ。

え?インドにもラップってあるの?

言葉はヒンディー語なの?普通に英語なの?

インドでもヒップホップって大衆音楽なの?

はい、きっと馴染みがないだけなんでしょうけど、色々疑問が沸き上がります。

そんなインドのヒップホップ映画、どんな物語なんでしょう。

早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

インドのスラム街を舞台に、実在するヒップホップアーティスト・Naezyの驚きの半生を実写化。

貧しい家庭で生まれ育った若者が、フリースタイルラップとの出会いを通じて、親との確執や友と恋人の絆を深め、人生を一変させていく青春サクセスストーリー。

 

インドが抱える格差社会や宗教的差別から解放されたい若者の主張を帯びた今作は、2019年のインド映画で世界興収2位の記録を収める大ヒット、アメリカの映画批評サイト「ロッテントマト」で満足度100%を記録するなど、批評家観客両方で高い評価を得た。

プロデューサーにはラッパーのNASが加わっていることや、ウィル・スミスが寄せた熱いコメントなどから、ラップ映画の質の良さと満足度が窺えることは容易だ。

 

ムンバイ・ラップ・アンセムとよばれる彼らの魂の叫びを心に刻め!

 

 

Mere Gully Mein

Mere Gully Mein

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 ムラド(ランヴィール・シン)は、雇われ運転手の父を持ち、スラムに暮らす青年。

両親はムラドが今の生活から抜け出し成功できるよう、彼を大学に通わせるために一生懸命働いていた。

 

しかしムラドは、生まれで人を判断するインド社会に憤りを感じ、地元の悪友とつるみ、内緒で身分の違う裕福な家庭の恋人と交際していた。

 

ある日大学構内でラップをする学生MCシェール(シッダーント・チャトゥルヴェーディー)と出会い、言葉とリズムで気持ちを自由に表現するラップの世界にのめりこんでいく。

そして“ガリーボーイ”(路地裏の少年)と名乗り、現実を変えるためラップバトルで優勝を目指す事を決意する。(HPより抜粋)

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監督

今作を手掛けるのは、ゾーヤー・アクタル

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何と今作を手掛けた監督、男性かと思いきや女性だったんですね~!

これは意外でした。

はいもちろん今回初めて聞くお方でございます。

一体これまでどんな映画を手掛けてきたのでしょうか。

 

お父さんもお母さんも弟さんもクリエイティブなお仕事をされてるクリエイター一家という監督のご家族。

その遺伝子をしっかり受け継ぎ、2009年に製作されたポリウッドスターを夢見る男女の恋と奮闘を描いた「チャンスをつかめ!」でデビューします。

その後も、個性の違うホワイトカラーのインド人男性3人組が、スペインでの休暇中に、新しい人生を見出していく青春ロードムービー「人生は一度だけ」や、悩みを抱えた4人の主人公を物語をまとめたオムニバス映画「ボンベイ・トーキーズ」、現代インドの愛とセックスについて、4人の監督と手掛けた短編映画集「慕情のアンソロジー」などがあります。

 

 

 

 

 

キャスト

主人公ムラドを演じるのは、ランヴィール・シン。

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イケメンですね~!!

どことなくブラッドリー・クーパーのような品のあるお顔立ちとでもいいましょうか。

 

もちろん彼も監督同様初めて知る方なので、どんな映画に出演してきたのかサクッとご紹介。

 

アメリカの大学で演劇を学び帰郷したのち、コピーライターや助監督など様々な仕事を経て2010年に俳優業へ。

インド版ロミオとジュリエットともいえるロマンス映画「銃弾の餐宴~ラームとリーラ」でブレイク。

この映画を手掛けたサンジャイ・リーラ―バンサーリー監督とのタッグが続き、実在した歴史上の人物を描いた史劇「Bajirao Mastani」や、16世紀に生み出されたインド伝記に描かれた愛と感動の物語を、巨額を投じて製作された「パドマーワト/女神の誕生」いずれも大ヒットを記録します。

これらで共演したデイーピカー・パードゥコーンとは2018年に結婚されたとのこと。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

サフィナ役に、「パンシャブ・ハイ」、「同意(Raazii)」のアーリアー・バット

MC・シェール役に、シッダーント・チャトゥルヴェーティー。

スカイ役に、カルキ・ケクラン

ムラドの父、シャーキル役に、約100作もの映画に出演しているヴィジャイ・ラーズ

モイン役に、ヴィジャイ・バルマーなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

今年は「バジュランギおじさんと、小さな迷子」という素晴らしいインド映画が印象的でしたが、あの感動を越える1作となるのでしょうか。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

感想

運命に抗え!

時代は来てる!

ビートを盗み飢餓をライムに!

路地裏の少年が栄光をつかみ取る瞬間に涙だ!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっつい3時間。

スラム街で生まれた者はスラム街で暮らし、下働きをして生活するしかないのか。

生まれながらにして運命を決められた階級に属する男が、生まれも育ちも格差も越え、自らの道を切り開いていく姿を、なんでもかんでも歌って踊るイメージが付きまとうインド映画とは違い、クールでワイルドでクリエイティブな画作りによって一線を画し、オールドスクールからEDMに至るまで多面的な音楽を鳴らすことで、最先端のヒップホップを表現することで、音楽映画史に確かな1ページを刻んだ最高のラップ映画でございました!!

 

インド映画って基本的に上映時間長いんですよね~。

だから絶対見てる人がだれないような工夫をいつも施してるように思うんです。

映画は娯楽だからと捉えてるのか、笑いあり涙あり熱さありの怒涛のシーンの連続なんですよね。

だから、例え上映時間が長くても作り手と演者の熱量がとにかくすごいから、体感時間があっという間。

今作もその方程式に当てはまるような圧倒的熱量で、路地裏の少年の生き様と覚悟、そこから見える社会問題、身分違いの恋愛、そしてラップに魅了された3時間でした。

 

序盤は、ムラドが住む町の息苦しさや、悪さを続ける友達を変えることができない歯がゆさ、例え大学へ行って勉強したとしても使用人の息子は使用人でしかないという決まった道しかない状況、家長であるオヤジの奔放な振る舞い、13歳から隠れて付き合ってきた身分の高いサフィナとの甘い恋愛模様、そのサフィナがムラドを愛するあまりとんでもない行動に出てしまうようなサイドストーリーが用意され、環境的な悲哀を見せながらも、彼の心の拠り所であるサフィナとラップ音楽に徐々にフォーカスをあてていくというのが第1幕。

 

中盤は、相棒であるMCシェールとの出会いからフリースタイルラップデビューに、徐々に才能を開花させていき、好きな音楽に触れあい囲まれることは、誰にも邪魔されないオアシスであることを証明してくれるムラドの屈託のない笑顔、美しく賢いスカイという有能なサウンドプロデューサーと意気投合し、最高のビートとサウンドとPVによって、ムラドと同じ境遇の人たちに小さな希望を見せていくとんとん拍子なエピソード。

 

そしてスカイとムラドが音楽以外で繋がってしまうという成り行き任せの恋に、サフィナと険悪なムード、2番目の奥さんとの生活に業を煮やした母と父の口論から、真面目に生きようとしないムラドの態度をしつけるよう押し付ける父の態度など、ありとあらゆることに耐えかねた母の感情爆発、父の暴力から母をかばい、ついには家出をする決意をするムラド、仕事も生活もままならない中、運命に抗うことはできないのかと苦悩しながらも夢を諦めないムラドの熱いまなざし!

そして迎えるフリースタイルラップバトルへと向かっていくドキドキ感!

こんな苦しい状況の中で、果たしてムラドは本領発揮できるのであろうか!って流れになっていくんですよ。

俺には価値がある!と父に歯向かう姿に涙が止まらないシーンの連続でありました。

 

どうよ、この怒涛のエピソード!

この物語に、これまでの境遇によって縮こまっていたムラドの想いとパッションが爆発するリリックと、つい指でリズムを取ってしまう心地よいリズムとビートが乗っかり、ついには首まで動きハンドサインまでしてしまいそうなむちゃんこカッコイイ楽曲が加わることで、熱い熱いものになっていたと僕は感じています。

このブログで何度も言ってますが、やっぱり音楽を志していただけあって、この手の音楽での成功譚に目ちゃんこ弱い僕でありまして、だいぶ甘々な評価になってますw

 

でもきっと音楽が合わなかったとしても、それは側面でしかなくて、この映画が本当に言いたいことは、カースト制がまだ残るインドの階級社会が今でも蔓延っており、炭場所も狭ければ薬を売ったり車を盗むことで生計を立てることしかできない事態が当たり前のようにあり、貧困層の人間は決まったレールしか用意されてないのか、そのレールは自分で作っていく希望は果たしてあるのか、そしてその決まったレールは環境や生活によって知らず知らずのうちに築いてしまった思い込みなのではないか、そういった弱者だからこその怒りと熱意と希望が溢れた話だったと思うのです。

是非その部分に目を向けていただきたいなと思っております。

 

 

色々と雑に書きます。

今作は何といっても、ムラドの成長が見どころの一つ。

彼は貧困層でありながらも、悪いことには自ら手を染めようとしない好青年なんですよね。

冒頭で友達が車を盗むのに結果的には加担してしまうことになってしまうんですが、鬼の形相で友達を睨み、クソみたいなラップ音楽にまで牙をむける男として描かれてます。

 

生活の中で思いついたリリックを書き溜めるのが楽しみであるムラドの心を動かしたのは、大学の構内でのライブでラップを披露していたMCシェールでした。

彼と出会い、もっと心を解放しろ、お前の言葉はお前がいってこそ意味がある、と悟られたムラドは、ぎこちないながらもリリックのセンスと才能を見せつけることに成功します。

 

ホント序盤ではまだ人前で披露する恥じらいとリズムに乗れない感じがよく出ていて、ここからどうやって覚醒するのか、不安と気合が入り混じる姿を見せてくれました。

 

そこからPV撮影でのキレのあるダンスとシェールとの息の合ったラップはかっこいいし、ここが一番インド映画っぽいなぁとも思える大掛かりな路地裏での撮影でした。

そしてどんどんラップのセンスが磨かれ、自信をつけていくことによってキレのあるパフォーマンスを披露していく姿は最高でしたね。

 

ただ敢えて苦言を呈すのであれば、ラップ、特にフリースタイルの場合、もっと下積みを経ていかないと臨機応変な言葉って出てこないと思うんですけど、その苦労がそこまで描かれてなかったのが残念。

初めてのラップバトルではメンタルの弱さが浮き彫りになって凹んでしまうムラドがいましたが、結構あれよあれよとモノにしちゃうんですよね。

才能の塊であることは十二分に伝わるんだけど、そう簡単にはいかない世界だと思うので、そこはもっと時間を割いても良かったのになぁと。

また最後の決勝戦でも、舞台の上で披露するのが初めてといってましたが、ちょっと出来すぎなくらい会場の空気を自分のものにし過ぎていて、リアルではないなぁと。

またせっかく前のパフォーマーがMCで温めてくれたのに、いきなりクソまじめに自己紹介とか自分の過去を話してしまったせいで、会場が静まり返ってしまうんですけど、あそこで誰一人ブーイングしないのはちょっと無理があったなぁと。

 

インド映画っていかにも大味な所があるから、そこ突く必要ないんですけど、どうしても気になってしまって。

 

 

不満はこの辺にして、他の登場人物も魅力あふれる人たちばかりでしたね。

特に親父!!!

こいつはまぁ最後の方まで腹が立って仕方ない。

貧しい家庭にもかかわらず、別の女性に現ぬかして、しかも2番目の奥さんにしてしまう横暴ぶり。

一応上流階級のところで運転手をやってるんですけど、そこで働く使用人と恋に落ちたってことなんでしょう。

一緒に働きに行き、一緒の部屋で寝食を共にする。その後片付けは本妻である母がやる。

もうこの時点でクソオヤジですよね。

その上、息子には教育費を出してるんだから、真面目に大学に行って真面目に働くことを強要し、息子がその道から外れて夢見るようなことをやっているのを知った途端ブチ切れし、スマホで顔を殴るというDVぶり。

あれさぁ血出るって。

その後も嫌気のさした母親に当たり散らして、息子の教育はお前の仕事とか、俺の世話だけすればいいみたいなことを言って、やりたい放題。

そりゃあムラドもブチぎれますわ。

 

てかね、インドのお父さんお母さん世代って、どこも子供たちには厳しすぎるなぁって。

サフィナの母親も、サフィナが夜遅くまで外にいたり、ウソをついていた利すると思いっきりひっぱたいてたし、ムラドのおじさんも甘ったれたこと言うとデカい声出して圧力かけるし。

やっぱりその背景には、彼ら自身も運命によって決められた道しか行けなかった過去があるから、押し付けているんですよね。

ムラドの親父もきっと使用人の息子だったんでしょう。

夢など見る暇もないくらい厳しい生活をしてきたから、息子にきつく言ってきたんだろうし、きっと大学に行かせられるだけでも十分裕福なことなんでしょう。

サフィナの母親もお見合いで嫁いできた身でしたから、女は学問よりも家庭で尽すことが大きな役割だということを意識してのしつけだったように思えます。

 

ムラドは時代が来てる、と連呼しますが、もう昔のような時代ではなく、誰もが当たり前に夢を持っていい、誰もが当たり前に好きな道を進んでいい時代なんですよね。

何故なら俺たちには価値があるから。

使用人の息子は使用人、という価値を与えてくれない奴隷のような存在ではなく、誰かが価値を付けてくれる、見出してくれる時代なんだと。

もちろんそれで食っていける奴なんてほんの一握りなのは世界共通で、どれだけの覚悟があるか、どれだけ好きなことに打ち込めるかが重要なわけですよ。

ムラドもオヤジの前で啖呵を切りますが、ぶっちゃけ何の計画もない状態で言い放つんですよ。

でもあの強いまなざしと覚悟は、若さゆえの暴走なんかではなく、確かな自信として映っていましたし、親父を前にあそこまで言える人なんてほとんどいないでしょうから、背中を押してあげたい気持ちになるというか。

そんな今の若者たちの熱い思いを目の当たりにした映画でした。

 

 

またSNSやスマホやタブレットの普及によって、インドでもヒップホップの文化が根付いているのも面白く、ひたすらスマホをいじったりタブレットでラップを録音する姿は、まさに今の音楽制作がどれだけ気軽で身近なものに泣ているかも見ることができる瞬間でもありましたね。

動画も音源も簡単に世界に発信できるこのスタイルは、彼らのように貧しくとも価値を見出すことができる最高のツールとして描かれていたと思います。

 

 

最後に

相変わらず収拾のつかない乱雑な文章ですが、大体こういう時は言いたいことがまとまってないんだけど、言いたいことが山積みなくらい面白かったと判断していただければw

 

この映画で一番笑えるのが、サフィナの暴走ぶりですねw

とにかくムラドを愛しているために、彼氏に手を出す奴にはマウントでフルボッコにしたり、壁にぶつけたりひっぱたいたり、挙句の果てにはビール瓶で頭を殴る行為までしてしまうブチ切れ様。

むっちゃかわいい顔してるのに、やることが派手すぎる!!

こんな彼女、僕には手に負えませんw

ただこれ原因を作ってるのはムラドですからねw

勝手に女の子にメール送ったり、成り行きで一夜を過ごしたりしちゃうもんだから、ブチ切れてしまうのも納得で。

この映画のもう一つの不満が、このムラドとサフィナのところで、ムラドお前浮気したのになにキレてんだよ!しかも落ち着いたときに打ち明けてごまかそうとしてんだよ!

いやいやサフィナさ、それで許しちゃダメだって!いくら好きすぎるからってさぁ。

ムラドはきっと成功したら他の女とも成り行きで浮気するな、絶対w

 

でも、まぁ、二人がそれでいいなら外野はだまっときますw

 

いとうせいこうによる字幕監修、きっと楽曲のリリックを日本語で韻を踏む作業をしてたと思うんですけど、非常に良かったです。

ヒンディー語でいいのかな?聞きなれない言葉を伝わるように解釈して字幕にしてくれたことで、ムンバイ・ラップ・アンセムの距離が一気に縮んだ気がします。

 

最後に、僕はスカイが好きです。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10