モンキー的映画のススメ

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新作映画ばかり見ないで、旧作映画も見ようね。楽しいぞ。

映画「廃用身」感想ネタバレあり解説 切断したら元に戻らないんだぞ?

廃用身

作品情報

本作『廃用身』は、久坂部羊の小説デビュー作『廃用身』(幻冬舎文庫)の驚愕の映画化。出版当時、そのあまりに強烈な設定から、「映像化、絶対不可能!」と世間で話題を呼んだ衝撃作が、ついに映画化。
外務省医務官を経て、在宅訪問医として終末医療の最前線に立ち続けてきた著者自身の経験から生まれた本作は、超高齢社会に突入した今の日本社会と不気味なほど地続きのテーマを孕み、半歩先の未来を想起させるヒューマンサスペンス。

 

主演は染谷将太。

デビュー以来、国内外で高い評価を受け、映画『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)を受賞するほか、数々の映画賞を受賞し、幅広い役柄をこなす変幻自在な演技力で、圧倒的な存在感を放つ実力派俳優として鮮烈な印象を残してきた。本作では、医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと踏み込んでいく主人公、医師・漆原糾を怪演。

 

共演には、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける編集者・矢倉俊太郎を、主演映画『逆火』(25)や主演ドラマ「小さい頃は、神様がいて」(25/CX)、連続テレビ小説「おむすび」(25/NHK)など話題作への出演がつづく北村有起哉。

両脚と左腕の麻痺に苦しめられ、漆原の〈画期的な治療〉で人生を取り戻した岩上武一に、映画『首』(23)や大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(25/NHK)の出演など、名バイプレイヤーとして活躍する個性派俳優の六平直政。

漆原を支える妻の漆原菊子に、『由宇子の天秤』(21)で注目され、『敵』(25)『宝島』(25)『国宝』(25)など幅広く活躍する瀧内公美。その他、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄らが脇を固める。

 

監督と脚本を務めるのは𠮷田光希。

東京造形大学在学中より諏訪敦彦に師事し、塚本晋也作品での現場経験を経て、自主製作映画『症例X』で第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の審査員特別賞を受賞。

さらに第61回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門の入選、『家族X』『三つの光』のベルリン国際映画祭をはじめとした多数の国際映画祭での評価を通じ、世界で注目を集めてきた。本作は、そんな𠮷田が学生時代に原作と出会って衝撃を受けて以来、20年にわたり温め続けてきた、渾身企画の映画化となる。

(映画『廃用身』公式サイトより抜粋)

 

 

あらすじ

 

【廃用身】とは

麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと。

 

ある町のデイケア「異人坂クリニック」に通うお年寄りの間で、漆原院長(染谷将太)が考案した“画期的な”治療が密かに広まっている。

 

究極のコスパの良い介護を目指すその医療行為は、<廃用身」>(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)をめぐる、従来の常識を覆すものだという。

 

その結果、「身体も心も軽くなった」、「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。

噂を聞きつけた編集者・矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける。

 

しかしやがて、デイケアに関するとある内部告発が週刊誌に流出。

さらに、患者宅で起きた衝撃の事件をきっかけに、すべてが暗転していくーー。

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感想

結局この医者は正しいことをしたのかサイコパスだったんかって話?

引きの画ばかりを用いてスローテンポで描くやり方が、薄気味悪くもありチンタラやってるようでもあり。

好みではない。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたなら切りますか?

いつか体が動いたらという希望を胸に、麻痺した体をリハビリするお年寄りたち。

しかしどれだけやっても一向によくならない。

家に帰れば家族のケアなしでは寝食もまともにできない生活。

ある人は家族から虐待され、ある人は心配ばかりかけられ。

 

本当にこのままでいいのだろうか。

医師である以上、なんとかしてやりたい。

 

そんな思いから着想を得たAケアという新たな治療。

それは廃用身と呼ばれる部位を切断することで、体に余計な負担をかけないケア。

するとなぜか身体だけでなく心も軽くなり、些細なことで機嫌を悪くすることが減ったり、上手く喋れなかった口がうまくまわるようになったり、認知症がわずかに改善されたりと、良い兆候ばかりが見られた。

 

一緒にデイケア施設で過ごすお年寄りたちは、当初は不安がっていたが、効果が出た老人たちを見て徐々に心変わりしていく。

 

寝たきりの母を持つ出版社の編集者は、廃用身をする医者の話を聞きつけアポイント。

この画期的なアイディアが厚労省から認可されないのであれば、世論を動かそうと本の出版を促す。

 

医師として少しでもお年寄りの体を良くしたい、そんな願いの種がやがて花を咲かそうとしていた。

 

 

がぁ!!!

 

という感じでですね~まぁ~ずいぶんと長い尺でダラダラやるなぁと眠そうになるくらい体感時間が長い話だったんですが、取り上げる問題や本質は考えてもいいよなぁと思える題材。

 

 

例えば床ずれで悩む六平さん演じる老人は、家族からのサポートも受けさせてもらえないどころか、トイレに間に合わないだけで庭の池に体ごと漬けられるというひどい虐待を受けていた。

 

おかげでばい菌が入り、敗血症の恐れもあるほど左足が化膿しちゃってる大変な事態に。

切断するのが良いと思うという医師の助言に対し、手足が足手まといになってるってことですか、としょうもないダジャレを自分で言って自分でウケるクソ息子に腹立たしいシーンもあって、見てるこっちも「こんなことされるくらいなら動かない手足切って身軽になった方が家族も円満に向かうのでは」なんて淡い期待をもっちゃうわけですよ。

 

他にも認知症のおばあちゃんがタバコに火をつけたいけどライターがつかないからストーブの火でタバコを吸おうとしたら膝をやけどしてしまう事態に。

せっかく手当てしたのにかゆくて包帯剥がして娘を困らせるという見てられない光景を見せられ、娘はAケアをお願いするのであります。

 

実際切断したことで、床ずれもなくなったし敗血症の心配もなくなった。

何なら切断した箇所がキレイに傷が塞がり、なんだかあったかいと。

 

他の患者も、麻痺していた部位に流れてた血液が、切断したことで他の部位に流れる回数が増えたことで、血の巡りが良くなった症例まで出るほど。

エビデンスが少ないけれど、明らかに悪影響は少ないことが見られ、医師も編集者も本の出版を急ごうなど、希望を抱く姿が見られていく。

 

介護する側もされる側も大変てのは色んな人たちを見て重々理解してるつもりだけど、こういう選択ってぶっちゃけそう簡単にできることなのか、当事者でないからよくわからん。

でも物語の中盤まで見るに、この選択によって少なくとも楽になってる人は0ではないことに気付くわけですよ。

 

だから、俺ならですよ?

決断するにはもっと色んな視点だったり可能性だったりとメリットデメリットを考慮して決断するし、選ぶかどうかはいったん置いといて、あくまで選択肢の一つとして用意するぶんには悪くないのではと。

 

 

しかし、そもそもこれヒューマンサスペンスに分類される物語で、染谷翔太が医師を演じてる以上、どこか怪しいように見えてくるってのが不思議な映画なわけ。

 

まず週刊誌にこのAケアを「老人の手足を切断しまくる医師」とスクープされ、マスコミから袋叩きにされていく。

さらに小学校の同級生から「蝶の羽と手足をもぎとってた」などと語られ、さらに出版社に怪文書が届いたりと、明らかに誰かからのリークが発端で社会問題へと発展していく。

 

肝心の医師はというと、本を読んでもらえればみんな理解してもらえるとか、少しすればほとぼりも醒めるなど、あまり重要視してない姿が見られる。

しかし自体はさらに悪い方へ展開。

 

医師の話を聞いたうえで夫のAケアを決断したのに、こんな姿になるなんて聞いてない、ちゃんと聞いてればこんな決断しなかったなどと、あたかも医師にAケアを強要されたかのような言い分で文句を垂れていく。

そして最初に手足を切断した六平さん演じる老人は、息子と妻を殺害し、自害するという最悪の結末を決断してしまう。

 

これに対する医師の見解が「手足を切断したことで人を殺すことができたのは、それはそれで進歩じゃないですか」と中々怖いことを申すではないですか。

 

おそらく医師が強がってたのはこれが最後かもしれない。

そこからというもの、徐々に覇気が無くなる医師は、妻に「しばらく帰れない」と言い残し連絡が取れなくなっていく…。

 

 

編集者の母を施設に送ることが言及されたり、麻痺した体を切断するなど、何かと自身の枷になってることや人や部位を切り離せばQOLが上がるなんていいますが、それを捨てた省いた切り離したとて、あとになって「やっぱり必要だった」とかぬかすんじゃねえよって話になっていくわけですよ。

本当の廃用身ってどこなんでしょうねって話ですよ。

 

頭が僕の廃用身ってなかなかきついラストメッセージだったと思いますよ。

もう当てつけじゃないですか、医師に向けられた罵詈雑言に対して。

あなたたちの頭もってことだと思うんですよね。

 

 

最後に

なんかネットフリックスのドラマシリーズみたいなこれみよがしなBGMが流れたり、やたら洗練されたキレイな奥行きのある部屋を縦長に見せて空間を表現してたり、レクリエーション室での風船をリレー形式で回す運動を後ろでやってたりと、やたら妙な演出が目立つ映画だったんですけど、そんなことはいいから終始スローテンポで描くのどうにかできなかったのかと。

 

医師が自害して以降、いや、するまでの過程も含めて色々勿体付けるかのようなシーンの連続で、エピローグへ向かうまでのキレが悪いんですよ。

症例を描くのも前半丸々使って描くから、サスペンスな部分が一向に見えなくて、「え?これこのまま医療の新たな希望の話して終わるんじゃ?」ってくらいジャンルが変わるのが遅すぎるんですよね。

 

結構若者がたくさん映画館に見に来てたってことは、みんな怖いもの見たさにきたんだろうけど、あれきっとつまんないって思ったろうな…。

退屈な進行さえ改善されればもっと見れたし、染谷翔太をもっと染谷翔太でやったら(どゆこと?w)、もっと不気味だったと思うんですよね。

一体彼の考えたケアは介護の未来を切り開くのか?それともただのマッドサイエンティストなのか?みたいに揺さぶった方が面白かったのになぁと。

 

ま、こんなもんかって感じの映画でした。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10