モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「ハード・コア」感想ネタバレあり解説 間違ってるのが世の中ならば、正しさで空を飛んでやれ。

11月23日

ハード・コア

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今年の東京国際映画祭で特別招待作品として上映されたんだけど、時間が合わずに断念してしまった今回の鑑賞作品。

あまりコミック原作を映画化しないイメージの山下監督が、あえてこれを映画にしたのにはそれ相応の思いがあると思うんだけど、今の時代に対してこの映画を通じて言いたい事でもあるのか、それともただ映像にしたかっただけなのか。

 その真意は映画を見てどう受け止めるのかにあるわけで。

 

社会的弱者を主人公にして光をあてる作品が比較的多い監督。

今回は信念を曲げることができず社会からはみ出されてしまった男と、世の中に嫌気が差した男の、男くさぁ~いお話、な気がします。

「苦役列車」くらいやっちゃっていい気がする。

 

しかもロボット登場って、監督初のSFですか!?

原作読んでいないんでどんな話か想像つきませんが、楽しみでございます。

というわけで早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

90年代に漫画雑誌「グランドチャンピオン」で連載し、多くの読者の共感を得た、原作:狩撫麻礼、画:いましろたかしの伝説のコミック「ハード・コア/平成地獄ブラザーズ」を、何作もタッグを組んで作品を作ってきた盟友、山下敦弘監督×山田孝之によって映画化。

原作ファンである二人が長い年月をかけて暖めた企画であり、男たちの狂おしく熱いドラマに命を吹き込んで、連載から30年ぶりに蘇らせることに成功した。

 

自分の信念を曲げられず、不器用な性格がゆえに社会の最下層へと堕ちてしまった兄、そんな兄とは違い頭脳明晰で世間とうまく渡り歩くも退屈な毎日に嫌気が差してしまった弟、そして兄が唯一心を許せる友人で精神衰弱気味の男3人が、世間と自分たちのギャップに苦しみながらも、まっすぐな気持ちで生きようと願う人生活劇です。

 

 

 

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あらすじ

 

 

人間同士の交流が希薄になり、打算的な生き方をする人々が増えた現代日本。

その都会の片隅で細々と生きる権藤右近(山田孝之)は、あまりにも純粋で、信念を曲げることが出来ず、世間に馴染めないアウトロー。

弱者を見下し利用しようとする世間に対して、間違いを正そうとする信念を暴力に変えてきた彼は、仕事も居場所もなくしてきた。

 

あるハロウィンの夜、カラオケバーで仮装し、バカ騒ぎする若者たちを横目に、酒を飲みながらイライラを募らせていた右近だったが、ついに爆発。

きっかけは、隣りで「バカみたい…」と漏らしながらひとり飲んでいたOL風の女性(松たか子)が若者たちに誘われるままカラオケで熱唱し、男からのキスを躊躇することなく受け入れてしまったことだった。

右近は、男の頭に激しい頭突きを放ち、店内は大騒ぎに。

そのまま爆睡してしまった右近が目を覚ますと、虚ろな目に飛び込んできたのは、商社マンの弟・左近(佐藤 健)が、代金を払いながら「悪いけど、もうこの店には…」と注意されている光景だった―。

 

そんな右近の仕事は、怪しい結社を組織する活動家・金城銀次郎(首くくり栲象)と、その番頭・水沼(康すおん)が、群馬の山奥で進める埋蔵金探し。

共に働く精神薄弱気味の牛山(荒川良々)だけが唯一心を許せる友人だった。

女性を知らない牛山を不憫に思い、何とかしてやりたいと考えている。

 

ある日、そんな彼らの、自由でどこか呑気な日々が一変する出来事が起きる。

住所不定の牛山が住処にする廃工場で、古びた謎のロボットを発見したのだ。

牛山はすぐにそのロボットを友人のように受け入れ、自分たちに寄り添うロボットに次第に親しみを覚えた右近も「ロボオ」と命名して友情関係を深めていく。

やがてAIの知識もある左近が、ロボオが見た目とは違い、現代科学の水準を遥かに凌駕する高性能であることを突き止める。

 

「ロボオの人工知能があれば、埋蔵金の発掘なんてちょろいぜ!」と主張する左近に導かれ、群馬の山奥へと向かった3人と1体は、ロボオの能力を使い、まんまと100憶を超える本物の埋蔵金を見つけてしまうのだった!

 

左近が握る埋蔵金の行方、悲しい牛山の過去、右近の水沼の娘・多恵子(石橋けい)との禁断の恋、会頭・金城の失踪― この腐れきった世の中で、ジレンマを抱えながら生きる彼らの運命は何処へ向かうのか……。(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけるのは山下敦弘。

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もちろん左ですよw

 

青春モノやユニークな人物にスポットを当てた作品だったり、上でも書いたとおり社会的弱者を主人公にした作品が多い傾向の監督。

もらとりあむタマ」とか「苦役列車」、「オーバーフェンス」とかそんな気がします。

基本はコメディだと思うんですが、たまに「マイ・バックページ」くらいシリアスな作品もあったり。

 

今回はいったいどっち寄りのお話なのか。

監督が大好きな原作ということでどれだけの熱意がこめられているのか。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

キャスト

主人公、権藤右近を演じるのは山田マーロ孝之。

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監督との作品で彼を見るのは、これが初めてになります。

山田孝之の東京都北区赤羽」も「山田孝之のカンヌ映画祭」も「映画山田孝之3D」もどれも見てませ・・・んてなんでこんなに自分の名前をタイトルに入れる作品ばかりw

まぁこういう作品を経て築き上げた信頼関係が、今作を作るきっかけになったってことですよね。

 

今年の山田孝之作品は「50回目のファーストキス」以来。久々にコミック原作以外の作品でしたが、これは監督が悪かった、という感想がこちらです。

彼に関してもこちらでどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

右近の弟、左近役に、「るろうに剣心」シリーズ、「億男」の佐藤健。

右近が唯一心を通わす親友・牛山役に、「謝罪の王様」、「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」の荒川良々。

 他、松たか子、首くくり栲象、石橋けい、康すおんなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腐っているのは世の中なのか、俺たちなのか。

便利な世の中になって行く一方で、人間関係はどんどん希薄になっていく現在に、まっすぐな生き方で生きようとする兄弟たちがどのように描かれているのか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

これは中々の面白さ!

オフビートなユーモア描写をいれながら、弱者ならではの強み弱みを兄弟の視点で描いた楽しい映画でした!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間違ってるのが世の中だ。

自分の信念を曲げることができず世間になじめないでいる兄と、世の中のレールにうまく乗りながらも味気ない日常を過ごす弟、両親から捨てられた寡黙な青年が、見た目はポンコツだが中身はハイスペックなロボットと出会い、埋蔵金を掘り当て今の状況を変えようとするが、弱者は弱者でしかない社会の縮図を突きつけながらも、そんな俺たちでも空だって飛べるんだという優しい光を差し込むことで、正しいことは決して間違いじゃないということを、無駄に長い行間と下ネタ連発のやりとり、キャスト陣の呼吸が見事にはまることで、オフビートな笑いが随所で発揮され、今の自分にも当てはまる、彼らに寄り添ってあげたくなる映画でございました。

 

大人になるとはどういうことか。

それは妥協だと思う。

自分が思うことが正しいと思いつつも、気が付けばその主張を押し殺し、周りの空気に流され、適当な笑顔もうまくなり段々心はくすんでいく。

そうしなければどんどん集団からはみ出されてしまうから仕方なく諦めるのだ。

 

ただ、その妥協をできない人もいる。

それがこの映画の主人公である右近だ。

バーで一人飲んでいると、ハロウィンで盛り上がる大衆をあざ笑うOLに遭遇。

あ、きっと彼女も俺と同じ考えの人なんだろう、もしかしたらお近づきになれるかもしれない、と軽くほくそ笑む右近だったが、そんな彼女も自分の主張を貫くことができず、あとから入ってきたハロウィン帰りの若者たちの誘いを断ることができず、成り行きでキスまでしてしまう。

 

ここで反発する右近と流れに任されてしまうOLを対照的にみせることで、右近という男がどんな人物かが理解できるオープニングだ。

間違っていることを間違っていると言わざるを得ない男は、見事にバーという小さな社会から追い出されてしまう。二度と来ないでと。

 

はじかれた右近が行きつく場所は、腐りきった世の中を変えようと訴えるも、大した力もなさそうな右翼団体。

思想や志は高そうに見えるが、やってることは街頭演説とビラ配り、そして世直し金調達のために週に1度群馬の山奥で埋蔵金の発掘調査をすることくらい。

明らかにうさん臭い団体であるが、右近にとっては居場所はここにしかなく、拾ってもらった恩義がある。その期待に応えたくてひたすら励む。

 

しかしこの右翼団体も所詮強者の尻拭いをするのは弱者という世の中の仕組みと何ら変わりないモノであることを右近は後々知ることになる。

 

自分の正しさを主張する事でしか生きられない右近だが、気が付けば上官の娘の誘惑に勝てなかったり、自分よりも強いと感じたヤクザとの張り合いも怖気づく。その他細かい行動にも自分の信念に対し行動が伴っていない場面が多々見られる。

気持ちは強いが行動を起こせずに流れに身を任せてしまっているのだ。

なんだ、こいつカッコ悪いじゃないか。ダサい奴じゃないか。

とも思うが、観ていくうちにこんな男を愛くるしく思ってしまう部分もたくさん転がっているのだ。

 

唯一の友人である牛山の童貞卒業のためにデリヘルを呼んであげたり、自分とは対照的に出来のいいエリート商社マンである弟に劣等感を見せず兄としてふるまったり、そしてロボオをロボットとしてでなく仲間として認識したり、拾ってもらった恩義を決して忘れず、それに反発するものにむき出しになったり、彼のためなら命だって捨てる覚悟を持っていたり。

正しさと優しさを兼ね備えた立派な大人なのだ。

そんな不器用が故の悲哀と、そんな人生だとしてもスナックの袋にいっぱいの小銭と同じように希望が詰まった男でした。

 

 

 

その右近の弟左近はどうかというと、上でも書いた通りの妥協で生きている大人。

常に気だるそうな声と表情で兄の前に現れ、兄の行動や言動に口を挟む。

職場で同僚とセックスをするが、鏡越しに映った彼には生気が宿っていないように見える。仕事もセックスも日常を消化するための作業でしかないように。

 

ついつい兄と口論になり殴り合いをしてしてしまう場面もしばしば。

上官の娘を好きになってしまった兄に、弟の視点でアドバイス。

さすがに危険な恋な上に、飛び切りの美人でもなければブスでもない容姿の女は、自分の思うがままに男を弄んで食い物にされるだけ。だったら俺が紹介する女の方がよっぽどマシだ。

兄を思っての忠告のはずが、返って逆上させてしまう。

しかし、いつまで理想や希望を追い求めているのか、正しいことだけすればいいいほど世の中甘くない、結果みすぼらしい人生送ってるだけじゃないか、だったら間違いだらけの世の中に身を投じて全うな人生を送ったほうがマシなんじゃないのか、いい加減妥協することを覚えろ。

そんな思いを込めた鉄拳をお見舞いする。

 

きっと左近にとって兄は理想のように思う。

正しいと思うことを貫き、腐った世の中に牙をむく。

そんな兄貴が眩しすぎて逆に苛立ってしまう。

しかし根っこでは兄を大事に思っている。

俺みたいにうまく生きろよといっても、そうなってほしくないと願っているようにも見える。

兄が自分みたいに死んだ目で生きていたらどうだろう。それってずっと背中を見てきた兄そのものなんだろうか。

だからこのチャンスを逃してほしくないと、ロボオの技術を使って埋蔵金発掘を手伝い、香港ルートを使って金に換えようと身を削って行動するのだ。

こんなみすぼらしい兄貴だけど、心は誰よりも透き通っている。俺のようなくすんだ心の持ち主とはワケが違う。

だからいい人生を送ってほしい。そんな風に思っているに違いない。

 

 

 

下ネタ連発で思わず爆笑。

はい、というわけでなんか柄にもなく兄と弟の事を断定的に書いてみましたが、伝わりませんね。

ええ、それが僕のブログのクソな部分であり、また味でもありw

とりあえずサラッと読んでくだせえな。

 

まぁ不器用が高じて不遇な毎日を送る右近と牛山に、後ろからぎゅっと抱きしめて介抱してあげるロボオとの仲睦まじい姿に、笑いと涙が溢れだす良作でありました。

どんな弱者でもこんなロボットが寄り添ってくれたらいいのになぁと願いたくなる映画だったのではないでしょうか。

 

そんな物語の中では、かなりの頻度で下ネタや笑いが含まれており、それに翻弄される右近と牛山の姿に笑わずにはいられない作品です。

一体どんな描写かというと、まず牛山がピンクチラシを肌身離さす持っていて、それが気になる右近は彼のために自分の部屋を提供してデリヘルに電話。

必死に貯めた2万円を握りしめてやってきたのはババア。そんなババアに金を数えさせたかと思ったら、軽く説教される始末。

あんたこんな人生でいいのぉ~お母さん心配してるんじゃないのぉ~。いやそれそっくりそのままお返ししますよおばさん。あんたもいい年していつまでこんな仕事してるんですか。

と思ったら、ちょっと電話してくると言い出してトンズラ。

牛山よ、地方に行けば2万でもっとましな女とできるぞ。

 

という流れがあれば、上官の水沼から牛山が公安のスパイかもしれないということで偵察しろとの命令が。

夜中にこっそり忍び込んで彼のカバンを覗くとな、な、なんと物理の教科書が。

クソまじめに考えたらあの牛山が物理の教科書って、これひょっとするとひょっとするぞ、マジであいつスパイなのか?と思うけども!んなわきゃない!w

何だよガセかよ・・・と自宅へ戻ると、そこに女性の下着をつけた牛山の姿!!

何と牛山も右近の偵察を水沼に頼まれ入れ替わりで侵入してたんですね~。

右近は出来心で購入したが、決して自分で身に着けたことはない!と牛山に弁明。牛山はこれを理解しているのだろうか。

 

この後も、どう見てもロボットだからと人目に付かないようにおとなしくさせるのでなく、あえて人に溶け込ませる作戦に打って出たら結果誰もロボットだと思わないという周りの視線のギャップが楽しいし、そんな周りの人間とは違い、どう見ても見た目ロボットだろ、でも兄貴が言うんだからこいつはロボットじゃなくてロボオなんだよな…でも悪りぃがまんんできねえ、兄貴そいつは一体何なんだ、という左近の質問までの流れの間が非常に笑える。

 

後半に差し掛かると水沼の娘多恵子が登場。

アイドルの追っかけのための資金を作るのならば援助交際も厭わない根っからのドスケベ女に心を奪われてしまう右近。

酔っ払った水沼を寝かせた後、急に右近の股間に向かってお口でご奉仕し、それに悶絶する右近の表情が最高。

その後も、彼女の都合のいいように弄ばれ、骨抜きになっていく右近。

ついにはお父さん今いないからうちにおいでよ、いやいやそれはまずいですって、じゃあ電話越しで気持ちよくさせてあげるといやらしい音を立てながら右近のッ耳元で責め立て、今度は私を気持ちよくさせてと、右近も電話越しでいやらしい音を立ててテレフォンセックスにまで発展し、そこへ水沼が右近を訪ねてやってくるという、非情に恥ずかしながらも笑うしかない場面。

 

山田孝之の見た目ごっついけど心はピュアです!な佇まいからくるこっぱずかしさが物語の中でユーモアとなって映し出される場面の数々に笑わずにはいられないシーンの連続でございました。

 

牛山演じた荒川良々も基本あーあーしか言ってないんだけど、彼も山田孝之同様その佇まいだけで画になる男。よだれ垂らして泣き叫んでも、キャバレーで踊っても、アレをおったてて月の光に照らされながら吠えても、どれも笑わずにはいられない、そして愛さずにはいられないキャラとして描かれていました。

 

この愛すべきキャラの笑いをドS的視線で冷淡にツッコむ左近役の佐藤健が素晴らしい。

笑いどころはないんだけど、右近と正反対ということを重んじてか、とにかく冷たい言葉と目線を送り、世の中マジつまんね~って顔をずっとしてるわけで、ちゃんと山田孝之を生かすためにちゃんと距離感を生み、貶すけど見守る弟という立ち位置を自ら作り抑えた芝居で魅了してくれました。

ここ最近主役でなく脇役をやる機会も多くなった彼が本領を発揮した作品としても評価出来た映画だったように思えます。

 

 

最後に

間違っていることを間違っているといって何が悪い。

そう思っていながらも、性欲に振り回され、上官に振り回される純粋で不器用なはみ出し者右近と、いい加減目を覚ませよと言いながらも弟として支える左近の兄弟愛に笑いと涙が絶えない作品でした。

うまく立ち回らなくてもきっと空を飛べる日が来るというメッセージを彼らと一体のロボットによって教えてくれた作品だったんじゃないでしょうか。

かといって前向きさもありながら、彼らのあまりの不器用さに哀しく感じてしまう部分もあり、決して楽しいだけじゃないところもあってもどかしさも残る。

 

その屈強な魂で人生を真っ直ぐ生きてほしい、監督の弱者に対する厳しくも優しい目線で作られたステキな映画でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10